その日、その時、その場所で。
私は、みょんな生き物と出会った。
私が住む西行寺の庭園、桜が咲き乱れるその場所で。
その子は静かに庭を歩いていた。
私は、その子に惹かれてゆっくりと、驚かさないよう近づいていく。
すると、私に気付いたその子も、私のほうへ近づいてきた。
目と目が合う。
「……」
「……」
暫しの沈黙。やがて、痺れを切らしたのか、その子の方が先に私に向かってこう言ったのだ。
「みょんみょん!」
_
、__ (、ノ⌒
O===) )=」 `ヽ))-───
-`  ̄ ヽ ̄ ̄、 ̄´ みょん
/==-- --==ヽヽ ヽ
L_Li-LiレL-Li__i ii. `_
ノi O O iレ ii i ` みょん
iノ'' '' -'- '' ''ノ」iノii ´_ノ
ヽ、 -´ ノノ__ ノ
i_ノ~ヽノ~Tノ し´
「…かっ、かわいい!!」
そうして、私達は出会ったのだ。
@
@
@
冷静になって考えてみる。このみょんな生き物は、一体ナニ?
マシュマロのような白い肌、綺麗な灰色の髪、頭に乗ってる刀、美味しそうなしっぽ
ああ食べてしまいたい!!
…落ち着くのよ、ここで食べてしまってはいけないわ。
兎に角、はっきりと判る事はこの子が私の心を掴んで放さないほどかわいいと言う事。
「みょんみょん」
「あ~~~~もう! かわいいなぁ」
白い肌を突っついてみる。
「みょみょん」
「あ~~~~~~ぅ~~~~~~」
口を横に引っ張ってみる。
「うみょ~ん」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
とりあえず、理性が吹っ飛びそうになるほどかわいいと言う事はよっく判った。
私は、このみょんな生き物を、妖夢に似ている事を踏まえて『妖夢福』と名づけ、一緒に
遊ぶ事に決めた。
妖夢福の前を、先行してちょっと歩いてみる。
すると、まるでアヒルの雛が親の後ろを歩くように、とことこと私の後ろについてくる。
「むむむっ、じゃあこれならどうかしら」
そう言って、今度は少し走ってみる。
すると、妖夢福はみょーんと鳴きながら、私に向かって走ってくる。
向かってくる妖夢福に両手を差し伸べて、抱いてみる。
ふわふわしてとっても気持ちいい。
「くすぐったいってば、あははははは」
思わず、笑みがこぼれる。
はて、この子は何処から来たんだろう? こんな生き物は、今まで結構長い間
亡霊やっているけど、一度も見た事がない。
何となく妖夢に似てるけど、何か関係があるのかしら?
そういえば、以前、黒い魔に無理矢理聞かされた話で、インプリンティングというものが
ある。
卵から帰った雛が、最初に見た動くものを親だと思い、何処までもついていくという
現象を、インプリンティングと言うらしい。
ということは、もしかしてこの子がこんなに懐くと言う事は私の事を親だと思っている
のかしら?
…顔が、真っ赤に染まる。それも、悪くはないなと思った。
「そ~れ、たかいたか~い!」
「みょみょ~~~~~~ん」
「そ~れ、ジャイアントスイング~!」
「みょみょみょみょみょ~~~~~~~~~!」
「そ~れ、スクリューパイルドラ……」
その瞬間、妖夢福がちょっと悲しそうな表情を取ったのでやめた。
もう一度、胸に抱いてぎゅっと抱きしめてみた。
やっぱりふわふわとして気持ちがいい、まるでマシュマロのよう。
…食べたら美味しいのかしら。
「み゛ょッ!?」
「冗談だってば~。そんなに警戒しなくても……」
「みょんみょん」
「ぇっ、ちょっと疲れた? じゃあ、そこの木陰でちょっと休みましょうか」
そう言って、近くにあった桜の木の下で、ゆっくりと腰を降ろす。
妖夢福が、私の膝の上でちょこんと座った。
きっと、今の私の様子を妖夢が見たら、きっと『何でそんなにニヤニヤしてるんですか』
とか言いそうな気がしてきた。
それくらい、笑みが耐えないと自分でも判っていた。
だって、本当にかわいいんだもの。
かわいいものは愛でないと、ちょこっと損だと思った。
春風が私の髪を揺らしながら、通り過ぎていく。
視線を落とすと、妖夢福は少し疲れたのか、丸くなってこっくりこっくりと頭を上下に
揺らしていた。
その様子も、とてもかわいい。
私は、妖夢福の髪をゆっくりとさすりながら、暫く夢の中にいるような、そんな
感覚を楽しんでいた。
@
@
@
「…で、何でこいつはこんなににやついてるんだ?」
「きっと、いい夢でも見てるんでしょう」
黒い服を来た魔術師と、半分幻の庭師が、布団の中で眠る幽々子を見ながらそう言った。
ここは幽々子の寝所である。
朝になり、幽々子を起こそうと妖夢が訪れたが、あまりに幽々子が気持ちよさそうに
眠っていたため、起こせずにいたのである。
ここへ遊びに来た魔理沙が言う。
「んで、こいつが抱いてるこの白い妙な生き物はなんだ?
