「激動、小悪魔のお悩み相談教室ぅぅぅぅぅぅぅッ!!」
イエェェェェェイ!! とハイテンションなまま右腕を突き出した小悪魔に同調し、ノリノリで腕を突き出す妖精メイド達。
場所は紅魔館地下の大図書館。普段は静寂をこよなく愛する魔女も今はディレクターとして椅子に座り、サングラスをして足を組んでいたりしてノリノリだった。
「さぁさぁ始まりました小悪魔のお悩み相談教室。私、メインパーソナリティの小悪魔です。今日はクマの着ぐるみを着て撮影に臨んでますので、今日の私はこあ熊です!! 小悪魔だけに」
ぶふーと自分のギャグに噴出す小悪魔。スタッフと化した妖精メイド達もその場のノリでなんとなくドッと笑って会場が笑いに包まれた。
知らぬが仏である。
「さてさて、小粋なギャグもヒットしたとこですし、番組の内容をご説明いたしましょう。
内容はいたって簡単、視聴者の皆様から送られてくるお悩みのお手紙を私が選び、私が相談に答えるという形になります。
最優秀のお悩みには毎回番組からプレゼントが贈られます。今日の最優秀者にはこちら、『魔法少女マジ狩るフランのブロマイドセット(チラリもあるよ)』が贈られまーす!!」
おぉぉぉと、会場にどよめきが起こる。
その命を張ったとしか思えないプレゼントにスタッフ一同は「小悪魔、無茶しやがって」と賞賛の言葉を贈りつつ、いつか迎えるであろう小悪魔の破滅の時を思って、みんなは涙ながらに胸の前で十字を切った。
「視聴者の皆さんからも『うちの椛が捻くれてしまったじゃないですか!! 責任取れ!!』や『生徒がセクハラするようになって来た。どうしてくれるんだ!!?』などと、
喜びの声も上がり益々大盛況の当番組。今日も張り切って行きましょう!!」
■PN『とても楽しい神社倒壊』さん■
最近、いつの間にか私が真性のマゾだと疑われてしまっていて困っています。
そんなことはないといつも言っているのに、みんなは聞く耳持たない状況です。
小悪魔さん、こういう場合はどうしたらいいのでしょうか?
PS、最近知り合いの妖怪の羽衣ではたかれるのが楽しいのですが、このぐらいなら大丈夫ですよね?
「手遅れです、あきらめてください」
情け容赦のない即答だった。
ボッシュート箱にポイッとはがきを放り込み、続いての手紙をガサゴソとお便り箱の中からあさり、一枚のはがきを取り出した。
■PN『天使な悪魔』さん■
最近、妹がつれなくてお姉ちゃん悲しい思いでいっぱいです。
何とか気を引こうといろいろやってるんだけれど、ぜんぜん相手にしてくれないし、そろそろさびしくてそこらへんの妖怪とか人間を八つ当たりでミンチにしてしまいそうなの。
小悪魔さん、なにか妹と仲良くできる方法はありませんか?
「ふむふむ、なかなか可愛らしいお姉さんの心。略して姉心!!
では、小悪魔アドバーイス!! そういう時は全力で押したおしてにゃんにゃんしましょう!! 引いて駄目なら押してみろですっ!!」
ヒューヒューと歓声が上がる中、小悪魔は満面の笑顔で次のはがきを取り出すためにお便り箱の中に手を突っ込んだ。
みんなして物騒な単語があったことには総スルー。細かいことは気にしないのがこの番組の鉄則である。
■PN『もこ弄り楽しむぐやぐや』さん■
最近、某アイドルプロデュースゲームをプレイしているのですが、金髪の女の子とのコミュニケーションがうまくいきません。
なかなか癖の強い子なのですが、どうやったらうまくコミュニケーションが取れるでしょうか?
小悪魔さんもプレイしたことがあるとのことなので、ぜひともアドバイスがほしいです。
「揉みましょう」
何を、と言わなかっただけ小悪魔はまだ紳士だったのかもしれない。正確には淑女と表現したほうが正しいのかもしれないが。
皆が「おぉ!」と驚きの声をあげる中、小悪魔はグッと握りこぶしを作ったかとおもうと、ダンッとテーブルを踏み台にする。
「ちょっと天然っぽいあの子を落とすには時には大胆なアクションも必要になります!!
よろしいですか? 奥手になってばかりではより良い関係など築けるはずもありません!!
時には狼になることも重要なのだと言うことを頭の内にとどめておきましょう!!
かくいう私も、魔界の神様と一緒にこの攻略法を見つけ、彼女の反応を見たときは思わず二人して身悶えしてしまいましたが」
フッフッフッと、怪しく笑いながら小悪魔は腕を組む。
余談ではあるが同時刻、ラジオを聴いていた人形遣いが紅茶を噴出してぶっ倒れ、頭を打って気絶した挙句、衝撃で棚の大江戸人形が転げ落ちて爆発した。
もうひとつ余談として、魔界の神様は髪の色が一緒だからと言う理由で、そのキャラの芸名を『アリス』にしていたりするのだが、それは魔界の神様と小悪魔だけの秘密である。
なおも熱く語っている小悪魔だったが、ふとカンペが目に入った彼女はくすくすと笑って肩をすくめるオーバーリアクション。
「Ohパッチェパーチェー、早くしろって言うんでしょう? もちろんわかっていますとも」
やたらエセ外国人っぽい発音で魔女の名を略し、彼女は陽気にお便り箱に手を突っ込んだ。
やがて取り出した一枚の封筒には、少し大きめの箱がついており、変わった手紙だと思いながら小悪魔はくすくすと笑った。
「これはまた、変わったお便りですねぇ。何が入ってるんでしょうかね、これ。ま、それはともかく、まずはお便りを読み上げちゃいましょう!!」
■PN『人里在住の外来人(♂)』さん■
実は折り入って恋の悩みをご相談したいとお手紙を送りいたしました。
あの人とは一度出会っただけなのですが、それ以来、彼女のことが頭から離れてくれません。
けれど、あの人はきっと私のことなど覚えてはいないでしょう。
この思い、どうしたらいいでしょうか?
