Coolier - 新生・東方創想話

「厄」現人神様の通り道?

2010/03/04 03:09:32
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*注意*
少し、又はそれなりに、キャラ崩壊が、あるかもしれません。
というか、ギャグ路線です。
どうか寛容な精神を持って読んでいただけると幸いです。










幻想郷のあるところに川がありました。ある日、その上流からどんぶらこ、どんぶらこと


鍵山 雛が流れて来ました。

「ってええええええええっっ!!?」

偶然そこを通りがかった東風谷 早苗がどんぶらこ、どんぶらこと流れている雛を川から必死に引き上げた。

「ぷはあ、厄かったあ」

「いやいや、死にますよ!?」

背泳ぎのような息継ぎの出来る姿勢ならばまだしも、雛は溺死体のように顔を水面に
つけて四肢は力なく垂れ下げ、ぷっかりと浮きながら流れてきたので早苗は見てはいけないものを見てしまったように恐怖した。
だが、雛はそんな早苗を気にせずに、溜め息を吐いた。

「いや別に死ぬことは無いんだけどね、はあ・・・あんた、今日は何の日だか分
かっているの?」

「えっと、3月3日桃の節句というか雛祭りです」

「そうね、そして私は流し雛。つまり、どういうことだか分かる?」

「え・・・?」

「はあ、分かってなかったのね。私に近づくって言うことは厄を受けるって事よ、それも今日はかなり大量のね」

早苗はそれを聞いて驚き、焦り、すぐに服をパンパンと払い、何かをはたき落とそうとしたが、そんな事で厄が払われる訳はなかった。

「因みに、あなたに今もの凄い量の厄がくっついたから今日は外出しないほうが
いいわよ」

雛の目には、早苗の周りを包むどす黒い何かが見えていた。他の人には見えないが、それは厄の塊を表しており、その人の不幸の度合いも分かるものだ。

「そ、そんなこと言われても、『今日は雛祭りだから甘酒とひなあられがないとねえ、ね、早苗』と両方の神様からせがまれているので」

「あ、そう。忠告は聞くべきだと思うけど、ま、別に止めはしないわ」

「うーん・・・確かに帰りたいのは山々だけれど・・・ん?」

早苗の頭上から、何かが落ちてくる音がした。
そして、次いで昔のコントなどではおなじみの、金盥が当たった音がした。

「はだっ!?」

「すまーん、っと早苗か。大丈夫か?」

空中から魔理沙が降りてきた。背中にはあからさまに荷物を持ち過ぎな風呂敷を抱えていた。
大の字に倒れた早苗に謝る魔理沙。

「いやあ、家の中のいらない物を香霖に引き取ってもらおうと思ったら思いの外
荷物が多くなりすぎてなあ、風呂敷からはみ出ちまったぜ」

「は、ははは」

力なげに笑う早苗を尻目に、魔理沙はすぐに飛び立っていった。

「ま頭がおかしくなったら見舞いくらいには行ってやるぜ、じゃな」

残された早苗はまだくらくらする頭を抱え、上半身を起こした。

「頭、大丈夫?」

「その言い方毒があるのでやめて下さい・・・」

「でも分かったでしょう、今日は外出しないほうがいいって」

普通の人ならば、ここで引き返すのであろうが、常識に囚われないと決めていた早苗は、あえて茨の道を歩むことを選んだ。

「・・・・なんの・・・これしき・・・。現人神は、このような事で屈したりは
しないのです!神奈子様、諏訪子様、雛人形飾って待っていて下さい!」

早苗は逆にやる気満々で飛び立っていった。
やめとけばいいのに、と厄い溜め息を吐きながら雛は思った。




「えーと、まずは、確か常備薬が切れかかっていたんだった」

早苗はおつかいメモに書かれたことを見ながら、まずは人里より近い永遠亭へと向かうことにした。

迷いの竹林は、飛んでいくと竹が多く邪魔な為、弾幕を使って道を切り開いたり
焼き払うのでないかぎりは大抵歩いて永遠亭に向かう事になる。

早苗が歩き始めてしばらく経つと、竹林の奥から兎の声が聞こえてきた。永遠亭への道は迷いの竹林の道を知るものでないとたどり着けないため、兎に道案内を頼む必要があった。
そのため、まず適当に歩いて兎を見つける必要がある。
いつもなら、地上の妖怪兎が何匹か悪戯に来たりするのだが、今日は地上の兎の声だけでなく、月の兎の声も聞こえてきた。

