「ねぇスーさん、ヘンテコな傘が落ちてるのだけどなんだと思う?」
「うぅ……、うらめしやぁ……」
無名の丘にて。
人形と傘。
「大丈夫? えーと、傘さん?」
「ありがとう、もう大丈夫」
「この薬良く効くでしょ? 永琳さん特製のお薬だからね」
今年のスーさんはだいぶ強いみたいね。
私がお昼寝してたって、毒にやられた獲物が勝手に落ちてくる。
本来だったら、この子を助ける義理なんかないけど。
今のうちに恩を売っておけば、きっと人形解放に役立つわ。
まずは仲間集めが最優先。
それにオッドアイの少女は、強いらしいからね。
「その傘、素敵ね。茄子が熟したような色、ベロンと無駄に伸びた舌。本当いいデザイン」
相手の趣味を褒めておけば好感度は上がるよね。
前にうどんげさんのネーミングセンス褒めたら喜んでくれたし。
「え? 本当に?」
「うん、可愛いよねスーさん」
私だったら、こんな傘は絶対にいらないけどね。
罰ゲームで、死ぬかこの傘をみんなにお披露目するか選べって言われたら、
間違いなく前者を選ぶわ。
でも、だからと言って、傘さんの事を貶しちゃったら怒られちゃう。
嘘も方便。
それに、物は大事にしないといけないからね。
「ありがとう、この傘を褒めてくれるなんて嬉しいよ」
しかし、単純だねこの子は。
ちょっと傘を褒めただけなのに、両手を挙げて喜んでるわ。
「ところで傘さん? 何しにこんな所まで来たの?」
「小さくて弱い女の子がここに居るって、霊夢から聞いたの。貴方は知らない?」
「んー、ちょっと私にはわからないわ」
「そう……」
傘さん落ち込んじゃった。
小さい弱い女の子?
そんな子ここに居たかなぁ?
スーさんの毒に耐えられるなら、とっても強いはずだし。
試しにこんど探してみようかな。
「弱い女の子だったら、わちきでも驚かせると思ったのになぁ」
「残念だったね傘さん」
「そうだ! うらめしや~」
「え?」
傘さんが突然私にあっかんべーをしてきた。
なんでだろ?
何か怒らせるような事したかな私?
それとも、これが最近流行りの挨拶なのかな。
そうだとしたら汚いなぁ。
傘さんの口から涎がボトボト垂れている。
私がしかめっ面で傘さんの顔をじっと見つめたら、悲しそうな顔をしちゃった。
でも私はこんな挨拶やりたくないよ、スーさん。
「わちき、怖くない……?」
「え? あっ……。う、うわー凄い怖いよー。怖いよね、スーさん?」
「本当に? 良かったぁ」
私の事をビックリさせたかったのねこの人。
傘さんのそれ全然怖くない。
むしろおどけた子供みたいで可愛い。
だけど、ここは相手を傷つけないために、怖いフリをしなくちゃね。
それとも今の人達はこの程度で驚くのかなぁ?
そうだとしたら、私一人でもケチョンケチョンに出来そうね。
「ところで、傘さんはなんて妖怪なの?」
「私? あ、間違えた。わちきは付喪神の小傘だよ」
私が尋ねると、傘さんは胸を張って答えた。
急に慌てて訂正したけど、何を間違えたんだろ?
「私」であってると思うのに。
いや、そんな事よりも、
「付喪神? 貴方も道具から生まれたの?」
「そうだよ、わちきを捨てた人間達に復讐するために生まれてきたんだよ!」
「小傘さんも捨てられたの?」
やったよスーさん!
小傘さんも私と同じ、辛い境遇だったなんて。
これは神様からのプレゼントだわ!
頑張った私にご褒美をくれたのよ。
絶対仲間になってくれるわ小傘さん。
これで人形解放に一歩前進ね!
「小傘さん、私の仲間になってよ!」
「仲間って何?」
私は小傘さんにいろいろと話した。
自分の事、人形解放の事、そして人間達に恨みがある事。
小傘さんは目を輝かせて、私の話を聞いてくれた。
やっぱりこの子は仲間だ。私と同じ意志を持っている!
「――ってわけよ。私と小傘さんで組めば、人形解放、幻想郷びっくり計画。いいえ、世界征服も夢ではないわ! ね、スーさん」
「凄いよメディスン、私達なら幻想郷を支配するのも夢じゃないよ!」
「出来るよ小傘さん、私達なら世界も狙えるよ!」
興奮した小傘さんが「わちき」から「私」に変わったのは、敢えて突っ込まないことにした。
そんな事よりも、仲間が出来た。
永琳さん達とはまた違う。
野望に向かう同士が出来た!
