どんよりと沈んだ灰色に包まれた、ある曇りの日のお話。
「はぁぁ~~」
この日の天気とあいまって、聞くもの全てを暗鬱にさせるようなため息が聞こえる。
ここは、多くの妖怪と数少ない人間がそれなりに平和に楽しく暮らす場所、幻想郷。その郷の、とある湖の
どこかにある島にひっそりと存在する紅魔館。・・・の門。それはため息の主の仕事場所である。
彼女の名は中g・・・。もとい紅美鈴。ここ、紅魔館の門番である。
「はぁあ~~」
美鈴は、綺麗な装飾が施されている紅魔館の門の前で、膝を抱えながら本日何回目とも知れぬため息をついていた。
元々、幻想郷に紅魔館の主に喧嘩を売ようマネをする輩など皆無に近く、居たとしても紅白巫女か白黒魔法使いぐらい
であり、今や彼女らはお客様なのである。そんな門番など必要価値ゼロに等しい館だが、仕事場に座り込んでいる今の
美鈴の姿は職務怠慢以外の何物でも無く、上司のメイドにお仕置きモノである。しかし美鈴は、自分の姿を客観視でき
ないほどに凹んでいる。
何が彼女を、こうまで落ち込ませるのか。それは紅魔館に住む者たちの豹変振りである。館の主、そして美鈴自身の
主でもあるレミリアは霊夢にご執着で、霊夢には誰一人として触れさせないぐらいの勢いで一方的にアタックしてる
し、美鈴の上司にして、レミリアの瀟洒な従者である十六夜咲夜は、お嬢様の貞操が危ない!などとトンチンカンな
事をぬかしつつ妄想して鼻血を垂らすという器用な真似をした後、レミリアをストーキング中だ。紅魔館図書室管理人
で、レミリアや美鈴の友人であるパチュリーに至っては、図書室という密閉空間で魔理沙とラブラブである。
別に美鈴は自らの主や友人を取られた事に嫉妬して、自己嫌悪に陥ってるいるのではない。彼女らのことは確かに
好きだが、彼女達自身が持つ恋愛感情とは違うと言い切れる。それに霊夢や魔理沙だって、もう友人とも呼べるくらい
の仲だ。
ただブっちゃけて言うと、皆さん大変に見苦しいのである。そのことを思い出し、よりいっそう凹んでいると
「あ、誰かと思ったら美鈴じゃん。何してるの?」
とつぜん声を掛けられたので美鈴は、ビクッと背筋を伸ばし、慌てて立ち上がり声がした方に顔を向ける。そこに
いたのは紅魔館の住人にしてレミリアの妹、フランドール・スカーレット、それであった。
「ふ、フランドール様!?あ、あの、えと、そのですね。な、な、なんというか」
さっきまでの自分の姿を思い出し、冷や汗ダラダラでしどろもどろに答える美鈴。
「門番なのに、門に座ってため息ばっかり。お姉様に仕事サボってるってチクっちゃおうかな~」
ニヤニヤとしながら楽しそうに話すフランドールとは対照的に、顔面蒼白でこの世の終わりのような顔をする美鈴。
「なーんてね。冗談冗談。もう、そんな顔しないでよ。なんか家には居ずらくてね。ちょっと外に出てきただけ
だって。たぶん美鈴と同じ理由かな」
そう微笑しながら喋るフランドール。
フランドール様には似合わない、寂しそうな笑みだな。フランドール様にはイタズラをする子供のような笑顔
が似合うんだけどなぁ。美鈴はお仕置を逃れた事に安堵しながらそう思った。
「ぅぅ、仕事サボってたのは悪かったですけど、あんまりビックリさせないでくださいよぉ」
ここにいる理由はあえて聞かず、ふざけた感じで半べそになりながら答える美鈴。しかし、フランドールの寂し
そうな笑みが心に引っかかる。だから美鈴はすぐ笑顔を作りこう言った。
「あ、そうだ!フランドール様、もしよろしかったら一緒に遊びませんか?了承がいただけたら、門番の仕事から
臨時にフランドール様の護衛という名目もいただけますし」
今までフランドールは地下に軟禁されていた。それは度々彼女を蝕む破壊衝動、そして発狂。