「こらあああ!!待ちなさいてゐっ!なんか口の中がくっついて離れないなあと思ったらあんた私の歯磨き粉の中にボンドなんか入れたでしょ!なんてことすんのよ!」

「へっへー、待たないよーだ。それに昔からいうでしょ、騙すのも悪いけど騙されるほう
にも何か問題があるってね」

「今日という今日は許さない!待たないと撃つわよ!」

「そんなしましまぱんつなんか履いてる鈴仙の弾なんて当たらないよーだ」

「なっ・・・、んで知ってんのよ!?もう怒った、喰らいなさい!鈴銃(レイガ
ン)っ!」

銃を模した指先から、極太のの座薬のような形の弾が発射される。しかも自動追尾らしくてゐがいくらかわそうとしても振り切れなかった。走り回るうちに、てゐは早苗に近づいており、その進行方向には早苗がいた。

「お、ちょうどいい盾見っけ」

てゐは兎ならではの脚力を生かして大きく飛び跳ね、早苗の頭に手をつき、跳び箱のように頭上を跳び越した。
体勢を崩された早苗の眼前には、先程鈴仙が撃った弾が。

「え、」

叫ぶ前に、弾が早苗の顔面に直撃した。小爆発が起こり、髪が幾らか焦げた臭いがした。スペルカードルールを適用していたため命に別状はないのがせめてもの幸いだった。
顔を青ざめる鈴仙。それを見て笑いながら逃げるてゐ。

「だ、だだ大丈夫ですか!?」

鈴仙が心配そうに尋ねたが、早苗には聞こえていないようだった。そのまま早苗はよろよろと歩き出し、膝をつきそうになりながらも堪え、どこかへ向かい歩きだす。そして、早苗は踏み出した足元がいきなり崩れたことに対応出来ず、見事にてゐの仕掛けた落とし穴(鈴仙用)にはまった。
早苗は精神的に残機が減ったのを実感した。




「とんだ目にあった・・・」

その後、鈴仙にに謝罪されながら、その場で笑い転げていたてゐをしばき倒し、なんとか永遠亭にたどり着いた。だが、運悪くちょうど予備の常備薬を切らしているといわれ、何の収穫も無しに早苗は永遠亭を後にすることになった。顔面の怪我は大したことはなかった。

(たしかに今日は運が悪い・・・けれど、)

早苗は先ほどまでの不運を払拭するかのように息を吸い込み、思い切るように言った。

「そう、これはきっと私の現人神としての力量を量るための試練なのです。神が私にこの試練を課しているのです!」

早苗が奉る神奈子か諏訪子あたりが聞いたら「いや、それはないない」と手を振って否定されそうな事を考えて現実逃避をすることで、早苗は気力を保っていた。

そして、様々な不運に見舞われながらも、なんとか人里にたどり着き、目的の物
を買うことが出来た。

「米麹、砂糖、ひなあられ、草餅・・・と、まあこのくらいで良いでしょう」

山の妖怪達に振る舞う予定と聞いていたため、一人で持つにはかなり多めの量を買う事になったやっと帰れると早苗が思ったその時、突然悲鳴が聞こえた。

「何事!?」

悲鳴と聞いて黙っていられない早苗は、重くて邪魔な荷物を小屋の軒下に置き、直ぐに現場へと向かった。

早苗が現場で見た物は、最強クラスの妖怪、風見 幽香と、妖怪退治のスペシャリストである博麗 霊夢が対峙しているところだった。

目に見えない火花が散り、バチバチと周りの空気を痺れさせていた。まだ、特に動いたわけでも弾幕勝負がされたわけでもないようだが、胆の弱い人間なら逃げ出してしまうか、悲鳴を上げてしまうような威圧感だった。

幽香が霊夢に対して口を開いた。

「あらあ、霊夢。お久しぶり。どうしてあのみすぼらしい賽銭箱に一円も入って
いないのにお買物なんてできるのかしら?収入が無い他力本願のまるで乞食
のような生活を送っているのではなかったの?」

