Coolier - 新生・東方創想話

妖夢の災男・誰かの幸福(二)

2005/01/28 03:21:12
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妖夢が咲夜の好意によって雨風を凌ぎ始めて、二週間が経つ。その間に妖夢が書いた日記を覗いてみよう。


――今日は半人生の転機となった。幽々子様は私のことを男だと云う。日頃から、あたら冗談のきつい方ではあるが、今回に限ってはとても冗談に思えなかった。後にこの日記を省みて、この頃は未熟だったと思える日が来るのだろうか。そうならばどんなに良いだろう。こうなってみて気づいたが、私は女性であることに心底甘えていたようだ。師の教えを満足にこなせない自分から逃げていたのだ。畢竟、幽々子様の下から逃げ出して初めてそのことを痛感しているのだから、なんと愚かだったことか。しかし、そう思ってばかりもいられない。幽々子様が私に真実を告げてまで教えてくれた私の未熟さ。それを一日でも早く払拭し、幽々子様の下へ帰らねばなるまい。今、この日記は紅魔館主の別業で書いている。日記帳を持ち出す暇なぞ西行寺邸から飛び出したときには無かったものの、幸い、この宅の棚を探したら、手跡用の素紙が束になって出てきた。西行寺邸に戻れる日が来たら、そのときにこれに書いたものを写そうかと思う。


――前日が嘘のように静かな一日だった。早朝、今までと変わらない時間に起きる。家の外に出ると、霜が降りていることが踏み出した足裏の感触で分かった。今度また雪が降るとすれば、かなり積もることだろう。庭木の冬囲いを済ませておいて良かったと思う。日課である素振りのついでに薪を割り、それを火打石で熾した火に焼べて簡素な朝餉を仕立てていると、十六夜殿が来た。挨拶もそこそこに、慣れない勝手場で難儀そうにしている私に十六夜殿は持ってきた服を着てみてくれと云う。冷え込んでいる中をわざわざ心配して持ってきてくれただけに無碍にはできず、とりあえず火が必要な支度を終えてから、私は十六夜殿の言に従った。男物の服を自分で着るのは初めてだった。昨日は八雲の紫殿に手伝ってもらったから気づかなかったが、なかなかに大変であった。着替え終わってから十六夜殿にそう云うと、なんなら私が手伝いましょうか、と返される。それは流石に勘弁願った。女だと思っていた頃ならともかく、男の着替えを異性に手伝わせるのは如何なものか。

服自体に関しては、私にはよくわからないものの、十六夜殿には喜んでもらえた。サイズが合っているか確かめると云われて足先から首までを触られたとき、何やら気恥ずかしかったものだ。流石は紅魔館の侍従長であるからして、十六夜殿の手付きは堂に入っていた。相手を緊張させないように微笑を絶やさない気遣いといい、尊敬に値する。何より、とにかく私の格好を褒める。褒めちぎる。頬に赤みを帯びるほど興奮して褒め続ける。その様子を見て、なるほど、こういう所でも相手を持ち上げてこその侍従なのか、と私は思った。その後、十六夜殿が名残惜しそうに帰っていった。私のような者にここまで心を砕いてくれるものか。私は朝餉を食べながら涙していた。


――二日ほど日記をつけなかった。その間、私は森の中で化生を相手に剣を振るっていた。慣れない森の中での戦いは想像以上に難儀だった。おまけにこの森は迷い易い。朝に家を出て昼過ぎには戻り遅い昼餉にしようと思っていたが、その見通しは甘かった。結局、私は夜を迎えようとしていた森で野宿を決め込むことにした。しかし、それもまた甘かった。冥界に篭っていた自分がどれだけ井の中の蛙というやつだったかがよく分かった。先ず、何が食べられるのかがわからない。倒した妖怪の骸を下手に食べればどうなるかもわからない。こんなとき幽々子様がいればどの部位が美味いかまで教授してくれたことだろう。定期的な断食修行によって空腹には慣れていたが、いかんせん、戦い続けた体には栄養が要った。空腹を感じない半身が心配そうに私の周りを漂う。それを見ていたら余計に不安になったので、火を絶やさないよう薪を多めに焼べてから寝ることにしたが、それが拙かった。火種に空気が足りなくなってしまい、気づけば焚き火は消え、化生に囲まれているという有様。それでもなんとか撃退していくが、次から次へと襲撃され、火を熾す暇も無く、とうとう私は追い詰められてしまった。しかも化け物どもは連携して襲ってくる。何故これほどまでにただの化生の群れが訓練されているのか、深く考えている余裕は無くなっていた。これまでと思った直後、私は家の前にいた。こんなことができるのは一人しかいない。

十六夜殿が助けてくれたのだった。聞けば、昼過ぎに様子を見に家まで来てくれたらしく、夜になって再び訪れても私がいないことから心配になり、探し回ってくれたとのこと。私はぼろぼろになってしまった服についてあやまったが、そんなことは良いから今日は休めと諭された。私はそのままふらふらと寝所に向かうと、そのまま寝入ってしまった。

