「ふーんふふーん」
大木の上で鼻歌を歌いながら気持ちよさそうに目を細める。
私――光の屈折を操る妖精サニーミルクは、日光浴が大好きな妖精だ。
ちなみにルナとスターは夜空を見るのが好き。
まあ二人の目的は月と星、違うんだけど。
視線を前へ戻すと、遠くの森で何かが光った。
良く見るために目を細める。……光らない。
「うーん。……あ、もしかして!」
きらりと光るもの。それは宝だー!私は確信した。
少なくとも光るものなんて私の頭の中には日光と宝くらいしか存在しない!
「早速宝探しだーっ!」
私は日課の日光浴も忘れて家へ滑りこんだ。
「何よサニー。騒がしいわね」
家に入ってから早速ルナのジト目が私を睨む。
スターはちらりとこちらを見た程度ですぐに本に視線を戻した。
「宝よ宝!もしかしたら財宝かもしれないわ!いや埋蔵金かも……!」
瞳をきらきらりんと輝かせて言う私にルナとスターは顔をしかめた。
「サニー。私たちにもわかるように説明してくれないかしら」
スターがそう言ってまた本のページをぱらりとめくる。
隣でルナがそうそうと頷いた。
「遠くの森で何かきらっと光ったのよ!」
ルナはため息を吐いた。スターはくすりと笑った。
むぅ。何がおかしいのさ。
「あのねぇサニー。光ったからといって宝とは限らないわよ」
ルナは珈琲をすすった。
でもあれは宝。間違いない。私の勘がそう言っているわ。
「間違いなく宝よ!」
「根拠は」
「私の勘がそう言ってるの!」
ルナはまたため息を吐いた。スターもまたくすりと……苦笑いだ。ドウシテ。
「とにかく。宝と思うならその証拠を見せなさい」
「むー……でも宝なのよ!間違いなくあれは宝ー!」
ルナは面倒臭そうにして顔をそむけてしまった。何だ!宝が手に入るチャンスだぞ!
「宝宝宝宝宝宝ー!」
悔しくてルナの耳元で大声で叫ぶ。こうかはばつぐんだ。
ルナはちゃぶ台をひっくり返すような勢いで立ちあがった。
「ああもうわかったわよ!今日だけ探してあげるわ!その代わり今日なかったらあきらめなさいよ!!」
私にルナが怒鳴る。スターはちょっと驚いたが、またくすりと笑った。
「ありがとー!じゃあ早速れっつごー!」
扉を開けて飛び出す。中々出てこない二人を見て、手を引っ張る。
「早く早くー!」
「わかってるわ、サニー。場所はどこ?」
スターは落ちつきはらった様子で言った。私はあそこの森、と答えた。
昨日は雨。ぬかるんだ地面が靴を汚す。
それでも私たちは茂みをまさぐったり土を掘ってみたりと宝を探していた。
「うー。ルナ、そっちは見つかった?」
「いーえ。スターとサニーは?」
「私の方も見つかってないわー」
「私もー」
とか言っといてスターはサボってるかも。また。
でもスターを見る暇は無く、場所を変えて土を掘ったり茂みをまさぐったり……。
数時間が過ぎた。空は夕暮れの色に染まっている。
「ねえ、サニー。もういいんじゃないかしら……」
ルナがあきらめの声を出す。スターもお腹すいたし、とそれに賛成した。
でも私はそんなの認めない。
「ま、まだよ!絶対どこかにあるんだから!」
一喝。もう自棄になって、歩きながら激しくガサガサと茂みを揺らす。
その向こうに、一瞬きらりと光るものがあった。
驚いてその茂みを飛び越え、すぐに正面を見る。
透き通っていて、きらきらしている六角形の固体があった。
あれこそ。
「ダイヤモンドー!!」
大声で叫ぶ。ルナとスターが慌てて駆け寄ってきた。
スターの服は泥一つない。やっぱりサボっていたのだろう。
でもそれは今はどうでもよい事だった。
それを手で持ち上げる。ずっしりとした重さが体中に伝わる。
「お、おお。おおおおおおお」
ルナとスターが良くわからない感嘆の声をあげる。
「お宝だあああああああ!!」
私達はそれを家に持ち帰る事にした。
「ねえねえ」
私はルナに問いかけた。
「ん、何?」
珈琲をかたりとテーブルに置いて、ルナが私に尋ねる。
でもそんな軽い言葉で済ませられぬほど、事は重かった。
「あそこのダイヤモンド……どこ行ったかしらない?」
「え?」
ルナは視線を私からダイヤモンドを飾っておいた場所を見た。
そこには魅力の固体はなかった。ただの冷たい液体、水があっただけだ。
「ど、どういう事……、まさか泥棒!?」
「ありうるわね……」
私達は真剣にその事を考えていた。
が、今日の食事作り係のスターの「ご飯できたわよー」という声を聞くとそんな事すぐに忘れてしまった。
「あれ、ここに置いておいた氷どこいったのかなぁ?」
三月精が来た数分後に、氷精が来た。
前から思ってたんだけどルナって苦労人気質だよね~。
お気楽おバカなサニーと、どっか間違った策士のスターに挟まれて、一番貧乏クジひいてそうな感じがするw
子供好きの自分には堪らないです。
チルノの弾幕ごっこの光だったのですかね。
でもそれに気づかないほど相当綺麗だったんだろうな。
こういう三月精作品はもっと増えるべき。そして評価されるべき。