煌々と輝く月に照らされる幻想卿。その強大な光は幻想卿の外れにあり、現界との境界を形成する博麗神社すらも明るく照らし出していた。
神社の縁側に少女が一人、杯を仰いでいた。この神社唯一の巫女、博麗霊夢だ。
普段騒がしい神社ではあるが、今夜ばかりは静かなようだ。
彼女の傍に置かれた酒瓶の中にはまだ半分ほど酒が残っていた。酒豪の霊夢らしくない、のんびりしたペースである。
「よう、月見酒か?」
「まあね」
霊夢の体に影が落ちる。月光を遮ったのは魔法使い、霧雨魔理沙だ。
「よっと」
浮かぶ箒から降りた魔理沙が霊夢の隣に腰掛けた。大きな帽子を置く。
「何しに来たのよ?」
杯に残った酒に目を落としながら霊夢が言った。
「用事がなけりゃ、来ちゃダメなのか?」
隣に座る霊夢に笑いかけながら魔理沙が言う。
霊夢がふっと微笑し、立ち上がる。
「飲むでしょ?取ってくるわ」
「おお、悪いな」
霊夢の後ろ姿が見えなくなり、魔理沙が呟く。
「あいつ、なんか今日は変だな・・・」
いつもならば、たとえ客であっても飲みたい者自らが取りに行かなければならないのだ。
霊夢が酒瓶と杯を持って戻ってきた。受け取った魔理沙は早速蓋を開け、なみなみと自分の杯を満たしていく。
「じゃ、乾杯だ」
「ええ」
平たい杯同士を器用に打ち合わせ、口に運ぶ。
「ん、上物だな。肴が月とはまた洒落込んだものだぜ」
魔理沙が饒舌に批評し、霊夢がくすっと笑った。
二人はしばらくたわいの無い会話を繰り返しながら飲んだ。
しかし魔理沙は気づく。自分はいつもと同じペースでしか飲んでいないのに、いつの間にか霊夢の瓶と同じだけ酒が減っていることに。
霊夢は魔理沙の話に相槌を打つばかりで全くといっていいほど飲んではいなかった。
いつもなら霊夢の方がなんだかんだと言いつつも、よく飲む。
酒が好きなのだろうし、霊夢は楽しむべきところでは何があろうと楽しむことの出来る人間だった。それなのに・・・
霊夢の様子は、いつもとは明らかに違った。
「なぁ、霊夢・・・」
魔理沙は、自分のこういうお節介な所が周りからトラブルの種を集めるということに気づいていない。
それもまた、彼女が人妖を問わず惹きつける魅力なのだが。
「お前、なんか変じゃ───」
「魔理沙」
まるで言葉を塞ぐようにして霊夢が魔理沙を呼んだ。
「お、おう?」
慌てて応じる魔理沙。
「私達は・・・いいえ。私はこれからどこに向かっていくのかしらね・・・?」
「え?」
魔理沙は質問の意味不明さよりも、久々に聞いた彼女の沈んだ声に驚いた。
「な、いきなりなんだよ。哲学者にでもなるつもりか?」
魔理沙は霊夢の普段とは違う様子に動揺していた。笑って誤魔化そうとしているが、内心はクエスチョンマークの行進である。
霊夢は中身が入ったままの杯をずっと見つめている。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
しばらくの沈黙。
「・・・・・・・・・」
霊夢が杯を仰ぎ、瓶から酒を注いだ。
「ねぇ、魔理沙・・・私はひとりなのよ」
「おい、どういう意味だ?」
何か大きな悩みを抱えている。そう察した魔理沙はとりあえず聞き手に回ることにした。
「この広い幻想卿にはたくさんの人や妖怪が暮らしているわ。誰かが誰かを支えあいながらね。ここでは誰もがひとりじゃないのよ」
「まあ、そのなのかもな」
霊夢の言わんとすることが予測できない魔理沙はとりあえず相づち。
「私はそんな人達とたくさん出会ってきた。いろんな事件と関わって、いろんな人と知り合ったわ」
「お前と最初に出会ったのも事件だったしな」
努めて明るく、魔理沙が言うと霊夢が顔を向け、苦笑して答えた。
「今この神社は静かだけれど、いろんなのが勝手に上がりこんで毎日がお祭りみたいに感じるわ」
「あー・・・それは皮肉か?少なくとも、私にそんな覚えはないんだけどな」