PS、先日、小悪魔さんが人里のみんなに配っていた余り物のチョコレート、非常においしかったので御返しを同封します。その場で開封して召し上がってください。
「ありゃりゃ、わざわざありがとうございます。それじゃ、早速開封してみましょう!!」
そぉい!! っと勢いよく箱を開ける小悪魔。甘い物好きな妖精メイドがわらわら群がってきたが、彼女は気にせず箱の中身を確認。
すると、そこには『好きです。付き合ってください』なんて書かれたハート型のチョコが入ってた。
「って、恋愛対象私ですかぁぁぁぁぁぁッ!?」
スパァァァァンッといい音を響かせてチョップをチョコに叩き込む。
しかし、それはどんな材質でできているのやら罅一つ入らなかったりする。
群がっていた妖精メイドがヒューヒューと冷やかし、ディレクターと化した魔女も「ひゅーひゅー」と冷やかしに熱が入っている。
「やっ、や!?」と突然の事態に顔を真っ赤にしてわたわたとうろたえる小悪魔は、どうやら不意打ちに弱いらしい。
その反応にいっそう冷やかしに熱が入るスタッフ一同。小悪魔がうろたえるのは非常に珍しいからか、しまいには手拍子で小悪魔コールである。
恥ずかしさの余りに穴があったら入りたいと思った小悪魔だったが、まだ番組中だったということもありコホンと気を取り直して言葉を続ける。
「えーっと、残念ながら私には一生お仕えすると心に決めた方がいらっしゃいますので、申し訳ないですがあなたの気持ちにはこたえられません。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げる小悪魔だったが、心に決めた方と言った所でチラリと魔女を見ることを忘れない。
そのとたん、冷やかしの対象が一気に魔女になだれ込み、今度は彼女が顔を真っ赤にする番となった。
内心でしてやったり笑いながら、小悪魔はゆっくりと頭を上げる。
……直後、目の前にいた少女を目の当たりにして小悪魔は顔を上げたことを心底後悔した。
金紗のような髪に赤い瞳、病的なまでの白い肌に赤い衣服に身を包んだ小柄な少女―――フランドール・スカーレットが、にっこりと満面の笑みを浮かべておいでだった。無論、死なす類の。
「い、妹様! い、いつからそこに!!?」
「ふふふ、ここについたのは今さっき。でもね、小悪魔。声はもうちょっと抑えていたほうがいいと思うよ、私の部屋まで駄々漏れだったから。さ、写真出そっか」
うろたえる小悪魔をよそに、フランドールはぎゅっと小悪魔を抱きしめる。
腰あたりに腕を回したその刹那、ミシミシとすさまじい音を立てて胴体が締め上げられ始めた。
それと同時に流れ出すエンディング曲。
本来流れるはずのエンディングはピアノ曲の予定だったが、小悪魔の趣味で変更がなされ、流れてくる曲は『創○のアク○リオン』の遠○正明verである。
ノリノリの熱い曲と骨の軋む音が変にジョグレス進化して、お茶の間に届けられる怪奇現象。
「あだだだだだだだだだ!!? こあ熊だけにベアハッグゥ!!? 妹様、技が古いです!!?」
「あはは、やだなぁ小悪魔。私がそんな技かけるわけないじゃない」
必死こいてタップし、目で助けてと視線の周りに向ける小悪魔だったが、周りは「おつかれっしたー!!」とそそくさと撤収して行った。
やがて妖精メイドも魔女もいなくなる。本格的に四面楚歌に陥った小悪魔に、フランドールはにっこりと、それはもう見惚れる位に綺麗な笑みを浮かべ。
「フランブリィィィィィカァァァァァ!! 死ねぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」
「キャアァァァァァァ砕けるぅぅぅぅぅ!!? ていうかどっちにしても古いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」
問答無用で小悪魔の背骨をへし折り、図書館からツッコミ混じり断末魔が響き渡ったのであった。
ただアイマスをよく知らないのでそこの部分だけは置いてけぼりを食らったような気がしてしまいましたが。
展開もわかりやすく文章も読みやすかったです!!
良いお話でした!
貴方のこあは最高www
あと誤字の報告を
<しかし、それはどんな材質で出来ているのやら日々一つ入らなかったりする
日々じゃなくて罅では?
誤字報告
本文
>残念ながら私には一緒お仕えすると~
一生お仕えすると~
あとがき
>本当かどうか走りません
どうかは知りません
俺はこぁをあきらめん、あきらめんぞ!!!
おもいっきり吹いたじゃないかwwwww
このこぁには正面から両肩に手を置きしっかりと目を合わせて告白してみたいぞwww
マジ狩るフランちゃんの新作、または劇場版期待してますw
なにそれ凄くほしい
いずれは、子アッ熊ンも出してほしい