Coolier - 新生・東方創想話

繋ぎ止められた平行線

2010/02/22 03:12:38
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 ―― 貴女の想いは常に、我が心と共に。








―― 諦めとの決別 ――



 幻想郷の遥か地底、灼熱地獄跡。
 簡素な地図を描いた紙切れを頼りに、ここまでやって来たのは妖怪の姉妹。

「お姉ちゃん……これ?」
「間違い無いみたいね」

 そこに建てられた大きな建物……地霊殿を前に、二人は呆けて口を開けた。
 今日から、この豪邸が二人の正式な住まいとなることが決まっている。 
 灼熱地獄跡そのものと、そこに残る怨霊の類を管理する見返りとして与えられたものだ。
「いよいよ最果てに飛ばされたってところかな……静か、だね」
「ええ、本当に。ここが最果てとなればいいのだけど」
 一人が表情を曇らせてそう呟いたのを見て、もう一人も同様に悲しみを覗かせた。


 この二人、古明地さとりと古明地こいしは『覚』と呼ばれる妖怪の姉妹である。
 第三の瞳を以って心の内を見透かしてしまう彼女らは、何処に居ても恐怖の対象だった。
 直前まで住んでいた場所でも全く変わりは無く、街という賑やかな空間においても、
 二人の周りだけはいつも静かだった。望む望まないに関わらず、常にだ。
 ここは、そんな境遇が当たり前だった彼女らですら、真に静かであると感じる場所らしい。

 要するに、何も無いのだ。
 地霊殿の奥には管理すべき怨霊が居るのだろうが、今はまだなりを潜めている。
 二人の登場にどんな反応をするかは分からないが、どうせまた勝手に恐れて大人しくなるだろう。


 一体なにを考えているのか、暗い雰囲気に陥っていた二人だったが、
 いきなり妹君が明るい声をあげて振り返った。姉君よりもさらに後方、こちらに向かってだ。
「さぁ、ここが新しいお家だって! 早く入ってみようよ!」
 丁度、自分が先頭で座っていたので、一鳴き返事をする。
 妹君はこちらの返事を受けて満足げに微笑み、姉君の手を引いて駆け出していく。
 続いて、自分を含む数匹の動物が、彼女らに付き従うように建物へ足を踏み入れた。


 ここに居るのは、いずれも言語でのコミュニケーションが出来ない奴ばかりだ。
 自分だって例外ではなく、これといった取柄も無い一介の地底動物をやっている。
 妖怪という知能も力もある種族にとって、我々など取るに足らない存在である事は珍しくない。
 そんな中、彼女らは我々の考えを正確に理解し、また最大限に汲んでくれる稀有な存在だった。
 まるで家族のように接してくれる彼女らに惹かれるのは、ごく自然な流れであろう。

 我々を惹き付けるその能力が、静かな迫害の原因となっているのも勿論理解している。
 例えば今回のような、体のいい僻地への隔離もその一つだ。
 だからこそ彼女らの能力に好感を覚える我々が、彼女らを支えて然るべきだとも思う。



 建物の中に入ると、妹君ははしゃいだ様子で手をバタバタさせた。
 あわせて姉君の腕も、ガクガクと引っ張られて激しく上下する。
 そんな状態になりながらも、あちこちに視線を巡らせては何かを納得したように頷いていた。
 引っ越し前には想像もしていなかった豪邸に思わずきょろきょろしている二人の主人達。
 それを後ろの方から眺めていると、実に心を和むのを感じることが出来た。

 やがて、妹君が大声で姉君と我々を呼んだ。
 全員でそちらへ向かってみると、中庭へ続くと思しき扉があるのが分かった。
 少し遅れて姉君も到着し、姉妹揃ってその大きな扉に手を掛ける。
 重たい音を響かせながら開いていく扉の隙間から、眩しい光が漏れ出した。
 続いて、むせる様な熱気が容赦なく吹き付けてくる。
 封印の意味も併せ持った分厚い扉の向こう。それは、見紛う事無く地獄であった。
 燃え盛る火炎と飛び交う怨霊。これを管理するのが主人達の成すべき仕事となる。
「これは……何と言うか、想像よりだいぶ荒れてるわね」
 妹君の率直な意見に、その場の誰もが同意する。
 なんとも管理し甲斐のありそうな、荒々しい光景だったからだ。
「まずはちゃんと検討しなくちゃ……はぁ、何から手を付けるか」
「えと、やることが決まったら皆も手伝ってねっ」
 妹君が満面の笑顔を向けて言った。炎を睨んで頭を抱える姉君とは対照的だ。

 我々にとって、こんなに嬉しいことはない。
 ここで我々がこなすべき仕事が分担されれば、大いに主人達の役に立てる。
 合唱するかのように皆で返事を返したところ、二人とも微笑みを浮かべてくれた。


