「フラン、入るわ―――よ?」
レミリア・スカーレットが妹の部屋を訪ねたとき、そこで見たのは子猫を抱いて眠る妹の姿であった。
最愛の妹、フランドール・スカーレットは自身もネコになりきるためかネコ耳と尻尾を装備してすやすやと夢の中。
その様子を微笑ましく思いながら、レミリアは優しい笑みをこぼしてスカートを捲る。
ズドンッ!!
しかし、だがしかし、妹の防衛スキルはすさまじかった。
眠りこけていたと言うのに見事な裏拳を姉の顔面に叩きつけるという離れ業。
「~~~~~~~~~~~~~ッ!!?」
顔面が陥没しかけたレミリアは痛さの余りに床をごろごろとのたうち回るが、決して悲鳴は漏らさずかみ殺した。
ぜーはーと荒い息を繰り返し、レミリアはフッフッフッと笑い、未だに眠りこける妹に視線を向ける。
なんという鉄壁、さすがはわが妹となかなか意味のわからない感想を抱きながら、今度は離れた距離から見える位置にまであっという間に移動する。
あと少しで桃源郷が覗こうとしたその刹那。
パァンッ!!
フランの能力でキュッとしてドカーンで玉砕された。
むにゃむにゃと眠りこけながら、子猫に頬擦りするフランはずいぶんと幸せそうである。
対して、姉のほうはと言うと顔面が綺麗に玉砕されてただいま修復真っ只中であった。
完全に修復を終えて、妹の防衛スキルに戦慄すると共に、何とか中身を覗こうと思考を巡らせる駄目姉。
ふと、隣を見るといつの間にか瀟洒な従者がたたずんでおり、無言のままにマジックアームを手渡された。
最後に親指をサムズアップして忽然と消えるメイド長。主が主なら従者も従者であった。
従者の心遣いにいろんな意味で涙して、レミリアは再度チャレンジ。
そろそろとアームを伸ばし、アームがスカートの裾をつかんだ瞬間。
パシーンッ!!
寝返った拍子に遠心力によって振られた尻尾が、アームを真っ二つに切り裂いた。
ボトリとアームが地に落ちるさまを呆然と見やりながら、ソレは一体どういう材質で出来ているのか小一時間ほど問い詰めたい気持ちに駆られるレミリア。
こうなれば勢いで逝ってやる!! と蛙のごとく跳び上がる。ちなみに誤字にあらず。
綺麗な放物線上を描き、レミリアの体は空中でいったん静止、その後重力に引かれて真っ逆さまにフランにルパンダイブ。
今まさに、妹の距離が縮まろうとした刹那。
シュパァァァァァァァン!!
恐ろしくキレのいい子猫のネコパンチでテンプルを打ち抜かれた。爪付きで。
ぐっさり刺さったせいで勢いよく血が噴出し、その恐ろしい正確な一撃にゴロゴロの再び転がりまわるハメになった。
子猫は鼻で笑う(ように見えただけ)と、ため息をついて再びフランの腕の中で丸くなる。
お、おのれネコ風情がと心中で悪態をつくが、やってることが自業自得なんであんまり強くいえない。
しかし、どうしたものかと胡坐をかいて腕を組む。頭から勢いよく赤い噴水が生まれてるが、この際瑣末ごとである。
諦めると言う選択肢がはなっから無いあたり、もうこの姉は色々と駄目かもわからない。
精神的にはネバーギブアップ。スローガンは心打つがやってることは色々最低だった。
そこで、レミリアはひとつの作戦を考え付く。
一匹のこうもりを作り出し、それをフランに向かって飛翔させる。
案の定、フランは眠ったまま能力を行使して蝙蝠が消失した瞬間、レミリアの体は文字通り閃光となった。
一瞬の隙を突いてフランのベッドに駆け上がり、あっという間にマウントポジション。
囮作戦がものの見事に成功し、レミリアはハイになって高笑い。
さぁ、どこをどうしてやろうかとすっかり初期の目的を見失い明後日の方向に暴走を始めたレミリアが、グッと妹の服に手をかけて―――
「……お姉様」
―――地獄のそこから響いてくるかのような声に、ピタリと動きを止めてしまった。
ギギギと壊れたブリキのような音を響かせて視線を上げれば、凄まじいほどに冷め切った妹の視線とかち合う。
さて、現状をまとめてみようかと思う。
レミリアは現在血走った目で息を荒くして、マウントポジションで妹の服に手をかけている状態である。
