Coolier - 新生・東方創想話

東方昔話 『はなさかじいさん』

2003/09/16 06:45:51
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むかーしむかし、とある山里に、正直なじいさんが住んでいました。
このじいさん、普段は畑を耕したり、家の庭の掃除をしたりしてました。

  霊夢「今回は私も老いぼれなのね・・・・。」

ある日のこと、いつものように畑を耕していると、向こうのほうから何かが走ってきます。

  霊夢「はて、なんじゃあれは?」

走ってくるものは段々とじいさんに近づいてきます。

  霊夢「庭師・・・・、じゃなくて、イヌ?」

じいさんに向かって走ってくるのは、一匹のイヌでした。
イヌはそのままじいさん目掛けて走ってきて、その胸に飛び込んできました。

 ドカッ!

  霊夢「グフッ!」
  妖夢「た、助けてください!みょんみょん。」
  霊夢「あ、頭から突っ込んでくるな・・・。助けるって、何から?」

そのとき、イヌが走ってきた方向から、一人のじいさんが走ってきました。
近所に住んでる欲張りじいさんです。

 魔理沙「こら~!なんで私はまたじいさんなんだ~~!」
  霊夢「台詞、ちがうでしょ。」
 魔理沙「じゃなくてだ・・・。おう、正直じいさん、そのイヌをこっちによこしてもらおうか。」

欲張りじいさんはすごい剣幕で、イヌを睨みつけます。

  妖夢「みょんみょん・・・・・。」
  霊夢「いったい、何があったのじゃ、欲張りじいさん?」
 魔理沙「そいつが、うちの庭を荒らしたから、お仕置きをしようと思ってだな・・・。」
  妖夢「ご、誤解です。あんまり荒れてたから、手入れをしようと思って・・・・、みょんみょん。」
 魔理沙「問答無用!さあ、正直じいさん、イヌをこっちによこしな!」
  霊夢「まあまあ、ここはわしに免じて、許してやってくれんか・・・。」
  妖夢「みょんみょん・・・・。」
 魔理沙「そうはいかないな。」
  霊夢「今度、うまい茶をご馳走するから・・・・。」
 魔理沙「・・・・・ま、いいだろ。今度うちの庭に入ってきたら、ただじゃおかないからな!」

欲張りじいさんは、立ち去っていきました。
少しして戻って来ました。

 魔理沙「なあ、一ついいか?」
  霊夢「なによ?」
 魔理沙「あんた、なんでそんなにジジイ役が上手いんだ?」
  霊夢「あんたが『素』なだけよ。」
 魔理沙「こんなの真面目にやるようじゃ、正直じいさんどころか、『バカ』正直じいさんだぜ。」

欲張りじいさんは、こんどこそ立ち去っていきました。
(バカ)正直じいさんは、助けたイヌに『シロ』と名づけ、大切に育て、こき使いました。
ある日、(バカ)正直じいさんが畑を耕していると、シロが畑にやってきて、吠えだしました。

  霊夢「庭師・・・、じゃなくて、シロ、どうした?庭の手入れは?」
  妖夢「ここほれ、みょんみょん。」
  霊夢「・・・・『ここほれ、みょんみょん』って・・・・。」
  妖夢「ここほれ、みょんみょん。」
  霊夢「わかったわかった。それじゃあ、ほってみるかのう。」

(バカ)正直じいさんは、シロが示す場所をほってみました。
すると、ほった場所からは、大判小判がザクザク出てくるではありませんか。

  霊夢「おお!大判じゃ小判じゃ!シロ、でかした!」
  妖夢「みょん!」

この話は近所にも知れ渡りました。
そんなとき、話を聞きつけた欲張りじいさんがやってきました。

 魔理沙「正直じいさん、私にそのイヌをかしてくれないか?」
  霊夢「シロは、わしの大切な子供じゃ。それを持っていかせるなど・・・・・。」
  妖夢「みょんみょん・・・・・。」
 魔理沙「分け前3割。」
  霊夢「おっけー。」
  妖夢「ええ?そんな~・・・・・。」

欲張りじいさんは、いやがるシロを無理やり自分の家に引っ張っていきました。

 魔理沙「さあ、お宝をさがしてもらおうか。」
  妖夢「みょん・・・・・。」

シロは、欲張りじいさんのうちの畑や庭を探し回りました。

  妖夢「ここほれ、みょんみょん。」
 魔理沙「よしきた!」

シロが示す場所を、欲張りじいさんは一心不乱にほりかえします。
すると、中からでてきたのは

 魔理沙「なんだこれは!白骨じゃないか!!」
  妖夢「やっぱり、埋まってた。」
 魔理沙「やっぱりって・・・・・。ああ、ここは、桜の木の下だな。」
  妖夢「長年桜を見ていると、だいたいわかるのよね。」
 魔理沙「そいつはすごいな。・・・じゃなくて、おい!よくも私をコケにしてくれたな!お前なんかこうだ!」

 ぱこーん!