翌日に目が覚めると、朝餉が既に出来上がっていた。どうやら十六夜殿が作り置いてくれたらしい。机の上にあったメモによると、明日明後日は来られないとのことだった。私はどう感謝して良いものやらと考え、次に十六夜殿が来たときまでの課題とした。自責と興奮が相俟ってなかなか眠れない。冬至用の南瓜を十六夜殿に分けてもらえたので、その下ごしらえでもしようかと思う。


――また二日空けてしまった。寂しい。我ながら情けないが、こればかりは如何ともし難い。あれから三日が経つというのに、十六夜殿は来ない。かといってこちらから出向いては、ただでさえ迷惑をかけているのだから、どのような顔をすれば良いのかわからなくなってしまう。座禅をして鎮めようとするが、却って心中の迷いが浮き彫りになるだけだった。幽々子様と付かず離れずの生活に慣れすぎてしまった私がここにいる。なんということだろうか。今朝などは素振りすらも満足にできなくなっていた。布団の中で寝ようとしてみても、落ち着かずにこうして日記を書いてしまっている。ああ、十六夜殿、あなたが来なければ私は。


――雪が降った。冬至はいつだったろうか。過ぎたかどうかも分からない。とにかく横になろうと思う。




――体が 動け 駄目 ああ




――寒い


――ぷ……(インクが滲んでいて読めない)




(ガビーン! ぷ、ってなんだ――!? byフーミン&マチャ彦他)









――かゆ うま


******


十六夜咲夜は何を隠そう悪女である。極悪人である。この者、わざと妖夢を苛み、楽しんでいたのだった。ああ、あの可愛らしい顔が泣きべそを枕に埋めているかと思うと自分は枕を鼻血色に染めてしまいそう。というか実際、染めていた。最初の内に徹底的に良い印象を相手に与えた後で突き放す。そのために彼女はあらゆる手段を講じた。初日こそ、つい調子に乗って着替え終わった妖夢の手足を弄ってしまったが、それからの彼女は冷酷無比、完全な策士と化した。妖夢が森に出たのを確認すると、普段からナシをつけて可愛がっておいた死んでも構わない手下を焚きつけ、妖夢を囲い込み、手筈通りに自分が助ける。いくら剣術家を気取っていたところで、精神年齢はまだ幼く、ましてや外の世界を知らない者なぞ、小説の中より上手く御せるというものだ。その後は徹底的に静観を決め込んだ。時間操作を行えば、寂しさに震えながら寝ている妖夢を見て口元を歪めることさえできたが、それは後の楽しみのために我慢した。

――森での策略は事を急いているようにも思えたが、これは早めにやっておく必要があった。妖夢が森を抜けて西行寺邸なりどこなりに行こうとするのを、恐怖心を叩き込んで防ぐためだ。しかも、あの子は賢い。気も利く。服をぼろぼろにしてしまったと云って私に頭を下げたときなぞ、顔がひきつるところだった。そんなこと気にしないで、と云いつつもどこか残念そうな表情を見せつけてあげた。あれではもう下手に森に入ろうなどとは思わないだろう。森に囲まれたあの別荘において、それは世界からの隔絶を意味する。私は自分の世界を持っている。それも、絶対の、だ。そんな自分には、世界から隔絶される恐怖と狂気に勝る責め苦は無いと思えた。かくして、事は成った。もう良いだろう。もう良いでしょう? もう我慢しなくて良いのでしょう? ふふふふふふフフフフフ……。

こうなると、もう完全にあっちの世界の人である。何もそんなことまで完全を期さなくてええやん。そんな咲夜を見て保育室の天使たちは、最近の咲夜お姉ちゃんってちょっと変よね、と思っていたりするが、当人は気づいちゃいない。というかあんた、妖夢に散々なことをしておいてまだこの幸せ空間に入り浸っていたのか。ええい、貴様の代わりに私が入り浸るのだから、さっさと行くのだな。ロリコン疑惑の絶えない赤い彗星がそう叫ぶ声が私には確かに聞こえた。

これまでのことを一通り反芻して悦に浸っていた咲夜は、保育班長が淹れてくれた紅茶を半ばまで飲み終えると、突然に立ち上がる。

「どどどどどど、どうしました?」

それまで薄ら笑いを浮かべていた人物が急にキリッとした顔立ちになって、椅子が後ろに倒れんばかりに立ち上がったものだから、副班長の姑獲鳥が道路工事のごとき音を発して動揺する。あー、こりゃ典型的な「メイド長恐怖症」ですなぁ。お薬出しておきますから、お大事に。ああ、お仕事も変えたらどうですか? そんな風に医者にいい加減に扱われかねないほどに。

