Coolier - 新生・東方創想話

東方幻想忌憚4

2005/01/01 01:13:58
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今でも思い出すあの瞬間。

偉大なる力を封じられ、小さき器に押し込められ

あまつさえ尊きものに穢れきものを守る義務を着せしあの一族


必ず討ち果たしてやる、そして、その次は・・・

















「あ~もぅ・・。とりあえず、助けてくれてアリガト。おかげで私は無事だわ。境内は全壊だけどね・・。」

霊夢は敵を追い払いつつ、境内をものの見事に粉砕してくれた一同に向けて決して好意的とはいえない
目つきでそう言った。対する一同はというと

「ほら、やっぱり師匠の《ライジングゲーム》がいけなかったんじゃぁ・・」
「なに言ってると、私の弾幕は計算され尽くした一撃だったわ。それを妹紅が《フジヤマヴォルケィノ》
なんてするから・・・」
「なっ・・それを言うなら、そこの隙間妖怪の《二重黒死蝶》だって・・」
「私なんかよりも幽々子のほうがノリノリで・・」
「いやいや紫、原因はやはり狂気の瞳にあったのでは・・・」

不毛な罪のなすりあいを続けている。




「あんたらぁねぇ・・いいかげんにしろぉ!!」





ついに切れた霊夢により、その場の全員に夢想封印・瞬が放たれた。











「で、さくっと説明してくれないかしら?さっきの逃げたあいつは何者で、あんたらは勢揃いで何しに来たの?」
「アイツは敵、これからみんなで倒しに行く。これでOK?」
「んなわけあるか!」
「さくっと説明してって言ったのは霊夢なのに・・。」


ここで、今まで黙っていた紫が突然口を開いた。

「霊夢、貴方は関わってはいけないことよ。黙ってここに残ってなさい。」
「なっ・・ちょっと紫、何のつもり?」

突然の紫の発言に、一同あっけに取られる。すぐさま霊夢が反撃する。

「関わってはいけないこと?もう十分関わってるわよ。一体何のつもりなの?ちゃんと納得のいく
説明をしてもらいたいものね。」

紫は霊夢を真っ向から見据え

「・・、博霊の血、そして幻想郷の成り立ちそのものが今回の問題の発端。貴方自身の秘密を知ることに
なるけど、その覚悟がおあり?」

その場の全員が紫の雰囲気に飲まれていた。が、

「紫。」

「幻想郷がどうだとか、博霊の血がどうだとか、そんなことで私はどうこう言うはずないじゃない。」

そう、この何処までも澄んだ瞳。やはり彼女にそっくりだ。

「私は、私よ。」
「そうね、霊夢。」

紫は一息つくと、かろうじて原型を留めてる縁側に腰を下ろした。



「それじゃぁ、私が知りえるすべての歴史を語るわ。」







そういって、紫の口からはひとつの物語が紡ぎだされていった。


















始まりは、無だった。やがて、世界に光が満ち溢れ、世界は光と闇に分けられた。世界が光と闇に
分けられたとき、そこに境界が生まれ、私が生まれた。その後、世界はめまぐるしく変動し、大地
海、雲など、次々と新しいものが生まれた。やがて人間が生まれ、人々はそれらをいろいろな名をつけ
あるものは神と、あるものは妖怪などと言われ、崇め、畏怖された。だが、はじめからあった闇と
境界には名を付けられなかった。人は新しいものには興味を示すが、在るべくして在るものは
それが当然と思い込み意識することも無い。


二人は孤独だった。


あるとき、境界はとある村はずれに降りていた。といっても、人間には見ることも感じることもできない。
境界とは、何処にでもあり、何処にでもいる。初めから気がつかないだけなのだから。そう思っていた矢先

「あら、このあたりにすごい霊力が充満してるわ。」
「神様でも降りてきてるのかしらねぇ・・」

と、二人の人間がやってきた。二人には私が見えるはずも無い。しかし

どこか違う・・そんなイメージがちょっとした悪戯心をくすぶった。


―ちょっとだけなら、実体化してもいいだろう。


と、自らの姿をイメージして実体化する。突然目の前に現れた私に二人は

なんと声をかけてくれるだろうか。そんな風に思った矢先、

「突然目の前に出てきたら危ないじゃない。邪魔よ。」
「ゆかり、そんないいかたないんじゃぁ・・。あ、失礼しましたおばあさん。」



・・・・おばあさん・・?