  妖夢「きゅう・・・・・。」

欲張りじいさんは怒りのあまり、シロを殴り殺してしまいました。
欲張りじいさんは(バカ)正直じいさんのところに、シロの死体を持っていきました。

  霊夢「で、シロを殺してしまった、と。」
 魔理沙「ああ、それと、分け前だ。」
  霊夢「白骨なんかもらってもねえ。それで、シロの死体は?」
 魔理沙「そこの棺桶。」
  妖夢「出して~!!ここから出して~!!!」

 ドンドン

  霊夢「なんか、聞こえてくるけど・・・・。」
  妖夢「暗いよ~!狭いよ、怖いよ~!!」

 ドンドン

 魔理沙「気のせいだ。死人に口なし。」
  霊夢「そうね・・・・。」

(バカ)正直じいさんは悲しみにくれながら、シロの墓を作りました。
そのお墓に、(バカ)正直じいさんは一本の苗木を植えました。

  霊夢「シロのように、立派に育っておくれ・・・・。」
  妖夢「うう・・・・。暗いよ~・・・。怖いよ~・・・。」
  霊夢「幽霊のくせに・・・・。」

(バカ)正直じいさんがそう祈った瞬間、なんと苗木がぐんぐんと成長していくではありませんか。

  咲夜「今回はこんな役なのね・・・・。」
  霊夢「黒子がしゃべるな。」

木は立派に生長しました。
(バカ)正直じいさんは、その木をつかって、一つのうすを作りました。
そして、そのうすを使って餅をつきました。
すると、うすの中の餅が、大判小判に変化したではありませんか。

  霊夢「こりゃあ、錬金術師も真っ青な現象じゃ・・・。」

この話はまたしても近所に知れ渡りました。
そして、またしても欲張りじいさんがやってきました。

 魔理沙「そのうすを、私に貸してくれないか?」
  霊夢「でも、このうすはシロの形見じゃから・・・・・。」
 魔理沙「分け前5割。」
  霊夢「おっけー。」

欲張りじいさんは、うすを持っていってしまいました。
そして、そのうすで餅をつきました。
しかし、いつまでたっても大判小判が出てくることはありませんでした。

 魔理沙「おかしいな・・・。ま、とりあえず餅でも食べて休憩するぜ。」

欲張りじいさんは、つきたてほやほやの餅を食べました。
すると、

 魔理沙「む!むぐぐ・・・!むぐぐぐ!」

欲張りじいさんは喉をつまらせてしまいました。
突然のことに驚いた欲張りじいさんは、そのへんを走り回りました。
そして、うっかり石につまづいてしまいました。

 ズルッ!
 ゴチーン!!

 魔理沙「うぐ・・・・・。」

欲張りじいさんは転んだ拍子に、うすに頭をぶつけてしまいました。
その勢いで、餅は喉を通りましたが、なんとうすが割れてしまいました。

  霊夢「で、うすが割れてしまったと・・・・。」
 魔理沙「ああ。それと、これは分け前だ。」
  霊夢「餅をもらってもねえ・・・。白骨よりマシだけど。」
 魔理沙「すまねえな。詫びに『マスタースパーク』、これをやるぜ。」

欲張りじいさんはスペルカードを置いて立ち去っていきました。
(バカ)正直じいさんは割れたうすを燃やすのも面倒だったので、そのスペルカードで処分しました。

  霊夢「恋符『マスタースパーク』」

うすは原型をとどめることなく、灰になりました。
(バカ)正直じいさんが、その灰を拾い集めると、なんとその灰は全部『春度』になったじゃありませんか。
試しにその『春度』を、家の庭の枯れた桜にまいてみました。
すると、その桜は満開になってしまいました。