「うう、メディスンにあえて良かったよ。今まで私の事を褒めてくれる人なんて、一人も居なかったんだもん」
「泣かないで小傘さん。例え他のみんなが貶しても、私達だけは貴方の味方だよ。ね、スーさん」
閻魔さまが、口煩く言ってた事が今ならわかる。
小傘さんの境遇が分かる今なら。
相手の痛みが分かる今なら!
世界征服どころか、月まで支配できる気がする。
小傘さんの不気味で歪な傘も、なんだか可愛く見えて来たよ。
まぁ、とりあえず。
今こそ、人形解放のとき!
「じゃあ行くわよ小傘さん、スーさん。まずはあの憎っくき博麗霊夢を討伐するわよ!」
「あ、ちょっと待ってメディスン。あっちにフィーバーがいるよ?」
フィーバー? なにそれ……?
「初めまして皆さん、衣玖です」
無名の丘にて。
人形と傘と魚。
「えーと、羽衣さんだっけ?」
「羽衣じゃなくて衣玖です」
今年のスーさんはやっぱり強くなかったのかな?
ピンピンしてるよこの人。
フィーバーとか古臭いポーズを平然と決めてるよ。
「ねぇ衣玖さん? なんで貴方はここの毒が平気なの?」
「私は空気を読めますからね。安心してください、低俗な毒なら簡単に吹き飛ばす事が出来るのですよ」
眩しい笑顔で衣玖さんが答えてくれたけど、意味がよくわからないや。
うーん、低俗って言われたのは少し癪だけど。
空気を読むって凄そうな力ね。
何とか仲間にしたいけど、この人無駄に元気だから恩が売れないなぁ。
とりあえず、この風で無駄にヒラヒラしてる服を褒めてみようかな。
「その衣玖さんの羽衣素敵です。スーさんもそう思うよね」
「美しいのは当然です。なんたって私は竜宮の使いですからね」
「……」
「もっと眺めてもいいんですよ?」
なんだろう、この人凄いやり難そう。
「ところでそちらの傘を持ってる方」
私が唖然としていると、衣玖さんが今度は小傘さんに話しかけた。
フレンドリーなのかなこの人。
「何? もしかして、私が怖いの衣玖さん!?」
小傘さんのその自信はどこから出てくるんだろう。
「いえ、毛ほども怖くないです」
「う、うらめしや~」
「その傘、実に残念なデザインですね。お近づきの印に、もっとセンスの良い傘を差し上げましょうか?」
「うぅ、この人ひどい……」
衣玖さんまったく空気読めない。
そこはデザイン褒めようよ。
怖がってあげようよ。
可愛そうに、小傘さん落ち込んで座り込んじゃったじゃない。
でも、竜宮の使いって確かあの竜神様の手下だよね。
仲間に出来たら、絶対に有利よ。
しかし自分でいうのもあれだけど、なんでこんなヘンピな所に来たんだろうこの人?
ちょっと衣玖さんに聞いて見ようかな。
「あ、私がここに来た理由はですね」
「自分から喋りだしちゃったよ衣玖さん……」
「何か問題でもありましたかメディさん?」
メディさん……。
もう、いいや。
「いえ、話したければどうぞ」
「では遠慮なく。実は、天子さまに――」
しばらくの間、衣玖さんのクドクドしたドス黒い愚痴を聞くと。
ようは天子って言う人のパシリにされたらしい。
イタズラに使いたいから毒を持ってこいと。
しかし、三十分も話を続けるとは思わなかったわ。
睡魔に何回に襲われ瞼が落ちそうになった事か。
「私の話、聞いてますかメディさん?」
「あ、うん聞いてるよ」
だけど、この恨みは利用できそうね。
この人を仲間に出来れば、あの天界を征服出来るかもしれない。
そうすれば、人形解放にまた一歩近づくわ!