霊夢と魔理沙との弾幕ゴッコで全てを出しきったのか最近は、なりを潜めているので館外への外出許可も出されている。
しかし、と美鈴は思う。せっかく外に出れても一人では虚しいだろうと。紅魔館の住人はそれぞれの情事で大忙しなの
だからフランドール様と一緒にいてあげれない。だからあんな寂しそうな笑顔をしたのだろうと。495年間、彼女は一人
でいたのだ。一人には慣れているから、一人でも笑顔を作れるのだろう。でも今や一人ではない。だから私が彼女のそば
に居ようと。そう思った。
「うん!一緒に遊ぼっ!」
悲しい微笑なんかではなく、無邪気で無垢な満面の笑み。そんな笑顔を見せられると、こっちも自然と笑みが
こぼれる。そこで美鈴は、はたと気付く。自分も一人で寂しくて落ち込んでいた事に。フランドールはそんな美鈴
に気にかけて、声を掛けてくたのであろう事に。そうして嬉しそうに、美鈴に相応しい美しく可憐な微笑みを返して
「では、ご一緒しましょう♪」
こう言った。
二人で話し合った結果、湖で遊ぶことにした。曇っているので水遊びには不適切だが、そもそも日光が照っていて
はフランドールが外に出れないし、今日のように曇りで暑い日もなかなかないので丁度いいだろうということだ。
湖に着くまでの道程、フランドールは本当に楽しそうだった。見るもの全てが不思議でたまらない、といった感じである。
外に出るのは初めてではあるまいにと内心苦笑する美鈴だったが、嬉しそうなフランドールを見てるのは心が温まる
とも思っていた。
そうして湖に到着した途端、湖に入っていくフランドール。
「わーい!ぷはー!美鈴も入ろうよ、気持ちいいよー」
「はいはい、今行きますから」
子供を持った母親の心境もこんな、嬉しくて温かい、どこかくすぐったいものなのかと思いながら、濡らさない
ようにとロングスカートの裾を結ぶ美鈴。
「わー、美鈴の足、白くて綺麗」
露になった美鈴の、程よい弾力がありそうな、白く美しいフトモモを見ながら、感嘆の声をあげるフランドール。
「な、何を言ってるんですかフランドール様!?」
「あ、赤面した美鈴も可愛い。えいっ」
動揺してる美鈴に近づき、抱きしめるフランドール。ちょうど美鈴の胸にフランドールの顔がくるので、胸に顔を
沈めるかたちとなる。
「んー、美鈴良い匂いー。あ、意外と胸あるね。咲夜より全然大きいかも」
「ふ、ふふふフランドール様!?な、ななな何をなさ・・・。」
遮るようにフランドールは上目遣いで言う。
「美鈴は、私に抱きつかれるのイヤ?」
((いや、上目遣いのうえウルウル目でそんな事いわれても私にどうしろと。
つか、うわっ、フランドール様可愛い・・・))
美鈴の思考回路はショート寸前。今すぐ会いたいわ~♪と正に崩壊一歩手前であった。
「い、いえむしろ好きです」
「じゃあ、私のことも好き?」
「もちろん好きです」
「やったー!美鈴に好きって言わせた!」
そこには美鈴が、フランドールに似合うと思う笑顔、小悪魔的それがあった。
そこで彼女は一つのことに思い当たる。
「フランドール様!もしかして、今のイタズラなんですか!?」
美鈴は怒っているような悲しんでいるような、なんとも言えぬ表情で、背中を向け水をパシャパシャさせながら
喜んでいるフランドールに問う。
「ううん、私も美鈴のこと好きだよ!」
振り向き、ただただ嬉しそうな笑顔で、さらっと答えるフランドール様。そんな演出は卑怯です、と思いながら
美鈴の思考回路はショートし水面に倒れこんだ。
美鈴が意識を取り戻すとそこは、湖のほとりであった。
((えーと、なんで私はこんなところに倒れて、濡れてるるんだっけ?門の前でため息をついてて、確か
フランドール様と、そうだ!フランドール様!))