見てみると、幽々子は幸せそうにしながら、先程一緒に遊んでいたみょんな生き物を
大切そうに胸に抱いていた。
ただ、それと少し違うのは、その妖夢福は生き物ではないと言う事だ。
「目覚し時計よ」
「ああそうかい。そう言われて見ると腹の部分に時計がついてるぜ。で、何であんたに
そっくりなんだ? というか、何だこれ」
「私が、幽々子様にプレゼントしたのよっ。何だか随分と気に入られちゃって…」
「うふふ~……みょんみょん……」
「うわ、幸せそうに抱きしめてるぜ。随分と楽しい夢でも見てるんだろうな」
「きっと、ね」
その時だった。
時計のタイマーが起動し、この辺り一帯に目覚ましの音が鳴り響いた。
『みょん、みょん、みょん、みょん、みょみょみょみょん、みょみょみょみょん、
みょみょみょみょん、みょみょみょみょん、みょみょみょみょみょみょみょみょ――』
「…ちょっと待て、このマヌケな声は何だ? まさか……」
「…わっ、私の声なんだけど……」
「……」
「……」
呆れて物も言えない魔理沙と、顔を真っ赤に染め、俯く妖夢。
そして、目覚ましの音を聞いてもまるで目を覚ます様子を見せず、幸せそうな顔をしながら
妖夢福型目覚し時計を抱いている幽々子。
部屋の中に、みょんな空気が流れる。
「ふふふ~……みょん」
幻想郷に、今日も幸せな一日が訪れようとしていた。
私は、みょんな生き物と出会った。
私が住む西行寺の庭園、桜が咲き乱れるその場所で。
その子は静かに庭を歩いていた。
私は、その子に惹かれてゆっくりと、驚かさないよう近づいていく。
すると、私に気付いたその子も、私のほうへ近づいてきた。
目と目が合う。
「……」
「……」
暫しの沈黙。やがて、痺れを切らしたのか、その子の方が先に私に向かってこう言ったのだ。
「みょんみょん!」
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、__ (、ノ⌒
O===) )=」 `ヽ))-───
-`  ̄ ヽ ̄ ̄、 ̄´ みょん
/==-- --==ヽヽ ヽ
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ノi O O iレ ii i ` みょん
iノ'' '' -'- '' ''ノ」iノii ´_ノ
ヽ、 -´ ノノ__ ノ
i_ノ~ヽノ~Tノ し´
「…かっ、かわいい!!」
そうして、私達は出会ったのだ。
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冷静になって考えてみる。このみょんな生き物は、一体ナニ?
マシュマロのような白い肌、綺麗な灰色の髪、頭に乗ってる刀、美味しそうなしっぽ
ああ食べてしまいたい!!
…落ち着くのよ、ここで食べてしまってはいけないわ。
兎に角、はっきりと判る事はこの子が私の心を掴んで放さないほどかわいいと言う事。
「みょんみょん」
「あ~~~~もう! かわいいなぁ」
白い肌を突っついてみる。
「みょみょん」
「あ~~~~~~ぅ~~~~~~」
口を横に引っ張ってみる。
「うみょ~ん」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
とりあえず、理性が吹っ飛びそうになるほどかわいいと言う事はよっく判った。
私は、このみょんな生き物を、妖夢に似ている事を踏まえて『妖夢福』と名づけ、一緒に
遊ぶ事に決めた。
妖夢福の前を、先行してちょっと歩いてみる。
すると、まるでアヒルの雛が親の後ろを歩くように、とことこと私の後ろについてくる。
「むむむっ、じゃあこれならどうかしら」
そう言って、今度は少し走ってみる。
すると、妖夢福はみょーんと鳴きながら、私に向かって走ってくる。
向かってくる妖夢福に両手を差し伸べて、抱いてみる。
ふわふわしてとっても気持ちいい。
「くすぐったいってば、あははははは」
思わず、笑みがこぼれる。
はて、この子は何処から来たんだろう? こんな生き物は、今まで結構長い間
亡霊やっているけど、一度も見た事がない。
何となく妖夢に似てるけど、何か関係があるのかしら?
