1
命蓮寺には、重要なものが欠けていた。
それは鐘である。もともと船として動かすには莫大なエネルギーの消費が必要であり、聖救出のためにずいぶんと資金繰りが厳しくなったというのも理由である。
鐘を造るには、当然のことながら職人を呼ばなければならない。人件費がかかる。それ用の巨大な鋳型も必要になる。
もっとも、それだけではない。
単純に物資不足ということもある。
鐘は青銅を溶かしてつくられる。あの四方に響き渡る清音は、青銅でなければ作り出せない。だが、命蓮寺には巨大な鐘を作り出すだけの青銅はもはや残されていない。妖精や妖怪、その他有象無象にたかられて、すっかり宝の類は放出してしまっている。宝なんぞどうでもよいのだが、しかし、鐘ぐらいはなければ寺とて締まりが悪い。
そういうわけで、寅丸星は悩んでいた。
仏である自分が悩むのはどこかまちがっている気もするのだが、もともと貧乏寺に長いこと住んでいたせいか、すっかり資金面での苦悩は板についている星である。
くわえて、聖はどこか天然めいたところがあり、あまりそういった現世的利益や物質的な豊かさに頓着しないところがある。
むしろ聖のほうが仏性を有しているのではないか――などと考えたりもするのだが、生来的なものだからいたしかたない。
ともかく自分がなんとかしなければならないと思う寅丸星である。
「ナズーリン。ナズーリンはいますか」
「はい。ここに。それで? なにかご用かなご主人様。またなにかわけのわからないものを無くしたというんじゃないだろうね」
すごむナズーリン。
たじろぐ星。
いつもの光景である。
「あの、べつにそういうわけじゃないのですが」
「ふむ。じゃあなんだというんだい」
「あの、わが寺には鐘がないじゃないですか」
「金がないか。それはそうだろうね。ご主人様が宝塔をお無くしあそばされたせいで、私の財布はすっからかんだよ」
「いやそちらの金ではなく……、ゴーンと鳴る鐘のことです」
「ああ。確かにそうだね」
ナズーリンは外のほうへと視線をやった。
あるべきところにあるべきものがないのはどこか寂しいものだ。
外には小さな矢倉のようなものが作られていて、鐘が設置される場所はすでに存在する。ぽっかりと空いた空間は物悲しい。
「しかし、ご主人様」
「はい。なんでしょう」
「鐘は小さなものでもよいのでは?」
「いえ……、お寺の鐘というものは時間を知らせ、人々の生活を律する役目もあるのですよ。大きく、荘厳であれば、その役目もよく果たせるでしょう。もちろん実を伴っていない偶像と化すのは厳に慎まなければなりません」
「しかし、うちの寺は今は遊覧飛行で少しは持ち直してきてはいるものの、自転車操業もいいところだからね」
先にも言ったとおり、船を動かすには金がかかる。
時空の壁を突破しないまでも、エネルギーの消費は激しく、代金を徴収したところで、ギリギリ採算が取れるかといったところだ。
「なにか妙案は無いでしょうか」
「うーん……。では寄進をつのるというのはどうでしょう」
「寄進ですか」
星はしばし考える。
寄進は、大規模な托鉢のようなものだ。
仏に財産を捧げるのは、浄財であり、良い行いとされている。
「しかし、信仰が衰えた現在、お金を出してもらうのは危険ですね。取り戻した信仰を再び失ってしまう恐れがあります」
「それではこうしましょう」
ナズーリンが提案する。
一言で言えば、寄進の内容の限定である。金ではなく、青銅でできた金属に限ればよいということだった。
金を出すという行為には、なぜか汚いイメージがつきまとう。賄賂、収賄のイメージがどうしても払拭できないせいだろうか。
しかし物質的なものを差し出すというのなら、そのイメージが減殺され、清い行為として、気兼ねなくできるのではないか。
それがナズーリンの考えだった。
「あとは、職人さんたちに頼んで、労力を寄進していただきましょう」
「なるほど、さすがナズーリンです。頼りになります。一家にひとり、ナズーリンですね」
星が無垢な子どものように顔を輝かせた。
ナズーリンは顔に手を当てて、大きなため息。
「ご主人様があまりにも頼りないと、部下は優秀になるらしい」
「ナズーリンは本当に優秀で助かります」
「一応、皮肉のつもりなんだけどな」
「ん?」
星はまったく気づくこともなく、うきうき顔である。
2
人里には信心深い少女がいた。
聖の人柄に触れて、仏を信じるようになったのは最近である。いまだ神仏の区別もついていないが、しかし、その信仰は本物だった。
寄進の申しこみが命蓮寺から出されて、いのいちばんに寄進を申し出たのは彼女である。
しかし、残念ながら少女はまずしかった。寄進の対象は青銅であり、青銅のアクセサリーは非常に高価である。新たに青銅を買うお金はどうがんばっても捻出できそうにない。