いま、何と言ったのだろうか?人間如きの目の前に出てきてやっただけでも感謝されるべきものを
邪魔と言われた上に、おばあさんだなんて・・これでもお嬢さんとしてイメージしたはずなのに・・。
とりあえずここは神として天罰を与えるべきだろう。うん、決して私怨ではない。

別におばあさん呼ばわりされて怒っているわけではない。

「仮にも神である私に向かって暴言を吐くなんてね。何か言い残すことは無いかしら?」

もちろん、本気でやるつもりなんて無い。ただ驚かせて見たかっただけだ。しかし、彼女らは・・・・

「おぉ~、神様はじめてみましたね~♪ありがたやありがたや、南無南無・・」
「あやめ、それは仏様よ。神様にはたしか胸で九字を切ってオーイェーイって言うと異国の書に書いてあるわ。」


・・何処から突っ込めばいいのだろうか

①危機感0に対するつっこみ 

②神の知識0に対する知識

・・・・・とりあえず、③の 春成分満載の二人の頭 に物理的突っ込を入れておいた。

「「いった~い。」」
「変なことばっかり言ってるからよ。それにしても、あんたたち変わってるわね。
私を前にこれほど堂々としていられるなんて。」

私はすぐにこの二人のことが気に入り、二人も私と親しい仲になるのに時間はかからなかった。
彼女たちはそれぞれ、 博麗ゆかり と 祭遠寺あやめ という名だった。この八雲という名も
神であったために名の無かった私に彼女たちがくれたものだ。それほどまでに私たちは親密な時を
過ごした。僅かではあったが・・・・。



元々、彼女らはこの地に立てられるはずだった村の巫女と祭司として赴いていたらしい。
私が降りて暫くの間にそれらは完成し、あとは完成を祝う儀式のみを残すはずだった。
しかし現実は違っていた。その村は・・その村と呼ぶその一帯自体が巨大な儀式場であり
この地に太古より眠る神、つまり、私たち二人を静めるためのものだったのだ。そのことを知った私は
すぐに始まりの彼女の元へ行った。私は言った。

『この村の平和のためだ。われわれはいるべきではない』と。

しかし、彼女は頑として聞き入れてくれなかった。
そして、儀式当日・・
彼女は儀式場に現れ、ゆかりとあやめを殺そうとしたのだ。

「何故だ、何故邪魔をする?尊き神が、人間如きに情けをかけるなど・・」
「神は人の信仰の上でのみの呼び名だ。その人を裏切っては最後の呼び名である神でさえも失ってしまう。」
「だったらどうすると言うのだ。」
「もしこれ以上二人に危害を加えると言うのなら・・私はお前を殺す。」
「・・・神間での同属殺しは大罪。その罪は未来永劫の呪いとなってお前を破滅させると言うのに。
それでもお前はっ!!」


結局、私と彼女は殺しあった。しかし、神格が上である彼女に私がかなうはずも無い。私はすぐに力尽きて
倒れてしまった。

「八雲!!」
「う・・すまない、ゆかり、あやめ。早くお前たちも逃げ・・・・?おい、何をする気だ。
やめるんだ、そいつはお前たちのかなう相手では・・」
「大丈夫、こういうときのための私たちよ。あやめ、準備は?」
「うん、大丈夫。」

そういうとゆかりはあやめの四方を縄で囲ってゆく。ゆかりは今度は札を取り出して四方に・・
いや、空間も関係なしに次々と札が貼られてゆく。

これは・・

「結界・・!?人間如きにこれほどの霊力が・・・・?ん・・意識が・・混合している!?何故!?
ここは・・そっちの人間と同調しているというのか?」

「そうか・・これは、神降ろしの儀・・?」

札により空間を封鎖し、縄は意識を彼女と同調させるためのアンテナ、そして一度入った神を
外に出さないための仕切り。神降ろしというよりも、

―神封じ・・・

そんな言葉がふと漏れた。

「ゆかり、思ったよりも負担が大きい。このまま、封神の儀を・・」
「あやめ、でも、それじゃぁ・・。」
「なに言ってるの。守りたいんでしょ?大切な友達をさ。」
「ともだち・・?」