「おあいにくさま。生活に困るほど困窮してはないのよ。それよりなんであんた
が人里に出向いて買物なんてしているの?まさかその年で『今日は楽しい雛祭り
~』とかやるつもり?それも一人で寂しく」

二人が、互いに「殺る」という思考に移行するまでに、さほど時間はかからなかった。

「ちょおっと、待ったあ!」

早苗が、誰も動けない空気の中、空気を読まずに幽香と霊夢の間に割り込んだ。
そして、まず、霊夢を指さして叱った。

「異変を解決する巫女がこんなところで争っていては駄目でしょう!もっと巫女としての自覚を持って穏便にすまそうとか考えないのですか!」

そして、次に幽香のほうを指さした。

「あなたも、人里で争うのはやめなさい。ほら早く行きなさい、でないとこの私が
退治しますよ!」

幽香と霊夢は一瞬互いに顔を見合わせ、この命知らずの⑨に対して、互いに同じ思いを抱いていることを確認すると、同時に行動を起こした。


幻想郷が、揺れた。



早苗は、次の駅に停車するというアナウンスで目を覚ました。珍しく、車内が空いていたため、席に座ることが出来た。そして、昨晩徹夜してテスト勉強をしていたため、どうやら寝てしまっていたらしい。
目の前にはいつの間にか自分と同じ制服を着た生徒が立っていた。

「おはよ、東風谷さん」

「あ・・・、えーと」

いきなり寝起きに話しかけられた為に、早苗は咄嗟に反応する事が出来なかった。早苗は、寝ている姿を見られたのかと少し慌てた。

「分からない?同じクラスなんだけど」

「あー、・・・ごめんなさい」

顔には見覚えがあったが名前を思い出すことができなかった。
そこで早苗は一つ疑問に思った。

(なんで私なんかに話しかけたんだろう)

早苗は、色々なことに首を突っ込みすぎる性格だ。しかし、周囲の人たちは必ずしもそれを良いとは思わなかった。そのおかげで早苗は人と話そうとするも、だんだんと避けられるようになり、そして、居場所を失くしていった。
だから、疑問には思ったが正直話しかけられたことに対するうれしさのほうが大きかった。

「それよりさ、聞きたい事があるんだけど」

「うん?何?」

何の警戒も無く、早苗は質問を促した。そして、すぐにそれが過ちだったと、話しかけられた時点で既に BAD END が決まっていたのだと、理解した。

「どうしてお弁当、トイレなんかで食べているの?」






目が覚めた。激痛が走った。
水月(みぞおち)に霊夢のお払い棒が突き刺さり、そのちょうど反対側を、幽香
の日傘で肉に貫通しないように突き刺されていた。
前方と後方から同時に衝撃を受け、逃げ場を失った痛みは全て余すところ無く全
神経に伝わり、呼吸は止まり、内臓は動くのをやめた。

(あ、今のあれ走馬灯・・・それとも・・・・幻・・・?)

痛みの中、それだけ思うことが出来た早苗は、そのまま意識を無くした。

「おーい、早苗ー生きてるかー」

ぺちぺちと早苗の顔を霊夢がはたく。

「・・・どうして、トイレに入ったのを知って・・・お願い・・・そんな目で見
ないで」

「さーなーえー!」

「は、はひっ!」

耳元で霊夢が怒鳴り、早苗の目が覚めた。
外は既に日が暮れかかり、人の行き交いも少なくなってきた。
霊夢と幽香は、気絶した早苗が起きるまでずっと待っていた。

「随分と面倒臭い娘ねえ。自分から厄介事に首を突っ込んでその挙句気絶するなんて」

「あんたも随分暇な性格よ。結局早苗が起きるまでずっとそこに立っていたくせ
に」

「あ、えーと、お二人は・・・」

幽香は用の無くなった日傘を閉じてたたむと、後ろを振り向き、そのまま歩き出して帰路についた。

「すっかり興が削がれちゃった。また今度神社にでもお伺いした時にでも戦り合
うからいいわ」

「ならその時は、賽銭かお酒くらいは持って来なさいよ」

幽香は「考えておくわ」と言って、その場から去っていった。

さて、と霊夢が仕切り直す。

「あんたもそろそろ帰んなさい。あ、殴った事、一応謝っとくね」

そして、霊夢もその場から飛び去っていった。
一人残された早苗は、満身創痍の身体を引きずり、自分が祀る二人の神が待つ自分の帰る所へ、とぼとぼと力無げに帰っていった。