そういえば、以前、黒い魔に無理矢理聞かされた話で、インプリンティングというものが
ある。
卵から帰った雛が、最初に見た動くものを親だと思い、何処までもついていくという
現象を、インプリンティングと言うらしい。
ということは、もしかしてこの子がこんなに懐くと言う事は私の事を親だと思っている
のかしら?
…顔が、真っ赤に染まる。それも、悪くはないなと思った。
「そ~れ、たかいたか~い!」
「みょみょ~~~~~~ん」
「そ~れ、ジャイアントスイング~!」
「みょみょみょみょみょ~~~~~~~~~!」
「そ~れ、スクリューパイルドラ……」
その瞬間、妖夢福がちょっと悲しそうな表情を取ったのでやめた。
もう一度、胸に抱いてぎゅっと抱きしめてみた。
やっぱりふわふわとして気持ちがいい、まるでマシュマロのよう。
…食べたら美味しいのかしら。
「み゛ょッ!?」
「冗談だってば~。そんなに警戒しなくても……」
「みょんみょん」
「ぇっ、ちょっと疲れた? じゃあ、そこの木陰でちょっと休みましょうか」
そう言って、近くにあった桜の木の下で、ゆっくりと腰を降ろす。
妖夢福が、私の膝の上でちょこんと座った。
きっと、今の私の様子を妖夢が見たら、きっと『何でそんなにニヤニヤしてるんですか』
とか言いそうな気がしてきた。
それくらい、笑みが耐えないと自分でも判っていた。
だって、本当にかわいいんだもの。
かわいいものは愛でないと、ちょこっと損だと思った。
春風が私の髪を揺らしながら、通り過ぎていく。
視線を落とすと、妖夢福は少し疲れたのか、丸くなってこっくりこっくりと頭を上下に
揺らしていた。
その様子も、とてもかわいい。
私は、妖夢福の髪をゆっくりとさすりながら、暫く夢の中にいるような、そんな
感覚を楽しんでいた。
@
@
@
「…で、何でこいつはこんなににやついてるんだ?」
「きっと、いい夢でも見てるんでしょう」
黒い服を来た魔術師と、半分幻の庭師が、布団の中で眠る幽々子を見ながらそう言った。
ここは幽々子の寝所である。
朝になり、幽々子を起こそうと妖夢が訪れたが、あまりに幽々子が気持ちよさそうに
眠っていたため、起こせずにいたのである。
ここへ遊びに来た魔理沙が言う。
「んで、こいつが抱いてるこの白い妙な生き物はなんだ?
見てみると、幽々子は幸せそうにしながら、先程一緒に遊んでいたみょんな生き物を
大切そうに胸に抱いていた。
ただ、それと少し違うのは、その妖夢福は生き物ではないと言う事だ。
「目覚し時計よ」
「ああそうかい。そう言われて見ると腹の部分に時計がついてるぜ。で、何であんたに
そっくりなんだ? というか、何だこれ」
「私が、幽々子様にプレゼントしたのよっ。何だか随分と気に入られちゃって…」
「うふふ~……みょんみょん……」
「うわ、幸せそうに抱きしめてるぜ。随分と楽しい夢でも見てるんだろうな」
「きっと、ね」
その時だった。
時計のタイマーが起動し、この辺り一帯に目覚ましの音が鳴り響いた。
『みょん、みょん、みょん、みょん、みょみょみょみょん、みょみょみょみょん、
みょみょみょみょん、みょみょみょみょん、みょみょみょみょみょみょみょみょ――』
「…ちょっと待て、このマヌケな声は何だ? まさか……」
「…わっ、私の声なんだけど……」
「……」
「……」
呆れて物も言えない魔理沙と、顔を真っ赤に染め、俯く妖夢。
そして、目覚ましの音を聞いてもまるで目を覚ます様子を見せず、幸せそうな顔をしながら
妖夢福型目覚し時計を抱いている幽々子。
部屋の中に、みょんな空気が流れる。
「ふふふ~……みょん」
幻想郷に、今日も幸せな一日が訪れようとしていた。