一説によると某基督教系女学校の生徒にも似たような症状の者がいるらしいが、その症状は「お姉さま」という特定生物に対して尋常ならざる警戒心を抱くというもので、学会ではこの二つの症状の類似性について昨今注目されているものの、その少女の友人が自分の学校が実は猶太教のために作られたものと知り、ショックのあまりに発狂、所構わず鞭を振るった後に何者かに殺害されてしまったことを知る者は少ない。民明書房刊「職場・学校におけるストレス。近年増加する自殺者の謎に迫る!」より。

「今日のお昼から休暇をもらったの」
「は? はあ、それは珍しいです。よくお嬢様から許可が下りましたね」
「ええ、私もびっくりしちゃった。冗談で言ってみただけなのに、三日間もお暇をいただけたのよ」
「み、三日ぁあああっ、あががっ!?」

あまりのことに姑獲鳥が顎を外す。泡を吹いたり顎を外したりと、なんとも器用な化け物である。蟹か河馬にでも生まれ変わった方が今後のためだろう。とはいえ、姑獲鳥の反応も当然である。紅魔館のメイドにあって、三日間も休みをもらえるなんて聞いた事が無い。休みたい、んじゃクビ。そんなえげつない応対が起こってしまう確率がとても高い。いや、解雇で済むならまだ良い方だろう。中には自室に荷物を置いたまま忽然と姿を消してしまうというケースもあるぐらいなのだから。

なにはともあれ、毎度のごとく姑獲鳥は同僚に別室へと引きずられて行った。その部屋からは何かを強引にはめ込む音や、舌を噛んだだのいう声が聞こえてきたりするが、知った事ではない。おい京極堂、なんとかしてやれよ、君の専門だろう。関口君、君は実に馬鹿だな、馬鹿に付ける薬は無いぞ、そんな薬の製法が書いてある本があるなら読んでみたいものだけどね。

この世に不思議なことなど何も無い。咲夜が三日間も休みをもらえたのは、レミリアに取り入ったからだった。以下再現。


ふへへへへ、お代官様、事が済んだ暁には世にも珍しい半人半霊の血をお飲みいただけましょうぞ
ほほう、それはまことか
ですが、くれぐれもご内密にお願いいたしますぞ?
ぐふふ、越後屋、そちも悪よの
いえいえ、お代官様ほどではございません
はあっはっはっは! 愉快じゃ愉快じゃ、これ、酒を持て!
へぇ、ただいま!


咲夜によって時空が操作されたため、少々実際のやり取りと違ってしまったが、概ね問題ない。窓の外ではロープが切れた窓拭隊員が「うぼあー」とか叫びながら落下しているが、これも問題ない。その下でちょうど庭木を手入れしようと剪定鋏を構えていた別部隊員の上に落下しちゃったりしたが、話の流れ上、長期休暇をもらえて良かったね、ということにしておこう。

「班長?」
「なんですか」
「私がいない間、ここの管理権限の全てを委ねますから、くれぐれもよろしく」
「ええ、それは構わないんですが、この間の件はやはり……」
「ああ、あれはもういいわ」
「はあ? しかしですね」
「い・い・の・よ」

にっこりと微笑みながら、テメェまだ突っかかるようなら肝っ玉ガタガタいわせて抉り出すぞコラ、とばかりに傍からは見えない角度でナイフを腹に突き付けられて、さしもの班長もその「ビキビキッ!」とかいう効果音が鳴りそうな咲夜に何も言えなかった。イカ天の相原勇に似た不良とタメを張れそうな状態の相手ではどうしようもない。マー坊君、喧嘩は止めてよ!

かくして、獣《けだもの》は鎖から解き放たれた。もう誰の邪魔も入ることは無い。咲夜はそう考えていた。もうドラゴソボールが七つ揃った気分である。これで俺が宇宙一だ! とでも言わんばかりにかっ飛ばす。

咲夜が紅魔館から飛び立つのを目撃したチルノは見つかる前に逃げ出そうとするが、そんなことはお構い無しに上機嫌の咲夜は普段にも増して沢山の、本当に沢山の、もう数えるのも馬鹿らしいぐらいの量の、ナイフを投げつけた。これが彼女のサービス精神なのである。あはは、これじゃ弾幕どころか、完全な面じゃないの。チルノはもう避けるのを諦めていた。そこへ間一髪、冬至を過ぎて大分本調子に戻っていたレティが間に合った。間に合ったのだが、その助け方が拙かった。ナイフを防げるとはいえ、幾らなんでもあんた、氷精だからって氷漬けにしちゃいかんでしょ。結果、チルノは脇役とやられ役の中間の生物となってしまったのだ。そしてチルノは考えるのを止めた。

「ふふふ、念願のおとこにょこを手に入れたわ!」
「あら、それじゃ殺してでも奪い取らないといけないわね」
「な、何をする、貴様――って、あら、スキマーじゃない」
「人を犯罪の道具みたいな呼び方しないでくれるかしら」

