翌日。
霧雨魔理沙が紅魔館にやってくる時刻はあまり一定ではない。ただ、時間の範囲は大体決まっており、昼食の時間帯に現れることが多かった。食事をとってから来るか、あるいは紅魔館で食べるかどちらかである。遅くとも、咲夜のケーキが出る頃に来なければその日は来ないのである。
この日は昼食をとってから来たようだ。魔理沙が図書館に入ると、大抵数秒で小悪魔が迎えに来る。入り口から遠くにいればまた時間もかかるが、魔理沙がパチュリーのところにたどり着くまでには小悪魔は魔理沙の隣にいることができる。長年図書館に住んでいると、どこでどういった存在が動いているか分かってくるのだ。魔力が充満した図書館の中でその魔力に渦ができるので、それを敏感に感じ取る。これができないと、まず間違いなく図書館で迷う。入り口付近で魔力が動いたため、小悪魔は魔理沙が来たことを感じ取った。
動く気配を追っていくと、小悪魔は魔理沙を発見した。わざと自分の気配をさらして魔理沙に察知させると、小悪魔は魔理沙のそばに降り立った。
「こんにちは、魔理沙さん」
「おう、今日もやってきたぜ」
互いに笑顔で挨拶を交わす。このとき魔理沙が期限の近い本を持っていれば返してもらい、そうでなければ本の注文を聞く。あるいは魔理沙自身が適当に持っていく事もあるが、知りたい内容が漠然なものであっても小悪魔に伝えれば関連した本を見つけてくれるので、今ではほとんど魔理沙は小悪魔に何かしらの注文をしていく。
魔道書のジャンルを聞くと、小悪魔は一礼してその場から飛び去った。おそらく魔理沙はそのままパチュリーのところへ直行していくことだろう。本を見つけて魔理沙に渡し、ついでに紅茶を入れていくのがこの後の小悪魔の仕事である。
幾冊かの魔道書を見繕い、小悪魔はそれを魔理沙に渡した。魔理沙の求めているものとその内容が違っていたとしても、魔理沙は特別気にしたりはしない。要は読めればいいと思っているからだった。
小悪魔が2人のところを離れ、自室で紅茶を淹れようとすると、入り口の扉付近で再び動きがあった。
紅魔館に住む者、そしてやってくる者はほぼ全員が妖力を持っている。その大小によって図書館を漂う魔力の渦も様々に変わるため、そのパターンを知っていれば誰が来たのか瞬時に分かるのだ。流石にメイド個人の区別はできないものの、それがメイドなのかメイド長なのか、吸血鬼なのか人間なのか、その辺りは簡単に察知できる。
だから、門番が入ってきた事も小悪魔にはすぐに分かった。
「隊長」
「や」
小悪魔は部屋に入るのをやめ、入り口まで美鈴を迎えに行った。図書館に入るのに慣れていない美鈴は、うかつに動くと迷う可能性がある。美鈴はそれを知っていたのだろう。扉のそばで動いていなかった。
門番の仕事をさぼっているように見えるが、実はこのことはメイド長に通達されており、直々に許可が下りているのだ。美鈴は咲夜もしっかりと仲間に入れておいたらしい。
「ここは相変わらず嫌な気が漂ってるわね~」
「慣れないうちは気を抜かないでくださいよ。魔力に中てられたら発狂するかも知れないですから」
小悪魔は恐ろしいことをさらりと口にする。だが実際、耐性がないとここで暮らすことはできない。パチュリーはともかく、小悪魔は図書館に住み始めた当初は何度も倒れたことがあったのだ。
その点、美鈴ならある程度の信頼は置ける。小悪魔は一応注意しておいて、パチュリーたちの紅茶を淹れることにした。
「で、どうなの?何か進展はあった?」
「いえ全然。2人とも本を読んでばかりで……」
パチュリーたちに紅茶を出すと、小悪魔は仕事に戻るといって本棚の陰に隠れた。美鈴が来ていることを知られると少々まずいので、美鈴にはあらかじめその場所に隠れさせておいた。そして2人で影からこっそりパチュリーたちの様子を伺う。
「これからどうするの?まさかあのお茶に何か盛ったとか?」
「あ、それがあったか」
「いやいや駄目でしょ、そんなことしちゃ」
2人は小声で話す。美鈴の何気ない質問に、小悪魔はしまったといった表情をした。流石にそこまであくどいことをする気はないものの、手段の1つに入れておいたほうがいいかもしれない。小悪魔の中の「悪魔」が囁いていた。
「大丈夫ですよ、ちゃんと考えてますから」
くだらない考えを頭から追い出し、小悪魔は美鈴に話しかける。
そう、しっかりと策は講じてあるのだ。
