Coolier - 新生・東方創想話

東方幻想忌憚・END

2005/01/24 10:12:29
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叶わなかった願い

だけど思いは果てしなく届き

それだけで満ち足りた私にはもはや必要ない


ただ、それだけのことだった・・・

















混沌とした世界が徐々に淡い光が立ち込め、闇を追いやってゆく。そよ風は暖かさを運び、もうすぐ朝が訪れるを知る。


展開されていた21枚のスペルカード。
その主軸であるカードを失い、まがい物の世界はその形を維持することもなく、崩れ往く。




「・・あやめ、私たちの、勝ちよ。」




紫が宣言すると同時に、21枚全てのカードは此の世から消滅した。
それと同時に紫達のスペルを解除される。


「ふふ・・本当に、私に勝つなんてね。」


あやめが微笑し4人を見つめる。だがその表情は今までのものとは違い、とても安らかだった。


「もうすぐ夜が明けるわ。時間切れね。」

「えぇ、そうね。残念だわ。」


霊夢に対し淡々とした風に答えるあやめ。もうそこには殺気も怒気も感じられなかった。


それは、まるで全てを諦め、突き放したかのような・・・


「誓って。もう二度とこんな事はしないと。そうすれば、あんたの封印のことだってみんなで力をあわせて別の方法を・・」

「いいえ、もうその必要はないもの・・・・」


力なく答えるあやめ。そしてその足元は・・・


「あやめ!?」

「もう時間が来たようね・・・」


あやめの足元はすでに、霞のようにうっすらと実体を失っていた。


「まって、あやめ!」
「無茶言わないで、紫。これは仕方のないことよ。私の時間は闇のみ・・夜が明ければ私は消える・・・」


すでに半分消えかかっているあやめに向かって、紫は半分泣きそうな顔で叫んでいる。


「あやめ。ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

「・・何泣いてるのよ。貴方は自分の目的を全うしただけ。博麗の巫女を・・たのんだわ。
これがゆかりとあやめだった彼女からの最後の言葉よ。確かに伝えたわよ。」

「あやめ・・」


霊夢が紫に近づく。そして、困惑と焦燥が入り混じったような眼であやめを見つめる。


「博麗の巫女。いえ、博麗霊夢。貴方にも迷惑をかけたわね。初代博麗といい、貴方といい
人間にも面白いのがたくさん居るのね。それとも、博麗の因果なのかしら?」

「さぁね、こっちは気付いた時からこんな性格だし。」


あやめと霊夢は見詰め合って笑って見せた。あやめの体は既に後ろの景色が透けて見えるまでに消えかかっている。








「さよなら、紫・・・・・。」








あやめはそういうと、静かな微笑みと共に・・・・・・・









霧散した。









「あや・・・・め・・・・?」









紫の声はそのまま皆を優しく包み込む光に静かに溶け込んでいき・・・


















・・・・・・・幻想郷に朝が訪れた。




























「あ~開けましておめでとうだぜ。って、何でこんなに勢ぞろいなんだ?」



時間は元旦の昼。静かな神社に現れた黒き魔女は開口一番そう告げた。



結局あやめが消えた後、永琳と鈴仙が永遠亭に戻ったところ、輝夜はすっかり良くなっていた。
そして昼頃、初詣という名目で先のメンバーとその他少数が集まって先の異変のことを話していたところであった。


そこへこの魔女の乱入である。



「あ~・・なんだ?めでたい正月だというのにみんなそんなに疲れた顔して?
さては新年早々お年玉と称して弾幕勝負でもしてたか?何で私を誘ってくれなかったんだ、水臭いぜ。」



・・・その言葉に、当事者全員が魔理沙を睨みつけた。



「ねぇ・・魔理沙?もしかして、貴方昨日のこと、何も知らないの?」

「昨日?そういえば昨日はどこかで大きな音がしてた気がするな。
てっきり紅魔館で花火でもしてるのかと思ってたんだが・・。まさかここで宴会か?
くっそ~、昨日は大掃除の後疲れて寝てたんだよ。
残念で仕方が・・・・・・って、おい、みんなどうしたんだ?そんな怖い顔して・・・」



