Coolier - 新生・東方創想話

秋穣子よ。永遠に

2010/03/18 06:14:45
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「穣子。りんご食べる? むいてあげるわよ」

静葉は布団の中の穣子に話しかけた。

「……ありがとう姉さん。……でも今はいいよ。何も食べたくないから……」

穣子は弱々しい声で姉にそう伝えると、ふうと辛そうなため息を吐く。
外からは柔らかい日差しが注ぎ込んでいる。幻想郷は間もなく冬があけようとしていた。
 
 穣子が自分の体がおかしいと気づいたのはつい数日前の事だ。
はじめは少し気怠いくらいの単なる違和感だったので気にしないでいた。しかしそれはすぐに疲労感へと発展し、やがて立ち上がる事が出来ないほど全身に力が入らなくなり、ついには寝込んでしまったのだ。

そうでなくとも冬は彼女の具合は悪くなりがちだ。とは言ってもそれは主に精神面の話であり、身体的にはさほど影響はないはずだった。
そもそも神様である彼女が体調を悪くすると言う事自体今までなかった事なのだ。

穣子も大変だったが同時に静葉も大変だった。いつもだったら彼女が具合悪いのなんて冬のせいだからさほど気にする必要なかったのだが、今回は違う。
なんせ原因不明だし、いつもと症状が違うという事で軽視出来なかったのである。

静葉は困ってしまった。解決方法がまるで見当もつかない。だからと言って具合の悪い彼女を置いて情報集めに出かけるわけにもいかない。分身を使うという方法もあったが、実は彼女は分身があまり得意ではない。それに冬のせいで力が落ちてしまっている今は、本体同士が離れ過ぎると制御出来なくなってしまうのだ。

幸い偶然家に訪ねて来たにとりが、代わりに手がかりを集めてくれるとは言ってくれたものの、正直期待は薄い。にとりは神様の事に関してはそれほど明るくはないのだ。彼女からすればまさに雲を掴むような話に違いないだろう。

静葉はせめて穣子を少しでも楽にしてやろうとつきっきりで看病をしていた。
彼女はりんごやみかんなどを穣子に食べさせてやっていた。しかし、はじめのうちこそは食欲もある程度あったものの、徐々に食は細くなっていき、今やほとんど何も口にしなくなってしまった。穣子曰く、食べるとお腹の中で暴れる感じなのだという。

神様だから元々それほど積極的に食物を取り込む必要はない、しかし穣子は食べるという行為に喜びを見出していた。それだけに体の中で暴れる、すなわち拒絶反応を示すと言う事はやはり何かの異常が起きているのだ。
いったい彼女の身に何が起きたというのか。
静葉は為す術なく彼女の様子を見ている事しか出来ずにいた。

 そんなある日、雛がやってきた。

「にとりが、みのりんの具合悪いって言うから来てみたんですけど……」
「あら、わざわざありがとう」

彼女はお見舞いに紙袋いっぱいの高級サツマイモ『鳴門金時里むすめ』を持ってきてくれた。穣子のために特別に取り寄せたのだという。

「それで、みのりんの具合は……」
「うーん。正直言って、あまり大丈夫とは言える状況じゃないわ。今は寝ているけど……」

思わず静葉はため息を漏らす。
そんな彼女の様子を見て雛も表情を曇らせた。

「あの……ちょっと覗いてもいいですか?」
「ええ、いいわよ。あなたが来たってわかれば穣子もきっと喜ぶと思うし」
「それじゃ、失礼します……」

雛は穣子の枕元へとやってきた。穣子はすうすうと寝息を立てている。寝息こそ静かだったが、その表情はどことなく苦しそうだった。
雛はそっと穣子に顔を近づけると、彼女の耳元で囁くように告げる。

「……みのりん。お見舞いに来たよ。おみやげにみのりんの好きな『里むすめ』も持ってきたよ。早く良くなってね。そして治ったら一緒にお出かけしようね」

すると穣子は「うぅん」という呻きとも返事ともつかない声を漏らす。
それを聞いた雛はやるせないような笑みを思わず浮かべた。

そのとき、辺りが急に甘い香りに包まれている事に彼女は気づく。
匂いがする方を見ると静葉が雛の持ってきた芋を囲炉裏で焼き始めていた。

「雛。少しこっちで休みましょう。穣子を起すと悪いし」

いつの間にかお茶を用意し終えた静葉が彼女を手招く。

「あ、はい。それじゃお言葉に甘えて……」

雛は寝ている穣子を一瞬だけ見やると、静葉のいる方へと身を移した。

「はい、お茶よ」
「ありがとうございます」

雛は頭を下げて湯のみを受け取ると口をつけ、一息をつく。

「あなたが持ってきた芋を早速焼いてみたのよ。あの子は焼き芋の香りが好きだから」

そう言って静葉は串に刺した芋をさっとひっくり返した。すると漂っていた甘い香りが更に強くなる。きっと寝ている穣子にもこの香りは届いている事だろう。

雛はこの焼き芋の香りが好きだった。彼女にとってこれは穣子の匂いそのものなのだ。
というのも彼女は秋になると甘い香りを漂わせる。それはきのこの香りだったりフルーツの香りだったりするが、近年は特に焼き芋の香りを漂わせる事が多くなっていた。故に雛の中では焼き芋の香りイコール穣子の香りだったのだ。