幸いなことに、ひとつだけ少女は青銅の装具をもっていた。
母から受け継いだ鏡である。銅鏡と呼ばれている。丸い形をした装具部分の真ん中に小さな鏡が太陽のように輝いている。余計な装飾具が一切ない六畳一間の小さな小屋に、その鏡だけは不釣合いな輝きを放っていた。
少女はその鏡を寄進した。
しかし、寄進した後におしむ気持ちがでてきた。
――なぜ母の形見である鏡を寄進してしまったのだろう。
幻想郷の少女はきわめて信心深い。
例えば、鏡には霊魂が宿るといわれていて、少女の鏡には母の魂が宿っていたのではないか。
そう少女は考えた。
――私は母を捨てたも同然なのではないか。
そう少女は苦悩した。
一端、寄進してしまった以上、いまさら鏡を返してくれとは言いがたい。
そうして、少女の苦悩は一層募るのである。
3
「思ったよりも集まりましたね」
「信心深い人間が多いようだ」
ナズーリンは寄進された青銅具を総覧し、ダウジングロッドを使って検証していく。
不純物が混ざっていないかを確認しているのである。
「これも聖の仁徳のおかげですね」
「いや、ご主人様の法力のおかげだろう。腐っても毘沙門天代理なわけだ」
「はは、本当にナズーリンはお世辞がうまいですね」
「ご主人様のお気楽な脳みそに比べたら、私のお世辞なんてまだまだだと思えてくるよ」
コツ。
ダウジングロッドが急に揺れた。
ナズーリンは、顔を少ししかめた。なにか不穏な気配を感じたような気がしたのだ。
「ふむ……、しかし呪いの類ではなさそうだが」
「なにかありましたか?」
「いえ、気のせいでしょう」
それから、青銅は溶鉱炉のなかに投げ込まれ融かされていったのであるが、そのなかでどうしても一枚の鏡だけ融けなかった。
職人が火力をあげ、何度も試すが、瑕ひとつつかないのである。
鏡の表面は綺麗な輝きを保ったままで、他の青銅がすべて溶けきったあとも形を保っていた。
星はそのことを知り、職人たちに一切他言無用と申しつけて、当該鏡を引き取った。
「ナズーリン」
「はいなんですか。また何か失せものですか」
「いやそうではなく、この鏡のことです」
「融けない鏡ですか」
ナズーリンも事情は知っている。
鏡は小さな鏡台の上に置かれ、ナズーリンと星の視線を一心に浴びている。
青銅の部分は鈍い光を放ち、真ん中にある鏡は妖しい光を放っているかのように見えた。
星がナズーリンを視線で射抜いた。
「融けるはずのものが融けない道理、わかりますか?」
いつもの暢気さをどこかに忘れでもしたのだろうか。
星の声には鋭さがあった。
「執念でしょうね。人間の情というものは巨大な力を秘めているものですから。鏡の持ち主がこれを失いたくないと思っているのでしょう」
「おそらくはそのとおりだと思います」
星の顔は暗い。
「それで、私はこの鏡の持ち主を見つけてくればいいので?」
たやすいことだ。
子ネズミを使役すれば、小さな小さな幻想郷の、そのまた小さな人里のことなど、一刻もあれば十分である。
「そうですね。そうしなければならないでしょう」
「鏡をその人に返すので?」
青銅はもう十分に集まっているので、返したところで特に問題はない。
ナズーリンの言葉はただの確認だった。
しかし、星は緩やかに否定した。
「そうしたいところですが、難しいですね」
「どういうことです?」
「鏡を寄進し、そしてその後取り戻そうとする人は誰一人いなかった。ということは、その者は『恥』というものを知っているということになります。もしも軽々しく鏡を返したとなれば、その者は恥じ入り、傷ついてしまうかもしれません」
「ふむん。確かに」
「ですから、まずはその者の所在をつきとめるにとどめてください」
「わかりました」
ナズーリンは子ネズミを使って、隠密裏に鏡の持ち主を探る。ほどなくして少女の所在が知れた。
4
「かの者の所在を確かめてまいりました」
「それで、どうですか。悩んでおりましたか?」
星は心配そうな顔で聞いた。
ナズーリンはかぶりを振った。
その意味を解しかねて、星はけげんそうに眉をひそめる。
「夢を見ているようでございました」
「夢とは?」
「残念ながらそこまではわかりません。けれど、うなされているようです」
少女は薄い布団を両の手で握り締め、汗を額にしたたらせながら、何事か呻いていたらしい。
よく耳をそばだててみれば、母さま、母さまと聞こえてくる。
「背後関係から察するに、おそらくは――」
ナズーリンが言う前に、星が言葉を継いだ。
「形見だったのでしょうか」
ナズーリンがうなずく。
「しかし私にはよくわからない。本当にその鏡がほしいなら、最初から手放さなければよかったんだ」
