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「何のようだ」
「邪魔よ」
魂魄妖夢はただいま非常に困っております、
先日、博麗霊夢さんから幽々子様に対して私を貸してくれとの一言があったそうなのですが。
「私が来た以上は人間に出番はない、帰ったらどうだ?」
「ふざけてるわね、出番がないのはあなたの方よ」
なぜか境内で藍さんと咲夜さんがすごいオーラと共に睨み合いをしております。
「たかだか人間風情が生意気だな」
「あら、獣ごときに従者という大任をこなせるとは思えないんだけど」
なんか怖いです、なので無視して霊夢に会うことにしました。
「レミリアと紫にもお願いしたんだけど、まさか全員貸してくれるなんてねぇ」
霊夢はのんびりとお茶をすすりながら煎餅を食べてます、
ひとまず要件だけでも聞いてみました。
「今日しばらく家を開けるからその間に掃除でもお願いしようと思って」
「……ご主人様方はよく貸す気になりましたね」
煎餅美味しい。
「任せて、あなたが帰ってくる頃にはこの神社は光輝いているはずよ」
「そうそう、霊夢は安心して外出するといい」
いつの間にか二人が私の後ろで自慢げに胸をはっています、
とりあえず三人で霊夢を見送ったのはいいのですが、これからが怖い。
「お前達は帰りなさい、あとは私がやるわ」
「何を言っているの? 不要なのはあなた達の方よ」
早速藍さんと咲夜さんの睨み合いが始まりました。
「同じ職場において従者ランクは絶対、このA級従者ライセンスに逆らえるかな?」
「その程度なら私も持ってるわ、腕の立つ従者ならA級ぐらい当然よ? 自慢にもならないわ」
なんか無用なものまで持ち出して張り合ってます、
最後の煎餅は貰っておくことにしました。
「こうなれば妖夢にどっちが上か決めてもらうとしよう」
「そうね、というわけで妖夢ちゃん、どっちが従者として上かしら?」
「スーパーライセンスを持ってる私が一番上だと思います」
「…………」
「…………」
なぜかお二人とも固まってしまいました、
昔取ったスーパーライセンスがこんなところで役に立つなんて。
『妖夢様、ご指示を』
「早く掃除にとりかかってください」
『はっ!』
従者ランクって凄いなー。
「……で、藍さん、あなたは何をやってるんです?」
「ん? 尻尾で畳を掃いているだけだが……」
「ボッシュート!」
「ナンバーナインテェールゥゥゥー!!」
尻尾を一本もぎ取りました。
「藍さん、あなたは手とか足とかで掃除されて嬉しいですか?」
「ひぐっ……う、嬉しくないです……」
「でしたらどうすべきかわかりますよね?」
「は、はい……」
藍さんがすごく怯えた目でこちらを見ていますが、
私は間違ったことは言ってないはずです。
「えっと、畳の目に沿ってと……」
「出がらしの茶葉を撒かんかぁ!!」
「ナンバーエイトテェールゥゥゥー!!」
畳の掃除の基礎を知らないなんて、本当にA級なんでしょうか?
とりあえずもぎ取った尻尾は半霊につけておきましょう。
「ふー、廊下の掃除終わったわよ」
「えいっ」
「カチューシャァァァァー!」
とりあえずカチューシャは半霊の頭に装着です。
「な、何か問題でもあったの!?」
「時間、止めましたね?」
「止めたけど、それが何か?」
「つまり咲夜さんは主と同じ時を過ごしている間は働いていないと」
「そ、そういう考え方もできるわね」
「主と共に過ごすかけがえの無い時の中、自称従者である咲夜さんは何一つ従者らしいことを……」
「……やり直してきます」
あれから一刻程の時間が過ぎ、博麗神社も綺麗になったようです、
お二方ともA級なことはありまして、特に問題もなくスムーズに終わりました。
「尻尾が残り三本……」
「パッド……パッド返して……片方だけでいいから……!」
スムーズに終わったんです、はい。
「じゃ、次は炊事と洗濯ですね」
『えっ』
「まさか掃除だけして帰るおつもりだったとか……?」
「いえいえまさかまさか」
「そうですわ家事は全て成し遂げないと」
「じゃあ藍さんは洗濯をお願いします、炊事は咲夜さんに」
二人を顎でつかえるというのはいいものです、スーパーライセンスに感謝、
しかし待っているのもなんですので、台所に様子を見に行きました。
「というわけで咲夜さん」
「何かしら?」
「エプロン没収です」
「ホワァァァイッツ!!」
これも半霊に装着です。
「何よ!? 何がいけなかったの!?」
「今お作りになられている味噌汁ですが……」
「これがどうかしたの?」
「ダシを取る時間が五秒程長いです」
「細かっ!」
「まさか主の為に己の知識と身体を総動員すべき従者が細かい、などとはいいませんよね?」
「申し訳ございません、すぐに作りなおします」
最近の従者は手を抜くことを覚えてしまっている方が多い、
これはまっこともってやんごとなき事態と思われつつ味噌汁できましたね。
「ど、どうかしら?」
「没収です」
「スカァァーッツ!!」
スカートも半霊に装着です、だんだんメイドらしくなってきました。
「こ、今度こそ完璧に作ったはずよ!? 具は一種類だし!」
「咲夜さん、これただの赤味噌じゃないですか」
「赤味噌だとダメなの?」
「霊夢が好む味噌は赤味噌六割五分二厘に麦味噌三割四分八厘です」
「細かっ! というか知らないわよそんなの!」
「知らない? A級従者なら一目見れば分かるでしょう!」
「分かるわけがないわ!!」
「修行が足りないんです!」
「そんな修行なんてしたことないわよ!」
次は藍さんの様子を見に行くことにしました。
「妖夢……さっき咲夜と言い争っていたみたいだが、どうしたんだ?」
「味噌に漬けてきました」
藍さんは何故かさっきから身体を震わせています、
きっと季節外れの寒風のせいで寒いんでしょう。
「で、藍さん」
「ひっ!?」
「洗濯板で洗濯物をこするのに大切な角度は四十七度なのに、何故六十度なんです?」
「……ね、猫背でして」
「えいっ」
「ナンバースリーテェェェール!!」
半霊の尻尾も七本目です、きもいですね。
「うっうっ……理不尽だ……」
「理不尽というのはですね、洗濯水の水温が一度低いとか……あ、五度も低いですね、えいっ」
「ナンバトゥーテェェッェエール!!」
甘やかしてはいけません、巡り巡って主の為に。
「うわぁぁぁん! もう帰るぅぅぅ!!」
「どこに行く気ですか?」
涙目になりながら逃げていく藍さん、
主への奉仕を放り出すなんて、従者にあるまじき行為にも程が有ります。
うん、教育しないと。
――それから二刻後、帰宅した霊夢が見たのは素っ裸の従者二人と、
メイド服に九尾を備えた半霊、そしてハートマン軍曹だったという。
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咲夜さんが素っ裸!!!なんて事を……
とりあえず咲夜さんは私が保護するので、誰か藍様をお願いします
・・・半霊には足はござらぬが、ニーソはいかがなされたか。
よもや尻尾になどと。尻尾になどと。
ただ、展開がおおざっぱ過ぎて…どんな話なのかよく分からなかったです
妖夢のリアルな痛々しさに吹きましたw
とりあえずどなたか最後のシーンをイラストにしてもらえませんか?
やめとけ!!
お前も裸にされたいのか?
ハートマン妖夢怖い
尊敬します