あんた人じゃないだろ、と突っ込みたい咲夜を相手にするのは、いよいよ登場、我らのスキマ妖怪、八雲紫。日傘を片手に例の胡散臭いテーマで颯爽と。彼女が、妖夢が連れ去られた後に何をしていたかというと、ぶっちゃけた話、今まで寝ていた。しかし、それを憤ってはいけない。本来、冬場は冬眠するのが彼女の常であるから、起きてきただけでも奇跡だ。雹でも降るんじゃないかしら。まあ、レティもチルノもそんなもの降らせられる状況ではないのだが。

紫が起きた肝心の理由はというと、彼女の式神である藍とその式である橙が、主人が眠った後で……これより、現地からの再録になります。はい、5、4、3……――コメンテーターには徳光○夫さんをお迎えしております。

「さて、今年も本格的な冬がやってきたわね、橙」
「そうですね藍様。ところでお腹が空いちゃったよぅ」
「昨日は冬至であんなに南瓜の煮付を食べたのに。ふっ、でも良いわ。蔵には『紫様が』ちゃんとスキマから取ってきた食料を蓄えてくれている! さあ、見ろ、橙!」

ばあんと勢い良く食物保管用の蔵の戸を開け放つ藍。その姿に無闇に感動を覚える橙。外とはまた違う、ひんやりとした冷気が中から這い出てくる。冬は寒いのが嫌だけど、藍様と一緒に炬燵に入って蜜柑を食べられるのが嬉しいなと橙が思い、藍は藍で冬場は橙が外に出たがらないからじっくり勉強させてあげられると考える。

もうね、涙ぐましくて見てられませんよ。徳光さんもそう思うでしょう――って、もう泣いてるよ。そんな仲睦まじい式と式の式の夢と希望を打ち砕きましたよ、紫様は。蔵の中? ええ、何も入っちゃいやしません。おっ、どうやら藍と橙が血相を変えて紫を叩き起こしに向かったようですよ。――ああっと! 徳光さん、あまりの仕打ちに泣きながら帰っちゃったよ! ギャラ返せよ!

それにしても、いくらなんでも寝ている者の鼻先にタバスコを垂らすというのはやり過ぎだとも思わないでもない。だが、藍と橙の悲しみと絶望に比べたら瑣末なことである。タバスコが夕食でした、なんてことにさえ為り得るのだから一所懸命になるのも無理からぬこと。流石にそこまで困窮しているわけではなく、干し柿や漬物がある。あるのだが、それだけで一冬越せというのは無茶である。しかも藍は変に生真面目なところがあって、大晦日の昼前までには正月用の御節を作り終え、宵の口にのんびりと年の終わりに酒を飲むのを想像して嬉しそうに朱色の杯を磨いたりする。そんな藍にとって、主采が無いというのは許しがたい事態である。おまけに橙は元々が猫の所為かはたまた幼さの所為か、好き嫌いが激しい。彼女が奈良漬や干し柿を美味い美味いと言いながら熱い茶を猫舌に流し込むことなぞ未来永劫ありえないに違いない。そんな彼女らの必死の所業により、なんとか紫は起き上がったのだった。しかしながら、流石の藍も自分の主人がタバスコを鼻先に垂らされて尚「うーん……藍の尻尾、酸っぱ臭い……」などと寝言を垂れたときには、つい青筋を眉間に浮かべてしまっていた。あなたの靴下の方が酸っぱ臭いですからー!

そういったことをあくまでも自分の都合の良いように解釈した上で咲夜に説明すると、紫は溜息を吐いた。よく見ると、まだ目尻には涙が溜まっていて、鼻先は赤いのだが、飲んだくれている彼女を見慣れているとそう違和感が無かったりする程度である。

「まったく、藍と橙ったら……大体、私が蓄えを忘れちゃったのも、妖夢の所為なんだから。それに藍だってこの間、幽々子の所で飲みすぎたから、自分で蓄えができないぐらいに体調を崩しちゃうのよ。師走だからって、主人をなんだと思ってるのかしら」
「それ以前に蓄え始めるのが遅すぎるのよ。あなた、いくらなんでも酷すぎるわ。猫舌には優しくしてあげなさいよ」
「よく言えたものね? 私が何も知らないとでも思ってるのかしら」

御二人共、大人気無い上に自分の事を棚に上げてる所為でちっとも説得力が皆無でござい。とはいえ、周囲には既にお互いの力場が展開されつつあり、何事かと近寄ろうものなら、空間の歪で押し潰されるか、スキマの先で永遠を見つけるか、そのどちらかを選ぶことになるだろう。そんな危険地帯のど真ん中にいる二人のことであるから、一触即発、戦闘力もスカウターの故障と勘違いするぐらいに上昇しているに違いないのだが。

