Coolier - 新生・東方創想話

幻想追想曲①

2005/01/26 16:31:12
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marvsさんの作品「CANON」を見て電球が光りました。(本編書かれる予定でしたらすみません;)
とても私の及ぶところじゃないですが;
Kan○nベースの東方「風味」です。(風味です)
おそらくKan○nのネタばれです。原作やってない方注意です。
あと、幻想郷のイメージを著しく損なう恐れがあります。
それでもイイ!という奇特な方、読んでいただけるとうれしいです。


































雪が降っていた。

重く曇った空から真っ白な雪がゆらゆらと舞い降りていた。
冷たく済んだ空気に、寂れた神社。

「はぁ… んしょっと」

私は縁側に深く沈めた体を起こして、もう一度居住まいを正した。
参拝者はほとんどいないのだろう。まぁ、博麗神社も「参拝者」はいなかったが。
無駄だと思い、白いため息をつきながら空を見る。
太陽が隠れているため、正確な時刻はわからない。
でも、もう約束の時刻はとっくに過ぎているだろう。

「…遅い」

再び、縁側の柱にもたれるようにして空を見上げながら、言葉を漏らす。
視界が白いもやに覆われて、そしてすぐに溶け込むように馴染んで消えていく。
閑散とした冬の庭。
そして、しんしんと降りつづく雪。
心なしか、空を覆う白い粒の密度が濃くなったような気がする。
もう一度ため息混じりに見上げた空。
その視界を、ゆっくりと何かが遮る。

「……」

雪雲を覆うように、その珍妙な服装した少女が、私の顔を覗き込んでいた。

「髪、凍ってるぜ」

男言葉で、呟くように白い息を吐き出す。

「そりゃ、どのくらい待ったか、全然わからないもの」

髪だって凍る。

「あー?」

私の言葉に、少女は不思議そうな顔をする。

「今、何時なんだ?」
「わかるわけないじゃない。でも約束の時間は過ぎてるわ」
「と言うことは、私は別に遅れてないな。」
「なんでそうなるのよ…」
「お前はわからない、私もわからない、約束の時間もわからない」
「どういう乗りよ」
「そういう乗りだぜ」

とりあえず、遅れたことを詫びるつもりはないようだ。
なぜか男言葉な少女の、謎な会話の流れ。

「まだ午睡時だと思ってたぜ」
「あんた正気?」

どこか、感覚がおかしいのか、私に無いものがあるのか…

「あー、ひとつだけ聞いていいか?」
「…なによ」
「寒くないか?」
「寒い」

この町に来たときから、雪は鬱陶しかった。

「これ貸してやるぜ」

そういって懐から妙な八角形をした箱のようなものを取り出す。

「私より寒そうだしな。あー、貸してやるだけだからな?あとで返すんだぞ」
「まったく」
「あー、それと再開の祝いだ」
「7年ぶりの再開がこんな妙な箱だけ?」

よくわからない「それ」を受け取りながら、改めて少女の顔を見上げる。
「それ」は素手で持つには熱すぎるくらいの温度があった。
感覚が無く、死んだような指先に、生気が送り込まれる。

「7年…そうか、そんなに経つんだな」
「ああ、そうね」

温かい「それ」を手で弄びながら…。
もう忘れたとばかり思っていた、子供のころに見た雪の景色を重ね合わせながら…。

「わたしの名前、まだ覚えてるか?」
「そういうあんただって、私の名前覚えてるの?」
「あぁ」

雪のなかで…。
雪に彩られた寂れた神社の縁側で…。
7年の歳月、一言で埋めるように…。

「霊夢」
「ちゆり」
「いや、違うぜ…」
「幻爺」
「私は人間で、なおかつ女だ…」

呆れたような顔をする少女。
一言一言が地面を覆う雪のように、記憶の空白を埋めていく。
少女の肩越しに降る雪は、さらに密度を増していた。

「いい加減、ここに居るのも限界ね」
「私の名前はどうなったんだ?」
「ねぇ、そろそろいかない?」
「あー…」

7年ぶりの町で、
7年ぶりの雪に囲まれて、

「行こ?魔理沙」

あたらしい生活が、冬の風にさらされて、ゆっくりと流れていく。

「あー、おぉ?」



―そして、幻想の調べは、その思いの奇跡をなぞる―












「これ貸してやるぜ?」
「運命なんて、奇跡なんて信じないよ」
「春がきて、ずっと春だったらいいのに」
「私の半分は人じゃないから」

「約束…ね」

















*―幻想追想曲―*











夢。

夢を見ている。

毎日見ている夢。

終わりのない夢。

黒い雪。

黒く染まった世界。

誰かの鳴き声。

子供の泣き声。

どうすることも出来ず。

その黒と白を眺めることしか出来なかった。

だからせめて。

流れる涙を拭いたかった。

でも、手は動かなくて。

無色は白を伝って黒を溶かしていた。

悔しくて。

無力で。

大丈夫だから。

だから…泣かないで。

声にならない声。

届かない思い。

「約束だから」
「約束…ね」

夢が別の色に染まっていく。







―幻想①―

ドタンッ!