「確かにナズーリンがおっしゃるとおり。ですが、人間というものは手にしているときにはその価値に気づかないということは往々にしてあることなのですよ」
「おしむ気持ちがでているだけだろうさ。私にはその子の信心がたいしたことなかっただけだと思うけどな」
「ナズーリン」
星はたしなめるように名前を呼んだ。
ナズーリンはダウジングロッドを振り上げて、やるかたない様子。
「それでご主人様としてはどうするつもりだい。こちらからしてやれることはもう無いように思うのだけど」
「人間の執念というものは苦しみを生みます。私としては彼女の苦しみを祓ってあげたい」
「仏様としてはそれでいいのかもしれないけど。それこそ余計なお世話なんじゃないかな。彼女は救われたくなんてないんだ。というより――自滅に近い」
自滅。
確かにナズーリンの言うとおりだった。
「しかし、執念は自分の思い通りにならぬから執念なのですよ」
「もし仮に鏡を彼女に返すとする。そうすると彼女は恥に殺される。他方で彼女に鏡を返さないとする。そうすると彼女は執心に殺される。どちらも自分に起因する業というべきもの。他人がどうこうできる類の悩みではないと思う。なぜなら、その悩みは自己の領域に生じたものであり、他者が作り出したものではないからだ」
「その通りですね。しかし、そういうどうしようもない悩みというものを救えなくて、なにが仏でしょうか」
星は声に力をこめていった。
「まあご主人様らしいといえばらしい」
「恐縮です」
「べつに褒めてはないんだけどね。まあ半分ぐらいは感心したよ。さすがご主人様だ」
「それで、あの……」
星が申し訳なさそうに口を開く。
みなまで言わなくてもわかっていた。
「どうすればよいと思いますか。ナズーリン」
星の瞳には期待と不安が入り混じっている。いつものことなので、ナズーリンは呆れもしなければ、怒りもしない。ただちょっぴり疲れた顔。
それでも星のことを見捨てることができないのは、単なる監視対象を越えて、情が移っているせいもある。
「ひとつ妙案があります」
ナズーリンは数分の後、おもむろに口を開いた。
自信ありげな表情。
「ナズーリン。大好きです」
ナズーリンは顔を赤らめて、プイと横を向いた。星は天然ネズミキラーだったのである。
それからしばらくのあいだ、ナズーリンは顔の火照りが収まるのを待たなければならなかった。
5
少女はうなされていた。
鏡を失ったことに対する罪悪感に押しつぶされそうになる。夢のなかで、後光のさした母親の姿が去っていく。
自分は懸命に走るが、決しておいつけない。
子どもだ、と思った。自分は思ったよりも子どもだったらしい。母親が死んでから幾年も経つというのに、まだ未練が断ち切れない。
少女は布団のなかで目覚めた。
まだ夜。
木でできた格子からは、星の光しか届いてこない。まばゆいばかりの星の光。
星の光?
明るすぎる。夜であるのは体感時間からわかる。朝であれば雀の鳴き声がするはずだ。
これは異なことである。少女はすくっと立ち上がった。とりあえず外にでてみようか。人里のなかでの出来事である。まさか物の怪の類ではなかろうが、しかし万が一ということもありえる。いつの世界にも自分の行動を省みないものはいるものだ。自分もそうだったではないか。
そして、少女は家の扉をあける。
周りはシンと静まりかえり、空気はどこまでも澄んでいる。おかしなところはなにもなさそうだ――。
ふと少女が空を見上げる。
そこには光輝く母の姿があった。少女は驚き、そしてしばらく固まった。母親は生前と変わらない優しげな笑顔を浮かべている。
少女は糸が切れたように驚愕から解放されると、すぐさま家のなかにとって返し、それから木を削ってつくった弓矢を構えた。
まったく躊躇というものはない。母親の口から「げっ」という小さな声が漏れ聞こえたような気がしたが、少女はそのまま矢を放った。
光は霧散、それからはまったき闇の世界である。
物陰から事の推移をうかがっていたナズーリンは驚きを禁じえない。確かにあの母親の姿は幻影に過ぎない。最近、命蓮寺に弟子入りしたぬえに頼んで、少女の内心における母親像を真似てもらっただけのことだ。しかしただの少女が見破ったことに驚きがあった。
ナズーリンの予定はこうである。
すなわち、ぬえの正体不明の種は、見るものの認識そのものを操るものであるから、少女が見たい母親の像を見せることができる。
あとは、ぬえにより鏡は返してもらったから、大事にするようにとでも申しつけて、少女に返却すればよいと考えていたのである。
だがそうはならなかった。なぜだろう。少女は見たところ霊力の類を一切もたないただ信心深いだけの普通の人間である。ぬえの妖力を見破ったとも考えにくい。