弁護の余地などかけらも無い状況だった。
対して、フランはというと、真っ赤な瞳を細め、子猫を抱えたまま姉に圧し掛かられている状態である。
パシーンパシーンと尻尾が左右に揺れているが、ネコが尻尾を左右に振ると言うことはつまり極度の興奮状態、つまり闘争本能をむき出しにしている状態であった。
にっこりと、フランが笑う。レミリアも笑う。
アッハッハッハと冷酷な笑いとやけっぱちの笑い声がデュエット中。
片方は瞳にだんだんと狂気をにじませて、片方はだんだんと冷や汗をだらだらと滝のよう。
「お姉様のぉ……」
「待ってフラン!! 話せばわかるわ!! ほんの出来ごこ―――」
「馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ロドリゲスッ!!?」
レミリアの言い訳は終ぞ出ることもかなわず、フランの救い上げるようなアッパーカットでものの見事に玉砕された。
奇妙な断末魔を残しながら顎を粉砕され、中高く舞い上がるレミリアの体。
そこで、ふと奇跡が起きた。
体を捻るようにアッパーを打ち出したせいか、ふわりと浮き上がるスカートの裾。
その一瞬を、レミリアの驚異的な動体視力が見逃すはずが無かった。
レミリアの視線の先、そこに映った世界は―――
「なん……だと?」
▼
後日、レミリア嬢は当時のことについて、射命丸文にこう語る。
「ねぇ鴉天狗、スパッツもいいと思わない? え、中身? アッハッハ、後ろ見てみろ後ろ」
この直後、姉と新聞記者がフランの3時間耐久スペルカードメドレーに悲鳴を上げる光景が見られたことを追記しておこうかと思う。
今日も今日とて紅魔館は平和だった。多分、きっと。
レミリア・スカーレットが妹の部屋を訪ねたとき、そこで見たのは子猫を抱いて眠る妹の姿であった。
最愛の妹、フランドール・スカーレットは自身もネコになりきるためかネコ耳と尻尾を装備してすやすやと夢の中。
その様子を微笑ましく思いながら、レミリアは優しい笑みをこぼしてスカートを捲る。
ズドンッ!!
しかし、だがしかし、妹の防衛スキルはすさまじかった。
眠りこけていたと言うのに見事な裏拳を姉の顔面に叩きつけるという離れ業。
「~~~~~~~~~~~~~ッ!!?」
顔面が陥没しかけたレミリアは痛さの余りに床をごろごろとのたうち回るが、決して悲鳴は漏らさずかみ殺した。
ぜーはーと荒い息を繰り返し、レミリアはフッフッフッと笑い、未だに眠りこける妹に視線を向ける。
なんという鉄壁、さすがはわが妹となかなか意味のわからない感想を抱きながら、今度は離れた距離から見える位置にまであっという間に移動する。
あと少しで桃源郷が覗こうとしたその刹那。
パァンッ!!
フランの能力でキュッとしてドカーンで玉砕された。
むにゃむにゃと眠りこけながら、子猫に頬擦りするフランはずいぶんと幸せそうである。
対して、姉のほうはと言うと顔面が綺麗に玉砕されてただいま修復真っ只中であった。
完全に修復を終えて、妹の防衛スキルに戦慄すると共に、何とか中身を覗こうと思考を巡らせる駄目姉。
ふと、隣を見るといつの間にか瀟洒な従者がたたずんでおり、無言のままにマジックアームを手渡された。
最後に親指をサムズアップして忽然と消えるメイド長。主が主なら従者も従者であった。
従者の心遣いにいろんな意味で涙して、レミリアは再度チャレンジ。
そろそろとアームを伸ばし、アームがスカートの裾をつかんだ瞬間。
パシーンッ!!
寝返った拍子に遠心力によって振られた尻尾が、アームを真っ二つに切り裂いた。
ボトリとアームが地に落ちるさまを呆然と見やりながら、ソレは一体どういう材質で出来ているのか小一時間ほど問い詰めたい気持ちに駆られるレミリア。
こうなれば勢いで逝ってやる!! と蛙のごとく跳び上がる。ちなみに誤字にあらず。
綺麗な放物線上を描き、レミリアの体は空中でいったん静止、その後重力に引かれて真っ逆さまにフランにルパンダイブ。
今まさに、妹の距離が縮まろうとした刹那。
シュパァァァァァァァン!!
