Coolier - 新生・東方創想話

東方幻想忌憚5

2005/01/03 11:09:46
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貴方はちっとも変わってなかった

たとえその身は零落しようとも変わらぬ強い意志

私は何と愚かなのだろうか


これほどの思いを前に、すべてを壊してやりたいと思っているのだから

















紫たちの前に現れた今回の異変の元凶。狂気の月より禍々しい笑みを浮かべたその少女は此の世のものとは
思えぬ美しさだった。

「ねぇ、紫。“また”貴方は私の邪魔をするというの?」

対する紫は、何も答えない。

「ねぇ、紫?今度は邪魔をしないで。ただ私は、今の博麗を殺したいだけなの。
そうすれば博麗の血が私の呪縛を解いてくれる。そうすれば私は復活できるの。」

その言葉に、紫はあやめを睨みつけて言い放った。

「そんなこと・・させるわけ無いでしょう!」

その言葉は、彼女との永遠の決別であった。

「そう・・それならしょうがないわ・・・。」
「えぇ・・私はもう迷ったりしないわ・・。」


僅かな静寂の時が流れる。

「剣那、珠樹。貴方たちは適当に遊んでなさい。私は、紫と、博麗の巫女を・・・殺すわ。」


「承知」「わかりました。」


そう言うと共に、二人の従者は散り、剣那は幽々子と妹紅、珠樹は永琳と鈴仙と対峙した。

「さぁ、紫。もうすぐ年が明けるわ。世界の変質をその目で確かめられないのは残念ね。
博麗の巫女と共に朽ちるといいわ。」

「それはこっちの台詞よ、あやめ。朽ちるのは貴方だけで十分よ。」
「境内の分の恨み、たっぷり返してあげるわよ。」



あやめの背中から黒い、冥い漆黒の翼が浮かび上がる。対する霊夢は陰陽玉を展開する。





「原始の神の力に屈するといいわ、穢れきものの希望!」
「人妖の絆の力で無に還りなさい、愚かな過去の過ち!」















一方、剣那と対峙する幽々子と妹紅だったが

「まずいわねぇ・・私はお腹がすいて力がでないわ・・・・妹紅、あとはたのんだわよ・・ばたっ。」
「ちょっ・・何こんな時にふざけたことを・・」

一方、剣那も

「ふん、面白くない。こんな飛び道具ばかりに頼る連中の相手など・・。
真の決闘というのは、こう血で血を洗うような接近戦というか肉弾戦というか・・」

なにやらぶつぶつと呟いている。

「まぁ、いいわ、とりあえずお前たちに興味は無いから適当に遊んでおく。」
「なっ、失礼な奴だ・・燃えカスになってからじゃ後悔しても遅いぞ。」

と、幽々子が、

「興味が無い?それは私の台詞よ。貴方如きに構ってる暇は無いわ。」

「・・夜鏡を一人で倒したそうだな・・。その自信か?」
「いいえ。だって、私は貴方なんかよりもずっと強くて、ずっとかわいい剣士を、一人知っているのだから。」

剣那は理解できないといった表情で幽々子を見る。幽々子は続けて、

「私の最高の剣であり、盾であり、遊び相手であるあの子に比べれば、貴方なんて比べる価値も無い ということよ。
ねぇ・・・」




《獄界剣・二百由旬の一閃》




「なっ・・・!?」




突然背後より飛来する超高速の斬撃を紙一重で避ける剣那。
しかし、落ち着く間もなく、200を超えるであろうナイフの群れが剣那を貫いた。

否、剣那の剣が一瞬早く、すべてのナイフを叩き伏せていた。

「ねぇ・・私のかわいい妖夢。」
「幽々子様、恥ずかしいから二度とそんなこと人前で言わないでください。それと、遅れて申し訳ありませんでした。
魂魄妖夢、ただいま参上いたしました。」
「あら、私を忘れてもらっちゃ困るわね。」

と、妖夢の後ろから、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜が現れた。

「お前は・・やはり命令を違えたか。」
「最初から守る気なんて、無かったけどね。」

と、不敵な笑みを浮かべる完全にして瀟洒なメイド。
しかし、剣那もそれに負けないぐらい凶悪な笑みを浮かべ

「ふふふ・・長刀にナイフ使いか・・面白い。お前たち二人、まとめて相手してやる。
我が名は剣那 舞。お前たちの持てるすべての力で、私の剣を満足させてみろ!」

先の幽々子たちとの会話からは想像もつかない様な好戦的な雰囲気に包まれた剣那は、右手を一振りした。
すると、何もなかったはずの右手に刀身が七つに分かれた剣が握られていた。