「ねぇ衣玖さん、貴方も私達の仲間にならない? その天子って人をやっつけられるかもしれないよ!」
「えぇ、このさでずむな人を仲間にするの?」
私が衣玖さんを誘うと、小傘さんがこの世の終わりのような顔をし出した。
けど、衣玖って人は仲間にしておいて損は無いわ。
服装が派手な人は強そうだしね。
私の誘いに、衣玖さんは腕を組み悩んでくれた。
「ふむ、天子さまをボッコボコのスクラップにする計画ですか」
「いや、そこまでは言ってないけど」
「いいですよメディさん。ただし、私は影の裏方として手伝わせていただきます。バレたら色々と不味いので」
すっと衣玖さんから、握手を求められた。
友好の証なんだろうけど、触りたくないなぁ。
衣玖さんの手、ピカピカ光ってるだもん。
行為は嬉しいけど、なんか危なそうなので触るのはやめておこう。
あ、馬鹿小傘、近づいちゃ駄目だって!
「あべべべべべべべべベベベ!!!」
「あ、すいません小傘さん。嬉しさのあまりつい雷雲棘魚をしてしまいました」
「うわーん、私もうこの人やだー! さでずむだよー!」
閻魔さまが、うっとおしく言っていた事が今ならわかる気がする。
衣玖さんの境遇はあまり分からないけど。
小傘の痛みが分かる今なら!
世界征服どころか、宇宙まで支配できる気がする。
今なら衣玖さんの馴れ馴れしい態度も可愛く見えるよ。
まぁ、とりあえず。
今こそ! 人形解放のとき!
「じゃあ行くわよ小傘さん、衣玖さん、スーさん。まずはあの腋巫女を倒すわよ!」
「あ、ちょっと待ってくださいメディさん。あっちに気色悪い帽子が落ちてますよ?」
えぇ、そんな帽子見たくなかったよ……。
「あーうー、体が痺れる……」
無名の丘にて。
人形と傘と魚と蛙。
よかった、やっぱり今年のスーさんは強いよ。
あの衣玖って人がおかしかっただけだよ。
ペチャクチャとみんなで喋ってても、勝手に獲物が落ちてくるよ。
もう、この人を助ける義理なんかないけど。
今のうちに恩を売っておけば、たぶん人形解放に役立つわ。
やっぱり、仲間集めが最優先。
それにエイリアンみたいな帽子を被っていて、強そうだしね。
「大丈夫? えーとギョロ目の帽子さん?」
「助かったよぉ。私の名前は諏訪子。ちょいと神をやってるんだ」
神なのこの人?
やったよ、スーさん!
この人を私の配下に加えられたら、もう怖いものなんてない。
幻想郷最強も夢じゃないよ。
「ここの毒が祟りの参考になるかと思ったら。逆にやられちゃったよ。参ったね」
祟り?
この人少し怖いかも。
でも、ここは逃げちゃ駄目よ。
逃げたら、この世界にいる56億の人形達が悲しむわ。
まずは、相手を褒めて暖かい友好関係を築くのよ。
「諏訪子さんの帽子、凄い素敵なセンスしてます。ね、スーさん」
「本当に? この帽子の素晴らしさがわかるなんてメディスンは見所あるよ」
やった、神様喜んでくれた。
私に抱きつくくらい、嬉しがるとは思わなかったけど。
まぁ、これで野望に一歩近づいたわね。
「そうですか? 私には帽子のお化けにしか見えませんが」
衣玖さんは黙ってて。
空気読んで!
「そっちの傘の子は小傘ちゃん? 早苗から聞いたけど……」
諏訪子さんが小傘さんに話しかけてる。
知り合いだったのかなこの人達?
小傘さんもキラキラした目で諏訪子さんの事見てるけど。
「なになに? もしかして私の事が怖いの諏訪子さん!?」
「それはないなぁ。やっぱり趣味の悪い傘だねと思ってね」
「うぅ、またさでずむが増えた……」
やめて諏訪子さん!
もう小傘さん虐めないであげて。
イジケテ寝込んじゃったじゃないの。
泣きそうだからこの子。
もっと小傘さんに愛情をあげてよみんな。
それに、諏訪子さんが趣味悪いとか言っちゃ駄目だよ。
貴方達の帽子と小傘さんの傘を融合させたら暗黒魔人でも生まれるよきっと。
ってそんな事を考えてる場合じゃないわね。
「諏訪子さん。私達の仲間になってよ」
「仲間? んー、いいけど何するの」
「あの憎き博麗霊夢を倒すのよ、この私達で!」
あ、でも諏訪子さんって神様なんだっけ。
じゃあ、人間の敵にはならないかなぁ。
「いいよ、私も手伝ってあげるよ」
あれ、あっさりと成功したわね。
「本当に諏訪子さん?」
「うん。あいつを倒したら、守矢神社の一人勝ちだからね」
やった!