恐ろしくキレのいい子猫のネコパンチでテンプルを打ち抜かれた。爪付きで。
ぐっさり刺さったせいで勢いよく血が噴出し、その恐ろしい正確な一撃にゴロゴロの再び転がりまわるハメになった。
子猫は鼻で笑う(ように見えただけ)と、ため息をついて再びフランの腕の中で丸くなる。
お、おのれネコ風情がと心中で悪態をつくが、やってることが自業自得なんであんまり強くいえない。
しかし、どうしたものかと胡坐をかいて腕を組む。頭から勢いよく赤い噴水が生まれてるが、この際瑣末ごとである。
諦めると言う選択肢がはなっから無いあたり、もうこの姉は色々と駄目かもわからない。
精神的にはネバーギブアップ。スローガンは心打つがやってることは色々最低だった。
そこで、レミリアはひとつの作戦を考え付く。
一匹のこうもりを作り出し、それをフランに向かって飛翔させる。
案の定、フランは眠ったまま能力を行使して蝙蝠が消失した瞬間、レミリアの体は文字通り閃光となった。
一瞬の隙を突いてフランのベッドに駆け上がり、あっという間にマウントポジション。
囮作戦がものの見事に成功し、レミリアはハイになって高笑い。
さぁ、どこをどうしてやろうかとすっかり初期の目的を見失い明後日の方向に暴走を始めたレミリアが、グッと妹の服に手をかけて―――
「……お姉様」
―――地獄のそこから響いてくるかのような声に、ピタリと動きを止めてしまった。
ギギギと壊れたブリキのような音を響かせて視線を上げれば、凄まじいほどに冷め切った妹の視線とかち合う。
さて、現状をまとめてみようかと思う。
レミリアは現在血走った目で息を荒くして、マウントポジションで妹の服に手をかけている状態である。
弁護の余地などかけらも無い状況だった。
対して、フランはというと、真っ赤な瞳を細め、子猫を抱えたまま姉に圧し掛かられている状態である。
パシーンパシーンと尻尾が左右に揺れているが、ネコが尻尾を左右に振ると言うことはつまり極度の興奮状態、つまり闘争本能をむき出しにしている状態であった。
にっこりと、フランが笑う。レミリアも笑う。
アッハッハッハと冷酷な笑いとやけっぱちの笑い声がデュエット中。
片方は瞳にだんだんと狂気をにじませて、片方はだんだんと冷や汗をだらだらと滝のよう。
「お姉様のぉ……」
「待ってフラン!! 話せばわかるわ!! ほんの出来ごこ―――」
「馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ロドリゲスッ!!?」
レミリアの言い訳は終ぞ出ることもかなわず、フランの救い上げるようなアッパーカットでものの見事に玉砕された。
奇妙な断末魔を残しながら顎を粉砕され、中高く舞い上がるレミリアの体。
そこで、ふと奇跡が起きた。
体を捻るようにアッパーを打ち出したせいか、ふわりと浮き上がるスカートの裾。
その一瞬を、レミリアの驚異的な動体視力が見逃すはずが無かった。
レミリアの視線の先、そこに映った世界は―――
「なん……だと?」
▼
後日、レミリア嬢は当時のことについて、射命丸文にこう語る。
「ねぇ鴉天狗、スパッツもいいと思わない? え、中身? アッハッハ、後ろ見てみろ後ろ」
この直後、姉と新聞記者がフランの3時間耐久スペルカードメドレーに悲鳴を上げる光景が見られたことを追記しておこうかと思う。
今日も今日とて紅魔館は平和だった。多分、きっと。
>救い上げるようなアッパーカット
→『掬い上げる』
パシーンパシーンってその尻尾どういう原理? まさか装着者と一体化するために挿さってr(パシーン
どっちかというとレミリアと暴走猫ww
まぁ、面白いから問題なしww
やばい、おもしろい
正しいレミフラでした。
お嬢様のカリスマ崩壊ぶりが流石でした
咲夜さんとふたりがかりになってもよかったかも
文ちゃんちょっと話が(ピチューン