「あなたが幻想郷の外に出ては怪しい目付きで子供を物色しながら里をうろうろしているのだって知ってるんだから」
「おやおや、その近くの茶屋で酒を出せって無茶なこと言って店主を困らせてたのはどこのどなたさんでしたかしらね」
「酒も置かずに客をもてなそうって根性がそもそも間違いなのよ」
「私の目に適う子供もさぞや幸せなことでしょうね」
「そう言ってられるのも今の内よ。子供なんてどう育つのかわからないんだから。ウチの藍だって、最初は『紫たま紫たま、また尻尾なでなでしてください、きゃう、くすぐったい』とか言って本当に可愛かったのに、今じゃただのおばさんよ」
「なるほど、それではその保護者であるあなたは、さしずめ、お婆さんってところかしらね」
「言葉の綾もわからないなんて、可哀想に。そんなのに面倒看られなくちゃいけない子供はもっと可哀想」
「物事を捻じ曲げてしか解釈できない人に言われたくないものね」

凄まじい戦いである。恥も外聞もかなぐり捨てた女と女の牡丹と薔薇。ここがヒューペリオンの艦橋ならアッテンボローとシェーンコップ。警視庁生活安全部特命係なら亀山と伊丹。湘北バスケ部なら桜木花道と流川楓。鈴蘭界隈なら坊屋春道とリンダマン。どちらがどちらとは命が惜しいのでとても云えません。

「――あなたなんかに構ってる暇はないのよ」
「――こっちだって無いわよ」

お互いが散々に好き勝手云い終えると、雲行きが怪しくなる。後ろに立たれたからつい殴ってしまった。今では反省している。そんな超A級スナイパーの独白が聞こえてきそうである。

はっ! わ、私は、私は奴の秘密を知ってしまっ――ズキューン……ビシッ!

……近年、社会の情報化が進む中、個人のプライバシーが侵害されるケースが増えているという……。それはときにCIAやSIS、モサドといった組織が国家主導の下で半ば公然と、そしてときに裏の世界でひっそりと。混信による偶発的なものも数多い。我々は情報と社会についてもう一度問い直すべき所まで来ているのかもしれない……。第890話「賽銭泥棒《タブー》の代償」完。

「どう? ここは一時休戦というのは。妖夢のことだって、命をどうにかするつもりはないんだから」
「そうね。スキマがあるとはいえ、数をこなさないといけないから、あまり暇は無いもの」

そう云って別れようとしたところで、紫の口元が笑うのを、咲夜は自分の背中越しに感じ取った。いつでも時間を停めてナイフを投げられるように、咲夜は動きを止める。

「気づいていないようだから教えてあげるわ」

咲夜は振り向かない。振り向いた瞬間、その動きによって生じる僅かな隙を見逃さずに、あの妖怪は自分をスキマに蹴落とすに違いない。咲夜は体中の神経を張り詰めさせる。完治したはずの先日の怪我が疼く。殺れるか? 殺るしかない。しかし、先に手を出すわけにはいかない。一瞬、そう、スキマを使うためのほんの一瞬の隙、それを突く。咲夜がそう考えている以上、紫が動かない限り状況は変わらない。

紫の構えも変わらない。いや、そもそも構えと云えるような代物ではない。ガハハ、これなら意外に楽勝じゃのお――待て。何故止めるカメハ、じゃなかった、キソ肉グレート! 

あの日傘を肩にかけた格好が咲夜には見覚えがあった。あれは、そう、かつて東海道から近畿にかけて荒らしまわった頃に見た、鞍馬流、あるいは吉岡流か。もっと遡って鬼一法眼流などというものかもしれない。まさかとは思うが、あのスキマ妖怪が大昔に人間の誰某に槍刀術を伝えました、今でもそれが残ってます、と云われても納得できる。――そんな無理に納得しなくても、誰がどう見たってただ日傘をのほほんと立ててるだけにしか見えないというのに、咲夜はどんどんと危機感を強めている。大体、酒の席で「私は鞍馬天狗と知り合いだったのよー」とか「佐々木小次郎が燕返しを編み出したときに手伝ったー」とか、果ては「五輪の書を書いたのは自分だー」などと言い出す女のことを真面目に考える必要は皆無である。最後のだけ多少の説得力があるのが怖いところだが。

そんな咲夜を小馬鹿にしたように、相手の前に回り込もうともせず、背中越しに言葉を続けた。それはどんな動き、どんな隙よりも咲夜の心を奪うものだった。

「妖夢は女よ。間違いなく」

ボトボトボトボトーー! 咲夜の全身の力が抜け、体中から無数のナイフが湖面へと向かって滑り落ちる……ああ、そんなところにまで隠し持ってたんですか、いえ、なんでもありません、ええ。

「本当に気づいていなかったの? お馬鹿さんねぇ。幽々子が突飛なことを言い出したら、それは本当。でも、真実を話しただなんて云った場合、それは間違い無く嘘か冗談の類よ。幽々子ったら、嘘が上手いようでいてその実、下手なのよね。それに、妖夢を着替えさせたときに見たけれど、ちゃんと出るところは少しだけど出てたし、付いてないモノは付いていなかった。裸にしたわけじゃないけど、下穿き越しにでもそれぐらいわかるわよ。私だって、女ですもの」
「そんな……! 嘘よ、だって、あの子――」
「自分で男だと言った。そうでしょう?」