 こうして、ここ地霊殿での生活が幕を開けたのだった。





 §




 この場所へ越してきてから、数日が経過した頃。
 主人達の検討によって、大きく分けて二つの管理項目が明らかとなった。
 旧灼熱地獄跡の火力調整が一つ、そこに漂う怨霊の管理が一つである。
 その話を我々に聞かせる二人の表情に冴えは無く、こちらとしても戸惑うしかなかった。
 加えて、その話の内容というのが、我々だけではとても成し得ないものだ。
 そこまでを知って、こちらも漸くと納得する。
 主人二人と我々数体だけでは、これだけの仕事をこなす事が出来ない。
 その辺はこれから考えるから、と妹君は明るく笑って見せたが、目処は立っているのだろうか。


 それからというもの、我々は主人達が言い争いをする光景を幾度と無く見る事となる。
 姉君は自らの干渉が恐怖を与えている事を理解し、地霊殿を嫌われ者の安住の地と捉え、
 あえて嫌われ者として周囲と隔絶して暮らす道を選ぼうとしていた。
 仕事をこなす仲間は、我々のように主人達の能力に好感を覚える者達だけで賄えば良い、と。

 しかし妹君は、あくまでそれに反発し続けた。
 地霊殿という見返りがあれど、結局は半端ではない仕事量を押し付けられたに等しい。
 その点に不満を感じたらしい妹君は、共に地霊殿で仕事をこなす仲間を集めたいと提案した。
 対象は我々のような地底動物や下級妖怪にとどまらず、いわゆる地底の民も含まれる。
 遠く追いやられた地においてなお、妹君は他者との交流を諦めてはいなかったのだ。

 思えば、地底の民に紛れて暮らしていた頃からそのような傾向はあった。
 何かと一人で済ませてしまおうとする姉君に対し、妹君は常に周囲との接触を図ってきた。
 傷付くと分かっていながらも積極的に出歩き、その度に泣きながら帰ってきていたものだ。
 覚という妖怪であるが故に、恐れが先に立って受け入れてもらえない。
 姉君が何度も何度も諭し、これ以上傷付かないように言い聞かせていた。
 当たり前な筈なのにこの上なく困難な普通の付き合いというものに、
 妹君はどんな想いを抱いているのだろう。憧れか、それとも意地なのか。

「こいし、いい加減聞き分けて頂戴」
「だって! これが最後の機会なんだよッ!」
「でも、心の奥では分かってる」
「そんなこと無い! いま逃げちゃったら……」
「ええ。厄介払いはこれでお終い。誰も私達に構わなくなるでしょうね」
「お姉ちゃんはそれで良いのッ? 私は……私は嫌よ!」
「いつも通り、諦めがちらついているわよ。こいし」
「…………ッ!」

 言い争いが聞こえて、思考を中断する。これがいつものやり取りだ。
 妹君が自分の考えを理解してもらおうとして、けれど姉君に心の奥底にある諦めを指摘される。
 すっかり諦観した姉君には取り付く島も無く、妹君の反論はここで終わってしまう。
 具体的にどうすればいいのか、その答えが見つからないからだ。
 過去に幾度と無く試みた、他者とのコミュニケーションは、全て妹君の涙で幕を閉じている。
 その経験があるからこそ、心のどこかに諦めという感情が根付いてしまっている。
 覚という妖怪である以上はどうしようもないのだと、理解してしまいそうになるのだろう。

 どん、と乱暴に開け放たれた扉から、妹君が飛び出して行ってしまった。
 姉君が微かな溜め息をつきながら、パタリと扉を閉める。
 どうしようか一瞬迷ったが、出て行ってしまった妹君を追うことにした。
 近くで一部始終を見ていた仲間達のうち、数体も一緒に付いて来る。
 残った数体は地霊殿に残り、姉君の様子を気に掛けているだろう。


 どちらの言い分も分かる。
 自分、そしてそれ以上に妹君が、不必要に傷付かないよう護ろうとする姉君のことも。
 自分、そしてそれ以上に姉君が、誰しもに嫌われる存在である事を否定したがる妹君のことも。
 傍から見た感想以上の何者でもないが、それでも理解したつもりでいる。

 我々の間でも、感じ方は一緒だ。
 姉君の考えと同じく、もう心を傷付ける事などなく過ごして欲しいと願う者もいる。
 妹君の考えと同じく、嫌われ者のままで一生を過ごして欲しくないと願う者もいる。
 しかしそれらは、現実においては同時には叶う事の無い話。
 周囲との接触そのものを断てば心は護られるが、それ以上は何も起こらない。
 周囲との接触を試みるなら可能性が生まれるが、それはあくまで可能性のみ。
 果たしてどちらを優先するべきなのか、それは各々の考え方に大きく左右される。