「……ねえ、雛。神様がかかる病気とか聞いた事あるかしら?」
「え……?」

不意に静葉が雛に質問すると彼女は我に帰ったような素振りを見せる。彼女は焼き芋の香りに気をとられていたので気づかなかったのだ。すかさず静葉は質問を繰り返す。

「神様がかかる病気よ」

静葉の問いに雛は少し間をおいて答えた。

「うーん……ちょっと聞いた事ないです」
「そう……同じ神様のあなたなら何か知ってるかもしれないと思ったんだけど……」

静葉はお茶を飲むとふうと息をつく。あるいはため息だったのかもしれない。

「お役に立てなくてごめんなさい」

と、雛が謝ると静葉は笑顔で返した。

「何を言ってるの。見舞いに来てくれただけでも十分ありがたいわ。きっと穣子も喜んでるはずよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです。でも出来れば起きている時に来てあげたかったけど……」

そう言いながら雛は苦笑いを浮かべていたが、突然何かに気がついたように表情を変える。

「そうだ! 山の神様ならもしかしたら何か知っているかもしれない!」

彼女の言葉を聞いた静葉は思い出したかのように手をぽんっと叩く。

「って言うと、前に外から来たという神様の事ね?」
「はい、私も宴会でたまに見かける程度だけど確か御神霊様だったはず。私たちよりは格が上だからあるいは……」
「……なるほど、それは尋ねてみる価値はありそうだわ」

山の神、言うまでもなく八坂神奈子と洩矢諏訪子の事である。

「確か、外の人間と一緒に引越してきたって話だったわね……」

そう言いながら静葉は古い文々。新聞を持ち出して雛に見せる。
その新聞には山のてっぺんに新しい神社が建ち、外の世界から二柱の神様がやってきた事を知らせる記事が載せられていた。

「ええと、この東風谷早苗ってのが神様なのかしら?」

そう言いながら静葉は新聞の記事を指で追っている。

「いえ、それは確か人間だったはず……一応は」
「……ふーん。と、言う事は、この八坂神奈子と洩矢諏訪子が神様なのね」

静葉は雛の「一応は」と言う言葉が少し気になったが、それはひとまず置いておく事にした。今重要なのはこの早苗とかいう者の事ではなく外から来たという二柱の事だったからだ。

「なるほどね。……いったいどんな神様なのかしら」
「確か、神奈子っていうのが山の神様で諏訪子は土着神の頂点とか……」

と、その時だ。静葉はうめき声のようなものが聞こえてきた事に気づき、思わず振り向く。その視線の先では穣子が苦しそうにうなっていた。

「穣子!?」

二人はすぐ彼女の元へ駆け寄る。

「みのりん! しっかりして!」

雛は泣きそうな表情で穣子の手を握りしめる。
彼女の手は驚くほど冷たかった。

「ちょっと、何よこれ……なんでみのりんの手、こんなに冷たいのっ!?」

穣子の様子が尋常じゃない事を悟った静葉がすっと立ち上がる。

「雛、私これからすぐ山の神様のところへ行ってくるわ。あなたは穣子のそばにいてやってて頂戴」

雛は静葉の方を向き大きく頷くと両手で穣子の手をぎゅっと握った。

「みのりん……しっかりして」

彼女は依然として悲痛なうめき声を上げ続けている。
意識があるのかどうかもわからない状況だ。

「……穣子。くたばるんじゃないわよ」

そう言い残すと静葉は急いで家をあとにした。


 この妖怪の山の頂上は岩肌が露出した無骨な姿をしている。その岩山の間をぬうように神社の鳥居はあった。
流石に山の頂上はまだ寒風が強い。静葉は階段を上り境内へと足を踏み入れる。
すると緑の髪の巫女らしき少女が静葉を迎えてくれた。
静葉が自分の事を名乗り用件を言うと、その少女は驚いた様子で中へと案内してくれた。

案内された本殿の中では紫色の髪で赤い服を纏った神様があぐらをかいて寛いでいた。彼女は静葉を笑顔で迎えてくれた。

「やあ、紅葉の神様。我が守矢神社へようこそ。私がこの神社の主の八坂神奈子よ」
「へえ、あなたがそうなのね。山の神様なんて聞いてたからもっとごっつい奴なのかと思ってたけど」