勢いよくドアの閉まるような音が響く。

ドドドドドドドド!!

板張りの廊下を走るような足音が、冷たい空気を揺らしていた。
静かだった部屋に、遠くから近づいてくる騒音。

「……」

眠気に包まれながら、どこか夢の続きのようにぼんやりと毛布にくるまる。

「……」

今日はもっと寝ててもいい。今は何も無い時期だし…。
無意識にそう結論を出して、その考えを早速実行する。
目を閉じて、このまま眠りの中に…。

ドドドドドドドド!!

眠りの中に…。

ドドドドドドドド!!

中に…。

「うぉっ!私まだパジャマだぜ!」

壁越しに少女の男言葉が聞こえてくる。

「あー、まずいな、時間が無いのに」

切羽詰まっている台詞の割に、あまり大変そうな口調じゃない。

ドタンッ!

もう一度扉が閉まる。

「……」

部屋の中に静寂が戻ってくる。
布団を頭までかぶり、体を丸めてすっぽりとそれの中に収まる。

が、意識は急速に覚醒していく。
このまま起きてもいいかもしれない。

とりあえず、起きて部屋を見渡す。
見慣れない部屋だ。閑散とした空間に、何も物が入っていない家具。

「というか、ここ、どこ…?」

ぼやーとした頭を動かそうとする。
静かな部屋を満たす、冷たく澄んだ空気。
馴染みのない、洋風な部屋と本棚。
そして、聞こえてくる少女の声。

「そうだ…!」

頭が動くと同時に、記憶が鮮明に蘇る。
私は、ほとんど無意識にカーテンを開けた。
穏やかな朝の日差しと、見慣れない光景。

「どうりで…寒いわけね」

太陽を探し、時間を確認する。
四角い窓の外には一面の雪景色が広がっていた。
視界に飛び込んでくるもの全てが、白一色に覆われていた。
ガラスに吐息がかかり、もやのように視界を遮る。
神主さんが、博麗神社で一世一代の大仕事をするというので、私の面倒を見きれなくなったらしい。
住み慣れた神社を離れ、神主さんの知り合いが居るこの町にやってきた。

やってきたと言うよりは、帰ってきたと言うほうが正解かもしれない。
7年前までは、確かにこの光景を見ていた。

雪。
そして、7年ぶりに再開した兄弟同然の少女。
記憶の片隅でくすぶる思い出と、現実の少女の姿。
違和感を感じるほどに私の記憶は正確ではなかった。

それでも、同い年の少女の姿に、とまどいを覚えたことは事実だった。

「とりあえず、荷物は今日中に片付けないとね」

そう。今日から新しい生活が始まる。
私は、鞄に詰めて持ってきた必要最低限の荷物から、今日着る服を取り出す。
残りの服は、身の回りの荷物と一緒に、神主さんの式が届けてくれるはずだ。
おそらく、今日の午前中には届くだろう。
手早く着替えて、まず必要なのは暖房器具ね、とそんなことを考えながら、新しい自分の部屋を後にした。

ドタンッ!!

廊下に出るとほとんど同時に、隣の部屋のドアも開く。

「あー、母親!私の制服がないぜ!」

怒ったように言う。

「無いぜ無いぜ時間が無いぜー♪」

なにか間違っている気がする。
そして、ふと、目が合った。

「あー、霊夢か、おはよう」

無愛想に、しかし、今までもそうだったというように挨拶をする。

「……」

あまりに普通すぎて、一瞬、思考が止まってしまった。

「おいおい、7年のうちに挨拶も忘れてしまったのか?」
「…おはよう」

むっ、としながら、挨拶を返す

「よしよし、おはようございます」

7年ぶりに再開した、兄弟同然の少女は、間違いなく7年前の少女そのままだった。
…たとえ、記憶の中の姿とは違っていても…。

「早いな。霊夢は今日までお休みなんだから、もっと眠っててもいいんだぜ?」
「今日までお休み?どういうことよ?それにそう思うならもう少し静かに騒いでよね」
「あー、私にはその質問の内容が理解できんが…明日から学校だぜ?」
「学校?」
「おい、学校知らないのか?」
「私の住んでたところは無かったわよ?」
「…おまえ、とんだ田舎につれていかれたもんだな…」
「もう、世界の境目なんだからしかたないでしょ」
「まぁいいや、学校ってのはな、胸を大きくするところだ」
「違うわね」
「なぜそう思うんだ?」
「魔理沙をみたらわかるわよ」
「ストレートだな。」
「で、何をするところなの?」
「学ぶところだ、ま、どうせ行かなきゃならないからまた説明する」
「わかったわよ…ところで時間が無いんじゃないの?」
「おー」

思い出したようにポンと手を叩く。

「時間と服がないんだ」

言葉どおり、魔理沙はまだ寝巻きだった。

「私に言われてもねぇ」
「まぁそうなんだけどな」

別段焦っているように見えない。ほんとに時間が無いんだろうか?