「つっ!」
小悪魔と美鈴が話していると、不意にパチュリーの声が聞こえてきた。
「どうした?」
小悪魔と美鈴はそちらを向く。パチュリーは本を放し、自分の指を押さえていた。魔理沙がそれを覗き込んでいる。
「ちょっと……指切ったみたい」
本のページで切ったようだ。2人からは見えないが、おそらく血が出ていることだろう。
「それくらいなら舐めときゃ大丈夫だよ。ちょっと貸しな」
2人が見ていると、魔理沙はパチュリーの手をとった。そして、血が出ているだろう指に口をつける。
「!!!」
ちゅ、という音がやけに大きく聞こえた気がした。
魔理沙はすぐに口を離した。気のせいか少し顔が赤い。自分でも恥ずかしいことをしているのは分かっているのだろう。しかし、それ以上にパチュリーの顔は赤かった。
体中の全血液が顔に言っているのではないかと思えるくらい、パチュリーは真っ赤になっていた。はにかんで目を逸らす魔理沙と、その魔理沙が舐めた部分を交互に見つめる。
「な……な、なな何するのよ!ば、ば、ばかっ!」
パチュリーは指をかばうようにして魔理沙から離れる。舌もうまく回らず、しどろもどろになってようやくそのセリフだけ吐き出した。頭から何かの湯気が出ているような気がする。
しばらくの後、魔理沙とパチュリーは互いに少々気まずい雰囲気の中、椅子に座り直した。
「…………!!」
「…………!!」
一方、書架の影では紅髪の2人が悶絶していた。
(な……な……何アレー!!)
(パチュリー様、可愛すぎですよ……!!)
2人の一連の行動に、小悪魔と美鈴は笑い出しそうだった。腹を押さえ、唇をぎゅっと噛む。魔理沙とパチュリーの気恥ずかしさは、小悪魔と美鈴のツボにクリーンヒットしていたのだ。
本のページで指を切ったらそこを舐められた。慌てて離れるもののお互い恥ずかしくて目が合わせられない。
これをどうスルーしろというのか。
事情を知らない者が見たら2人の具合が悪いのではないかと思うかもしれない。実際、具合が悪くなるくらいに笑い出しそうなのだが。隠れて見ている以上、声を出すのは御法度である。小悪魔と美鈴は、深呼吸をしてそれを抑えようとする。それでも、何かの拍子に口の端から空気が漏れてしまうのだが。
(あーおかしかった。いつもあんなことやってるの?)
(いつもじゃないですけど……まあ、その)
ものすごい破壊力だったことは認めざるを得まい。小悪魔と美鈴は軽く咳払いして、呼吸を整えた。
(で、まさかとは思うけど今のがその考えじゃないでしょ?)
(ええ、今からこの本でですね……)
小悪魔はまだ痙攣している腹筋を押さえながら、懐に入れてあった本を取り出した。
「ま、まったく……!急に変なことしないでよ」
「あ、おい」
小悪魔が自分の計画を実行に移そうとすると、またしても向こうの2人が何か話していた。再びこっそりと覗いてみる。
見ると、パチュリーが自分を落ち着けるために紅茶に手を出しているところだった。しかし、おそらくは気づいていないのだろう。パチュリーが使っていたティーカップはパチュリーの左側にあるのだ。
そして、パチュリーが掴んだティーカップはその右側にあったものである。つまり、魔理沙のものだ。
「な、何よ?」
気を紛らわせるために、パチュリーは紅茶を一気飲みする。普段は静かに一口ずつ飲むのだが、焦っているせいかそれさえもできないようだった。全部飲み終えてから、カチャリ、とパチュリーはカップを元に戻す。
「……ええと、私はどのカップで飲めばいいんだ?」
パチュリーが椅子に座ってから、魔理沙はそう切り出す。その言葉の意味が分からないらしく、パチュリーは怪訝な表情をしていた。
しかし、カップと言われて、パチュリーは机の上に乗っている2つのティーカップを見つめた。1つはパチュリーの左側に、もう1つは右側に。パチュリーの右隣には魔理沙が座っており、魔理沙の右側にティーカップはない。今机の周りにはパチュリーと魔理沙の2人しかいないわけであり、したがってここにあるティーカップもパチュリーと魔理沙2人のためにあるものである。そして、普通は自分に近いカップに手が伸びることになるのであり、それから考えるとパチュリーの左側にあるカップが魔理沙のものである可能性は低い。というよりも皆無である。
ということはつまり、パチュリーは魔理沙のカップで紅茶を飲んだということになる。