それを聞いた神奈子はからからと笑う。

「その気になりゃもっと威厳のある姿にもなれるんだけどね。やりすぎると誰も近寄って来なくなっちゃうのよ。あんただってそれは同じでしょう?」
「それは言えてるわね」

と、静葉はニヤリと笑った。
その時、先ほどの緑色の髪の少女がお茶を持って姿を現す。

「お二方とも、お茶が用意できましたのでどうぞ」
「ありがとう。早苗」

そう言って神奈子は彼女からお茶を受け取るとずずっと啜った。なるほど。彼女が雛の言っていた「一応人間」の早苗らしい。確かに普通の人間とは違う物を彼女は持っているようだ。彼女は見たところ巫女らしいので、恐らくはそれに付随した能力辺りなのだろう。

「さて……」

湯呑みから口を離した神奈子が急に顔つきを変える。

「今日は何しに来たんだい? こんなどうでもいい話をしに寒い中わざわざ来たって訳じゃないんだろう?」
「そうね。実は……」

静葉は事の顛末を神奈子に説明する。

「なるほどね……大体理解したわ」

話を聞き終えた彼女は腕組みをして頷いた。

「神様がかかる病気か……うん、聞いた事は……あるね」

その言葉にすかさず静葉が反応する。

「本当? それはいったいどんなものなのかしら?」
「いや、残念ながら私も詳しい事まではわからないよ。何しろ噂でしか聞いた事がないからね」
「でも、存在する事は間違いないのね」
「ああ、それは間違いない……すまないね。大した力になってやれなくて……」

それっきり神奈子はううむと唸り声を上げて黙ってしまった。
その時、それまで彼女の傍いた早苗が口を開く。

「あの、諏訪子様なら何か知っているのではないでしょうか……?」

早苗の言葉に神奈子は手をぽんと叩いて頷く。

「おお、そうだね。諏訪子の奴ならきっと知ってるだろう。何しろあいつは色んな神様を従えてたからね」
「そう、なら是非会わせて欲しいわ」

静葉の言葉に神奈子は大きく頷く。

「ん、わかった。早苗。ちょっと諏訪子の奴を呼んできてくれないか?」

しかし神奈子の言葉を聞いた早苗が表情を曇らせる。

「それが……諏訪子様は今日はまだ起きて来られてないようなんです」
「なんだい、またあいつは眠りこけてるのかい。まったく、しようのない奴だねぇ……」

そう言って神奈子はやれやれとため息をはく。

「申し訳ないね。あいつは冬になると布団にこもりがちになっちゃうもんでね」
「……出来れば無理矢理でも会わせてもらいたいわ。こっちは一刻を争うかもしれないの」

彼女の真剣そうな様子を見た神奈子は早苗に目で合図を送る。すると早苗は思わず戸惑ったようなまなざしを返す。それを見て神奈子がすかさず言葉を付け加えた。

「大丈夫。私からの命令だと言えばきっと言う事聞くはずよ」
「わかりました」

そう言うと早苗は立ち上がって奥の方へと姿を消した。
それを確認すると神奈子は湯のみを口に近づけ茶をすする。そして一息いれるとポツリと呟いた。

「……初対面でどうしてこんなに協力的なのかって疑問に思ってるんじゃないかい?」

静葉は湯のみを両手でつかんだ状態でこくりと頷く。

「……そうね。何か裏があるんじゃないかって思わず勘ぐってしまうわ」

彼女の言葉を聞いた神奈子はふふっと鼻で笑うと静かに語りだした。

「……昔ねぇ。まだ早苗が幼い頃、あの子が夜中に突然原因不明の高熱を出した事があってね。あの時は私も諏訪子もさぞ慌てたものさ。すぐに医者を呼んだものの、なんせ場所が山の中だし医者が来る間、あの子が苦しむのをずっと見てなくちゃいけなかったわけだ。私があの子にしてあげられる事なんて汗を拭くか、言葉をかけてやるくらいしか出来なかったからね。神様なんて言ったって全知全能ってわけじゃない。そりゃ歯がゆかったよ」

神奈子の話を聞いていた静葉は黙ったままお茶をすすった。

「……だから今のおまえさんの気持ちがよくわかるのさ。さぞ心配だろう。妹が原因不明の病に苦しんでるなんてね……」

その時、奥から早苗が困ったような顔をして帰ってくる。

「お、すまないね。で、あいつはどうした?」
「それが……寒いから布団を出たくないって……あと、神奈子様に伝言で『何で私があんたの命令聞かなくちゃいけないの!』だそうです」