「なぁ、霊夢は私の服知らないか?」
「私が知ってるわけ…あ」
「お、犯人が思い当たったか?」
「服って、昨日着てたエプロンドレスだかなんだかわからない変なやつ?」
「変とは失礼だな、それに私は変じゃないぜ?」
「そんなことまで言ってないわよ、たしか咲夜さんが洗濯してたんじゃない?」
「おおぅそういえば、あの母親、そんなことしてたな」

魔理沙も思い出したのか階段を駆け下りる。
しばらくして…。
ドカドカドカ…。

「あったぜ」

キチンとたたまれた服を抱えて、階段を駆け上がってそのまま部屋へ。
そして、時間をおいてでてくる。

「着付け完了♪」
「着付けって…」
「細かいことは気にするもんじゃないぜ」
「そういえば、あんたも今日はまだ休みなんじゃないの?」
「あー、そうだが、私は会合があるからな」
「なんの会合よ…」
「ふふふ…名づけて《魔女っ子達の100年祭》だぜ」
「そこはかとなく莫迦っぽい名前ね」
「それに、私は会長だから遅れるわけにはいかない」

最初の邂逅から半日。お互いの緊張感がなくなりつつある。
…もともと無いようなものだったけど…。

「で、時間は大丈夫なの?」
「全くもって大丈夫じゃないぜ」

遅れてはいけないのに、別に慌てた様子は無い。
階段を降りる魔理沙に続いて、私も階段を下る。

「いまから出ても間に合うの?」

私はまだ、その学校とやらまでどれくらいかかるか知らないし、
会合が何時から始まるのかも知らない。

「全速力で飛ばせば間に合うな」

かなりヤバイみたいだ…

「ねぇ、魔理沙」
「あー?」
「その会合はいつごろ終わるの?」
「そうだな、私は昼過ぎには帰ってくるぜ」

《魔女っ子達の100年祭》がどんな会合なのかは知らないが、
魔理沙は実に魔女っぽい格好をしている。帽子とかとくに。

「だったら、魔理沙が帰ってきてから、ちょっと時間を割いてくれない?」
「有償なら可」

承諾してもらえたらしい。
さて、町を案内してもらおうか、部屋の片付けを手伝ってもらおうか?








…少女思考中。
はじめまして。人生初SSになります。どきどき物です。
疲れました…。が、楽しかったです。
選択肢…選んでいただけると幸いです。
序盤の重要な選択肢ですね。(あれを選ぶと~こっちを選ぶと~)

何分、初心者なもので、いろいろ気にそぐわない箇所もあると思いますが、
指摘していただけると成長します。面白い作品が作れるようになると思います。
ので、そちらの方もよろしくお願いします。

続くようにしてますが…かもです。
うたたねらじお
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コメント



0.370簡易評価
3.20名前が無い程度の能力削除
何が書きたいのかさっぱり分かりませんでした。
どうしてカノンを東方でやる必要があるのでしょう?
「原作知らない方注意」じゃなくて「原作知らない方理解不能」ではないでしょうか。
実際私はネタバレでも原作をやる機会もないので構わないから、と読んでみたのですが理解できませんでした。
何故魔理沙は幻想郷を出て咲夜と暮らしていたのでしょう?
しかも咲夜が母親代わりになって。
そこら辺の説明が皆無なのは、原作を知らない人に対してあまりにも不親切ではないでしょうか。
ですがこのお話は続き物らしいので、霊夢が幻想郷を出た理由とかも含めて追々説明がある事を期待しています。
>何分、初心者なもので、いろいろ気にそぐわない箇所もあると思いますが、
>指摘していただけると成長します。面白い作品が作れるようになると思います。
初心者にしては随分と大胆な発言だと思いました。
自信に心溢るる姿勢は見ていて清々しいのですが、過信にならないよう御注意を。
7.無評価名前が無い程度の能力削除
パロディは書くのは楽しい反面、なかなか難しい部分もあるでしょうが、がんばってくださいな。
完全に原作のシナリオをなぞっていくとすると、ただのキャラの置き換えになっちゃうの気配があるので、どこかで転機があるといいかと思います。

文章とか表現については、元のテキストをなぞってる感のある今回の作だけではわからないんで、ノーコメントです。

9.無評価七死削除
今までもパロディがまったくなかった訳ではありませんので、参考にしてみてはいかかでしょうか? 

成功されている作品は、概ねストーリーの完全オマージュでは無く、多分に原作から東方臭さがはみ出しており、そこが笑いのポイントになったり、ストーリーの肝になったりしているのが解ると思います。

作者殿の作品は、先のお方も御指摘されておられますが、まだまだ原作の型から抜け出ていませんね。

もしくは、完全に霊夢の記憶をその世界のものになじませてしまい、それでも時々あれ?なにかおかしいぞ? と思わせる描写を混ぜ、最後にどんでんがえしを残しておくというシリアス風味にする手もありますが・・・、こっちは酷く難しいのあまりでお勧めできません。

もし続編を書かれるのであれば、ギャグがシリアスかどちらかの路線にするかしっかり決めておかないと、中途半端な作品になってしまいます。 それを十二分に留意して執筆なされば、ともすれば化ける作品になるかも知れませんよ? 

どのような形にしろ、筆をとり創作に向かう意思は尊重されるべきですから、是非今後共頑張ってください。