Coolier - 新生・東方創想話

Scarlet Memories

2005/01/18 06:22:04
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「退屈だなー」
フランは地下室に閉じ込められっぱなし。
「お姉様と咲夜は神社に遊びに行っちゃうし…」
自分は閉じ込められ、姉とその従者は自由に外に出ている。
「外に出よっかな」
フランは即座に決めてパチュリーや美鈴に気付かれずに紅魔館を抜け出した。


「ん…っと、夜空って見ていて飽きないわね」
フランは空中を漂う。
ぽつっ…ぽつっ
夜空は星が見えるのに水滴が滴り落ちてきた。
「えっ、もしかして…雨!」
雨は吸血鬼や妖怪等の力をことごとく奪ってしまう。
フランにとってもっとも危険なものである。
外であるならなおさらだ。
今は空中、しかも下は深い森。
「あっ、駄目…力が」
フランは気を失い深い森へと飲み込まれていった。



同時刻…
「うっひゃあ…狐の嫁入りかよ、早めに帰ればよかったか?」
魔理沙が霊夢の所から帰る為に雨の中低空を飛んでいた。
森の中を飛んでれば多少は雨を防げるからだ。
「ん…?なんだあの光は?」
魔理沙は森の中にうっすらと七色に光るものを見つけた。
魔理沙が近づいてみると…
「フランじゃないか!なんで雨の日に外へ?」
かろうじて光っていたのはフランの羽根だった。
「このままじゃまずいな…とりあえず私の家に運ぼう」
魔理沙はフランを可能なかぎり雨に濡らさずに自宅へと向かった。



「これで良し」
フランをベッドへ寝かせてひとまず落ち着いた。
「どうするか…レミリアに連絡したらフランは叱られるしな…」
「今頃紅魔館は大変だろうし…」
「あ!でもレミリアは今日霊夢の所に止まるって言っていたから大丈夫かな…」
なんともポジティブな考えである。
「とりあえずお風呂にでも入って私も身体を温めないとな」
魔理沙はお風呂へと向かった。



「ん…ここは?」
「ここは…どこ?」
「!」
フランは何かに気付いたようだった。
「あの帽子は…」
黒いいかにも魔法使いっぽい帽子。
「ここは…魔理沙の家?」
フランがぽけーっとしているとお風呂場のドアが開いた。
「お、眼が覚めたのか。フラン」
「あ、魔理…!」
フランはすぐ眼を逸らした。
魔理沙は首からバスタオルをかけただけだったのだ。
「まっ、魔理沙っ!ふ、服っ」
フランは俯いた。
フランは俯いたところで自分の服装に気がついた。
ショーツ一枚にローブがかかっているだけであった。
「魔理沙が…着替えさせたの…?」
「ああ…あのまま濡れた服じゃまずいだろうと思ってな」
「…ありがとう」
フランの頬が多少赤くなったのを魔理沙は見逃さなかった。
「気にする事ないぜ、女同士なんだから」
「…」
「でも、これじゃあまともに話ができないな」
「ちょっと待っててくれ」
魔理沙はそそくさとパジャマに着替えた。
ようやくフランも顔を上げてくれた…が、顔が多少赤い。
「で、どうしてあんな所にいたんだ?」
「だって、お姉様は霊夢の所に遊びに行って、私は地下に閉じ込められている…これって不公平じゃない」
「まあ、レミリアの気持ちも分からんでもないが…」
「魔理沙もそう思うの?」
フランは眼に涙を浮かべた。
「いっ、いやっ、そういうわけじゃないんだ」
「ただ…」
「ただ?」
「レミリアの愛情表現なんじゃないかなって思ってさ」
「お姉様の愛情表現?」
フランはキョトンとした顔をして魔理沙を見ている。
「レミリアはフランを大事にしている…それはわかるよな」
「うん…」
「でも、レミリアは上手く愛情表現が出来ないんだ…だからフランを地下に閉じ込めているんだと思う」
「でも地下はあんまりじゃないかな…」
「フランはレミリアにとって唯一の肉親だ…それを考えればレミリアの気持ちも多少は理解できるだろ」
「うん」
「でも…地下に閉じ込めておくのはおかしいな…大事にしたいなら紅魔館の人々や私達と話した方がいいと思うな」
「でしょでしょ、魔理沙もそう思うよね!」
「良し!私がレミリアに相談してみるか?」
「ほんと!」
フランがとても喜んだ風に見えた。
「無理は承知で言い寄ってみるさ!」
魔理沙は心に決めた。
フランみたいな隔離された子を皆と共に過ごさせるということを…!
「とりあえず明日の朝博麗神社へ行くか?」
「うん!」
「それじゃあ、今日はお休みだ。ちょっと狭いけど私もベッドに入れてもらえるかな?」
「あ、うん」
魔理沙とフランは一つのベッドに入った。
「魔理沙…」
「ん…」
「人ってこんなにも暖かいんだね…」
「そうか…お風呂から出たばかりだからな」
「そうじゃないの、ここしばらく一人だったから…」
「フラン…」
魔理沙はフランのほうを向いた。
「フランこっち向けるか?」
「うん」
フランと魔理沙は向かい合う感じになった。
魔理沙とフランの顔を距離はわずか15センチくらいだ。
「なんだか…恥ずかしいよ、魔理沙」
「わ、私もだぜ…」
「魔理沙、このまま抱きついてもいい」
「あ…ああ、いいぜ」
フランは魔理沙に軽く抱きついた。
「やっぱり暖かい…」
「フラン…」
「なーに…っ!」
魔理沙はフランが顔を上げるのを確認してキスをした。
「フラン…絶対にお前を外の世界にいられるようにしてやる」
「魔理沙…ありがとう」
そのまま二人は眠りについた。