それを聞いた神奈子は思わず額に手を当てて溜息をつく。

「まったく、あいつは子供じゃないんだから……仕方ない、じゃ私が直々に……」

と言って彼女が立ち上がろうとした時、静葉が口を開いた。

「待って。だったら私が彼女のところに行くわ。その方が手っ取り早いもの」

神奈子は再び腰を下ろすと早苗に告げた。

「よし早苗、彼女をあいつの部屋に案内してやってくれ」
「わかりました」

早苗の案内で静葉は諏訪子の部屋の前にやってきた。その部屋の扉にはカエルの絵が描かれていて、平仮名で「すわこのへや」と書かれていた。
早苗はその扉を叩いて中の諏訪子に告げる。

「お客様がどうしても諏訪子様とお話したいって言うので、中に入れてやってもいいでしょうか?」

少し間を置いて、中から返事が聞こえた。

「う~。わかったよ。入っていいよー」

早速静葉は中に入る。そしてその部屋の中の様子を見て思わず声を漏らした。

「何これ……」

彼女が驚いたのも無理はない。なにしろ部屋の中は一面カエルグッズで埋め尽くされていたのだ。部屋の壁面はカエルを思わせる緑色の柄で、床にはカエル模様のカーペットが敷かれていた。そして壁にかけてある時計もカエル型。更にはベッドにもカエルの装飾がされていて、その布団もカエル柄。極めつけは部屋のあちこちには様々な種類のカエルのぬいぐるみが転がっている。どこを見てもカエルだらけ。まさにカエルの館だった。

そして、もぞもぞと布団から顔を出した部屋の主を見て静葉が言う。

「……やっぱりあなただったのね。カエルの神様さん」

静葉は実は彼女とは会った事があった。しかし、静葉は彼女が神様だと言う事は知っていたものの、せいぜいカエルの神様くらいにしか思っていなかったのだ。それは主に諏訪子が力を隠していたせいであったが。

「えへへー。バレちゃったか。いや、別に正体を隠してたわけじゃないんだけどね。」

そう言うと彼女はぴょこんとベッドから飛び降りる。

「で、話って何?」

静葉が諏訪子に事情を説明すると、彼女は「あーなるほどね」と言いながら頷く。

「あなたならきっと何か知ってるって話を聞いたんだけど……」
「うん。知ってるよ。病気というかむしろ適応と言うのかな? それは……」

静葉は彼女の言葉に怪訝そうな表情を見せる。

「……適応?」
「あなたの妹さんって、確か豊穣の神様だったよね?」
「ええ、そうよ」
「と言う事は当然人間と親しいよね?」
「ええ、そうね。冬以外はよく里へ行ってるわ」
「あー。やっぱりそうかー。じゃ、それが原因だね」
「……え? どういう事?」
「神様と人間は、ある程度距離を取っていなくてはいけないの。それがどんなに人間に身近な存在の神様であろうとね。距離が近過ぎると、神様としての力を失い人間になってしまうんだよ」
「……なんとかする方法はないの?」
「あるよ。彼女を浄化すればいいの」
「浄化?」
「ようするに彼女を形成する要素を全てまっさらな状態にするって事」
「それって……記憶も何もかも消えてしまうと言う事?」
「そうだね。せいぜい豊穣の神様で、あなたの妹という事くらいしか覚えてないと思うよ」

諏訪子の言葉に静葉は思わず言葉を失う。

「まーそういう状態になった神様ってのも昔は結構いたんだよ。人の神様に対する信仰が薄れてしまった今でこそ珍しいけどさ」
「……それでその神様たちはどうなったの?」
「そのまま人間になった奴もいれば、神様としてやり直した奴もいる。人間になる道を選んだ奴のほとんどは人と恋愛関係になってしまったとかなんだけどね……」
「……つまり、話をまとめると、まっさらな状態にするか、人間として生きるか、その二つしか選べないって事かしら?」
「そうだよ」

諏訪子は平然と応える。

「……そんな」

思わず静葉はがくりと首をうなだれる。その表情には珍しく焦りの色が出ていた。

「ともかく。いずれにせよ一度本人に意思確認する必要があると思うよ? それでもし、リセットして欲しいって言うなら、その時は私が処置してあげるからさ」
「……そうね。……ありがとう」

力なくつぶやくと静葉は立ち上がって部屋を出ようとする。そして「お邪魔したわね」と一言残して去ろうとした所を諏訪子が呼び止めた。

「……待って! その、まぁ、辛いかもしれないけど、妹さんの事を本当に思ってるなら……ね?」

静葉は微笑を浮かべ諏訪子に向かって小さく頷くとそのまま部屋を出る。
しかし部屋を出た彼女は、すぐに表情を曇らせるとポツリと漏らした。

「……どうしたらいいってのよ」

いつも冷静な彼女だったがこの時ばかりは流石に動揺していた。
人間になる道を選ぼうと神としてやり直す道を選ぼうと、どちらにしろ、今までの穣子ではなくなってしまうのだ。こんな事があってたまるかと、思わず舌打ちをする。

