時々、本当に時々だけど、思い出す。
思い出すと、とても胸が痛くなる、その時は私は必ずこの曲を弾く。
弾くと、少しはこの胸の痛みが忘れられるから。
本当は忘れたい。
この胸の痛みは、いつまでたっても慣れない。
でも、忘れられない。忘れられるはずが無い。
それを忘れると、私の存在自体を否定してしまう事に繋がるから。
それに、私とあの子の大切な思い出を。
失いたくないから。
ルナサ・プリズムリバーの日記より
とある日の、晴れた昼下がり。
幻想郷と人間界の境にある博麗神社の巫女、博麗霊夢は、暖かい陽気に誘われて、
妖怪退治を名目に、散歩へ繰り出していた。
空は、雲一つ無い快晴。眩しくも心地よい光が、霊夢を優しく撫でる。
時折吹く風が、霊夢の髪を優しくなびかせた。
「今日は本当にいい天気ね……。絶好の昼寝日よりだわ」
そんな事を言いながら、目的地も決めず、ただ気の向くままに空中散歩を楽しんでいた。
どれくらい進んだだろうか。
夢見心地で散歩していた霊夢の耳に、何処からか澄んだ音が飛び込んできて、霊夢は我に
返った。
よく、耳を澄ましてみる……すると、はっきりとそれは聞こえてきた。
眼下に広がる森の中から、ヴァイオリンの音色が。
霊夢はその音色に誘われ、音のする場所へとゆっくりと降りていった。
「どっかで聴いた事のある音ね。まさかとは思うけど……。あ、居た」
森の中に降り立った霊夢が見たのは、木に背中を預け、瞳を閉じ、一心不乱に
ヴァイオリンを奏でるルナサ・プリズムリバーの姿だった。
よほど熱中しているのか、霊夢が近づいてもまるで気がつく気配がない。
別に演奏の邪魔をする理由はない、そう思った霊夢は、ルナサから二、三歩離れた場所で
腰を降ろし、暫しその演奏を楽しむ事にした。
静かで、とても優しい、聴いているだけで心が安らぐような、そんな、そんな静かな曲
だった。
木々の間から太陽の光が差し込み、霊夢とルナサを照らす。
霊夢には、この瞬間がとてもゆっくりとしたものに感じられた。
ひとしきり曲を奏でた後、ルナサはゆっくりと手に持っていたヴァイオリンを下ろした。
「ふぅ……」
ルナサがゆっくりと溜息をつく。
その表情には、かすかに憂いがあったが、霊夢はそれに気がつかなかった。
霊夢が、ルナサに対し拍手を送る。
「……!?」
突然、自分の耳に拍手の音が聞こえ、驚くルナサ。
しかし何を思ったか、すぐさま瞳を閉じると俯き、小さな声でこう言った。
「幻聴が聞こえる……。幻聴なのかな。まさか……あの子が?」
「幻聴って何よ」
突然、自分の真横から人の声がし、慌ててその方向に振り向く。
すると、自分の予想だにしない場所に、予想だにしなかった人物が見え、ルナサは驚きの
あまり一歩後ろへと退き、バランスを崩し横転した。
「わっ、たっ、あたっ!」
「なに、そんな驚いてるのよ……」
「なっ、な、な、な、な……」
狼狽し、慌てふためくルナサ。
そんな彼女に、霊夢が手を差し伸べる。
「ほら、早く立ちなさいよ」
「……」
言われるままに霊夢の手を掴み、立ち上がるルナサ。
顔を真っ赤に染め上げ、霊夢から目を逸らして言った。
「いっ……いつからそこに?」
「どうだったかしら。随分前からいたような、いなかったような。演奏に聴き惚れていたから
どれだけ時間が経ったか、よく判んないわ」
「聴いてた……のか?」
「ええ。素敵な曲だったじゃない。あなたって、こんな曲も弾けたんだ」
霊夢の素直な感想を聞き、ルナサの顔が、更に真っ赤に染めあがる。
意外なルナサの素振りに、霊夢は声を上げて笑った。
「何で笑うのよ」
「いや、何か面白かったから」
「…上昇気流」
「誰がよ!」
「誰とは言わない。ところで、何であなたがこんな所にいるわけ?」
「あんまりいい天気だったから、ちょっと散歩してたのよ。そういうあんたこそ、
こんな所で何やって……じゃない、演奏していたわけ?」
質問になっていないな、と思いつつルナサの方へ目をやると、ルナサは以前、霊夢に
みせた気だるそうな表情を取り、こう言った。
「ここは、私の家の近く。だから、私がここにいたっておかしくはないわ」
「え、そうなの?」
「嘘言ってどうするのよ。……ほら」
そういうと、ルナサがとある方向を指差した。
その先には……まるで蜃気楼のように、うっすらと揺らいでいる屋敷があった。
