「ぐわあああああーっ!」
清々しい朝、紅魔館当主のパパス的悲痛な叫びが、廊下中にこだました。
そろそろ主人を起こそうとしていた咲夜は、何事かと慌てた。常日頃から冷静沈着な十六夜咲夜も、主人の異変とあっては取り乱す。
とにかく一大事だと、声のしたほうへひた走った。そこは主人の寝室。紅魔館を実質切り盛りする咲夜であっても、呼ばれないかぎり入ることは許されない。
だが、主人の身が危ないかもしれないとなれば、話は別である。一も二もなく咲夜は扉を開け、内に踏み込んだ。
「お嬢様ッ、どうなさいました!?」
咲夜は目を見張った。なんと、誇り高き吸血鬼が、床で悶え苦しんでいるではないか。
駆け寄るよりも先に、咲夜は時を止めた。
万一、何者かが何らかの手段で忍び込み、レミリアを襲撃したというのならば? 彼女を介抱している場合ではない。自分まで危ない。自分まで襲われては本末転倒だ。
しかも、仮に襲撃者が居たとすれば、そいつは寝込みを襲うような相手だ。どんな卑劣な手を使ってくるかわからない。うかつな行動はとれなかった。
止まった時の中で、部屋を見渡す。そこはレミリア・スカーレットの寝室であり、不審なものは一切無い。
一応の安全を確認した咲夜は、時間を動かした。それでも周囲への警戒を解かず、レミリアに近寄る。
「お嬢様!」
床に伏せった主を、咲夜は抱き起こした。苦悶の表情を浮かべている。
「ぐぅぅ……咲夜」
「お嬢様、いったい何があったのですか」
「なんでもないわ、気にしないでちょうだい」
たとえ主の命令であっても、咲夜は従いかねた。
レミリアは今なお苦しげな呼吸をしている。彼女に忠誠を誓う咲夜としては、気にせずにいられない。
「咲夜、今日は私の部屋に誰も近付けないで」
「ですがしかし」
何があったのかも知らされないまま従えというのは、さすがの咲夜も納得できない。
咲夜の頭には、真相についての大体の想像が浮かんでいた。奇襲を受けたことをレミリアは恥とし、配下に黙っている。というものだ。咲夜はこの考えに確信を持っていた。
それは確かに誇り高き者のあり方として正しいのかもしれない。だが、実際に紅魔館を回す咲夜としては、冗談ではなかった。
主人に襲撃をかけるような馬鹿者は、館全体のメンツと安全のために即刻殺害されるべきであり、そのた
めには主人の証言が大きな手がかりとなるのだ。
「お嬢様」
「いいから従え。咲夜、いいか、これは命令だ」
主人の口から飛び出た強い言葉に、咲夜は身を硬くする。
咲夜の心情としては、レミリアが心配でたまらない。おそらく実在するであろう襲撃者について、問いただしたかった。
しかし、これほど強い口調で命令されては、従わざるを得なかった。
「……かしこまりました」
唇をかみながらも、咲夜はレミリアにそう返した。そして部屋から出て行く。
扉を閉めた。とりあえずは、レミリアの部屋に誰も近づかないよう、連絡を回さなくてはならない。
「へぇ、そんなことが? 穏やかじゃないわね」
「はい。何事も起こらなければ良いのですが……」
一通りのすべきことを終えた咲夜は、レミリアの親友であるパチュリーに、一応の報告をしていた。
何者かの襲撃があったのかもしれないという咲夜の意見を、メイドたちや門番も支持した。
館全体が緊迫した空気に包まれ、館内見回りは通常の三倍となっている。だが、この図書館は比較的に手薄だった。
図書館には、名物として「生きている」魔導書の攻撃がある。さらに、迷えば餓死の可能性すらあるのだ。いわば、防御システムが勝手に出来上がっている状態だった。だから割く人員は少なめで済む。
「レミィがねぇ……そういえば、昨日私のところに来てたわよ」
「え? そうなのですか?」
どうりで、と咲夜は思った。というのも、咲夜は昨日の晩、レミリアの姿を見ていないのだ。図書館に延々居たらしい。
「ええ。流水に対する耐性の研究をしたわ」
「流水?」
「ええ。吸血鬼が流れる水に弱いことは知ってるわよね?」
咲夜は頷いた。
吸血鬼は流れる水に弱い。具体的には、川などを渡ることが出来ない。どうしても必要なら橋の上を通ればいいのだが、橋が無い場合も多い。
日光に比べれば致命的というほどでもないが、しかし厄介であることに変わりはなかった。
「で、何かと不便だから、どうにかする方法は無いかと調べたわけ。ま、先は長くて前途多難って感じね。何年かかるやら」
「はぁ」
流水を渡れるようになれば、渡れないよりずっと便利ではある。が、今の状態はそれどころではなかった。
パチュリーもその辺りは分かっているのか、それ以上語ることは無かった。
「にしても、沢山喋ったわ。喉が渇いて仕方なかったわよ。紅茶を沢山飲んじゃった」
「あとで図書館備え付けの茶葉を補給しておきますわ」
「ありがとう。レミィもカパカパ飲むもんだから、すっかり減っちゃったわよ」
「そうですか……あ」
咲夜は悟った。
つまり、今日のレミリアは日本地図だったということだ、と。
興奮してきた
興f……トラウマが蘇ったじゃないか。
つーかもうオチを隠す気もない正々堂々としたSSに興f・・・感動したぜ
いかん興奮してきた。
無論興奮してきた俺が言う事ではないだろうが。
日に当たったらいけないわけだし、かといってそのままにしておくわけにもいかない。
そうやって悩むレミリアを想像したら燃えた
布団の前にドロワーズのオーストラリア大陸をどうにかしないといけないと思いますので私に処分をお任せください。
○紅魔館当主のパンパース的悲痛な叫びが
紅魔館で地図なだけに「赤水」…あ゛何wおs
いやむしろマーキンg(ry
しかしパパスの破壊力が高いw