「……とにかく、今は一旦帰らないといけないわね」

静葉は気を落ち着かせるように一つ深呼吸すると、空へ飛び上がり、帰路に就く。空は既に暗くなりつつあった。


 家の前に着くいた静葉は妙な胸騒ぎを覚える。
と、そのときだ。庭の方から雛が慌てふためいた様子で駆け寄ってきた。

「静葉さんっ!!」
「雛。どうしたの? 何があったの?」
「みのりんが! みのりんがっ!」

彼女は涙をこぼし半ばパニック状態だった。
滅多に取り乱さない彼女がここまで慌てるのを静葉は見た事がない。よほど大事が起きたのだろうか。

「落ち着いて。穣子がどうかしたの?」

雛は気を落ち着かせるように胸に手を置き大きく息を吐く。

「あの、急に目覚めたと思ったら、自分の手を包丁で斬りつけて……」
「……それで?」
「そしたら血が……それを見た途端、大泣きしながら外に……どこにもいないんです」
「……そう。わかったわ。あの子は私が探してくるから、あなたは留守番してなさい」
「え、でも……」
「もしかしたら帰ってくるかもしれないわ。それに私ならあの子の気配を追えるもの」
「……わかりました」

そう言って雛はこくりと頷く。どうやらようやく落ち着きを取り戻しつつあるようだ。

「それじゃ、行ってくるわね」

静葉は内心の焦りを隠し、穣子を探しに向かった。



 自分は一体どこに向かおうとしているのか。今の穣子にはそれすらわからなかった。ただ衝動に任せるまま彼女は一心不乱に走った。すっかり日が暮れた山道は文字通り真っ暗闇状態だった。
それでも穣子は進んだ。何度も転びながらも山道を駆け上がった。ナイフで切りつけた腕からは未だに血が流れている。何度も転んだので腕や足は擦り傷だらけになってしまった。服はもうすっかり埃にまみれ、すり切れてぼろぼろだった。今の彼女は空をとぶ事すらも出来なくなっていたのだ。

彼女は夢を見た。とても気持ちの悪い夢だった。
真っ暗闇の中佇む自分。やがて目の前にもう一人の自分が姿を現す。
そのもう一人の自分は彼女に告げた。

「あなたはもうすぐこの世からいなくなるわ」

穣子がどういう事か問うと、彼女は穣子をあざけるような口調で言い放った。

「なぁに? わからないの? あなたは人間になるの。神様のあなたは消えていなくなるのよ」

言ってるそばから徐々に自分の体が薄くなっている事に彼女は気づく。
その様子をもう一人の彼女は嘲笑を浮かべてながめていた。

「あんたはもうこの世界に用はないって事よ。そんなのも知らないの?」

更に彼女は冷たく言い放つ。

「言っておくけど、たかが八百万の神の末端にいる神であるあんたがいなくなった所でこの世界は何もかわりないのよ? 所詮あんたはその程度の存在なの」

彼女は冷たい嘲笑を浮かべ続けている。
思わず穣子は殴りかかろうとするも体が透けているせいで通り抜けてしまった。
そしてそのまま穣子はバランスを崩して膝をついてしまう。後ろから彼女のあざ笑う声が聞こえている。

「さようなら。秋の神様」

徐々に意識が薄れ、視界が暗くなる。そして何もかもが真っ暗になった瞬間穣子ははっと目を覚ます。

目覚めた彼女はしばらくの間放心状態だった。脇にいた雛の呼び掛けすらも耳に入らなかった。
ふと床におかれている果物ナイフが目に入った。
穣子はそれを手にとるとおもむろに自らの腕を切りつけた。
普通ならこれしきの事でけがをするはずはない。神様なのだから。

しかし、鋭い痛みとともに鮮血が吹き上がる。
傍にいた雛は何が起きたのかわからない様子で唇を震わせていた。その顔は恐ろしいくらいに蒼白していた。
そして穣子は、鋭い痛みと同時に吹き上がる自分の血を見て、気が動転して泣き叫びながら外へと飛び出してしまっていたのだ。

 ふと気がつくと目の前は行き止まりの崖だった。穣子は思わず立ち止まる。その瞬間に彼女はがっくりと跪いてしまう。吹きすさぶ寒風が彼女の体力をごっそり奪っていた。それに加えて腕の痛みや体中の擦り傷も疼いていた。しかし、何よりも人間になってしまったという事実が彼女に大きいダメージを与えていた。
穣子は土まみれの手で頭をかきむしりぼろぼろと涙を零しながらその場にうずくまる。