 どちらかを支持しろというならば、今、共に走っている我々は皆、妹君を選ぶだろう。
 だからといって姉君を否定するという訳では勿論ない。
 ただ、妹君が抱く夢を、希望を、願いを。
 妹君自身が諦めてしまわぬうちは、それを理解し支えたいと想うだけだ。


「あれ、皆……」
 地底の民が暮らす街に程近い場所で、妹君は膝を抱えて座っていた。
 随分と地霊殿から離れてしまった。耳を澄ませば、街の喧騒が聞こえてきそうだ。
 街の方向を向いていた妹君が、落ち込んだように顔を伏せる。
 どうやら今日は、勢いに任せて街に飛び込んだりはしないようだった。
 いつも地底の民と交流を持とうと躍起になっては、拒絶されて帰ってくる。
 そんな姿を、嫌でも見慣れてしまっていた我々は、知らず安堵の感情を浮かべていたらしい。
「……ごめんね、心配掛けて」
 妹君が、酷く辛そうにそれだけ言った。
 やっと絞り出したかのようなそれは、後半は殆どかすれてしまっていた。
 そこで初めて『いつもの行動を取っていなくて良かった』と感じている事に気付く。
 いや、本当は毎回感じてはいた。ただ、表に出てこなかっただけの話。
 妹君の想いは支持したいと思っても、妹君が傷付いてしまうのはやはり望むところではない。
 だからこその相反であり、またその気持ちを押し止める必要もないだろう。
「やっぱり、無理なのかな」
 その答えは、我々には導き出す事が出来ない。
 言葉を持たぬ我々がいくら鳴こうとも、周囲の心まで動かす事は難しいだろう。
 諦めてしまえば、傷付かなくなると同時に可能性が失われる。
 だからこそ妹君は、これまでも傷付く事を厭わずにどこまでも前向きでいた筈だ。
「そう……だね。うん、諦めないわ、私」
 やっと顔を上げた妹君は、やはり辛そうな顔をしていた。
 我々はそっと主人に寄り添って、同じように遠くの街を眺める。
 あの場所を追われたこと、きっと相容れないこと、そしてそれがずっと続くこと。
 ゆらり、ゆらりと揺れる妹君の第三の瞳もまた、じっと街の方を見つめていた。

 やがて、妹君がゆっくりと立ち上がる。
 そしてくるりと踵を返すと、地霊殿の方角へと向かって歩き出した。
「さ、帰ろっ。あんまり遅くなったら、またお姉ちゃんを心配させちゃうわ」
 我々も妹君の後に続き、我々の家を目指す。
 喧騒が聞こえそうな街が遠ざかり、そして再び静寂の世界が我々を迎え入れた。





 §





 地霊殿の仕事をこなすべき仲間が、着々と集まってきている。
 地底動物や下級妖怪を中心に、いずれも言語を持たないものばかりだ。
 自らの意思を汲んでくれる第三の瞳を好いた、我々と同じ同士である。

 今日も姉君が、動物を胸に抱えて帰ってきた。
 こうしてちょくちょく出かけては、何かしらを拾ってくる日々が続いている。
 地霊殿での仕事に対し、役割分担をして働いてもらうためだ。
 見返りは住まいの提供と生活の保障。野良妖怪よりよっぽど安全だ。
 だからこそ、短期間で多くの動物が地霊殿に住み込むようになっている。

「こいし。この子、何が出来そうかしら」
 今日の姉君は、帰ってくるなりそんな事を言った。我々はもとより、妹君も目を丸くする。
「えっ。それを決めてから連れて来たんじゃないの?」
 言うまでも無く、この活動は地霊殿維持の働き手の募集が主目的である。
 ずっと動物集めを取り仕切っていた姉君から、こんな言葉が出るとは思っていなかった。
 見れば、働き手というには幼すぎる動物が、姉君の腕の中で震えている。
 流石にこれでは、仮にも地獄という環境での労働に耐え得るとは思い難い。
「だって、お腹を空かせていたから……駄目?」
「いや、駄目って言うか……」
 妹君は何事かを少し考えてから、優しい微笑みを浮かべる。
「えっと、いいんじゃない? お姉ちゃんが必要だと思った、でしょ?」
 姉君も実に嬉しそうな笑顔を浮かべ、それを家の中に放した。
 新たな住まいを見渡している姿に向かって、妹君が宣言するように声を掛ける。
「元気に育ったら、あなたもおうちの事を手伝うのよ。約束ねっ」
 礼を言ったのだろうか、鳴き声が一つ返ってくる。
 主人達が顔を見合わせ、互いにクスクスと笑い合っていた。
「久々ね、お姉ちゃんが我が侭なんて」
「そう……かしら」

 考えてみれば、このように堂々と住まいを構えられたのは初めてのことだ。
 いつも様々な場所を転々としていたため、このように一生を想定して腰を落ち着けた事が無い。
 だからこそ、これまで彼女らと共に過ごしたのは我々数体のみだった。
 だが今は、過程はどうあれ地霊殿という安住の場所を得た。
 少しくらい我が侭に振舞っても良いのではないかと、そう思える。