「あれ、あんなところに屋敷なんてあったんだ。そういえば、他の二人は?」
「今は出かけてる。って、あなた、何処行こうとしてるのよ!」
「何処って、あんたの家……」
「私は行っていいとは言ってない。それに、私が先導しないと、あの屋敷はたどり着けないわ。
亡霊の館だし」
「だったら、案内してよ」
「だから、私は行っていいとは……」
「いいじゃない、どうせ他の二人がいなくて暇なんでしょ? 折角だし、もうちょっと
他の演奏聴いてみたいし」
そう霊夢に言われ、ルナサが腕を組み、考えるような仕草を取った。
暫くして、ルナサは顔を上げると、ゆっくりと頷いた。
「判ったよ。……こっちよ」
そういって、霊夢を先導するように歩き出した。
「へぇ、結構大きいのね。しかも綺麗」
屋敷に入ると、霊夢が全体を見回しながらそう言った。
「どっかの魔術師の家とはえらい違いだわ」
「何の話?」
「こっちの話。ところで、この屋敷には3人しかいないの? 何か、結構大きいような気がする
んだけど」
「3人よ。大きい気がするのは多分気のせい。……さ、こっちよ」
そういうと、ルナサは目の前の階段をゆっくりと登り始めた。
霊夢も、それにつられるように階段を登る。
暫く歩いていくと、二人の前に四つの扉が姿を現した。
その扉の一番左に、霊夢を誘導する。
「ここが私の部屋。さぁ、入って」
そういい、ルナサが扉を開ける。
霊夢は、『何で三姉妹なのに部屋が四つあるんだろう』と思いながらも、言われるまま
部屋の中へと入っていった。
「ほほぅ、ここが騒霊長女の部屋か。結構さっぱりしてるのね」
部屋の中は、とても女の子の部屋とは思えないようなシックで清潔感溢れる
部屋で、小物やそういう類いのものは、一切無かった。
木で出来た棚、机、箪笥。
ガラス張りの棚の中に、ヴァイオリンが綺麗に並べられている。
霊夢がそれを見て、感嘆の息を漏らした。
「……なんだか、別世界見てるような気分だわ……」
「お茶を入れてくるから、あんまりそこらのもの、かまったりしないでね。どうなっても
知らないわよ」
そういうと、ルナサは部屋から音も無く出て行った。
霊夢が、部屋の中をぐるりと見渡す。
見れば見るほど、自分が予想していた部屋と違う事に驚き、そして息を漏らす。
そして、視線が机へと写った時だった。
「あら? これは何かしら」
霊夢が、『ある物』を見つけ、それに近づいていった。
小さな、写真立てである。
その写真立ては何故か、写真が見えないよう伏せて置いてあった。
霊夢は純粋な興味もあって、ルナサに警告されたにも関わらず、倒れた写真立てに
手を伸ばした。
そして、その写真を覗き込む。
そこには、四人の人物が写っていた。
左から、気だるそうにしているルナサ、そんなルナサに腕を絡めて笑っている
リリカ、満面の笑みを浮かべ、中央を向いているメルラン、そしてその横には。
もう一人、霊夢が見たことのない少女が、笑っていた。
「…はて、確かルナサって三姉妹じゃなかったっけ。この子は誰かしら」
そんな事を言いながら、その写真をマジマジと眺める霊夢。
その時だった。
「ちょっと、何見てるのよ!!」
背後からルナサの怒号が聞こえ、霊夢は慌てて振り返った。
そこには、紅茶とティーカップを乗せたお盆を持ったまま、厳しい表情をしている
ルナサがいた。
けたたましい音を立て、お盆を近くにあった棚の上に置く。
チィーカップが落ち、パリン、という音を立てて割れた。
「ぇ、あっ、ちょっと……」
突然のルナサの変わりように、慌てふためく霊夢。
ルナサが、厳しい表情のまま霊夢に近づき、乱暴に、持っていた写真を取り上げた。
すぐさま写真を胸に抱き、霊夢に背中を見せる。
そして、ルナサはそのまま押し黙ってしまった。
「えっと、あの……」
どうしたらいいのか判らず、霊夢はオロオロとする。
暫くすると、ルナサが霊夢に背中を見せたまま、こう言った。
「帰って……」
「……」
「帰って! もうここには来るなッ!!」
「…判った。ごめんなさい……」
そう、呟くように言うと、霊夢はルナサの部屋から出て行った。
…部屋の中に、ルナサ一人だけが残された。
ルナサの瞳からは、涙が流れていた……。
すっきりしない。
胸の中がもやもやとする。
どうして、ルナサはあんなに怒ったんだろうか?