「・・・ただいま、戻りました」

「お帰りー、随分遅かったね・・・ってぼろぼろじゃない。何かあったの?」

二人の神の内の一人、洩矢 諏訪子が寝転がって外の世界から持ってきたニンテン◯ーDSをやりながら尋ねてきた。

「ええ、まあ・・・本当に色々とありまして・・・」

心配をかけまいと思い、早苗は今日あった事は話さないでおこうと思った。
奥からもう一人の神の八坂 神奈子が一升瓶を持ちながら現れた。

「ん、じゃあ早苗、山の妖怪達との宴会の準備。甘酒と菓子の用意をお願い」

すっかり呑む気満々の神奈子の言葉に「はい」、と言いかけて、そこで早苗は気が付いた。
霊夢と幽香をとめる際に、早苗は近くの小屋の軒下に荷物を置き、そして色々あったためそのまま忘れて帰ってきてしまっていた。
神奈子が首を傾げて応答を待ったが、早苗は言葉に窮してしまった。
そのまま早苗は神奈子の横を通り過ぎ、寝室へと向かった。
度重なる不運に、流石の現人神もついに屈し、考えることをやめた。二人の神が呼び
掛ける声も無視して、無駄な動き無く、布団を座敷に敷いて、そのまま眠りにつ
いた。





翌日、早苗は昨晩の不祥事を諏訪子と神奈子に謝り、昨日何があったのかを全て話した。
昨晩何も準備が出来ていないまま早苗が寝てしまったため、山の妖怪達をなんとか説得して帰ってもらうのに1時間かかったという。
だが、神奈子も諏訪子も早苗を責めるような事は一切しなかった。

「厄がついたのならそのまま帰ってくれば良かったのに」

といい、早苗の苦労を労った。

「大丈夫、もう厄はついてないから安心して」

祟り神である諏訪子にはそういうものが見えるので、心配している早苗を励ます
ように言った。

「それで、山の方々には何と言って説得したのですか?」

「ああ、それなら、今日に延期するって事で説得したよ・・・それと、朝早くに
人里から参拝客が沢山来てね、みんな早苗に感謝していたよ」

早苗は神奈子の報せに驚き、「え」と聞き返した。

「ほら、人里で一悶着ありそうだったのを止めただろう。そのお陰で近隣の家が
壊されずに済んだってね」

玄関を覗くと、大量の酒や奉納品と思われる物が置かれていた。山まで来るのはただでさえ大変なのに、そこに奉納品まで持ってきてくれた人々の感謝の気持ちに早苗の心が震えた。

「おーい。守矢の神様方はいらっしゃるか」

玄関の外から声が聞こえた。
神奈子に促され、返事をしながら早苗が対応する。

「はーい、どなたでしょうか」

早苗が扉を開けて目に入ったのは、人里で寺子屋の教師を営む上白沢 慧音とそ
の友人である藤原 妹紅だった。妹紅の肩には何かが入った袋が担がれていた。

「お、早苗か。ちょうど良かった。」

「は、はあ・・・ええと何か御用ですか?」

「いやな、昨日、私の寺子屋の軒下に甘酒の材料と菓子の入った袋が置かれていてな・・・その、誰かが寄進してくれたのと勘違いして生徒たちに振舞ってしまったんだ」

そして慧音はそれが早苗のものだと後で里の人からの話で聞き、お詫びとして昨日早苗が買ったものと同じものと、酒やその肴を持ってきた。

「助かります、今日妖怪の山の方々と宴会を催す予定だったので」

「そうか!なら折角だから私も準備を手伝おう。妹紅、お前もどうだ?」

「・・・私は先に帰らせてもらうぞ。宴会の雰囲気はあんまり好きじゃないんでな」

そう言って、妹紅は帰ろうとしたが、後ろにやって来るものたちの姿を見て「前言撤回」と言い直した。

「ちょっとー、はあ、なんで私がこんなきつい石段・・・はあ、登らなきゃ、はあ、いけないのよ」

「辛抱なさい輝夜。ペットの不始末のお詫びも兼ねているのだから、その飼い主が謝りにいかずにどうするのですか」
杖をつきながら必死の形相で石段を登る輝夜を永琳が諭した。後ろでは、「罪の重さ」と書かれたタイヤの上にてゐが座り、鈴仙がそのタイヤを引っ張りながら石段を登っていた。