 その夜、再び主人達の姉妹喧嘩が始まっていた。喧嘩の原因は勿論、いつものあれだ。
「じゃあ、いつまでも諦めが消えないのは何故なの、こいし?」
 今回もまた、この一言で止めを刺されて終わる。
 覚という妖怪である限り、心の奥底に封じ込めても消すことの叶わぬ諦め。
 姉君は既に諦めに身を委ね、その中で以って幸せを掴もうとし続けている。
 諦めるという言葉の響きが悪い事もあって、万人に受け入れられる答えでは無いかもしれない。
 だが、彼女にとって諦めは終わりではない。逆に、幸せの始まりなのだ。
 先に見せた我が侭一つとってもそう。諦めた上で、その先を見据えている。
 手の届く範囲で、叶え得る全ての幸福を得ようとしているだけ。
 だからこそ姉君の言葉には重みがあり、また反論を難しくさせる。

 この日もまた、妹君は答えを見つけられずに終わるかと思われた。
「……だったら。だったら私は、その諦めを消すわ」
「なんですって?」
 受け入れられないのは、覚が心を読めてしまうから。
 他とは全く違う、気味の悪い能力が疎まれてしまっているから。
 この事実を否定するための方法として、最も手っ取り早いのは何か。
「諦めている原因ごと、無くしちゃえばいい」
「それもずっと、心の隅っこに引っ掛かっていた話でしょう」
「だからよ。これが、私の答えなんだって思ったの」
 ガタリと音を立てて、姉君が座っていた椅子から立ち上がる。
 そしてじっと妹君を見つめて、何事かを考えて。やがて、椅子に座り直した。
「ただの妖怪として……ね。それがどういう事か」
「分かるわ、お姉ちゃん。今はまだ『覚』だもの」
 真面目な表情の妹君。いや、真面目を通り越した、やや冷たい表情で。
 姉君は一見平然としているが、その心中では何を思っているのだろう。
「でも、お姉ちゃんも知らないのね」
「知って、どうするつもり?」
「分かってるくせに」
 言葉が思考を引き出して。そして相手の知識を探り合って。 
 二人の胸に等しく開く第三の瞳。怪しい輝きを湛え、相手を見据える心の眼。

「それじゃあ、おやすみなさい」
「……ええ、おやすみ」

 少しの沈黙を挟んで、二人は互いに背を向けた。
 主人達は一体、どのようなやり取りをしていたのだろうか。
 交わされた言葉どおりならば、それが意味するところはたった一つだ。
 そしてそれは、恐らくは間違いではないのだと思う。


 諦めている原因ごと、消す。
 つまりは『第三の瞳が無ければただの妖怪として振舞う事が出来る』ということ。
 分かりきった話だ。本気でそれを望むのであれば、それもまた一つの道なのだろう。

 静かにティーカップを傾ける姉君を遠くから見つめて、そんな事を思った。








―― 果たされる願い ――



 覚姉妹の最後の喧嘩から、明けた翌日。
 姉君は、旧地獄跡の管理をこなせる者を探しに出掛けて行ってしまった。
 やや間をおいて、ゆっくりと扉を開けて出てくる妹君。
 そして同じように出掛けようとして、目の前の光景を見て驚いた表情になる。

 自分を筆頭に、妹君を支えたいと願う者たちが群れ、地霊殿を取り囲んでいたからだ。
 すぐさま、我々が何を考えているのかを確認し把握したのだろう。妹君は両目を細めた。
「通して。私も、地霊殿で一緒に暮らせる『仲間』を探しに行くんだから」
 やはりそうだ。その為に、覚としての能力を捨てようとまでしている。
 このことを知っていながら、何故に姉君はああもいつも通りなのか。
「お姉ちゃんは悪くないわ。まだ、私が覚を捨てられないって知っているから」
 能力を捨てれば、その胸の瞳を閉ざしてしまえば、妹君は覚ではなくなってしまう。
 昨日だってその事について話していたのではないか。ああも言い争っていたのではないのか。
「私はまだ、この瞳を閉ざせないわ」
 ならば何故。何故、姉君を置いていくのか。何故、そのような悲しい顔をするのか。
 何故、それほどまでの決意を固めておきながら、すぐにでも覚を捨てないのか。
 まだ、その時ではない。そういうことなのではなかろうか。
「それは問題の先送りよ。もう決めたわ、諦めるのは終わりにするって」
 だが、その瞳は開いたままだ。今もこうして、我々と向き合っているではないか。
「分からないの、瞳の閉ざし方。覚の捨て方。お姉ちゃんには無縁の話だしね」