「違うわよ。そんなんじゃない・・・私はそんな毎日が楽しいと思ってるわよ?」
そう言って笑顔を作る霊夢だったが、長年の付き合いである魔理沙にはすぐに作り笑いだという事がわかった。それが痛々しく感じられた。
魔理沙は耐えかね、思わず霊夢の肩を掴んだ。
「おい霊夢!お前ホントにおかしいぞ!どうしたんだ!」
霊夢が魔理沙から目を逸らし、うつむいた。
「・・・・・・みんながウチでわいわい騒いでる時にね、ふと思うことがあるの」
「・・・なんだ?」
「みんな今はここにいるけれど、そのうち誰もがここから居なくなるんだろうなって・・・」
「っ!?どうしてだよっ!」
魔理沙の肩を掴む手は知らず、力が入ってしまっていた。
「さっきも言ったけど、幻想卿では誰もが誰かと関わって生きている。けれどその関わりの中に私はいないんだろうなって・・・」
「!?」
「自分が人とは違う感覚で生きている感じがするの。ずれてるとかじゃない。みんなは部屋の中にいるのに、私だけ廊下を歩いている感覚かな」
「でもっ!みんなお前と一緒に居るだろう!?」
魔理沙はなぜ自分の語気が荒くなっているのか理解できなかった。ただ分かる事は、自分が目の前の少女に対して抱いている感情は怒りではないということだ。
それはおそらく、普段からよく知る者が見せたいつもとは違う表情に対する・・・恐れ。
「・・・なんとなく分かるの。この先どれだけ多くの人と関わったとしても私は最後にはひとりになるってことが・・・ね」
「何言ってるんだよ・・・」
魔理沙は思わず立ち上がった。霊夢はいまだ下を向いたままだ。
「何わけのわからん事言ってるんだよっ!?お前酔ってんのか!?」
「・・・そうね。普段隠してる私の本音が出ちゃったんだもの。酔ってるんだわ、きっと」
「ッ!!」
もはや魔理沙の目に映った霊夢はいつもの飄々とした彼女の姿ではなかった。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
霊夢が一口だけ酒を仰いだ。
「・・・いつか私はひとりになる。そういう運命なのね、きっと」
「・・・・・・霊夢ッ!!」
彼女らしくない捨て鉢な言い様に魔理沙がキレた。霊夢の両肩を掴み、力ずくで自分の方を向かす。
「さっきから何悟ったみたいなコト言ってるんだ!お前!ひとりなんだ、ひとりになるんだって言ってばっかで・・・!勝手に決め付けて・・・!」
霊夢はまだうつむいている。その目は自分の胸の前に持つ杯をじっと見つめていた。
「そんなことばっかり言ってないで自分の気持ちを言えよッ!!私に話したってのはどういうことなのか、ちゃんと自分でわかってんだろうなぁッ!!」
霊夢の肩がびくりと震えた。
「いいか!酒の勢いで言っちまって自覚してないなら言ってやる!お前は私に自分の感情をぶちまけて、楽になって、私に悩みを解決する手助けをしてもらいたくて言ったんだよ!」
霊夢の持つ杯、その中身が震えて波立つ。
「それってお前がさっき言ってた支えあうことになってるだろっ!私はお前に関わりたいし!お前は私に関わって欲しいと思ってるんだよ!」
「!?」
霊夢の震えが止まった。
ピチャンッ───
杯の波面がひときわ波打った。その音は魔理沙が今まで出していた大声とは比べ物にはならないくらい小さな音だったが、魔理沙にははっきりと聞こえた。
「・・・霊夢・・・」
再び霊夢が震えだした。
「・・・魔理沙ぁ・・・」
顔を上げた霊夢に魔理沙は驚愕した。
あの博麗霊夢が顔を真っ赤にして泣いていた。
「・・・私・・・わたしぃぃぃぃっ!!」
カシャン───
杯を投げ出し、霊夢が魔理沙に飛びついた。
「おわぁッ!!」
とっさのことで受け止められなかった魔理沙が後ろに倒れこむ。
「魔理沙ぁ・・・ッ!!魔理沙っ!!私嫌なのっ!ひとりになりたくないのっ!・・・寂しいのは、不安なの!怖いのよォーーッ!!」
倒れたことにもかまわずに魔理沙に被さりながら大声で泣きじゃくる霊夢。