「穣子……」

自分を呼びかける馴染みの声に穣子は顔をあげる。姉が目の前に佇んでいた。

「こんな所で何をしているの……さあ、帰りましょ」

静葉は穣子に手を差し伸べる。しかし穣子はその手を突っぱねた。

「……だめ。だって私はもう……!!」

首を横にふりなが彼女はしゃくりあげる。静葉は努めて優しく彼女に話しかけた。

「知ってるわよ……その体を見ればわかるわ。でもそんなの関係ないじゃない」
「いやよ! 神様じゃない私なんて……意味ないよ!」

そう吐き捨てると、穣子は力なく立ち上がる。
静葉は彼女を諭すような口調で告げた。

「穣子。何であろうとあなたは私の大事な妹なのよ……? こんな寒い所にいないで一緒に家に帰りましょう。雛も心配してるわよ」

静葉が近づこうとすると彼女は後ずさる。

「穣子。その先は崖よ。落ちたらひとたまりもないわ。だってあなたはもう神様じゃ……」

そこまで言って静葉は、しまった! と思わず口を抑えた。
しかし時既に遅く、穣子は全身を震えさせながら泣き笑いのようなそんな表情を浮かべて崖のすぐ目の前まで後ずさった。

「穣子、どこへいくつもり!? 戻りなさい!」

穣子は姉の制止を無視して更に下がり続け。そしてすっと顔をあげるとその顔は既に涙でぐしゃぐしゃになっていた。

「私は、神様である事だけが誇りだった。他に何も取り柄のない私にとってそれだけが存在意義だったのよ」

静葉は彼女がそんなに自分に対する劣等感を持っていたのかと内心驚くと同時にそれに気づいてやれなかった自分を恨んだ。

「私は神様らしくしようと人間に対して積極的に尽くしてきた、でもその結果がこの有様よ。笑いたきゃ笑えばいいじゃない。馬鹿な妹だってさ」
「……あなたを笑う奴なんて誰もいないわ。いたとしてもそんな奴は私が許さない」

毅然とした姉の言葉を聞いて穣子はふっと笑みを見せる。

「……ありがとう。姉さん」
「さあ、寒いからもう帰るわよ」

と、静葉は再び手をさしのべようとしたが、穣子はその手を掴もうとはしなかった。それどころか再びポロポロと涙をこぼし始める。

「穣子……?」

静葉が尋ねると穣子は泣きじゃくりながらヒステリックな声で叫んだ。

「どうしてこういう時だけ優しいのよ!! ずるいわよ! いつもは私の事なんか放っておいてるくせに!! こんな時ばかり甲斐甲斐しく優しくしてさ! 何よ! どうせ私の具合が悪いからってわざとそうやってるんでしょ? そんな気もないくせに!」
「穣子、何でそんな事を言うの? わざとそんな事言ってまで私に嫌われたいの……?」

珍しく静葉の声は震えていた。穣子はつぶやくように告げた。

「……ごめんなさい。……私は人間としてなんて生きられない。だって私は神様だもの……」

そう言って彼女は両手を横に広げた。

「……さよなら。姉さん」

次の瞬間、穣子は後に倒れるように崖から飛び降り、呆然としている静葉の視界から消え去った。

      ・
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      ・
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 「ねえ、穣子。何であろうとあなたは私の大事な妹なのよ? ……だからこんな寒い所にいないで、一緒に家に帰りましょう。雛も心配してるわよ」

そう言って静葉は変わり果てた姿となり地面に横たわる妹を静かに抱きしめた。

「……家に帰ったら一緒に焼き芋食べましょうね」

静葉がそっと抱き抱えてやると、穣子の腕は力なくだらりとぶら下がる。
返事はなかった。ただ彼女の冷たい感触だけが静葉に伝わっていた。

「ばかだねー。何も死ぬ事ないのに……」

突然聞こえた声に振り返ると、そこには諏訪子の姿があった。

「あなたにこの子の何がわかると言うのかしら。この子を笑う奴はなんぴたりとも許さないわよ。……例えあなたでもね」

そう言い放った瞬間に彼女の周りにどこからともなく紅葉が集まり始める。慌てて諏訪子が止めに入った。

「ちょっと待ってよ。別に私はあなた達を冷やかしに来たんじゃないよ。助けに来たんだよ」
「え?」
「妹さんはまだ生きてるよ」

静葉は思わず穣子の顔を見る。強く閉じられたまぶたは開きそうもない。静葉は穣子の髪をそっと撫でながら諏訪子に尋ねた。

「どういう事?」
「人間としての彼女は死んじゃったけど、神様としての彼女はまだ完全には消えていないって事」
「なんですって……!?」
「でもそれももう既に風前の灯。こうなったら今すぐ浄化させるしかないよ。とにかく私の神社へおいで。早く!」

静葉は穣子を抱え諏訪子と共に守矢神社へと向かった。


 神社につくと既に諏訪子が事前に手を回していたのだろうか、神奈子と早苗が待機して待っていた。

「さあ、時間が無いから急ぐよ!」
「よしきた!」

諏訪子の号令に神奈子が応じる。彼女の背中にはさっきはなかった仰々しい注連縄が背負われていた。恐らく本気を出したときにこの姿へとなるのだろう。
そして二人が穣子を担いで直ちに本殿の奥の部屋へと入ると、早苗がすかさず御札で入り口を封じる。その連携は見事なものだった。そして早苗によって静葉は客間へと案内された。

