「かぐや姫、いい加減結婚相手を決めたらどうじゃ」
まーた始まったよ、このクソジジイ。
輝夜はいい加減うんざりしていた。悪態の一つもつきたくなるくらい。
口に出さないのが、せめてもの良心だった。
「でも私、愛情の無い方と結ばれたくないわ」
「しかし、遠路はるばる通ってきているではないか」
輝夜とて恩知らずではない。自分を拾ったこの翁を、疎ましく思っているのではない。
ただし、結婚の話だけは別だ。何が悲しくて、下賤な連中を相手にしなきゃならないのか。理解できなかった。
「一度や二度、遠くから通ったことが、どうして愛情の証拠になるの? すぐに飽きられるかもしれないでしょ」
「むう、確かに。じゃがのう……」
この老いぼれは、よほど自分を貴族と結婚させたいらしい。
当然といえば当然だ。うまくいけば彼自身の今後が楽になる、おいしい話なのだから。
翁をむげに扱うのもなあと、輝夜は思った。
彼女は基本的に地上人をナメてかかっているが、しかしこの翁にはいくぶんか好意を抱いていた。
そこで、輝夜は譲歩することにした。
「しかたないわね、わかったわよ」
「本当か!」
翁の顔が急に明るくなった。顔に「明るい老後、楽しい老後」と書いてある。すでに老いぼれているのだが。
「でも、結婚相手には条件があるわ」
「条件?」
「難しいことじゃないの。まず――」
誰がかぐや姫を得るか。男たちの争いは白熱していた。
そんな中、翁がこのようなことを言った。結婚するためには、提示される難題をクリアしなくてはならない。
その段階で、物見遊山だった男たちは続々と帰り、三十人ほどが残った。
ルールはこうだ。まず全員、ひとつの部屋に集められる。そして、一人ひとり順々に別室へ通され、そこで難題が言い渡される。それまで内容が知らされることはない。
勇んだ男が入ったのだが、難題を言い渡される前に追い返されてしまった。
「さては結局、結婚するつもりなどないのだな?」
そう考えた男たちは帰った。
それでも愚直に恋焦がれる男が、五人残った。
石作皇子、阿倍御主人、大伴御行、石上麻呂、藤原不比等だ。
男たちは、順々に呼び出されていく。
「あなたに難題を与えます」
翁の言葉に対し、石作皇子は言った。
「どのような難題であっても、必ずやこなしてみせましょう」
だが、難題にふさわしくないという理由で、彼は追い返された。
次に部屋に入った阿倍御主人は、こう言った。
「まかせてください。私のかぐや姫への愛を見せてみせます」
しかし、彼も追い返された。
大伴御行。
「私にかかれば、どのようなことであれ、たちまち解決するでしょう」
追い返された。
四人目の石上麻呂は多少賢明だった。
懐から金を取り出し、言った。
「受け取りなさい、コレが望みでしょう?」
翁は一瞬ためらったが、結局彼を追い返した。
なぜ駄目なのか、彼にはどうしても理解できず、しきりに首をかしげながら帰った。
そうして、藤原不比等の番となった。
彼がだめなら、結局、全ての求婚が蹴られることとなる。
彼は緊張を感じながら、別室に入った。
翁が、重々しい雰囲気をつくり、座っている。
不比等はその向かいに座った。
「あなたに難題を言い渡します」
翁がそう言った。
不比等はゆっくりと口を開き、言う。
「難題とは――なんだい?」
突如、翁の後ろのふすまが開いた。
「ようやく見つけた、私と同じセンスの人! あなたこそ私の旦那にふさわしいわ!」
「おお! やはり、これはそういうテストだったのですな!」
「ええ!」
彼はかなり素で言ったのだが――いずれにせよ上手く行ったらしい。結果オーライである。
不比等は嬉々として立ち上がり、輝夜と抱き合った。
だが、彼はふと重大な問題を思い出した。
「ああ、しかし、私には連れ子がいるのですが」
「かまわないわ、なんと言うの?」
「妹紅といいます。連れて来ているので、お目にかけましょう。これ! 妹紅! 妹紅!」
不比等が呼び出すと、不比等が元々居た部屋から、年端も行かぬ少女が現れた。
輝夜はそのかわいらしい少女に目を見張った。
「あら! かわいい!」
「妹紅、これがお前の新しい母さんだ」
「……おかーさん」
「かぁぁぁわいぃぃぃぃ!」
好きにしてwwww
だがしかしここは輝夜の家じゃないのか。何故隣室に妹紅が居るのか。
…………瑣末な問題ですね!
お母さん輝夜と娘妹紅か。……ありだな!
貴方の作品は凄い!!
満点持ってって下さいまし。
慧音先生はこの後向こう百年禁酒されるのでしょうね、姫さまともっこさんの手によって。
お母様な姫さまと可愛らしい娘もっこさんは確か作品集30台後半に居られた様な気が致します。
姫さまがとてももっこさんを溺愛されていらっしゃいましたね……(遠い目)
あとそのどや顔をやめなさい。
堪りません
矛盾点さえ気にならなくなるような流れ方は脱帽ものでした。
もう一回大きな声で
すごいセンスだよ!
でもおっけーね!!!!
てっぺんに星のついていて色とりどりに飾られたモミの木を渡す話を思い出した。
結婚してました。その後、藤原不比等は家出しちゃってたけど。
読み終わってからタイトルもう一度見てわらってしまった、悔しいw
ハクタクにはもっと飲ませるべき
……と思ったら、そういうオチかよ! やられた。
ちなみに、ダジャレを言い合える家族は仲が良いという統計があるらしい
ほれ、持ってけ
これはどういうことなんだい?(チラッ)
このけーねはダメかも知れんね。
噴いちまったよちくしょうwww