 覚を捨てること。自分自身を否定すること。
 生半可なことではない。自分自身の意思で可能な事なのかどうかすら定かではない。
 
「だから出掛けるの。ただの妖怪になる為に。お姉ちゃんを、置いていくの」


 妹君の意思を支えたい。この主人に、幸せになってもらいたい。
 そう願い続けたこの場の者達は、大きく分け二種類の反応を見せた。
 引き止めようとする者と、何があろうと共に歩んでいこうとする者だ。

 ずっと支えあった姉妹を置いて、一人ただの妖怪になったとして。
 その先に幸せがあるのだろうか。そんな不安定な道を歩んで、大丈夫なのか。

 自身が決めた答えを否定し続けるのは、実に苦しいことだ。
 ならば、彼女が信じた答えを信じ、どこまでも支え続けていくのみ。

 そのいずれの思考も、妹君の身を案じるが故。


 そんな思考の濁流を受け止めていた妹君が、口を開いた。
「私の事はどうでもいいわ。だって、覚をやめてしまうんですもの」
 感情を含まない冷たい声色で、周囲を取り囲む我々を押し退ける。
「お姉ちゃんを置いて、私はさっさと嫌われ者をやめるの」
 淡々とそんな事を言い、くるりと見回して。
「言葉にしなきゃ分からなくなる。あなた達の知ってるこいしは居なくなる」

 ずっと覚の姉妹と共に過ごした身。
 確かに、切っ掛けはその『嫌われ者の能力』だった。
 だけど。それだけの理由で慕い続けてきた訳じゃない。
 自分は『覚の姉妹』に付いて来たんじゃない。
 『古明地さとり』と『古明地こいし』という二人の妖怪に、付いて来たんだ。

「だったら尚更よ。私達を慕ってくれるのなら、お姉ちゃんを見ていてあげて」
 ならば、貴女はどうなるのか。一人きりになってしまう。
「嫌われ者を止める私は、きっと寂しくない。でも、そうすればお姉ちゃんだけが一人よ」
 瞳を閉じる手段も分からないのに。ただの妖怪として生きられるかも分からないのに。
 たった一人で、そんな手探りの暗闇を歩き続けるつもりだというのか。
「そうよ。付き合う必要は無い……いいえ、私の我が侭だもの、付き合わせないわ」
 納得出来るものか。貴女が本気なのはよく分かる。
 だからこそ、それを信じて隣に居たいと願う者達がいる。自分だってそうだ。
 暗闇の中で躓いた時、咄嗟に支えられるかも知れない。
 もし転んでしまっても、起き上がる手助けが出来るかも知れない。
「でも、そんなあなた達に……逆に躓いてしまうかも知れないじゃない」

 そう言い終わると、妹君は我々を突破して出て行ってしまう。
 そして、我々が後を追おうと駆け出したのに対し、振り返りもせずに叫んだ。
「付いて来ないで! あまりしつこいと……どうなるか分かんないよ!」
 途端に、ぐん、と身体が重くなる。妹君が威嚇で放った霊力の影響だ。
 幾らかの衝撃が身体中を突き抜けて、我々は一斉に吹っ飛んだ。

 彼女に真っ向から拒否された。
 その事実に愕然とする我々を置いて、妹君は更に遠ざかる。
 このまま付いて行こうとすれば、更に容赦なく攻撃されてしまうかもしれない。
 だが、迷いは無かった。先の衝撃で震える身体を何とか動かして立ち上がる。
 そして、すぐさま駆け出した。すぐ後ろには、同じように立ち上がった同士も居る。
 真っ先に立ち上がった自分に鼓舞されたかのように、懸命に走る仲間達。

 彼女は、姉君を頼むと我々に願った。
 その願いを聞き届けるのは、我々にとってやぶさかでない。
 今、我々は彼女の想いを真っ向から否定しようとしている。
 
 色々な感情が乱れ飛ぶ中、ただ鳴き声をあげる。
 鳴き声に鳴き声が返り、さらに鳴き声が響く。
 次いで、皆が失速した。自分の意図を正確に汲んでくれたかは分からない。
 だが、妹君の願いは聞き届けられた。ただ一匹、自分という例外を除いて。

 大好きな主人に喧嘩を売るのは、古明地こいしに嫌われるのは、自分だけで十分だ。





 §





 やっと、主人 ―― こいしに追いつく。
 彼女はまるで待っていたかのように、こちらを見据えて待ち構えていた。

「どういうつもり? 言ったよね、どうなるか分かんないって」
 承知の上。皆は貴女の願いを聞き入れ、姉君と共に歩む道を選んだ。
 でも、それに納得できていない者が居る。自分は、その想いを連れて来た。
「そっか。そういえば、あなたはいつも私を気に掛けてくれてたわね」
 自分は、貴女という存在が好きだ。古明地こいしと共に在りたいと願っている。
「私と……? 覚かどうかは関係なく? 私があなたを忘れてしまっても?」
 そう。貴女が如何に望もうと忘れようとも、貴女から離れるつもりは無い。