そんな事を何回考えただろうか、霊夢は照り付ける太陽の下、暗い表情を引きずった
ままプリズムリバー家の屋敷を後にした。
深く溜息をつく。
「…確かに、勝手にかまうなって言われておいてかまったのは私が悪かったんだけど……。
どうして、あんなに怒ったのよ。う~ん……」
もう一度、深く溜息をつく。
ふと、前方に視線をやると、前方に霊夢の知った顔が二人、こっちに向かっている事に
気がついた。
ルナサの妹の、メルランとリリカである。
その二人も霊夢に気がつき、近づいてくる。
目と目があった。
「あら、誰かと思えば博麗神社の上昇気流じゃない。こんな所で何やってたの?」
「上昇気流~」
「五月蝿い、上昇気流言うな」
「何だか、随分と落ち込んでるみたいだけど。何かあった?」
「…何にもないわ」
「何にもないなら、そんな暗い表情してるわけないでしょ? 亡霊じゃあるまいし」
「亡霊に言われたくないわよ」
「あら、私達は騒霊よ。結構、そこはかとなく違うわ」
「そんな細かいこと、どうでもいいわ……」
そう言って、霊夢は再び深い溜息をつく。
その様子を見て、メルランが首を傾げる。
「こりゃ、重症ね」
「姉さん、そういえば……」
そんなメルランに、リリカが霊夢に聞こえない声でそっと話し掛ける。
それを聞いて、メルランが頷く。
「ああ、そういえば……。もしかしたら、もしかするかも。物凄く普通に気になるかも。
ちょっと、ルナサ姉さんの様子を見てくるわ」
そういうと、メルランは先程霊夢が出てきた場所……プリズムリバー家の屋敷へ
翔けて行った。
その様子を見守った後、リリカが霊夢に話し掛ける。
「もしかして、ルナサ姉さんに会った?」
「ええ、まぁ……」
「あ~、やっぱり。で、一体どうなったの?」
「ぅ~ん……」
話してもいいものか。
そう、霊夢は少しだけ思ったが、相手がルナサの妹だと言う事もあり、先程の出来事
を全部、リリカに話すことにした。
それを聞いて、リリカが頷く。
「あ~、やっぱり。姉さんは素直だから、引きずっちゃうんだよねぇ」
そういうと、リリカは顎に手を当て、何か考えるような仕草を取った。
それを見て、首を傾げる霊夢。
やがてリリカが顔を上げ、何かを思いついたようなに頷くと、霊夢に話し出した。
「あの写真に写ってた、あの子はね。私達の妹なの」
「へっ…。妹? 確か、あんた達って三姉妹じゃなかったの?」
「今は三姉妹よ~。でも元々、私達は四姉妹だった」
「……」
「詳しい話は省くけど、私達3人は騒霊だったのに対して、もう一人……四女に当たる
レイラは、普通の人間だったの。だからね」
「……」
「それで、今日はそのレイラが死んだ日だった。……ルナサ姉さん、その事を未だに
忘れられないみたいなのよ。素直だからね~」
「そうだったの……。でもいいの? そんな身内の事、部外者の私に教えちゃって」
「別にいいわよー。知らないと、何で姉さんが怒ったか気になるでしょ?」
「そりゃ、そうだけど……」
「姉さんも、本当に怒ってたわけじゃない。レイラの事思い出して、悲しくなって……。
でも、その思いを何処にぶつけていいか判らなかっただけだと思う。それだけ、覚えて
おいて欲しいな」
「判った……。うん。その、私が謝ってたって、ルナサに伝えてくれない?」
「うん、判った~」
そういうと、霊夢はリリカに別れをつげて、自分が居るべき場所、博麗神社に向かって
翔けていった。
その姿を見送ると、リリカは、小さく溜息をついた。
「ま、これでいいわよね。後はメルラン姉さんが上手く説得すればいいわけだ、と。
いい加減、ルナサ姉さんにもレイラの事について立ち直ってもらわないと、こっちの
気も持たないわよ」
そう、誰に言う事無く呟くと、リリカもまた、自分の帰るべき場所へと戻っていった。
「姉さん、いる? 入るわよ」
ルナサの部屋をノックしながら、そうメルランが言う。
しかし、中からは返事が無い。
メルランは小さく溜息をつくと、部屋のドアを開け、中へと入っていった。
そこには、写真を胸に抱いたまま、声を殺して泣いているルナサがいた。
「やっぱり」
「……」
「そうじゃないかと思ったわ。この状況から見るに……。その写真を見られたって所かな?」
ルナサは答えない。
変わりに、小さく頷いた、
メルランが、やれやれと首を左右に振る。
「姉さんの気持ち、判るわよ。私達の大切な家族だものね……。例え、私達がレイラの