魔理沙はそっと霊夢の頭を撫でた。
「大丈夫だぜ・・・たとえみんなが居なくなっても、私が居てやる。・・・私はいつまでもお前と居てやるぜ、霊夢・・・」
「・・・・ぅ・・・ひっく・・・うぅ・・・魔理沙、本当に?・・・私・・・貴方に関わっていて良いの?・・・貴方に支えてもらってて良いの?」
霊夢が顔を上げた。涙でぐちゃぐちゃになった顔を魔理沙の手が撫でる。
「ああ、いいんだぜ・・・」
「・・・・・・・・・・・・魔理沙ぁーーーーーーーー!!!!」
静かな月に照らされる博麗神社。まるで濡れているかの如く、神々しく映えるそれは昼間の騒がしいだけの寂れた神社とは違い、なにか尊大な雰囲気を纏っていた。
「ふぅ・・・やっと寝付いたか・・・」
あれから判刻ほど泣いた霊夢。その間ずっと髪を撫でていた魔理沙は霊夢が落ち着いた後彼女を寝かしつけていた。
霊夢の寝顔を覗き込む。まだまだ顔には泣き腫らした後が残っていた。そっと顔を撫でてやる。
「いつもは飄々としてるくせに・・・こいつにはこいつの悩みってのがあったんだな・・・」
霊夢を起こさないように静かに立ち上がった。と、スカートが何かに引っ張られる。
見れば霊夢の手が魔理沙の裾を握っていた。もちろん霊夢は寝たままだ。
「・・・・・・魔理沙・・・・・・」
寝言だろうか、それとも目が覚めているのだろうか?霊夢が魔理沙を呼んだ。
魔理沙は苦笑して、
「・・・・・・わかったよ。今日は一緒に寝てやるよ」
霊夢の布団に潜り込んだ。
暖かなもの感じて、魔理沙は目を閉じながら言った。
「お前はひとりじゃないぜ、霊夢・・・おやすみ・・・」
神社の縁側に少女が一人、杯を仰いでいた。この神社唯一の巫女、博麗霊夢だ。
普段騒がしい神社ではあるが、今夜ばかりは静かなようだ。
彼女の傍に置かれた酒瓶の中にはまだ半分ほど酒が残っていた。酒豪の霊夢らしくない、のんびりしたペースである。
「よう、月見酒か?」
「まあね」
霊夢の体に影が落ちる。月光を遮ったのは魔法使い、霧雨魔理沙だ。
「よっと」
浮かぶ箒から降りた魔理沙が霊夢の隣に腰掛けた。大きな帽子を置く。
「何しに来たのよ?」
杯に残った酒に目を落としながら霊夢が言った。
「用事がなけりゃ、来ちゃダメなのか?」
隣に座る霊夢に笑いかけながら魔理沙が言う。
霊夢がふっと微笑し、立ち上がる。
「飲むでしょ?取ってくるわ」
「おお、悪いな」
霊夢の後ろ姿が見えなくなり、魔理沙が呟く。
「あいつ、なんか今日は変だな・・・」
いつもならば、たとえ客であっても飲みたい者自らが取りに行かなければならないのだ。
霊夢が酒瓶と杯を持って戻ってきた。受け取った魔理沙は早速蓋を開け、なみなみと自分の杯を満たしていく。
「じゃ、乾杯だ」
「ええ」
平たい杯同士を器用に打ち合わせ、口に運ぶ。
「ん、上物だな。肴が月とはまた洒落込んだものだぜ」
魔理沙が饒舌に批評し、霊夢がくすっと笑った。
二人はしばらくたわいの無い会話を繰り返しながら飲んだ。
しかし魔理沙は気づく。自分はいつもと同じペースでしか飲んでいないのに、いつの間にか霊夢の瓶と同じだけ酒が減っていることに。
霊夢は魔理沙の話に相槌を打つばかりで全くといっていいほど飲んではいなかった。
いつもなら霊夢の方がなんだかんだと言いつつも、よく飲む。
酒が好きなのだろうし、霊夢は楽しむべきところでは何があろうと楽しむことの出来る人間だった。それなのに・・・
霊夢の様子は、いつもとは明らかに違った。
「なぁ、霊夢・・・」
魔理沙は、自分のこういうお節介な所が周りからトラブルの種を集めるということに気づいていない。
それもまた、彼女が人妖を問わず惹きつける魅力なのだが。
「お前、なんか変じゃ───」
「魔理沙」
まるで言葉を塞ぐようにして霊夢が魔理沙を呼んだ。
「お、おう?」
慌てて応じる魔理沙。
「私達は・・・いいえ。私はこれからどこに向かっていくのかしらね・・・?」