「今お茶用意しますので待っててくださいね」

そう言って早苗は台所の方へと姿を消す。彼女の姿が見えなくなったと同時に静葉は何度か大きく息をついた。
本当ならすぐ傍で見守っててやりたい。しかし下手に神の力が干渉し合うと大変な事になる。そのため入り口に封印までしたのだ。はやる気持ちを彼女は精一杯押し殺す。その時早苗がお茶を持ってやってきた。

「お待たせしました。粗茶ですが……」

と、早苗は静葉にお茶を渡すと、彼女の傍へと座り込んだ。

「実は処置をしている間、あなたの話し相手をしてやって欲しいと神奈子様に言われまして……」

そう告げると早苗は緊張した面持ちでうつむいてしまった。

「そう。別にいいのよ? そんな気を遣わなくても、むしろこんな夜中にお騒がせしてしまってごめんなさいね」
「そんな事ないですよ! だって人の命に関わる事なんですから」
「そうね。でも一応、神様なんだけど……」

と静葉がつぶやくと早苗がすかさず言い返した。

「神様でも人間でも関係ないですよ。特にこの幻想郷では尚更です」

そう言えば彼女は元々は外の世界の子なのだ。しかも神奈子の話を聞く限り小さい頃から二人の神様によって育てられてきた。故に彼女にとっては神も人も大差ないのかもしれない。現に彼女にとって神奈子達は紛れもない家族なのだ。
静葉はお茶を一口すすると思わずつぶやいた。

「あなたが羨ましいわ」
「え?」
「……いい家族に恵まれてるじゃない」
「ありがとうございます」

静葉の言葉に早苗ははにかみながらそう言うと、少し間を置いてから静葉に告げた。

「……でも、私はあなた方も十分素敵な家族だと思いますよ?」
「え……?」
「だって自分の事をここまで心配してくれる姉を持ってるなんて少し羨ましいです……私には兄妹がいないので」

そう言って早苗が少し寂しそうな笑みを浮かべると、静葉は彼女に告げる。

「……ほら、あなたは私の不安を消すために相手しろって言われたんでしょ? あなたがそんなんでどうするのよ」

静葉の言葉に早苗は「ごめんなさい」と言いながら思わず苦笑した。
悪びれた様子もなく素直な反応だ。どうやら彼女は純粋な性格らしい。なんとなく穣子に似てるような気がする。彼女もああ見えて純粋なところを持っていた。

「……あなた、早苗と言ったかしら?」
「はい。東風谷早苗と言います」
「早苗。あの子が目覚めたら、友達になってあげて。多分あの子は目覚めたら何もかも忘れてるわ」
「え……? そんな……」

彼女の表情が曇った。どうやらこの事は知らされていないようだ。

「今行われている儀式はあの子の体の中を浄化させる儀式よ。あの子は神様として人に尽くしているうちに人間と親しくなり過ぎてしまったの。そのせいで神様としての力を失い、人と同等になってしまった」

静葉の話を早苗は驚いたような表情で聞いている。

「あの子は……身投げをする前に私にこう告げたわ『私は、神様である事だけが誇りだった。他に何も取り柄のない私にとってそれだけが存在意義だった』って。あの子は最期まで神様としてありたかったのよ。だからあの時あの子はもう既に死んでいた。私はあの子の意思を尊重するわ。あの子が選んだ行動を責めたりなんて出来ない」

ふと静葉が早苗の方を見る感極まるものがあったのか彼女は涙ぐんでいた。

「ごめんなさい……あの、私こういう話に弱くて……」

そう言いながらハンカチで涙をぬぐう彼女を見て静葉は思わずふっと笑みを浮かべる。

「さてと……あの子が目覚めたらどんな言葉をかけてやるべきかしらね」

静葉はお茶を飲み干し一息をつくと天を仰いだ。

「……普通に、真っ先に思い浮かんだ言葉でいいと思いますよ」
「……そうね。間違いないわ」

早苗の言葉に静葉ははにかむ。その時だ。

「静葉姉さん……」

その声に驚き静葉が振り返るとそこには、無表情で佇む穣子の姿があった。

「穣子……」

と、次の瞬間だ。

「姉さん! ごめんなさい!!」

そう泣き叫びながら穣子は静葉に抱きつく。何が起きたか分からない静葉はわけが分からないまま彼女を受け止めた。

「穣子……? あなた……」

静葉の胸で泣きじゃくる穣子の様子に傍にいた早苗も唖然としている。

「……ううううっ!! 心配かけてごめんなさい!! もう……あんな事絶対しないから……ごめんなさい!!」

穣子は泣くのをこらえてなんとか言葉を紡いだが、そこまで言うと後は嗚咽に変わってしまった。
静葉は今の言葉でようやく穣子がもとのままだと言う事に気づくと、泣きじゃくる彼女をぎゅっと抱返してやった。