「さて、妖夢。貴方と組むのは初めてだけど、足引っ張らないでね。」
「む、そちらこそ、でたらめなナイフで私に当てないでくださいね。」

口ではそんなことを言っているが、互いがそれぞれの実力を認め合った仲である。二人は剣那と対峙しつつ、呼吸を整え





「神の刃の露と消えてしまうがいい、双頭の狗!」
「「穢れき刃を叩き折ってやるわ、悪神の牙!」」


















こちらは珠樹と、それに対峙する永琳と鈴仙。

「ふむふむ、私の記憶が正しければ、貴方が月の頭脳と銘されるほどの使い手、八意 永琳さんですね。
そしてそちらの方は・・・月兎の鈴仙・優曇華院・イナバさんですね。
お初にお目にかかります。私、この度貴方たちの相手をさせていただきます珠樹 詠というものです。
おそらく短い付き合いとなるでしょうがよろしくお願いいたします。早速ですが、お手合わせ願います。」

珠樹はそう言うと、深々と頭を下げた。つられて永琳や鈴仙も会釈してしまう。

「ししょ~。なんかこの人怖いですよ~。」
「姫もあれ位礼儀正しければ・・」

鈴仙の言葉など上の空で、永琳は自分の主人の理想像を頭に浮かべることで一杯だった。


「って、師匠~!?」




「あの~・・・?」

珠樹がおずおずと手を上げて二人の妄想と暴走を止める。

「あちらも始めたようですし、こちらもそろそろ始めたほうが宜しいのではないでしょうか・・?」
「え、えぇ・・そうね・・。」


と、3人が戦闘態勢に入ろうかというそのとき、





「待ちなさい、そこの青赤!」





緊迫した空気を突如切り裂いて、3人の間に割り込むものがいた。

「あ・・青赤って・・私のこと!?。」

「えぇっ・・なんでパチュリーさんまでこんなところに!?」

驚き戸惑っている珠樹と永琳を余所に、七曜の魔女、パチュリー・ノーレッジは永琳たちの前に降り立った。

「貴方とそこの不死者は別の仕事があるんでしょ?さっさと行ってきなさい。なんならそこの兎も
連れてっていいわよ。今日は裏技使ってきたから喘息の調子もいいわ。」

「裏技?」

思わず、永琳が聞き返す。

「ちょっとレミィの血を少々・・うふふw」
「うぁっ、怖っ!」

その妖艶な表情はまさに100年以上生きた魔女の成せる業である。

「はてさて・・困ったことになりましたね。そこの妹紅さん永琳さんを主に会わせるわけには参りません。
かといって4対1と言うのもこちらが不利ですし・・とりあえずパチュリーさんと永琳さんだけでも
足止めしておきますか。」

そういうと珠樹は大小さまざまな玉を取り出し、永琳立ちの周りにばら撒いた。そして両手で印を結び




「其は玉にして珠。闇夜の光を浮かべる器と化せ。【秘術・曜変天目】!!」




―しまっ・・



永琳が口に出すよりも早く、大小さまざまな光の粒と闇の波が意識を一時閉ざしていった。







「ようこそ、私の亜空間の中へ。」






珠樹の声で覚醒した永琳はすぐさま回りを確認する。自分は光の渦に飲まれて・・・。そしてその後
珠樹がいう亜空間に閉じ込められたらしい。
空間は宇宙のように、暗黒の世界に星がちりばめたといった感じの場所である。

「あぁ、永琳、気づいたようね。」
「パチュリー・・だったかしら。ここは協力してあいつを倒してここを出るほか無いようね。」


「たとえ貴女方二人の力を合わせたところで、私には勝てないと思いますよ?」

不敵な宣告と共に、その手にはスペルカードが握られている。
それを見て永琳とパチュリーも身構える。

「貴方たちの頭脳は、私を上回ることが出来るのでしょうか。楽しみです。」

「いい度胸だわ。伊達に月の頭脳を名乗ってるわけではないわ。」
「知識の名を冠した魔女の力を教えてあげるわ。」



3人の智者たちによる、知力による弾幕戦が今始まろうとしていた。






「完成された究極の弾幕を見極められるかしら、神譜の頭脳!」
「「貴女のロジックなんて全て解いてやるわ、希代の難題!」」















今ここに、幻想郷の未来を賭けた、終らぬ歴史が始まる。



















二度と違えぬ刃の先に


終らぬ悪夢の終焉を見た気がした


手を伸ばせば届くはずなのに・・・・・



現実は悪夢よりも恐ろしく、儚い物だと知っていれば・・・・
5話目です。人数を出しすぎてどうやって相手させればいいのやら・・。

長編を書くときはあらかじめ登場人物と筋だけはきちんと作っておかなければいけないなといまさらに反省。

辛口コメントで宜しいですからどうかひとつこのヘタレにご教授くださいますよう・・<(_ _)>


おまけ・曜変天目というのは実在する茶器らしいです。が、見たことありません。実物見たことある方や持ってると言う方いたらどんなものかぜひ教えてください・・^^;
てーる
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コメント



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4.50無為削除
静嘉堂文庫美術館の稲葉天目がとても弾幕に見えます。
http://www.seikado.or.jp/

ちょっと探してみた曜変が見やすいサイト。
http://habc123.hp.infoseek.co.jp/tenten.html