「え?」
魔理沙は質問の意味不明さよりも、久々に聞いた彼女の沈んだ声に驚いた。
「な、いきなりなんだよ。哲学者にでもなるつもりか?」
魔理沙は霊夢の普段とは違う様子に動揺していた。笑って誤魔化そうとしているが、内心はクエスチョンマークの行進である。
霊夢は中身が入ったままの杯をずっと見つめている。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
しばらくの沈黙。
「・・・・・・・・・」
霊夢が杯を仰ぎ、瓶から酒を注いだ。
「ねぇ、魔理沙・・・私はひとりなのよ」
「おい、どういう意味だ?」
何か大きな悩みを抱えている。そう察した魔理沙はとりあえず聞き手に回ることにした。
「この広い幻想卿にはたくさんの人や妖怪が暮らしているわ。誰かが誰かを支えあいながらね。ここでは誰もがひとりじゃないのよ」
「まあ、そのなのかもな」
霊夢の言わんとすることが予測できない魔理沙はとりあえず相づち。
「私はそんな人達とたくさん出会ってきた。いろんな事件と関わって、いろんな人と知り合ったわ」
「お前と最初に出会ったのも事件だったしな」
努めて明るく、魔理沙が言うと霊夢が顔を向け、苦笑して答えた。
「今この神社は静かだけれど、いろんなのが勝手に上がりこんで毎日がお祭りみたいに感じるわ」
「あー・・・それは皮肉か?少なくとも、私にそんな覚えはないんだけどな」
「違うわよ。そんなんじゃない・・・私はそんな毎日が楽しいと思ってるわよ?」
そう言って笑顔を作る霊夢だったが、長年の付き合いである魔理沙にはすぐに作り笑いだという事がわかった。それが痛々しく感じられた。
魔理沙は耐えかね、思わず霊夢の肩を掴んだ。
「おい霊夢!お前ホントにおかしいぞ!どうしたんだ!」
霊夢が魔理沙から目を逸らし、うつむいた。
「・・・・・・みんながウチでわいわい騒いでる時にね、ふと思うことがあるの」
「・・・なんだ?」
「みんな今はここにいるけれど、そのうち誰もがここから居なくなるんだろうなって・・・」
「っ!?どうしてだよっ!」
魔理沙の肩を掴む手は知らず、力が入ってしまっていた。
「さっきも言ったけど、幻想卿では誰もが誰かと関わって生きている。けれどその関わりの中に私はいないんだろうなって・・・」
「!?」
「自分が人とは違う感覚で生きている感じがするの。ずれてるとかじゃない。みんなは部屋の中にいるのに、私だけ廊下を歩いている感覚かな」
「でもっ!みんなお前と一緒に居るだろう!?」
魔理沙はなぜ自分の語気が荒くなっているのか理解できなかった。ただ分かる事は、自分が目の前の少女に対して抱いている感情は怒りではないということだ。
それはおそらく、普段からよく知る者が見せたいつもとは違う表情に対する・・・恐れ。
「・・・なんとなく分かるの。この先どれだけ多くの人と関わったとしても私は最後にはひとりになるってことが・・・ね」
「何言ってるんだよ・・・」
魔理沙は思わず立ち上がった。霊夢はいまだ下を向いたままだ。
「何わけのわからん事言ってるんだよっ!?お前酔ってんのか!?」
「・・・そうね。普段隠してる私の本音が出ちゃったんだもの。酔ってるんだわ、きっと」
「ッ!!」
もはや魔理沙の目に映った霊夢はいつもの飄々とした彼女の姿ではなかった。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
霊夢が一口だけ酒を仰いだ。
「・・・いつか私はひとりになる。そういう運命なのね、きっと」
「・・・・・・霊夢ッ!!」
彼女らしくない捨て鉢な言い様に魔理沙がキレた。霊夢の両肩を掴み、力ずくで自分の方を向かす。
「さっきから何悟ったみたいなコト言ってるんだ!お前!ひとりなんだ、ひとりになるんだって言ってばっかで・・・!勝手に決め付けて・・・!」