・・・幻想郷の危機ともいえるあの異変の戦闘を花火や宴会と言い
あまつさえ気づかずに寝てたというこの魔女を前に、迸る殺気を抑えられない面々。





「ヲ・・ヲイ。ナニガアッタカハシラナイガ、ヘイワテキニハナシアイデカイケツヲ・・・」











・・・もちろん、そんな願いが通じるはずも無く、














「この大莫迦~~~~~~!!×10」

















                     ~少女幻葬~














・・・それから幾許かの時間が過ぎ、境内で宴会が行われていた。



結局あの後すっきりした10人が集まっていればお祭りになってしまうのはいつものことである。
いつまでも過去にこだわってるほど彼女らはもう弱くは無いのだから・・・





「にしても紫、まだ飲むの?もう13本目よ?」

「何言ってるのよ霊夢。こんなのまだ飲んだうちにも入らないわ。」

「あ~そうですか・・・」


向こうでは鈴仙と妖夢がすっかり酔いつぶれてしまっている。その隣では輝夜と幽々子が飲み比べをしているが
瓶の数を見る限り、輝夜に勝ち目はなさそうだ。


-飲んだ分どこに入ってるのかしら、あの幽霊は?


といった眼でそれを眺めているのはレミリアとその横に付き添っている咲夜である。

パチュリーは・・・・・縁側で下を向いて何かしている。




            ~・・・・・・げろげろげろ・・・・・~




・・・・効果音から察するに、じっくり見てはいけない事なのだろう。

というか、生理的に見たくない。


「うぅ・・。ん、あぁ、もう夜か?」

「あら、やっと気が付いたのね?」

「あれだけひどい目にあえば誰でもこうなる。」


紫の言葉に、魔理沙は苦笑して答える。


「折角来たってのにあんな目にあうとは思わなかった。
おかげでもう一つ用事を思い出した。ちょっとあんたに聞きたいことがあるんだが・・」

「あら、それは良かったわね。何かしら?」


魔理沙の問いに紫は耳を傾けつつ、お酒を啜る。


「なんかここへ来る途中、見慣れない奴に会ったんだが、そいつが紫に会ったらこう伝えて欲しいといってたんだ。」

「見慣れない奴が紫に用ってのも変わった話ね?」


霊夢も興味が沸いたらしく、その話に割り込む。


「で、その伝えて欲しいことって何?」

「それがな、私にも良く分からんのだが、こう伝えれば多分分かるって言ってたんだ。なぁ、紫・・・」



















~いくら任せられたからといって、母乳は無理だと思うわよ?~
















「ぶっ!!」


「だとさ、どういう意味かは私もさっぱり・・って、紫、いきなり吐くなよ!」

「紫、それってどういう・・」

「霊無は何も知らなくていいのよ!っていうか今すぐ忘れなさい!」






・・・やられた、完全な不意打ちだった。まさかそのことを知ってる人間や妖怪がいるわけが・・・










・・・・一人心当たりがあった。












「あやめ~~!覚えてなさいよ~~~~!!」













おそらく初めて見るであろう紫の絶叫にその場の全員が固まったことは言うまでも無い。




















「ふふっ・・紫ったら楽しいわ。今度内緒で博麗のところにも遊びに行こうかしら?」









神社から幾許か離れた森の中で、長い髪を風に靡かせて異国風の少女はそっと呟いた。










始まりが始まり、終わりは終りを告げる


明日が新しいものだと誰もが知っているのは


立ち止まらない自分がそこにあるからだろう



・・・私はやっと、歩き出せた気がする この幻想郷で
長かった物語もこれにて終幕。


大晦日を舞台とした物語はあと数週間で節分という時期まで延々と続いておりました。


・・これもすべては自分のふがいなさと甘さが原因で御座います。


まぁ、生きてるうちに完結させることが出来ただけでも満足です。(あとはいい評価があれば・・)


個人的には紫は神に近いものだと思っています。境界の境そのものは究極の静観者にして最強の統率者。

小説全体では、ちょっと妹紅や鈴仙の出番が少なかったと反省。その前に文章や表現力の無さは重々承知しております。次回作は先輩方のをもっと観察して練習を重ねて行きたいと思っています。
てーる
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コメント



0.660簡易評価
8.70名前が無い程度の能力削除
極シリアスな本筋後の、ちょっちギャグ風味。
締めはこうでないと…(何
なにより
~少女幻葬~
↑爆笑
13.80ウェイヴ・ライダー削除
ども! 1話から読ませてもらってました。
そうか! 誰か足りないと思ってたら、魔理沙が・・(苦笑)。
でも、ハッピーエンドになって何より!