なんとかペースを取り戻そうと足掻いてはみたが、紫はそれを許さない。この妖怪に下手に関わるのは、本来、自粛すべきなのだ。それは彼女に限ったことではない。妖怪というのは、畏れ敬うことによって人間と折り合いを付けることができる存在なのだ。決して、タメを張ろうなどと思ってはいけない。ましてや、それを殺そうなどと。そんなことは博霊の巫女にでも任せておけば良いのだ。妖怪かどうか怪しいような輩が数多く跋扈する幻想卿にあって、生粋にして強大な八雲紫という存在を御せるのは、生粋にして冷酷な巫女である霊夢だけだろう。

「あのねぇ、幻想郷《ここ》じゃ誰も男女の違いだなんてどうでも良いことは教えないのよ。妖夢だってまだそういうのにあまり興味が無い頃でしょうよ。しかも、周りに男性はいない。妖忌――ああ、あの子の祖父だけど、孫と一緒にお風呂に入る、なんてこともできないほどの頑固爺だったみたいね。何度か会ったことはあるけど、たしかにそんな感じだった」

半ば事実、半ばはったりである。一緒に風呂に入っていたとしても、妖夢が物心付く前のことであれば辻褄は合う。人体の急所や構造という観点から、何らかの教えもあったかもしれない。だが、あの実直な庭師が、そのような小手先の知恵をいつまでも覚えているとは思えない。実体験が伴っていなければ尚更だ。

「あなたはそうやって人の境界を揺さぶって、笑いたいだけよ!」
「そう思うなら、自分で確かめなさいな」

そう云って、紫はその場から去った。一瞬だけスキマの口が閉じるのが見えたから、本当に蓄えを探しに行ったのだろう。直後、紫の云う通りにするということに悔しさを覚えながらも、咲夜は妖夢のところへ向かった。それを先ほどとは違う場所に穿ったスキマから覗いていた紫は、これ以上は私は知らないからと呟いて、スキマを閉じたのだった。


******


「単刀直入に申し上げます。我々紅魔館は森で殺された悪魔が以前、特殊任務に就いていたことから……今回の事件に重大な関心を寄せております。当方としては事件の経過、全容をお話願いたいのだが」
「ふうん、単刀直入にねぇ……、小悪魔、事件は五里霧中。こっちから聞きたいぐらいだぜ」
「……」
「私も紅魔館に何度も出入りしたからわかる。わざわざ司書長クラスがここまで来るということが、どういうことか……。しかも、私の勘だが、お前さん、紅魔館特殊粛清部隊、SPSの者だろ!」
「!!」
「事件は紅魔館の悪魔が被害者……、しかも腐女子の臭いまでする……。私に協力を求めるなら、知っていること全てを話してもらわないとな」
「――ご指摘の通りだ。あの悪魔は特定禁書を香霖堂……『黄金の三角木馬』から秘密裏に仲買する役でした。そして彼を殺った犯人は……」
「そこまでわかっているとは思わなかったぜ」
「犯人の名は、十六夜咲夜。やはり元SPSの特級侍従、それも最強の女です! だから、我々にとっても事は重大なんです」

場所は霧雨魔理沙の家である。ここに家主である魔理沙と、普段ならばヴワル魔法図書館から出てくることはまずありえない司書、小悪魔がいた。図書館において図書の管理部隊を束ねる司書長は一人しかおらず、名を明かさなくても構わない。契約者以外に無闇に名を明かさぬあたりが流石は悪魔である。知っているのはパチュリーぐらいなものだろう。そのパチュリーはというと、司書だとかそういったものとは関係なく、ただそこに居て読み続けるだけである。客分扱いとも云う。小悪魔というのはあくまでも悪魔の分類上のことでしかなく、悪魔より下というわけではない。パチュリーほどの魔女が自ら召喚したのであれば、その実力は以前に魔理沙殴りこんだときのものが全てではないだろう。もっとも、魔法使いと魔女とでは自然、拠り所とする知識体系が違っており、魔理沙には推し量れない部分もあるため、正確な解釈はできそうもない。

事件の発端は、魔理沙が自宅のある森の外れで――広かったり変な呪いがかかってたりで何処が外れなのだか皆目見当がつかないのだが――見慣れない化生の遺体を発見したことである。長くもないが決して短くは無いだけの時間を森の中で過ごしてきた魔理沙には、どんな化け物が森に住み付いているかぐらいはわかる。その遺体の者は人間に模した顔をし、更にはきちんとした服まで着込んでいた。そんな者、この混沌とした魔法の森の中ではそうそういない。それがなんとよく探して見れば、遺体が転々とあるではないか。いたとしても、野垂れ死にか食われかけの欠片として発見される。だが、その遺体は斬り殺されていたのだ。肩口から腹部までを袈裟懸けに切られ、うつ伏せになっていた遺体を仰向けにしようとしたところで内容物が抜け落ちてしまうほどに、その手跡は鮮やか且つ豪快だった。その時点ではまだ生きていたが、ぎぎぎぎぎぎ、とはだしのゲソの中の人みたいに気持ち悪い声を出していたので、魔理沙がとどめをさしておいた。――犯人はお前だ! で、でもあの日この人は……。それこそがこの人が仕掛けた巧妙なトリックだったのさ! 本当なのか金田二!