「し、師匠・・・これ、なんか意味あるのですか・・・?」

「ん、別にこれといっては無いけど?」

即答する永琳に半ば諦めたようにため息を吐く鈴仙。
先に境内へとたどり着いた輝夜に妹紅が話しかける。

「無様な姿だな。月のお姫様はこんな石段さえ杖に頼らないと登れないのか。歳はとりたくないな」

「あんたみたいな、没落野蛮・・・はあ、貴族じゃ、ないんだから、仕方ないで・・はあ」

「あー?なんか言ったのか?」

ぜえぜえ、と息を切らしながらも、輝夜はその言葉に対し反撃したが、妹紅はうまくしゃべれないことをいいことにほぼ一方的に罵った。
言葉遊びでは、いつもならば輝夜に軍配があがるため、ここぞとばかりに妹紅は攻撃しまくった。

「はいはい、そこまでにしておけ」

あと少しでいつものように殺し合いが始まるといったところで慧音が仲裁に入った。
鈴仙も境内にたどり着き、ばたとその場に倒れこんだ。

早苗が鈴仙を労い、鈴仙はその早苗の優しさに「今日から私もここの神社の信者になります!」といいかけたところで師匠に当身をくらい、また地面に倒れた。

「宴会が開かれるんでしょう?だったら私たちも参加させていただいてよろしいかしら」

「・・・何故宴会があることを知っているんだ?私たちもさっき聞いたばかりなのに」

「え?だって、こんなに集まっているのに宴会以外に何があるの?」

そういって、永琳が石段の下を指差す。
そこには、妖怪の山の妖怪たちは勿論、騒ぐことが好きな者たち、酒が呑めると聞いて駆けつけた者たち、誰かが行くと聴いて自分も行くと言い出した者、様々な人、妖怪、妖精、種族を問わずに集まっていた。

「よお霊夢、お前も来ていたのか」

「あら奇遇ね。山の神社になにか用でもあるの?」

「いや、昨日早苗にちょっと悪いことをしちまってな、侘びでも入れようかなと思って。そういうお前は?」

「昨日早苗と少しあってそのお礼参り」

「似たようなもんだな」

「お嬢様、よろしかったのですか?」

「霊夢が行くのなら私も行くに決まっているでしょう」

「あややや、これはまた、多く集まりましたねえ」

「べ、別に私は来たくなかったのだけど、魔理沙が・・・その・・・行くって言うなら」

「久しぶりの山だねえ。あの頃と大して変わってないよ。ふふっ、神と飲み比べなんてのも面白そうだ」

続々と神社に集まる者たちを見て、早苗は唖然とした。

「偉いことになってるねえ」

神奈子が早苗の横に立ち、手を肩に乗せる。

「ひな祭りは、女の子のお祭りだ。主役がこうも多いと準備も大変だな早苗」

「・・・はい!」

早苗は、慧音や先に着いた者たちと共に宴会の準備を始めた。
1日遅れのひな祭りだが、例年より楽しい日になりそうだと早苗は予感した。




「厄を身に着けるものは更に新たな厄を呼び込む。悪いことは続きやすいって言うけれどまさにその通りね」

鍵山 雛が神社から少し離れた木の上から見下ろしていた。
「あの子が私の厄を取っていってしまったおかげで、あの子自身が雛人形と同じように厄を受ける対象となってしまった。」

「でも厄には限りがある。それに、厄を払った後に残るのは幸せばかり。塞翁が馬なんて言うでしょう」

「はあ、今年の私の仕事、おかげでかなり少なくなったわ。ま、それでみんなが幸せになれるのなら別にいいのだけれど」

厄を流してみんなの幸せを願う。そのために鍵山 雛は今日も厄を集める。
今の早苗の笑顔も、雛の仕業のひとつなのかもしれない。
普通の創想話では初めての投稿です。少し改行が不自然な部分があるかも・・・。
早苗さんには申し訳ないことをした・・・。早苗さんお許しください!