魔理沙がとっくに口をつけたカップで。
「……はは。間接キスだな」
パチュリーにも、どうやら状況が理解できたようだ。自分が何をどうしたのか。誰に言われずとも、その行為がなんと呼称されているか。
しかし、魔理沙のそのセリフが決定打となった。
何かが爆発したかのように、一気にパチュリーの顔が赤くなる。顔が赤くなるときのその音さえも聞こえてきそうだった。なんとか先ほどの熱を冷まそうとしていたところに、追撃となる豪爆の一発。
「ち、ちっちっ違う違う違う!違うったら違うわ!!」
「いやいや、間違いなくそうだろう。私もそこに口つけて飲んでたんだし」
利き手が同じであれば、またそうでなくとも、取っ手のついているティーカップを持って飲む際にはその取っ手の向きと同じほうの手で持つことになる。したがって同じ側、ほぼ同じ位置に口をつけて飲むことになるだろう。確率はおよそ2分の1でしかない。それに、いくらパチュリーが否定したところで、魔理沙が肯定してしまっているのだからどうしようもないだろう。
「わ、私はっ!そんな、の全然気にしないんだからっ!」
パチュリーは必死になって首を振っている。言葉も変なところで切れている。
その愛らしさが先ほどの一撃とコンボをつなげて、クリティカルヒットを繰り出していた。
(もうダメッ!!助けて!!くすぐったい!!)
(気にしなかったら余計まずいでしょう……!!)
エクソシストのように体をぶるぶる震わせる2人。小悪魔は床の絨毯を、美鈴は本棚をそれぞれ握り締めていた。美鈴の強い握力のせいで本棚のほうから変な音がしているが、そんなことにかまっていられる余裕はどこにもなかった。
(く……あ……!)
(隊長……!気を確かに……!)
(そっちもね……!)
ぶふっ、と空気が口から漏れ出していく。抑えようにも抑えられないこの衝動。王様の耳はロバの耳。今ここで笑い出してしまえばいろいろな意味で楽しいかもしれなかった。しかし声を出すわけにはいかない。
のどの奥が痛くなるくらいに散々我慢して、なんとか震えがおさまるくらいには落ち着いてきた。荒い呼吸を整えるのにも時間がかかって仕方がない。一呼吸ごとに先ほどのパチュリーの言動を思い出してしまい、すぐさま呼吸困難になってしまうからだった。
小悪魔の横では美鈴が何かぶつぶつ呟いていた。よく聞くと食べ物や料理の名前だった。別のものを大量に羅列することで気を落ち着けようとしているらしい。気を操る程度の能力を持つ美鈴がここまで乱されるとは、我が主侮りがたし。もともと侮ってはいないが。
(1足す1は2!2足す2は4!4足す4は8!8足す8は16!)
小悪魔も倍増し算を繰り返すことでようやく息を整えることに成功した。そこまでたどり着くのに、桁数が8に到達してしまったが。
(はー……はー……。き、強烈だったわ)
(ふう……。危うく鼻血が出そうでしたよ)
(うん。そりゃ危ないわ)
いろんな意味で。いまだこみ上げてくる笑いをどうにかこうにか抑えきると、小悪魔と美鈴は立ち上がった。小悪魔は床に落としていた魔道書を拾い上げる。
(思わぬアクシデントだったわね。パチュリー様があんな……う、ぷふっ!)
(隊長!我慢我慢!)
顔を背けて吹き出す美鈴を小悪魔は止める。これ以上同じことを繰り返していたらいつまで経っても計画が実行できそうになかった。
(ふー……。で、どうするの?)
(ええ。まずはとにかく、魔理沙さんの気持ちを見てみないことには……)
1度大きく息を吐いた後、美鈴は小悪魔に質問した。小悪魔も呼吸に気をつけながら答える。
(気持ち?そんなこと言ったって、訊いて答えるわけないじゃない)
小悪魔の答えに、美鈴はきょとんとした表情になる。当然の疑問だろう。「パチュリー様のことをどう思っていますか?」などと訊いたところではぐらかされるに決まっている。魔理沙はあまり裏表のない性格だとは思うが、こと自分の心情に関してはあまり発言しようとはしない。心の声など聞けるはずもないだろう。
(分かってますよ、それくらい。そんなときのためのコレじゃないですか)
そう言って、小悪魔は悪戯っぽく笑う。手に持った魔道書を美鈴の前に差し出した。無論、魔道書に詳しくない美鈴が本のタイトルを見たところでその内容が分かるはずがない。美鈴はまだ頭にクエスチョンマークをつけたままだった。
(強制的にやるの?なんかずるくない?)