次の日早く起きてすぐに二人は博麗神社へと向かった。
もちろんフランには日傘つきだ。
「おーい、霊夢、レミリア、いるかー」
「フランはそこの木の陰にでも隠れていてくれ」
「うん…」
フランが隠れた後、レミリアが慌てて出てきた。
「魔理沙、フラン知らない!」
「おいおい、どうしたんだよ?」
魔理沙はあえてそういう。
「フランが紅魔館にいないんだって」
霊夢がやれやれという感じの顔で出てきた。
「どうしよう…あの子、昨日は嫁入りだったからその時に外に出てたら…」
レミリアはいつもの冷静さを忘れている。
「魔理沙…フランの居場所分かる?」
「ああ、わかるぜ」
「「ホント!」」
霊夢とレミリア二人の声が重なる。
「いいぜ、フラン…」
魔理沙がそういうとフランが木の陰からゆっくりと姿を現した。
「フラン!」
レミリアがフランに向かって歩き出した。
「待て!レミリア…フランを叱らないでやってくれ…」
「魔理沙…」
「実はお願いがあるんだが…」
「何よ…」
「フランも外の世界で一緒にすごしてくれ!頼む!」
「え…!?」
レミリアも霊夢も突然の事に言葉がそれしか出なかった。
「フランはレミリアが外にでているのにフラン自身は閉じ込められて外に出たいが為に今回の騒動は起きた…
 レミリアもフランが大事なら一緒に外の世界で過ごしてもいいんじゃないのか!?
 私達や紅魔館の人々と話した方がいいに決まってる!
 地下に閉じ込めていても孤独と寂しさしかやってこない!
 それでもレミリアはフランをこのまま地下に閉じ込めておくきか!?」
場に沈黙が流れた。
「…」
初めに口を開いたのはフランだった。
「お姉様…私、外に出て皆と一緒に居たい!
 お姉様や咲夜、パチュリー、美鈴、それに紅魔館の人々、それから…この幻想郷に住む者達全員と!」
 一緒に生きたいの!いいでしょ!お姉様!
再び場に沈黙が訪れた。
「…」
次に開いたのはレミリアだった。
「フラン…そうだったの…
 貴女の口からそれが聴きたかったの…ごめんなさい…フラン」
「お姉様…それじゃあ…」
「ええ…一緒に外の世界を歩みましょう!フラン!」
「うん!」
二人は抱きしめあった。



それをみている脇役ふたり
「魔理沙…」
「なんだ?」
「何かあったの…」
「ちょっと…な」
「ふーん…まあいいけど…」
「これで一件落着だぜ」



レミリアとフランは姉妹揃っていることが多くなった。
出かけるときも…眠るときも…お風呂に入るときも…
姉妹の時間は今から動き出す。
それはゆっくりゆっくりと
二人の時間を刻んでゆく。
それは二人の思い出となり、
心に残ることでしょう。


Scarlet Memories
二人の記憶は正に
『紅い記憶』
となり姉妹の絆と深めていく。
これから二人の時間は幸せでしょう。
カシス
[email protected]
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コメント



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37.100名前が無い程度の能力削除
全俺が泣いた。