夢のようだよスーさん。
もう、これで何も怖いものなんてない!
あ、怖いものあった。
諏訪子さんの手がなんかドス黒い。
綺麗な顔で握手を求められたけど、なんか触ったら呪われそう。
あ、だから小傘さんなんでまた握手しようとしてるのよ。
さっき衣玖さんと握手して痺れてたじゃないの。
学習しなって!
「うぅ、また気分が、悪くなって来た……」
「ああ、ごめん小傘。つい楽しくなって呪いが漏れちゃったみたい」
「もぅ、私この人達、やだー……」
閻魔さまが、うだうだと言っていた事が今ならわかる気がする。
諏訪子さんの境遇がやっぱり分からないけど。
小傘の苦しみが分かる今なら!
世界征服どころか、あの世だって支配できる気がする。
いまなら諏訪子さんの真っ黒なオーラが、眩しく見える……ごめんこれは嘘。
「小傘さん元気だしてください。私の胸の中で、泣いてもいいんですよ?」
あれ、衣玖さん地面でヘタレてる小傘さんに手を差し伸べてる。
なんだかんだ言って、優しいんだねあの人。
「うぅ、ありがとう衣玖さん。……あべべべべっべべべべ!」
「あ、すいません小傘さん。つい電気が漏れちゃいました」
……まぁ、とりあえず。
今こそ! 人形解放のとき!
「じゃあ行くわよ小傘さん、衣玖さん、諏訪子さん、スーさん。まずはあの腋女を倒すわよ!」
「あ、ちょっと待ってメディスン。あっちバイオリンが落ちてるよ?」
うえぇぇぇ、またなの……。
「うぅ、リリカに騙された……」
無名の丘にて。
人形と傘と魚と蛙とバイオリン。
もういいよ、スーさんが強いのはわかったよ。
正直これ以上獲物はいらないから。
うーん、この人を助ける義理なんかないけど。
でも、今のうちに恩を売っておけば、人形解放に役立……かもしれない。
仲間集めが最優先って閻魔さまのお告げねこれは。
それに糸目の人は、強いらしいからね。
「大丈夫ですか? えーと、ルナサさんだっけ?」
「うん、ありがとうメディスン。本当に助かったよ」
この人は、確かプリズムリバーのリーダーね。
演奏家でファンも大勢いるらしい。
かなりの戦力になるわ。多分。
「ねぇルナサさん、私達の仲間になってよ!」
「ん、いいよ。助けてもらったしね。その変わり、リリカのお仕置き手伝ってくれる?」
「もちろんいいよ」
ルナサさんもあっさり仲間になったわ、やったよスーさん。
これで、幻想郷ナンバーワンも夢じゃないわ!
ところで、
「リリカさんに騙されたって、何されたの?」
「ああ、ここでメルランが人生に疲れて大暴れしている、って聞いてね。私が止めなきゃいけないと思って」
苦労してそうだなぁルナサさん。
騙されやすい性格してそうだし。
ん? 小傘さんがルナサさんに向かって、またあっかんべ~してる。
服もボロボロで、今にも意識がバイバイしそうなのに無茶しちゃって小傘さん。
どうせ怖くないんだから、やめればいいのに。
「う、うらめしや~」
「可愛らしい子だね。傘も前衛的なデザインだ」
「う、うらめしや~」
「何がしたいのこの子は?」
前衛的って褒めてるのかなぁ。どう思う、スーさん?
あと、小傘さん急に「うらめしや~」しか言わなくなったけど、どうしたの?
ルナサさん凄い困ってるからやめてあげなよ。
「ねぇルナサ、私の帽子はどう? 可愛いでしょ」
諏訪子さんも調子に乗って、帽子をルナサさんに自慢しだしたよ。
可愛くないよその目玉。
「ん、とても芸術的なファッションだと思うよ。諏訪子さんの帽子」
「あなた良い人だねぇ。今度呪いたい奴が居たら私がヤッてあげるよ!」
芸術的って褒めてるのかなぁ?
というか、諏訪子さんが本当に怖いよスーさん。
何をヤルのか教えて欲しいよ。
聞きたくないけど。
あれ、こんなときに衣玖さんも「私の羽衣はナンバーワン!」って言ってきそうだけど。
なにしてるのかな。
と思ったら既にルナサさんと何か話してる。
抜け目無いなぁ衣玖さん。
「ルナサさんは楽団の方ですよね? メルランさんの姉の」
「ん、そうだよ。えーと確か貴方は幻想郷の破壊神だっけ?」
「違います、衣玖です。ぜひ聞かせて欲しいですね。貴方の演奏を」
「いいよ、助けて貰ったお礼に一曲弾かせてもらうよ」
あ、ちょっと衣玖さん余計な事しないで。
もー! 空気読んで衣玖さん。
演奏なんかさせちゃ駄目だよ。
確かその人の能力は欝を……!