さて、紫よりも胡散臭い何気に真実を語っている高校生探偵その他は無視するとして、魔理沙は凶器が日本刀、あるいはそれに準じる切れ味のものであると直感した。それもまた奇怪である。魔理沙が知っている範囲ではあるが、この幻想卿には日本刀ほどの切れ味と長さを兼ね備えた武器を使う者は一人しかいない。西行寺邸の庭師だ。しかしそれもおかしいのである。あの庭師が西行寺邸を離れて行動するほどの事件や現象は起こっていないはずであるし、幽々子と一緒にということであれば、遺体は食い散らかされているはずである(独断と偏見)。香霖堂が店の品で生胴試しをしたというのであれば納得だが、サトゥルナリアに必要なものを揃えて来いという魔理沙自身の頼みでそもそも幻想郷に現在いない。今晩あたりには帰ってくることだろう。そんなわけで、小悪魔が訪ねてくるまで魔理沙は一人、居間のソファーで何か面白そうな事件解明の糸口は無いものかと不謹慎な楽しみに興じていたのだった。

最低限必要なことを小悪魔に話し終えると、会話が途切れた。二人の前に置かれたコーヒーは冷え切り、湯気も立たない。部屋に漂う緊張感の原因は、今にも崩れだしそうな室内の数々の道具や遺体のことではなく、二人が口にしたSPSという言葉だった。魔理沙がパチュリーに強引に酒を飲ませたときにポロリと溢した単語であり、根掘り葉掘り訊き出した組織の名前である。他のポロリは無かった点が魔理沙には残念であったが、その内容はこうだ。

新入りのメイドは先ず、戦闘行為や作戦行動に向いているか向いていないかといった基準により二種類に分けられる。向いていない者も弾幕ごっこを嗜み程度に習得する必要があるが、向いている者の場合、話は違ってくる。更に、警備部隊に収まるべきかそうでないかに分けられる。警備部隊行きが決定しなかったメイドが通常勤務の部に回されるかというと、必ずしもそうではない。戦闘行為に向きすぎている、という理由により警備隊行きが惜しまれるメイドが数少ないながらも存在するからだ。そして、他の通常勤務の適性があるかも調べられる。適性が無い場合、純粋に戦闘力だけが評価されて近衛部隊なりなんなりに配属となるわけだが、適性あった場合は、通常の部隊に回される。――表向きは。

何も知らない一般のメイドに紛れ、紅魔館内のあらゆる危険因子の排除のために日夜暗躍する、それが通称SPS、Special Purge Serviceこと特別粛清部隊。モットーはWho Dares Wins、死地こそが勝地。ちなみに紅魔館自体のモットーはというと、恋のラブリーレンジャーランドだそうな。

そんな部隊が動いている。レミリア・スカーレットの指図とは思えない。第一、咲夜が主人の困るようなことを滅多にするはずは無いのだ。滅多に。となると、SPSという部隊はある程度の自律が可能な部隊なのだろうか。元SPSのメンバー、それも現在はメイド長という重職に就いている者が、個人的な行動によって他の者を蔑ろにしたとしたらどうか。これならば辻褄は合う。最強にして完全、瀟洒にして華麗なるメイド長といえど、造反行為は見過ごすべからず。咲夜を止めろ、咲夜を止めろ。フォーグラーを止めろぉ!

魔理沙は考えをまとめると、落としていた目線を小悪魔の顔に向けた。どういうつもりでこいつらが動いているかが重要だ。下手に動き回って、実は掌で踊っていただけでしたなんて霊夢の耳に入ったら、二度と茶と菓子のご相伴には与れないだろう。

「咲夜は戦闘のプロだろう?」
「SPSの不始末はSPSで……。魔理沙殿、我々にはアドバイザーを提供する用意がある」
「アドバイザー? 身内の口封じのための、ハンターはご免だぜ」
「彼女を見れば、およそハンターとは思えませんよ」


******


「霊夢ぅ、私のサングラス見かけなかったー?」
「あのねぇ……ルーミア、なんで私があなたの持ち物の場所を把握してなきゃいけないのよ」
「あれが無いと困るー」
「第一、サングラスなんてつけたら、周りが見えないんじゃないの? ただでさえ暗くなるのに」
「あれをつけてないと、闇が深くなったときに目が無くなっちゃうの」
「なによ、それ」
「霊夢には関係ないよ」
「んじゃ私もサングラスのこと知ーらない」
「いじわるー!」