(「半」強制的ですよ。本心をそのまま伝えさせてしまったら、もし私たちの望まない結果だったときに取り返しがつかなくなりますからね)
小悪魔は本来の「顔」を隠して微笑む。美鈴の言うとおり、確かに魔法を使って魔理沙にその気持ちを言わせるのはずるいだろう。小悪魔もそうなることは望んではいない。しかし、現状を知らないことには次の対策を練ることができないのだ。現状把握は大事である。小悪魔はそのことを美鈴に伝えた。決してこのまま歩みを進ませるわけではないのだ。あくまで、2人に歩んでもらおうと思っている。小悪魔がするのは、その手伝いなのだ。
だが、ストレートに魔理沙の本心を言わせてしまってはならない。それではやはり、取り返しのつかない結果になってしまうかもしれないからだ。つまり、魔理沙の本心をそれとなく言わせるようにし、且つパチュリーが不快にならないようにして、さらに2人の距離を少しでもいいから縮めるのだ。
美鈴はどうすべきか分からないようだったが、小悪魔には策がある。魔道書のジャンルを考えていけば、おのずと良策に行き当たるものなのである。
(具体的にはどうするの?)
(まあ、これを使えば大体いけると思いますけど。ただ、魔法を使うと絶対にパチュリー様にばれますからね)
おとなしくなった魔理沙とパチュリーの様子を伺いながら、小悪魔と美鈴はひそひそと話す。
(そこで隊長、図書館で渦巻いてるこの魔力を操作してくれませんか?)
(操作?)
(ええ。要は詠唱時の魔力の展開がばれなければいいんです)
図書館では様々な魔力が漂い、ぶつかり合って独特の雰囲気を作り出している。言い換えるならば煙がか立ち込めているのと同じ状態だ。それは魔法を使ったり、魔力を持った者が動いたりすることで揺らぎを生じることになる。つまり、どこであっても魔法を使えばそれが分かってしまうのである。
だが逆に言えば、その揺らぎさえ発生させなければどんな魔法を使ってもばれないのである。そして、魔力と美鈴の使う「気」は表裏一体。生命エネルギーを基礎にしているという点では魔力とそう大差ないのだ。
(この魔力を操って私たちの周りに壁を作れば、詠唱時の揺らぎは出ないはずですよ)
小悪魔の説明に、美鈴はしばし考える。
(……うん、分かった。やってみるわ)
(お願いします)
納得したらしい。美鈴は息を大きく吸い込むと、自身の気を練り始めた。
(ゆっくりやってくださいね。壁を作ってる最中でも揺らぎは出ますから)
(うん。分かってる)
目を閉じ、美鈴は静かに動く。手を何かを引き寄せるような形に広げ、そこに魔力の壁を作っていく。鮮やかなものだった。左手を前にかざす。そこから少し離れたところに、小さくゆっくりと、渦を巻いて魔力が集まってくる。その間、空間全体には全くといっていいほど影響が出ていない。美鈴自身が空間の魔力と一体化しているかのような錯覚にさえ捕らわれた。容姿端麗な美鈴がそうして静かに舞う様は、同性であっても見惚れてしまう。小悪魔はしばらくの間、その美しさを堪能していた。
やがて、魔力の壁は2人を完璧に包み込んでいた。一応どこかに綻びがないか確認したが、実に見事な作りであることが分かっただけだった。
(ありがとうございます。それじゃあ早速やりますね)
美鈴に礼をして、小悪魔は魔道書を開いた。しおりを挟んでいたページを読み直し、それから詠唱を始める。
ぶつぶつと小悪魔が唱えている間、美鈴は黙ってその様子を見ていた。詠唱の邪魔をするのはよくないと分かっているのだろう。
「――往け」
ふ、と小悪魔の前に1つの魔法陣が現れる。それはその場でくるくると回転し、やがて自身を収縮させていった。それは1つの光の玉となり、小悪魔の前で空に留まる。さらにそこから光はその輝きを失い、不可視の状態になった。周りの景色に溶け込み、感覚でなければその存在を認知できない状態へと変化していく。
小悪魔はその魔力があるところに手を伸ばすと、それに手をかざし、最後に一言そう呟いた。
魔力塊は静かにその場を離れた。詠唱は終了である。小悪魔は本を閉じると、美鈴と一緒に魔理沙の様子を覗いてみた。
(成功しますように……)
(って、そういえばあなたの魔法って、あいつに通じるの?)