 彼女は感情の読めない曖昧な表情で、少しのあいだ何かを考えていた。
 やがてその場にぺたりと腰を下ろすと、こちらに向かって手招きをする。
「ほら、おいで」
 優しい声色に素直に従って、彼女の元まで歩み寄る。
 すっと抱き抱えられたかと思うと、膝の上で頭を撫でられていた。
 遥か向こうに街が見える。喧騒が届かないせいか、やけに遠く感じられた。

「こんな所まで追っかけてきたお馬鹿さんに、お願いがあるの」
 相変わらず優しい声。彼女の膝の上で、その内容が語られるのを静かに待つ。
「まず、お姉ちゃんのこと。ずっと変わらず、傍で護ってあげて欲しいの」
 言われるまでも無い。姉君と、妹君と、そして我々と。皆が共にあるのが地霊殿だ。
 覚を捨てた彼女がまた姉君の元へ戻るまで、少し離れ離れになるだけ。
 帰った時、妹君が覚であるかどうかは関係ない。そう思っているからここに居る。
「うん……よろしくね。覚じゃない私じゃ、きっとお姉ちゃんを支えられないから」
 自分が拒絶した道を歩む存在を、姉君はどう思うだろう。
 少しだけそんな事を考えて、けれど止めた。そんな事を憂う為にここに居る訳じゃない。
「あと、もう一つお願い。とっても大事なお願い」
 声が硬くなった。どうしたのかと顔を上げると、両目を閉じた妹君の顔があった。
 微かな躊躇いを経て、彼女は驚くべき言葉を口にする。
 一瞬、その言葉の意味を理解できずに思考が停止した程だった。


「私の瞳……潰してくれる?」


 両目を閉じたままの彼女。胸には、大きく見開いた第三の瞳。
 何があろうと閉じることの無い、覚自身には閉ざす事の出来ない瞳。
「色々考えたんだけど、やっぱり怖くって……あなたになら、任せられるわ」

 何を考えたって? 何を任せられるって?

 上手く纏まらない思考に硬直していると、再び頭を撫でる指の感触を覚える。
 ばくばくと五月蝿い心臓の音が、次第に落ち着きを取り戻していく。
「ごめんね。私に嫌われてもいいっていう覚悟を持てたあなたなら……やってくれるよね」
 殺されるのを厭わないという程の覚悟があれば、何だってできるだろう。
 だから、この願いを聞いて、嫌いになれというのか。
「嫌われるのはついでだよ。でも、嫌ってくれたほうが嬉しいかも。道連れにしなくて済むし」
 信じ、好いた相手を直接傷付けること。自分が、自分を許せるかどうか。
「だったら、お願いじゃなくて命令。追っかけてきた時点で、あなたは死んでいるのよ?」
 それも良い。傷付ける事無く自分だけが消えるとすれば、それも。
「でもそれは、ただの先送り。私が私である限り、いつかこの瞳を閉じる日が来るんだから」
 ああ。もう自分には、貴女の意思を継ぐより道は無い。そういうことか。
「そういうことね。どう、少しは嫌いになった?」

 ……まさか。どうなったって、嫌いになんてなれるものですか。


 彼女の指が、この身を解放する。
 座って、両目を閉じて、けれど胸の瞳は開いていて。
 ただじっと動かずに、目の前の相手に身を委ねていて。

「さぁ。いつでも、どうぞ」

 彼女の声が、耳の奥に染み渡る。
 また、心臓が早鐘のように鳴り響き始めて止まない。

 自分の手……前足をじっと見つめる。
 ありったけの霊力を込めた爪を出す。
 顔を上げ、無防備な彼女の第三の瞳を見据え。
 そして、最後にこんなことを思った。


『――貴女の覚としての想い、確かに受け取りました――』

「ありがとね……お燐」


 その言葉を合図に爪が振り下ろされ、第三の瞳に深々と突き刺さった。








―― 第三の瞳 ――



「おくう、お疲れー。どう、そろそろ仕事には慣れた?」
「お燐~。聞いてよ、何か知らないけど、今日は天窓がなかなか開かなくってさぁ」
「あぁ、それでしばらく炎が強いままだったのか」
「そうなのよぉ。力任せにぶっ叩いてたら、なんかパリーンって開いたけど」
「なにぃー! なんかやたら死体の減りが早いと思ったらー!」
「だ、だって今度は閉まんなくなったんだもん!」
「どこの窓よ! 直しに行くわよ、残業よ残業!」
「うわーん、やっとご飯の時間になったのにぃ~」

 やがて、地霊殿は十分な数の同士が集まるに至った。
 なかなか適役が見つからなかった灼熱地獄跡の火力調整も、今はこの通りだ。
 やや頼りない地獄鴉と一緒に、こうして仲良く維持を続けている。