博霊神社は今日も静かである。祝詞を唱える声なんて聞こえた例しが無い。それでも今日は珍しくルーミアが遊びに来ていて、十進法を採用した重要性を全世界に訴えながら、アラレちゃん走法でそこかしこを駆け回っている。霊夢に頼まれた境内の掃除のことなんてちっとも覚えていない。霊夢は決して口には出さない。絶対に言わない。誰が言うもんか。サングラスを頭の上に乗せてるだけよだなんて、馬鹿馬鹿しくて言えたものじゃない。お前は波平か、それともド根性なヒロシか。

霊夢が湯飲みに緑茶を注ぎ直そうとしたとき、ヒュッ、という風を切る音がしたと思うと、タンッ、という小気味の良い音が境内に鳴り響いた。何事かと霊夢が二つ目の音がした方に振り向く。

「ああ! 誰よ、矢文なんて柱に放ったのは!」
「あ、サングラスあったー!」

どうやら、矢がルーミアの頭を掠めた後に、その延長線上にあった霊夢の横の門柱に刺さったようである。ここで重大な誤解が生じていることに誰が気づくだろう。誰も柱に向けて矢なんて放っていなかったということに。矢はルーミアのサングラスに向けて放たれたのだ。矢はその先端をサングラスに当てて破損させることのないよう、羽の部分だけを的確に当て、そしてサングラスはルーミアの手に……。

「あら? ルーミア宛てよ、これ――うぐ!」
「……他人の手紙を勝手に読むのはマナー違反だぜ、お嬢ちゃん……」

ルーミア、あなたキャラが変わってる。霊夢がそう言う前に、ルーミアの首筋への手刀によって彼女の体から力が抜けた。なんとか意識はある。ルーミアは霊夢の手から零れ落ちた手紙を拾うと、それを読み始めた。その表情はみるみる険しくなり、いよいよ目元にかけられたサングラスによって、なんとも頼りがいのありそうな雰囲気を漂わせている。髪に付けたリボンの可愛らしさで全てが台無しの感はあるが。

「そ、そうか、聞いた事がある」
「ほう、知っているのか、霊夢」
「うむぅ……私も見るのは初めてだ……が、ルーミアの十進法の構えがただ頭が可哀想だからああしているのだと思っている者は認識を改められたし。あれは腕の筋肉を鍛えるためのプロとしての嗜みだったのだ。年がら年中あの構えをし続けた結果、ルーミアの拳は岩を砕き、正された背筋と発達した背骨はどんな攻撃だろうと避け切るだけの動きを可能にした。そうして無意識に育まれたプロとしての心構えはサングラスをかけることによって顕現する。それに目を付けたのがSPSであったのは言う間でもない……」

何故に霊夢がそんなことを知っているのかそれこそ知らないが、男塾のハゲもそうだったので気にしない方が良いだろう。霊夢は残った力を振り絞り色々と大事なものすらかなぐり捨てた自分の解説に満足すると、意識を手放したのだった。もうね、お前、それを言いたかっただけちゃうんかと。

霊夢から手紙に注意を戻し、ルーミアは一通り目を紙面に走らせると、重々しく呟いた。

「――しまった。字が読めないことを忘れていた」

アホである。例えサングラスをかけてキャラが変わろうと、ルーミアはルーミアだということが判明した瞬間だった。とはいえ、このような方法で自分に連絡をつけてくるのは奴らだけだろう。そして昨晩、森が騒がしかったことも覚えている。このタイミングの一致からして、森、それも明らかに異質な場所に向かえということだ。

「ショタの臭いなんてわからない。だが、腐女子の臭いはわかる。奴らは豚だ。そうでない者はよく訓練された豚だ」

格好をつけたんだかどうかよくわからない呟きの後、気絶している霊夢を強引に叩き起こして手紙を代わりに読み上げさせたのは云う間でもない……。


昨日の夜、全てを失くして涙の雨に濡れていた
今日の昼、命を的に夢の続きを追っていた
明日の朝、ちゃちな信義とちっぽけな良心が、混沌の森に闇を蒔く

幻想郷は弾幕ごっこが作ったパンドラの箱
質を問わなきゃ何でもある

次回「救出」

明後日、そんな先の事はわからない
こちらを見た知り合いに「ショタ趣味だとは知らなかったぜ」と云われたときは流石にヘコみました。音速が速いのはきっとその所為です。三話完結は無理そうです。

追記:UP早々、重大な誤字発見につき、修正
司馬漬け
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コメント



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14.無評価名前が無い程度の能力削除
京極堂、ショタは悪い事じゃあるまい。自信を持つんだ。
18.90名前が無い程度の能力削除
あなたのネタのレパートリーに感服しました。
58.-10名前が無い程度の能力削除
ちょっとくどいかなあ
65.40名前が無い程度の能力削除
うまいのにしつこいです。
短編ならかまいませんが、長編で急にここまで執拗にネタを仕掛けるのは良くないです。
点数自体は高い作品ですが減点も大きいです。