  霊夢「花見は飽きたっていうのに・・・・。」

この話は近所をこえて町へ、町をこえて、とある屋敷の主人の耳に入りました。
(バカ)正直じいさんは、その屋敷の主人に呼ばれました。

 幽々子「この屋敷の桜を満開にして下さいな。」
  霊夢「ではでは、枯れ木に花をさかせましょー!」

(バカ)正直じいさんが春度をまくと、屋敷の桜は瞬く間に花を咲かせました。
屋敷の主人は大喜びです。

 幽々子「おお、日本一のはなさか巫女さん!」
  霊夢「当たってるけど違う。」
 幽々子「もとい、幻想郷一のはなさかじじいさん、褒美をとらせる!」
  霊夢「ありがたやありがたや・・・。」
 幽々子「それにしても、これはすごいわねー。またお花見ができるわ。」
  霊夢「またやるの?」
 幽々子「妖夢に手入れしてもらわないと。・・・そういえば妖夢は?」
  霊夢「土の中に埋まったまんまだったような・・・・。」

そのとき突然、欲張りじいさんが現れました。

 魔理沙「ちょっと待った!私こそが幻想郷一のはなさかじじいだ!」
 幽々子「その証拠は?」
 魔理沙「この立派な桜に、花をさかせてみせるぜ!ちょっと、春度よこせ。」

欲張りじいさんは(バカ)正直じいさんから、春度を奪ってしまいました。
そして、立派な桜に、春度をまきました。

 幽々子「あれ、そういえばその桜・・・・。」
  霊夢「どうかしたの?」
 幽々子「確か、西行妖(さいぎょうあやかし)・・・・・。」
 魔理沙「へ?」

立派な桜は、花を咲かせ始めました。

  霊夢「・・・・・逃げるか。」
 幽々子「そうね。逃げましょ。」
  霊夢「がんばってね!欲張りじいさん!」
 魔理沙「おい!こら~!にげるな~~!」

桜から発生した沢山の弾が、欲張りじいさん目掛けて飛んできます。

 魔理沙「わ~~~!!!」

一方非難した(バカ)正直じいさんと屋敷の主人は、それを見守っていました。

  霊夢「あー、あれは八分咲きってとこかしら?」
 幽々子「そうなの?まあ、わたしは普段見れないんだけどね。」
  霊夢「あんた、ここにいていいの?」
 幽々子「いいんじゃない?そんな細かいこと。」
  霊夢「それもそうね。」
 幽々子「あ、落ちた。」

欲張りじいさんは、西行妖(さいぎょうあやかし)に撃墜されてしまいました。
(バカ)正直じいさんは、大判小判に加えて褒美とかをもらったので、大変裕福になりましたとさ。

 めでたし、めでたし

  妖夢「誰か~・・・・。ここから出して~・・・・・。」



 キャスト

(バカ)正直じいさん  博麗霊夢
欲張りじいさん     霧雨魔理沙
シロ(イヌ)      魂魄妖夢
屋敷の主人       西行寺幽々子




 昔話第二回目、はなさかじいさんです。やはりというか、はなさかじいさんとはかけはなれてしまったような気がします。
 はなさかじいさんに限らず、昔話はいろんなパターンが存在します。はなさかじいさんも例外でなく、正直、欲張りともにばあさんが出てきたりします。イヌの名前もいろいろです。今回はじいさんのみの登場、イヌはシロ、ということにさせていただきました。私の知ってるはなさかじいさんには、ばあさんがでてきてないもので。
 そのせいか、キャストは黒子の咲夜を含めると5人。少ないです。次はもっと沢山出れるよう構成してみます。
 個人的には「ここほれ、みょんみょん」な妖夢に萌え。勝手に閉所暗所恐怖症なんて設定をつけてしまいました。おまけに土に埋めたまんま。ファンの皆さん、重ね重ね申し訳ありません。あと、このときに妖夢を絵板の、みょんみょんと鳴く「妖夢福」に置き換えると、ちょっとかわいいと思ったりして。
Piko
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コメント



0.1640簡易評価
1.30nanashi削除
ここほれ、みょんみょん(;´Д`)ハァハァ
2.30AR削除
なんかこういう適当なノリは、東方っぽい感じが出ていていいなぁ。
3.30すけなり削除
ここほれ、みょんみょん が妙に妖夢に似合ってました(笑
14.70名前が無い程度の能力削除
徹底的に(バカ)を付け続ける姿勢、お見事!?
『みょんみょんと鳴く「妖夢福」』……萌えるぜ…
26.60エリス・ブライト削除
みょんみょん!そして非難→避難ですね
27.70來栖削除
このぬるさがいいです。
28.70毛玉1号削除
いいですねー!でもこれだと霊夢が欲張りじいさんで、魔理沙が正直じいさ・・・げぶほぉ!!(゜Д゜(○=(夢想封印、直撃)
33.80名前が無い程度の能力削除
まったり~
41.80na7氏削除
現金な霊夢に笑った。