☆ ☆ ☆
「――はい、これで演奏終了。どうだった?」
「素晴らしかったですルナサさん。私も自慢の水得が止まりませんでしたよ」
「私の演奏中ずっとキュピンキュピンしてたものね衣玖さん。ちょっと五月蝿かった」
「もう一曲お願いできますか?」
「うーん、リリカのお仕置き手伝ってくれる?」
「良いですよ、任せてください。わがまま娘には、慣れてますから」
なんで衣玖さん平然と笑えるんだろ?
私はモロに鬱の波動を受けたのに……。
閻魔さまが、グチグチと言っていた事がどうでもよくなった……。
みんなの境遇なんか知らないもん。
諏訪子さんなんて、あっちで埋まって寝ちゃったし。
帽子の目がこっち向いてて死ぬほど怖いよ。
世界征服どころか、この無名の丘すら支配出来無そう。
もう疲れたよ、スーさん。
人形解放なんて無理だよ……。
もうどうでもいいや、一緒に寝ようスーさん……。
「なんか元気ないねぁメディスン。さっきまでのやる気はどこ言ったのさ」
元気付けるように、私の肩がポンッと叩かれる。
このハツラツとした声は小傘さん?
なんで、この状況で笑っていられるの?
「ねぇ、小傘さんは何でそんなに前向きなの? 貴方じゃ一生驚かすなんて無理よ」
「何言ってるのさメディスン。どうせ一度は捨てられた人生。こうやって妖怪になれた事が奇跡だよ。だったら今度は当たって砕けるしかないでしょ!」
グっとガッツポーズをする小傘さん。
その健気な姿はとてもじゃないけど妖怪には見えないよ。
さっきまで傘貶されて死んでた癖に。
「だからさメディスン。私達で頑張ろうよ」
小傘さんが私を助けるように手を伸ばす。
この中で一番弱い癖に、前向きだなぁ小傘さん。
自分に出来ない事は何も無いって感じだよ。
でもね、
「能天気な小傘さんを見てたら、なんだかどうでもよくなっちゃったよ」
電気も呪いも付いてない、泥まみれで細くてなんとも頼りない手だったけど、今度はちゃんと握れそうだ。
閻魔さまの説教は結局よくわからなかったよ。
小傘さんの境遇もまだわからないし。
相手の痛みはこれからゆっくり知ればいいや。
世界征服は無理そうだけど、前に進むくらいなら出来そうだ。
小傘さんの華奢な体も、頼もしく見えて来たよ。
まぁ、とりあえず。
人形解放はまた今度ね、スーさん。
まずはみんなで、天子さんとリリカさんにお礼参りに行こうね。
絶対に行こうね、絶対にね!
「本当はまた悪口言われそうだから、耳栓してただけなんだけどね。メディスンが元気になったならそれでいいや」
「何か言った小傘さん?」
「なんでもないよ。うらめしや~」
リリカ、今すぐ逃げるんだ!!さもないと雷落とされた挙げ句、毒をくらって呪われて、最終的には鬱にされて引きこもり地獄だぞ!
……小傘って何が出来るんだろう? ま、可愛いからいいかw
>6さん
小傘ちゃんは可愛いだけで充分です!
>ぺ・四潤さん
誤字報告本当にありがとうございます。
修正させていただきました。
このメンバーで暴れる話はやってみたいですね
これに三人娘とプリバとExとさとレミを入れたら自分的に好きなメンバーだらけに……。
天子へのお礼参りはやめといた方が・・・
なんて言うか、その、 喜びそうだし(-_-;)
小傘ちゃんのダメダメっぷりが可愛すぎてもう。連れて帰って頭なでなでしてあげたい。
なんか大きな蕪を引っこ抜く話みたいになってきて、この後の展開がどうなるか見てみたい。
天子ちゃんもきっと寂しがりやさんなんですよっ。
>13さん
ありがとうございます、可愛くかけたようでよかったです。
あれ、おかしいな、俺、別にSッ気なんて無い筈なのに……小傘ー!!
とりあえず衣玖さんマジパネェ、とだけ言っておきます。
……これだけ見ると超弱そうだw