「ったく、大事な設備を叩き壊す管理者が居るかねぇ……」
「ごめんって。もうやんないから」
 ぶつくさ言いながらも天窓の修理を終えて、おくうと一緒に地霊殿への扉を潜る。
 さっさと着替えて、仕事後の食事といきたいところである。
「折角だしさ、今日は一緒にご飯食べよっか」
「そうだね。じゃあまた後で」
 一旦それぞれの部屋に戻るべく、おくうと廊下で別れる。
 自分に割り当てられた部屋に戻ろうと歩いていると、ふらりと見慣れた姿が前を横切った。
「こいし様じゃないですか。戻ってたんですね」
「あら、お燐じゃない。どう、仕事は順調?」
「ええ、何の問題も無いです。おくうがたまにやらかしますけど」
「うんうん、仲良く頑張ってるみたいで何よりだわ」
 にこにこと、可愛らしい笑顔を浮かべる彼女。
 ふと視線を下にずらすと、そこには瞼を閉じた第三の瞳がぶら下がっている。
 あの瞳は、他でもない自分の爪が切り裂いたのだ。
 これを前にすると、否応無しにその感触を思い出してしまう。


 彼女の……古明地こいしの願いの終わりは、あまりにもあっけなかった。





 §





 ……………………。




 視界が、真っ赤に染まっていた。
 自分の爪が引き裂いたのは、妹君の第三の瞳。
 心に繋がったその瞳が潰れてしまうことで、彼女自身の身にも大きな亀裂が走った。
 血の涙を流す第三の瞳と、裂けた胸から大量の血飛沫を上げる少女。
 暖かな紅い雨を全身で受け止め、気付いた時には何かが変わっていた。
 血溜りに倒れ込む彼女を抱き止めて、その名を呼ぶ。
 自分が手にかけた、護るべき大事な主人の名を叫ぶ。


「こいし様ぁぁぁッ!」


 それを聞きつけてか、姉君 ―― さとり様が駆けつけた。
 肩で息をして、目の前の状況を飲み込めずにいるのが分かる。
 後ろに付き従っていたのは、先ほど別れた同志達と、見慣れぬ一羽の鴉だった。

「あなた……お燐、ね?」
「ッ……さ、とり……様ぁ……!」
 泣きながら、もう一人の主人に助けを請う。
 さとり様がすぐに皆へ指示を出し、こいし様は地霊殿の方角へと運ばれていく。
「あなたも来て。その……事情は大体分かったから。お燐は悪くないわ」
 一人、血溜りの中で動けなかった自分に向かい、さとり様が手を差し伸べた。
 恐らくはその瞳で心を読み、この結末に至った経緯を悟ったのだろう。
 たった一人の妹をあんなにした自分を、心配そうに見つめてくれて。
 手を下して血に塗れた自分を、こんなに優しい瞳で見つめてくれて。

 あぁ。自分が護る側の筈なのに。こいし様との約束なのに。

 結局、何もかもを分かった上で受け止めてくれたさとり様に甘え、その日は泣きはらした。




 ……………………。




 こいし様は、無事に一命をとり止めた。
 あの派手な出血は、心の損傷が身体に返ってきた為に起こったものであり、
 その命の殆どを精神に依存している妖怪にとっては稀に起こる現象らしい。
 さとり様がすぐに駆けつけていなければ、危なかったそうだ。
 新顔の地獄鴉を連れて帰ってすぐ、残った皆の心を読んで家を飛び出したという。

 帰ってからこいし様が目覚めるまでずっと、塞ぎ込んだ。
 さとり様の態度から事情を察したのか、同志達は気遣ってか何も聞いてこなかった。
 この短時間でいきなり妖怪化してしまった事が恐れられているのでは無いかとも思った。
 そんな中で、何の事情も知らない地獄鴉だけが、ただ純粋に心配し傍に居てくれた。
 後で落ち着いてから同志達とも顔を合わせ、先の考えはこちらの怯えによる杞憂と分かる。
 どちらの気遣いも本当に有難いものだったが、とりわけ地獄鴉の存在は心に染み渡った。


 やがて、しばらく眠り続けていたこいし様が目を覚ました。
 周囲を取り囲む皆を一通り見回した後、虚ろな瞳で『おはよう』とだけ呟いた。
 その様子を見たさとり様が一瞬、酷く悲しそうな顔をしたのが忘れられない。

 もしかすると、知っていたのだろうか。
 覚が第三の瞳を失ったとき、どのようになってしまうのかを。

 意識を取り戻した後も、彼女の第三の瞳は開く事は無かった。




 ……………………。




 彼女があの時に目指したのは、覚であっても周囲と普通の関係を築き上げることだ。
 ただ、覚のままではその道は閉ざされているにも等しいのが現状だった。
 だからこそ姉は妹の意見に応じず、また本人も心のうちに諦めを抱えていた。