雛祭りネタを書いてみました。

雛だとどうしても話が作りにくいなあと感じたので主役は自機昇格した早苗さんにしました。
早苗さんは、きっとぼっちだったに違いない。便所飯は実話ではないですよ。ええ、違いますからね。


指摘されていたところをいくつか修正。加筆。

走馬灯・・・というか幻?の行に出てくる女の子は、名前のない、外の世界でのトラウマとなった人たちの集合体みたいなものと捕らえていただけるといいかな・・・。だから顔は見覚えがあるのだけれど名前はごちゃ混ぜになって思い出すことが出来ないというかそもそも無い。こじつけみたいですが。慎みなさい。私は真実を語っているだけですっっ!
なんか痛みのあまり不思議体験しちゃった!みたいな感じに思ってくれればありがたい。分かりやすくいうとあれ、チャンピオンで連載中の某格闘ギャグ漫画のアンチェインvsゲバルみたいな感じのやつ。
金欠
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コメント



0.1400簡易評価
4.100夕凪削除
雛、早苗さんの厄とってあげて!
確かに早苗さんには色々厄が回ってきましたが、それだけで終わることなく、良い感じでまとまっていたと思います。
改行は特に気にならなかったですが、ひとつだけ改行ミスっぽいのがありました。

走馬灯部分の
苗は咄嗟に反応する事が出来なかった

たの部分で改行されてますね。
7.80名前が無い程度の能力削除
走馬灯の下り…
早苗さんはいじめられっ子だったんじゃろか…?
8.90名前が無い程度の能力削除
考えたら少女だらけの東方にこれほどふさわしい日もないよな。
なにはともあれ、厄神様、毎年お疲れ様です。現人神様、今年はお疲れ様です。
11.100名前が無い程度の能力削除
「厄」というのは転じて「役」になりますから、別に厄が付くのも悪い事ばかりではないのですよね。
16.80名前が無い程度の能力削除
早苗さん居場所が無かったんかなぁ 前半は涙目だったけど最後は大団円で良かった。
20.80賢者になる程度の能力削除
早苗さん…(';ω;`)ウッ


地の文にも少し雰囲気があると、もっと良くなるかもです。
22.60名前が無い程度の能力削除
便所飯はですね。職員用トイレを使うと、クラスメイトと顔を合わせずに済むのでおすすめですよ。
25.90名前が無い程度の能力削除
罪の重さwww天才の考えはやはり凡人には分からないw
27.30名前が無い程度の能力削除
キャラ崩壊以前に前後のつながりを考えずに思いつくままに書いてないかな?
例えば早苗は人見知りして友達できないから便所飯をしてるほどなのに
幻想卿では喧嘩中の二人に割って入れるほどの度胸があるとか。
(高校デビューみたいに幻想卿に来て自分を変えたなら簡単でも説明が必要)
それにあの割って入った部分にしても、早苗はそんなにおかしな事を言ってるわけでもなく、
双方から攻撃を受けるほどでもないしね。
全体的に違和感が先行して素直に楽しめませんでした。
29.無評価金欠削除
たくさんの評価ありがとうございます!
テスト前だというのに徹夜して書いたのが報われた心地がします。

コメントで走馬灯の部分についての指摘の多さに驚きです。便所飯は・・・身近にあるものなんですよ・・・。

あとがきに少し補足分を追加しました。
伝えたいことを伝えきるのって難しいですねー。
33.100名前が無い程度の能力削除
早苗さんカワイイなぁ!東方キャラの中で将来良いお嫁さんになりそうな人No.1だと思います(個人的に) 美人で真面目で健気で天然!!理想だなー。
34.80ずわいがに削除
最後はまぁ良かったんだが、それにしたって厄過ぎるぜ。走馬灯の辺りで胃が痛くなっちまった。
早苗さん、これから幸せになっちくり。
38.90名前が無い程度の能力削除
後書き見たら板垣絵で再生された。どうしてくれる。