そして穣子がひとしきり泣いた後、二人は諏訪子達にお礼を言うと神社を後にした。


皆で二人を見送った後、早苗は思わず諏訪子に問いかける。

「諏訪子様。どうして穣子さんは記憶が消えずに済んだのですか?」

すると諏訪子は戸惑ったような表情を見せた。

「いやー私もこんなケースは初めてだから、あくまでも推測なんだけどさ」

と、前置きを置いてから彼女は説明を始める。

「多分ね。浄化する時に記憶とかも消えてしまうのは人間になりかけの部分が干渉するからなんだよ。そんであの子の場合はその人間の部分が既になくなってたから干渉せずに済んだって事なんだと思うけど……」

そこまで言うと諏訪子はふうと一息をつく。

「ま、何て言うか……奇跡が起きたって言った方が適切なのかもね。この場合」
「奇跡……ですか?」

諏訪子の言葉に早苗は思わずきょとんとする。

「そ、姉が妹を思う気持ちが奇跡を起こした。それでいいじゃない」

諏訪子はそう言い、縁側でごろんと横になると、難しい顔をしていた早苗に呼びかける。

「ねー早苗ーお茶持ってきてー」

それを聞いた早苗は「お茶くらい自分で用意してくださいよ」とブツブツ言いながら台所の方へと引っ込んでいく。
そして横になっていた諏訪子は儀式で力を使って疲れたのか、そのまま眠り込んでしまうのだった。

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 思えばこうやって二人で歩いたのはいつぶりだろうか。静葉はいつも以上に穣子が自分の近くにいるように感じた。ふと静葉は穣子に告げた。

「……ねえ、穣子。家に帰ったら一緒に焼き芋食べましょうね」

穣子は満面の笑みで返した。

「うん……っ!!」

ああ、そうだ。あの時欲しかったのはこれだったのだ。この無邪気な声と屈託の無い笑顔。改めて本当に私にとっての穣子が帰ってきたんだと思うと、静葉の目からは自然と涙がこぼれ落ちた。

「……? 姉さんどうかしたの?」

静葉は慌てて穣子に気付かれないように涙を拭うと、いつもの不敵な笑みを見せる。

「なんでもないわよ。さあ、早く帰るわよ。雛もきっと心配してるわ」
「うん!」

きっと今頃家では雛が心騒がせて留守番しているはずだ。
既に山の向こう側は明るくなり始めつつある。
そんな彼は誰時の、ほの暗い朝靄の立ち込める山奥へと二人の姿は消えていった。
秋姉妹に幸あれ!
バームクーヘン
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コメント



0.1120簡易評価
2.30名前が無い程度の能力削除
これは名編。
久々に本気で楽しませて頂きました。
乙 <(`_´)
3.100名前が無い程度の能力削除
↑すいません得点ミス
11.100名前が無い程度の能力削除
これはいい秋姉妹。

良いお話でした。
15.100名前が無い程度の能力削除
秋姉妹は魅力的だなぁ。普段は意地張ってるけど、二人ともお互いの事が大好きなんだね。
22.40名前が無い程度の能力削除
良い話なんですが……、色々と荒いなぁ、と思いました。
穣子が人間へと変化する理由、過程をもっと丁寧に書けばより感情移入をできたかもしれません。
23.100名前が無い程度の能力削除
いいですね~。普段あまりにも表に出ない二人ですが、やはりいい味が出ていますね。
26.70名前が無い程度の能力削除
重いテーマの割には秋姉妹の絶望や最後のハッピーエンドの部分等、全体的にあっさりしすぎかなと思いました。
お話自体は楽しめたので、この点数で。
27.100名前が無い程度の能力削除
きっと、みんなが幸せなら
30.100ずわいがに削除
良い話、80点。悪く言えばあっけない、しかし良く言えばさっぱりとしてテンポが良い、90点。
神奈子様が魅力的、そして諏訪子や早苗と良い感じ、100点。面白かったです。
32.100名前が無い程度の能力削除
このテンポはよいですね。
秋姉妹最高です。
34.無評価ヤクザ憲兵削除
最高でした……過言ではなく最高でした。秋姉妹への愛がとことん詰まっているのが感じられました……。SSでここまで涙腺を追い詰められたのは久々です。言葉にしがたい感動が……
35.100ヤクザ憲兵削除
↑ミスです申し訳ない
37.100名前が無い程度の能力削除
早苗の行動や姉の思いやりがよく伝わり改めて心の大切さを知りました。