 解決のための強硬手段として取った、覚であることを止める……即ち『読心の封印』。
 第三の瞳を、強制的に閉ざす行為。覚自身では成し得ない、自らの存在に関わる行為。
 彼女の目論見どおり、他者の介入によって強制的に瞳を封印する事は可能だった。
 無防備なまま干渉を受け、物理的な意味で第三の瞳が損傷し、同時に心まで損傷した。
 瞳と心は繋がっている。損傷を受け入れた時点で心も崩壊を始め、ともに崩れ落ちたのだ。

 これで当初の考えどおり、妹君は第三の瞳を失った。
 だが、第三の瞳を閉ざすという行為そのものに、致命的な問題が潜んでいた。
 『第三の瞳を閉ざす』のは『自らの心を閉ざしたのと変わらない』行為であったからだ。
 読心という能力を失うと同時に、彼女はやりたかったことそのものを失ってしまった。
 姉や自分達のことが、記憶から消えていないという点だけが救いだった。

 周囲と普通の関係を築き上げること。
 これは言い換えれば、自分が相手を受け入れ、相手に自分を受け入れてもらうということだ。
 それを実現する筈だった。その為に第三の瞳を失ったはずだった。
 しかし結果的に、彼女の心は全ての関係を完全にシャットダウンしてしまった。
 他人を受け入れることはないし、他人に受け入れられることもなくなってしまった。
 第三の瞳を潰すという行為そのものが、周囲との関係を諦めることと、ほぼ等価だったのだ。
 しかし現状は、ただ諦めてしまうよりもずっと深刻なものだった。
 今や彼女の心は第三の瞳と同じように閉ざされ、彼女自身にも開く事が出来なくなっている。
 瞳を『閉ざす』には単に損傷させればよかった。だが瞳を『開く』となるとどうか。
 答えは最早、言うまでも無い。





 §





「お燐? どうしたの、ボーっとしちゃって」
「え? あぁ、いえいえ。おくうの尻拭いでちょっと疲れたみたいで」
「そう。無理しちゃ駄目よ、お燐には大事な役割があるんだからね」
「そうですね。気をつけますよ」

 あの時、こいし様が願った未来は訪れることがなくなってしまったけれど。
 自分に託してくれた想いは、薄れる事無くこいし様にも残っている。
 今のこいし様が、唯一無条件で心を許すことが可能な相手への想い。
 瞳が閉じている故に直接は伝わらないけれど、それは自分を通して存在している。
 交わることの無い平行線を繋ぎ止める、想いとしての存在がここにある。

「それじゃあ、また出かけてこようかしら」
「さとり様には言っときます?」
「任せる。それじゃあ、いってきま~す」
「はい、いってらっしゃい」

 彼女の能力を奪い、そして血を浴びた時。
 遥か格上の霊力を受けたことで人型を得、火車 ―― 火焔猫 燐と成ったその瞬間。
 再形成されていく自分の心の中に、確かに流れ込んできた。
 

 それはあの時の約束の事。『覚』であり続ける姉、さとりを想うこと。
 

「お燐。お姉ちゃんのこと、お願いね」
「ええ、勿論。あたいにお任せです」








 ―― 姉恋し瞳は常に、一人の覚と共に。
逃げるだけじゃ何も変わらない。
逃げ続けても心にずっと付いて来る。
だったらあとは、立ち向かうしかない。
その結果が、どんなものになったとしても。
風流
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コメント



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15.90名前が無い程度の能力削除
ペット達にシビれました
そういえば、こいしの瞳は開きかけてるんですよね。
17.100名前が無い程度の能力削除
せつないけれど良い話でした。
叶わない夢かもしれないけれど、このこいしの瞳が開いたら、やりたかったことも思い出せるのでしょうか。
24.100名前が無い程度の能力削除
繋ぎ止めてるもんがあるのなら、また何かが始まるかもしれんよね。
27.100名前が無い程度の能力削除
いつかこいしとさとりが交われる日が来ると良い
たとえ瞳が開かなくても

お燐がんばれ
28.100名前が無い程度の能力削除
こういうこいしの話は本当に好みです。
43.90名前が無い程度の能力削除
素晴らしい
45.100名前が無い程度の能力削除
お燐とこいしで来るとは思わなかった。
こいし過去話ながら、お燐視点だったので新鮮で面白かったです。
46.100ずわいがに削除
おそらくお燐視点の話なんだろうなぁ、と思いながら読ませて頂きまして、合っていたようで安心しました。
転々としていた二人がようやく安寧……とは言えずとも、落ち着いて暮らせるようになったというのに。
お互いを思い合う姉妹の衝突の結果がこれだなんて悲しいですねぇ。
やはりお燐やお空には、これからも彼女らを支えていって欲しいですね。
47.100名前が無い程度の能力削除
閉じてしまった第三の瞳が開きかけるということは、心が修復されているということでしょうか?ううん、なかなかに斬新な考察。お見事です。