あたいは氷の妖精だから暑いのが苦手だ。
自分では涼しい方が気持ち良いと思う、むしろ寒くても良いくらい。
でもあたいが周りを涼しくすると、みんな「寒い」って言ってどっかに行っちゃって。
あたいは、一人ぼっちになっちゃうんだ。
何さ、せっかくあたいが涼しくしてあげたってのに。
いいもん別に。
あたいのありがたみが分からないようなやつらなんか知らないもん。
…寂しくなんかないんだから。
湖の近くで蛙を凍らせて遊んでる今、あたいの隣には誰も居ない。
そこらへんを飛んでる妖精も、ほとんどが寒いの苦手だからあたいの近くには来ないし。
みんな追いかけっこしたりかくれんぼしたりしてる。
もし一緒にやったら絶対あたいの勝ちね、さいきょーだから。
でも一緒に遊んでないから勝負もできやしない。
前に何回か遊ぼうって誘ったこともあるんだけど、
「寒いの嫌ー」
とか言って断られた。
何で寒いってだけで嫌うのよ。
まったく、よわっちいやつばっかりでやんなっちゃう。
しょうがないから一人で遊ぶの。
キラキラ光ってる湖の上であたいはくるくる回って踊る。
誰に教えられた訳でもないけど勝手気ままに身体は動く。
自然に踊るのは心地良い。
でも、一人なんだ。
見てくれたり一緒に踊ってくれたりする相手が居ないと楽しくないや。
そう思って今度は森の中に入って探検してみる。
背の高い草をかき分けて進んで行くと、変な虫を見つけたり美味しそうな木の実を見つけたりはする。
だけど変だねって共感してくれたり、木の実を齧って美味しいとか不味いとか言い合える相手が居ないと静かすぎて面白くない。
探検に飽きて色んなところにも行ったりする。
てゐとか橙とかに会ったら一緒に遊んだり悪戯したり、逆に悪戯されたりなんてことがよくある。
みすちーとかリグルも一緒に遊んだりするんだけど、みんなに共通してたまに身体が震えてたりする。
あたいと一緒に居ると寒いから、なんだろうな。
あーあ、何であたいはこんな力持ってるんだろ。
みんなを冷やして、凍らせてしまうこの力。
冬なんて特に好かれなくてあたいを寂しくさせるこの能力。
できれば他の、みんなに好かれる力が欲しかった。
でもね、この力も嫌いって訳じゃないんだよ?
夏は暑いからみんなあたいの近くに寄ってきて、ギューッてしてくれるんだ。
暑いのは苦手だけどギュッてされるのは好き。
そう、あたいの力が必要とされる時がある。
だからこの力に良いところがあるって自分でも分かってる。
それでももし、あたいがあたいの力を嫌いになったら…
それはあたいじゃなくなるんだって思った。
この力あってのあたいだ、あたいあってのこの力なんだ。
そう思いたい。
だったら好きになろう。
もっともっと自分の力を好きになって、この力じゃなきゃやだってくらい好きになろう。
そしたら絶対あたいだって、あたいが存在するこの世界だって変わっていく。
あたいがこの力をもっと好きになるために、寒いのに一緒に居てくれる優しい友達のために。
少しずつでも良いから冷気漏れてくの、頑張って抑えていこう。
ちゃんと書いてくれた作者の心意気も込めて満点ッス
「縦」の時もそうだったけど、やっぱり最後の一文が良いですね
内容は好きですね。
ただ、これに物語性を加えたモノが読みたかったです。
チルノと言えば大ちゃんだから大ちゃんが居ないというのは珍しいですね。
やっぱりこのチルノは頑張り屋さんなんですね。自分で自分を好きになろうという姿勢は好感が持てます。
んー。だけど能力を抑えようと努力するのもいいけど、それだけじゃ駄目だと思うんです。
好きになってもらおうと能力を抑えることよりも、もっと皆の気持ちを考える必要があると思うんです。
きづいていないようだけど、このチルノは能力のせいで皆が近寄ってこないと思っているみたいです。
だけど、原因はそれだけじゃないと思う。序盤の「せっかく涼しくしてあげたのに」って押し付けがましい態度を取られてしまうと
結果は逆に「してもらわなければよかった」って嫌な気分になってしまうと思うんです。例えそれが相手が望んでいたことだったとしても。
今回は自分の能力についてしか触れていませんでしたが、次回があればチルノの心の成長みたいのも盛り込んでくれればと思います。
しかし、私は何を勘違いしてたんでしょう。
よく考えたら前作はプチのほうでした。作者名検索したら出てこなくて、てっきり投稿し直したのかと思ってました。
うっかりしてました。大変失礼しました。申し訳ありませんでした。orz
※コメント修正しました。