と彼女の思考がフランドールまで至ったところで、フトモモに程よい重さと吐息が感じられた。そして美鈴がそこに
目をやると、案の定気持ちよさそうに寝ているフランドールの姿があった。フランドールは幸せそうな寝顔であった。
しかしよくよく見てみると、頬にうっすらと涙の後が見えることに美鈴も気付く。きっと美鈴がとつぜん倒れたから
驚いて泣いてしまったのだろう。今は泣きつかれたのか、ぐっすり定期的に寝息を立てている。起こすのも悪いと思い
慎重にフトモモから引き剥がし、おぶる。
((帰ったら、どうしよう。ええっと、咲夜さんに事情を説明して謝って。レミリア様にも事情を説明して
謝らないと・・・。ああー、フランドール様にも謝らなきゃ。なんか私、謝ってばっかりだな。))
と帰り道、美鈴が鬱に浸っていると
「うぅぅん」
とフランドールが身をよじる。美鈴はフランドールの寝顔を間近に見て、こう思うのであった。
私も見苦しい人の仲間入りかな、と
それはどんよりと沈んだ灰色に包まれた、ある曇りの日のお話。
「はぁぁ~~」
この日の天気とあいまって、聞くもの全てを暗鬱にさせるようなため息が聞こえる。
ここは、多くの妖怪と数少ない人間がそれなりに平和に楽しく暮らす場所、幻想郷。その郷の、とある湖の
どこかにある島にひっそりと存在する紅魔館。・・・の門。それはため息の主の仕事場所である。
彼女の名は中g・・・。もとい紅美鈴。ここ、紅魔館の門番である。
「はぁあ~~」
美鈴は、綺麗な装飾が施されている紅魔館の門の前で、膝を抱えながら本日何回目とも知れぬため息をついていた。
元々、幻想郷に紅魔館の主に喧嘩を売ようマネをする輩など皆無に近く、居たとしても紅白巫女か白黒魔法使いぐらい
であり、今や彼女らはお客様なのである。そんな門番など必要価値ゼロに等しい館だが、仕事場に座り込んでいる今の
美鈴の姿は職務怠慢以外の何物でも無く、上司のメイドにお仕置きモノである。しかし美鈴は、自分の姿を客観視でき
ないほどに凹んでいる。
何が彼女を、こうまで落ち込ませるのか。それは紅魔館に住む者たちの豹変振りである。館の主、そして美鈴自身の
主でもあるレミリアは霊夢にご執着で、霊夢には誰一人として触れさせないぐらいの勢いで一方的にアタックしてる
し、美鈴の上司にして、レミリアの瀟洒な従者である十六夜咲夜は、お嬢様の貞操が危ない!などとトンチンカンな
事をぬかしつつ妄想して鼻血を垂らすという器用な真似をした後、レミリアをストーキング中だ。紅魔館図書室管理人
で、レミリアや美鈴の友人であるパチュリーに至っては、図書室という密閉空間で魔理沙とラブラブである。
別に美鈴は自らの主や友人を取られた事に嫉妬して、自己嫌悪に陥ってるいるのではない。彼女らのことは確かに
好きだが、彼女達自身が持つ恋愛感情とは違うと言い切れる。それに霊夢や魔理沙だって、もう友人とも呼べるくらい
の仲だ。
ただブっちゃけて言うと、皆さん大変に見苦しいのである。そのことを思い出し、よりいっそう凹んでいると
「あ、誰かと思ったら美鈴じゃん。何してるの?」
とつぜん声を掛けられたので美鈴は、ビクッと背筋を伸ばし、慌てて立ち上がり声がした方に顔を向ける。そこに
いたのは紅魔館の住人にしてレミリアの妹、フランドール・スカーレット、それであった。
「ふ、フランドール様!?あ、あの、えと、そのですね。な、な、なんというか」
さっきまでの自分の姿を思い出し、冷や汗ダラダラでしどろもどろに答える美鈴。
「門番なのに、門に座ってため息ばっかり。お姉様に仕事サボってるってチクっちゃおうかな~」
ニヤニヤとしながら楽しそうに話すフランドールとは対照的に、顔面蒼白でこの世の終わりのような顔をする美鈴。
「なーんてね。冗談冗談。もう、そんな顔しないでよ。なんか家には居ずらくてね。ちょっと外に出てきただけ
だって。たぶん美鈴と同じ理由かな」
そう微笑しながら喋るフランドール。
フランドール様には似合わない、寂しそうな笑みだな。フランドール様にはイタズラをする子供のような笑顔
が似合うんだけどなぁ。美鈴はお仕置を逃れた事に安堵しながらそう思った。
「ぅぅ、仕事サボってたのは悪かったですけど、あんまりビックリさせないでくださいよぉ」
ここにいる理由はあえて聞かず、ふざけた感じで半べそになりながら答える美鈴。しかし、フランドールの寂し
そうな笑みが心に引っかかる。だから美鈴はすぐ笑顔を作りこう言った。
「あ、そうだ!フランドール様、もしよろしかったら一緒に遊びませんか?了承がいただけたら、門番の仕事から
臨時にフランドール様の護衛という名目もいただけますし」
今までフランドールは地下に軟禁されていた。それは度々彼女を蝕む破壊衝動、そして発狂。
霊夢と魔理沙との弾幕ゴッコで全てを出しきったのか最近は、なりを潜めているので館外への外出許可も出されている。