ナズーリンは顎に手をあてて考えている。しかしこのまま考えあぐねても埒はあかない。
行くか、と決心したとき、その肩に優しく触れるものがいた。
星である。
ナズーリンはびっくりして大きな声を出す。
「こんな人里まで降りてこられては仏の沽券に関わるでしょう?」
「いえ……、そういうわけにも行かないでしょう」
「そうそう。私のトラウマがまた一つ増えるところだったんだからね。メシウマどころの話じゃないよ」
最後の言葉はぬえのものである。彼女は平安時代に矢を射られて退治されて以来、あまり弓矢に良いイメージを持っていない。
「災難でしたね。あなたがたはここでしばらく待っていてください」
星は少女の家の前に立ち、扉をあけてくれるように申し向けた。
少女は不審げに星を見たが、それでも拒むことはなかった。どことなく人好きのする柔らかな雰囲気が聖に似ていたせいだろう。
少女は聖の姿は見ているものの、まだ星の姿を目にいれたことはなかった。しかし先ほどの母親の幻影となにかしらの関係があると踏んだのである。
「先ほどはわが寺の者が詐術を用いたことを御許しください」
星は頭を下げる。
それで、少女も得心した。
鏡の件であろうと推測がいった。
今度は少女が頭を下げる番であった。ほとんど土下座に近い姿勢である。自ら寄進しておきながらその鏡を取りかえそうとする浅ましさ。その浅ましさを少女は誰よりも知っていた。そしてそんな自分のことがたまらなく嫌だった。けれど、鏡に対する未練を棄てきれない。
なんという救いがたい存在であろうか。
星は泣きながら心情を吐露する少女に優しく手をさしのべる。
「ところで――よくわかりましたね。私の寺の者が使う幻術を見破ったのはたいしたものです」
いえ違うのです、と少女は応える。
少女が言うには、あの世から現世で霊が戻ってくると霊としての格が落ちてしまうということであった。確かにそのとおりである。現世へと来すぎることは罪責のひとつであるから、当然であろう。そして、少女の母親はとても信心深かったとのこと。したがって、たとえどんな理由であれ少女の母親がこの世に顕現するはずがないという確信があった。だから、目の前で不可思議な光を身に纏っている母親の姿をした何かは、物の怪の類であろうと思ったのだった。
しかし、まさか仏の使いであるとは思わなかった。星も先に述べたとおり、原則として仏は嘘をつかないことになっているからだ。もちろん、釈迦無二によれば、嘘も方便であるところを否定できず、場合によっては嘘をつくこともあるのであるが。
星は少女の強さに感心した。ひとりの少女に強さと弱さが同居している人間という存在の不可思議さを思った。
少女に、すっと手渡されたものは鏡。
しかし見慣れたものではなく、その鏡には青銅の部分が欠けていた。中心にある鏡の部分だけがそこにあった。
「あなたの行為に感謝しています。しかし、鐘をつくるのに鏡の部分は不要ですのでお返しいたします。あなたがこの鏡を真に欲するならばお受け取りください。要らないというのであれば、この鏡はこちらのほうでご供養させていただきましょう」
それで問題が解決したとは星も思わない。
少女の罪責は内心に関わるものであり、一度思い描いたことは消しようがないからだ。心に思い描いたことが罪であると彼女自身が断じてしまっているため、その苦しみから解き放たれることはない。けれど、少女が矢を射ったときの強さに思いいたせば、詐言を用いるよりは直截的な言葉を投げかけるほうがよいと判断したのだ。
幾ばくかの空白の後、少女は鏡を受け取った。
星は人知れず懊悩する。
鏡を受け取ったことにより少女の信仰心は瑕を抱いたことになるのだろうか。恥辱をそそぐことと母親への愛情はいずれを優先するべきなのだろうか。
それらの問題はあまりにも難しく、仏の代理である星にしても容易に解けそうになかった。
無知を知り、罪を恥じ、他者に感謝する事。
簡単なようでいて、これがまた、難しい。
櫓に鐘ときたら……もしやあの娘の登場かと思ってしまいました。でももう一つって何だろう?
皮肉が一切通じない星ちゃん。幻想郷においてはある意味最強かも。
ところでうちのお寺の屋根の葺き替えがあって一軒20万払わないといけないんだよな。正直痛いな……
ぶっちゃけ思考放棄がベストだとは思うんですが、それができれば人間苦悩せんわな。
とりあえず星とナズーリンの掛け合いに和んだ。それと、ぬえ乙。
融けない問題は放っておくのもまた一つの選択肢。
うまく纏め上げた作者さんに敬意を。
後光が、後光が差しておられる!
良いエンドでほっとしました。
高熱にも耐えるほどの少女の想いからすれば、やはり手元に鏡が戻ってきて良かったと思うのです。