私は呆けた顔で彼女らを見る。

「なに言ってるのよ、八雲。もう私たち、友達でしょ?」
「ゆかり、もう時間がないわ。・・・・・・はじめましょう。」
「八雲、短い間だったけど、楽しかった。最後に、お願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」




















「結局、彼女たち、 あやめとゆかりは総じて神を封じるために、自らを生贄として封印することに成功した。
あやめがアイツを縛り、さらにそれをゆかりが外から結界を張ることによって2重に抑えることができた。
それが・・」

「それが、博麗大結界と、幻想郷のはじまり ッていいたいわけね・・・・。」

永琳の言葉に首を縦に振り、紫は一息ついた。他の面々も、一度にいろいろな話がありすぎてなんだか
よく分からないといった雰囲気である。

そして、紫は話を続けた。

「ゆかりは最後にこういった。『貴方がこれから先、この世界を守っていって、と。そして次代の博麗を
育ててほしい。』と。ゆかりは孤児だったらしく、身寄りもなく、そもそも結界を守っていけるほどの霊力を
持ったものなど、早々いるものではなかったわ。だから私は・・」
「だから私は、相応の霊力を持つものを見つけ、博霊に据える方法を取った。それこそ、内界、外界を問わず・・ね。
霊夢、貴方も、そうやって選ばれた一人というわけよ。そもそもおかしいと思わなかった?
周りに村もない境内に一人で人が住んでるなんて。」

紫の言葉を聞いていた面々は霊夢を見ていた。当の霊夢は、押し黙って何も言わずに下を向いていた。

と、霊夢の口が僅かに動き

「それで、何?」
「え・・?」

「それが何だって言うの?博麗がどうだとか、私には関係ないって言ったはずよ?生まれなんて知ったこっちゃないわ。
私は今生きてる。周りには騒がしい人間や幽霊や妖怪や悪魔がいる。これが今の私の真実。だけど・・」

「その現実を壊そうと言う輩がいることは分かったわ。そいつを止めればいいんでしょ?」
「確かにそのとおりね。しんみりした話はあんまり得意じゃないのよね。」

と幽々子が立ち上がる。つられて妹紅も

「そうだ。生きてると言うことはすばらしいことなんだからな。」
「貴方がそれを言っても説得力に欠けるわね・・。ねぇ、ウドンゲ。」
「まぁ、確かにそうですよね。しょっちゅう死んでますし。」

と、鈴仙と永琳もいつの間にやらそばに立っていた。


―あぁ、何でこんなことで悩んでたんだろう。この子らを見ていると、今までのことがどうでも良く感じてくる。

そうだ、大切なのは、今を守ること。

「そうね、それじゃぁ、アイツの元へ向かいましょう。そして、この異変を解決するのよ。」


そう言って立ち上がったとき



















「へぇ、紫 っていうの。あの子の名前を受け継いだのね?」













「なっ・・」


一同は声をしたほうを向く。そこにいたのは・・・



輝夜を思わせる黒い長髪。だが、姿かたちは輝夜のそれより幼く、着物も異国風である。
また、その左右には従者が如き二人の少女が控えている。


「久しぶりね。名前があるってすばらしいことだわ、紫。私も名前を手に入れたの、呼んでくれない?私の名前・・・。」




「何故・・何故こんなことを・・あやめ。」
「そうよ・・あやめであってあやめでない。私は名を手に入れたの・・後欲しいのは、自由よ。」











白い雪がちらほら降り行く新月の夜。

幻視の月が中天に昇り、その場の全員を怪しく照らす。

時は大晦日、世界の変質にこれほど似合った夜はない。

新たな日が昇るとき、そこにあるのは神の世か、人の世か。

















二度と会うこともないと思っていた。


再び会う彼女らは何一つ変わることなく存在し、


そして何一つ変われなかった私と対峙する。



此と彼の世 境界引きし 幻想郷 落ちる白雪 分かつ幻闘
時間が無くなったので急いでいたら、話のまとまりをじっくり考える間も無くなりました。

誰も期待してないと思いますが、最後までがんばります。

小説を書ける程度の能力 欲しいですね・・または夜鏡みたいに 他人の能力を映す程度の能力 でもいいです・・・・・
てーる
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