ゆったりと、それ自体が空間に揺らぎを発生させぬように魔理沙へと近づく中、ふと美鈴が口を開く。小悪魔の魔力レベルは魔理沙の足元にも及ばないところは美鈴も、小悪魔自身もよく分かっていることだった。
(不意打ちだったら効きますよ。それに、お2人とも今は動揺してますからね。確率は高いです)
ふわふわと魔法が魔理沙へと近づく。魔理沙とパチュリーはそれには気づいていないようだった。
あと少し。小悪魔と美鈴は息を飲んだ。
「ぐっ!?」
途端、魔理沙の体が揺れる。本を取り落とし、机に突っ伏した。
「魔理沙!?」
驚いたのはパチュリーである。慌てて椅子から立ち上がると、魔理沙に駆け寄った。
「どうしたの?大丈夫?」
魔理沙を抱き起こして声をかけるが、魔理沙は目を閉じて動かない。まさか魔理沙に限っていきなり心臓病で死ぬということはないだろうから、生きてはいるだろう。
(どうなの?)
(魔理沙さんが起きないと、分からないです……)
小悪魔と美鈴は黙ってその様子を見ていた。
「ん……」
「魔理沙……?」
少しすると、魔理沙が目を開けた。
魔法が効いたかどうか、魔理沙の気持ちはどうなっているのか。
ここからが勝負である。
「どうしたのよ急に。頭でも痛いの?」
パチュリーが心配そうに魔理沙の顔を覗き込む。それだけ見ていればかいがいしい若奥さんと言っても差し支えないが、それを言うとまた必死になって否定する上に、小悪魔と美鈴を行動不能に陥らせる危険性があるから言えなかった。
魔理沙は、そんなパチュリーの顔をぼうっと見つめている。その顔に、表情はない。
「魔理沙……?」
パチュリーは魔理沙の様子に眉をひそめる。
そのとき、魔理沙が笑った。
にへ、と子供のように無邪気な顔で。
そして、おもむろにパチュリーに抱きついたのだ。
「なっ!!?ななななな何何何!!?まっ魔理沙、どうしたの!?」
突然抱きつかれて、パチュリーは混乱する。しかし魔理沙はお構いなしにパチュリーにすり寄っていった。
(これって……?)
パチンッ、と指の鳴る音。
美鈴が小悪魔に訊こうとすると、小悪魔が意地の悪そうな笑みを浮かべているのが視界に入った。
「せいっ……こう!」
それが、小悪魔の第一声であった。
なんていう破壊力の高いカユさ…!高純度の甘み…!
魔理沙とパチュリーの距離のとり方が嬉しいやら恥ずかしいやら
とにかく可愛くて堪りません。
あと、傍観者たる小悪魔と美鈴のコンビも非常にいい感じ。
特に倍増し算してしまう理知的な小悪魔に惚れました。
・・・いや、失礼。あまりの萌えっぷりに思わず我を忘れて悶えてしまいました。いやマジで。
最高です! マジでパチェかわいすぎます! 是非この調子で続きもお願いします!
とてもじゃないがまともな顔では見ていられねぇ、ここまで紅髪二人に感情移入できたのは初めてだっ
文章に愛が溢れていて、もう脳内妄想が大変ですわ。
東方も魔理Xぱちゅ絶賛応援中です。+10(愛情点加算
前々から見習いたいとは思ってはいたが・・・
文章を媒介にした結界生成が非常にお上手なようで。
私の会話を媒介にするエセ結界もなんとかVerUPしなければ・・・・
ご馳走様でした。
天馬様天馬様何卒お願いです! この小悪魔を挿絵で起こしてほしいとか厚かましい事お願いしたりしちゃったりするのであります~~~!
私は鼻血吹いてしまった。
最高に甘々でした。
七死さん>>
挿絵はとりあえずうpろだのほうにあげておきました。1900番です。時間がなくてラフですが。自分で書いたSSに自分で挿絵を描くというのは、公共の場を私物化しているような気がするのでやりませんが、リクエストがあるなら別です。
今後、絵板で描けと言われるようならそうします。
あ、それと様づけはしなくていいです。
もう、お腹いっぱいです…。
このまま、萌え死にs…。
”これが出来なきゃ図書館で迷う”と言う魔力の渦感知スキルを、小悪魔以上のレベルで持っているであろう筈のパチェが、美鈴が図書館に来た事どころか除き行為にすら全く気が付かないのは、黙って二人で本読んでるだけでも相当魔理沙に中てられてるんでしょうな~。