霊夢はまだうつむいている。その目は自分の胸の前に持つ杯をじっと見つめていた。
「そんなことばっかり言ってないで自分の気持ちを言えよッ!!私に話したってのはどういうことなのか、ちゃんと自分でわかってんだろうなぁッ!!」
霊夢の肩がびくりと震えた。
「いいか!酒の勢いで言っちまって自覚してないなら言ってやる!お前は私に自分の感情をぶちまけて、楽になって、私に悩みを解決する手助けをしてもらいたくて言ったんだよ!」
霊夢の持つ杯、その中身が震えて波立つ。
「それってお前がさっき言ってた支えあうことになってるだろっ!私はお前に関わりたいし!お前は私に関わって欲しいと思ってるんだよ!」
「!?」
霊夢の震えが止まった。
ピチャンッ───
杯の波面がひときわ波打った。その音は魔理沙が今まで出していた大声とは比べ物にはならないくらい小さな音だったが、魔理沙にははっきりと聞こえた。
「・・・霊夢・・・」
再び霊夢が震えだした。
「・・・魔理沙ぁ・・・」
顔を上げた霊夢に魔理沙は驚愕した。
あの博麗霊夢が顔を真っ赤にして泣いていた。
「・・・私・・・わたしぃぃぃぃっ!!」
カシャン───
杯を投げ出し、霊夢が魔理沙に飛びついた。
「おわぁッ!!」
とっさのことで受け止められなかった魔理沙が後ろに倒れこむ。
「魔理沙ぁ・・・ッ!!魔理沙っ!!私嫌なのっ!ひとりになりたくないのっ!・・・寂しいのは、不安なの!怖いのよォーーッ!!」
倒れたことにもかまわずに魔理沙に被さりながら大声で泣きじゃくる霊夢。
魔理沙はそっと霊夢の頭を撫でた。
「大丈夫だぜ・・・たとえみんなが居なくなっても、私が居てやる。・・・私はいつまでもお前と居てやるぜ、霊夢・・・」
「・・・・ぅ・・・ひっく・・・うぅ・・・魔理沙、本当に?・・・私・・・貴方に関わっていて良いの?・・・貴方に支えてもらってて良いの?」
霊夢が顔を上げた。涙でぐちゃぐちゃになった顔を魔理沙の手が撫でる。
「ああ、いいんだぜ・・・」
「・・・・・・・・・・・・魔理沙ぁーーーーーーーー!!!!」
静かな月に照らされる博麗神社。まるで濡れているかの如く、神々しく映えるそれは昼間の騒がしいだけの寂れた神社とは違い、なにか尊大な雰囲気を纏っていた。
「ふぅ・・・やっと寝付いたか・・・」
あれから判刻ほど泣いた霊夢。その間ずっと髪を撫でていた魔理沙は霊夢が落ち着いた後彼女を寝かしつけていた。
霊夢の寝顔を覗き込む。まだまだ顔には泣き腫らした後が残っていた。そっと顔を撫でてやる。
「いつもは飄々としてるくせに・・・こいつにはこいつの悩みってのがあったんだな・・・」
霊夢を起こさないように静かに立ち上がった。と、スカートが何かに引っ張られる。
見れば霊夢の手が魔理沙の裾を握っていた。もちろん霊夢は寝たままだ。
「・・・・・・魔理沙・・・・・・」
寝言だろうか、それとも目が覚めているのだろうか?霊夢が魔理沙を呼んだ。
魔理沙は苦笑して、
「・・・・・・わかったよ。今日は一緒に寝てやるよ」
霊夢の布団に潜り込んだ。
暖かなもの感じて、魔理沙は目を閉じながら言った。
「お前はひとりじゃないぜ、霊夢・・・おやすみ・・・」
されど酔い方を知らず、酔いたいと思わ・・・
って感じですかね。こういう重い話も救いがあれば好きです。
しかし一体何人の救いに魔理沙はなっているのか?彼女の魅力ですね。
「_@_ -Charisma-」 がまだ入手できねぇー!
[普段のキャラらしくない一面をみせている]みたいな話は、私の心を掴んで離さないんですよ~。
だから私としては、むしろもう少しこの重苦しい部分を長くしてほしかったです。
次回作も期待してます!
セツナイ(´;ω;`)
でもGJ(´;ω;`)b
霊夢は絶対に一人にはならないんですよね。
少なくて7人くらいですかな。
妹紅、輝夜、慧音、レミリア、フランドール、霖森、紫あたりが残りそうです。
まぁ、揚げ足取りですが