しかし、と美鈴は思う。せっかく外に出れても一人では虚しいだろうと。紅魔館の住人はそれぞれの情事で大忙しなの
だからフランドール様と一緒にいてあげれない。だからあんな寂しそうな笑顔をしたのだろうと。495年間、彼女は一人
でいたのだ。一人には慣れているから、一人でも笑顔を作れるのだろう。でも今や一人ではない。だから私が彼女のそば
に居ようと。そう思った。
「うん!一緒に遊ぼっ!」
悲しい微笑なんかではなく、無邪気で無垢な満面の笑み。そんな笑顔を見せられると、こっちも自然と笑みが
こぼれる。そこで美鈴は、はたと気付く。自分も一人で寂しくて落ち込んでいた事に。フランドールはそんな美鈴
に気にかけて、声を掛けてくたのであろう事に。そうして嬉しそうに、美鈴に相応しい美しく可憐な微笑みを返して
「では、ご一緒しましょう♪」
こう言った。
二人で話し合った結果、湖で遊ぶことにした。曇っているので水遊びには不適切だが、そもそも日光が照っていて
はフランドールが外に出れないし、今日のように曇りで暑い日もなかなかないので丁度いいだろうということだ。
湖に着くまでの道程、フランドールは本当に楽しそうだった。見るもの全てが不思議でたまらない、といった感じである。
外に出るのは初めてではあるまいにと内心苦笑する美鈴だったが、嬉しそうなフランドールを見てるのは心が温まる
とも思っていた。
そうして湖に到着した途端、湖に入っていくフランドール。
「わーい!ぷはー!美鈴も入ろうよ、気持ちいいよー」
「はいはい、今行きますから」
子供を持った母親の心境もこんな、嬉しくて温かい、どこかくすぐったいものなのかと思いながら、濡らさない
ようにとロングスカートの裾を結ぶ美鈴。
「わー、美鈴の足、白くて綺麗」
露になった美鈴の、程よい弾力がありそうな、白く美しいフトモモを見ながら、感嘆の声をあげるフランドール。
「な、何を言ってるんですかフランドール様!?」
「あ、赤面した美鈴も可愛い。えいっ」
動揺してる美鈴に近づき、抱きしめるフランドール。ちょうど美鈴の胸にフランドールの顔がくるので、胸に顔を
沈めるかたちとなる。
「んー、美鈴良い匂いー。あ、意外と胸あるね。咲夜より全然大きいかも」
「ふ、ふふふフランドール様!?な、ななな何をなさ・・・。」
遮るようにフランドールは上目遣いで言う。
「美鈴は、私に抱きつかれるのイヤ?」
((いや、上目遣いのうえウルウル目でそんな事いわれても私にどうしろと。
つか、うわっ、フランドール様可愛い・・・))
美鈴の思考回路はショート寸前。今すぐ会いたいわ~♪と正に崩壊一歩手前であった。
「い、いえむしろ好きです」
「じゃあ、私のことも好き?」
「もちろん好きです」
「やったー!美鈴に好きって言わせた!」
そこには美鈴が、フランドールに似合うと思う笑顔、小悪魔的それがあった。
そこで彼女は一つのことに思い当たる。
「フランドール様!もしかして、今のイタズラなんですか!?」
美鈴は怒っているような悲しんでいるような、なんとも言えぬ表情で、背中を向け水をパシャパシャさせながら
喜んでいるフランドールに問う。
「ううん、私も美鈴のこと好きだよ!」
振り向き、ただただ嬉しそうな笑顔で、さらっと答えるフランドール様。そんな演出は卑怯です、と思いながら
美鈴の思考回路はショートし水面に倒れこんだ。
美鈴が意識を取り戻すとそこは、湖のほとりであった。
((えーと、なんで私はこんなところに倒れて、濡れてるるんだっけ?門の前でため息をついてて、確か
フランドール様と、そうだ!フランドール様!))
と彼女の思考がフランドールまで至ったところで、フトモモに程よい重さと吐息が感じられた。そして美鈴がそこに
目をやると、案の定気持ちよさそうに寝ているフランドールの姿があった。フランドールは幸せそうな寝顔であった。
しかしよくよく見てみると、頬にうっすらと涙の後が見えることに美鈴も気付く。きっと美鈴がとつぜん倒れたから
驚いて泣いてしまったのだろう。今は泣きつかれたのか、ぐっすり定期的に寝息を立てている。起こすのも悪いと思い
慎重にフトモモから引き剥がし、おぶる。
((帰ったら、どうしよう。ええっと、咲夜さんに事情を説明して謝って。レミリア様にも事情を説明して
謝らないと・・・。ああー、フランドール様にも謝らなきゃ。なんか私、謝ってばっかりだな。))
と帰り道、美鈴が鬱に浸っていると
「うぅぅん」
とフランドールが身をよじる。美鈴はフランドールの寝顔を間近に見て、こう思うのであった。
私も見苦しい人の仲間入りかな、と
それはどんよりと沈んだ灰色に包まれた、ある曇りの日のお話。
そんな俺は負け組み。 でもフランかわええ~wこの組み合わせの発想は無かった。
フラメイは正義
もしかして創想話初のメイフラ?
とにかくGJ!