思いで『つくられた』としても……四人は、本当の意味で家族だったんだからね」
「……」
ルナサが、顔を上げる。
その顔は、涙でくしゃくしゃになっていた。
「メルラン……」
「姉さん、毎年この日が来るたびに姉さんは一人で泣いてたわよね。私達、知ってたのよ。
知ってたけど……声をかける事できなかった。どれだけ、姉さんが悲しんでるか
判っていたから」
「……」
「でもね、そろそろ泣くの止めにしない? 多分、レイラ、きっとそんな姉さんを見て
怒ってると思うわ。ううん、多分じゃない、絶対」
「…? なん、で?」
ルナサが、涙に濡れた瞳でメルランを見る。
その時、メルランの周りに、薄い光の尾を引きながら、漂う物体が現れた。
メルランのトランペットである。
それをゆっくりと手に取り、とある曲を吹き始めた。
部屋に響き渡る、トランペットの音。
その音色を、その演奏を聞いて、ルナサがハッとなる。
その曲は、ルナサの良く知っている曲だった。
静かで、とても優しい、聴いているだけで心が安らぐような、そんな、そんな静かな曲。
その曲を、ルナサは夢でも見ているような面持ちで聴いていた。
演奏が終わる。
夢から、覚める。
ルナサとメルランの、目と目があった。
「覚えてるわよね、この曲」
「あっ……ああ、覚えてる。忘れるはずなんかない。今日だって、私は演奏したんだ。
…レイラが、私達のために創ってくれた、思い出の曲……」
「あら、弾いたんだ。だったら、何で気がつかないのかしら」
「…なっ、何よ」
「この曲の歌詞、よく思い出して。…確かに、レイラは死んじゃったわ。あの子は私達
と違って、人間だった。だけど、あの子との思い出は、あの子の意思は、死んでなんか
いないのよ。ずっと、私達の中で生き続けてる。そうでしょ?」
「……」
「だったら。いつまでもその事を引きずってたら、レイラ、本気で怒りかねないわよ」
「…レイラ……」
ルナサが、自分の涙を拭った。そして、メルランの目を見る。
もう、その表情には何の迷いの欠片も無かった。
「さぁ、みんなでこの曲を演奏しましょ。リリカ、そこにいるんでしょ?」
メルランがそう言うと、部屋の扉の向うから、リリカが顔をだした。
そして、メルランとルナサが、それぞれの楽器を構える。
「あ~、ちょっと待った! どうせなら、さっきの上昇気流がいる神社でやらない?
ルナサ姉さんだって、あいつと喧嘩しっぱなしは嫌でしょ?」
「あら、いい考えね。リリカ」
「へへ~。ま、当然ってことで」
「相変わらず頭が斬れる……。そうね、あそこだったら……きっと、凄くいい演奏が
できると思う」
「そうと決まれば、さぁ、さっさと用意する!」
三人が、同時になって笑う。
ルナサの顔に、珍しく、笑顔が宿った。
霊夢は、もうすでに博麗神社へと戻っていた。
相も変わらず気分は晴れない様子だったが、お茶を飲み、落ち着く事で
何とかいつもの日常を取り戻しつつあった。
「何か、今日はやたらと暗くないか?」
隣で霊夢と一緒にお茶を啜っていた魔理沙が、そう、霊夢の顔を覗きながら言った。
「そうかしら」
「ちなみに言っとくと、天気とか太陽の明度とかじゃないぜ。お前の表情がだ」
「そんなの、判ってるわよ」
「判ってるって事は、何か心当たりがあるってことか?」
「どうしてそうなるのよっ!」
「いや、怒るなよ……」
そうして、二人そろってお茶を啜る。
暫く、そんな気まずい雰囲気が場に流れた。
その時だった。
「…ん? おい霊夢。何か聞こえないか?」
そう言われて、霊夢が耳を澄ました時だった。
どこか聞き覚えのある音が、どこからか流れている事に気がついた。
ヴァイオリンの音色だった。
「この曲……」
「なんだなんだ?」
「魔理沙、上を見て」
「…ん?」
霊夢に言われ、魔理沙が空を見上げる。
そこには、リリカ、メルラン、そしてルナサの三人がいた。
ルナサが、空から霊夢を見下ろしながら、笑う。
「今日は、タダでたっぷりと演奏を聴かせてあげる! とことん付き合ってもらうわよ!」
そう、ルナサが叫ぶ。
そんなルナサに、霊夢が笑いかけた。
そうして、プリズムリバー三姉妹の、演奏が始まった。
流れてきたのは、霊夢が森の中で聴いた、あの曲だった。
レイラが自分の姉達のために書いたという曲。
3人の、思い出の曲を。
ヴァイオリンとキーボード、トランペットの音が溶け合い、優しくも心を揺さぶられる
曲が、辺り一体に響き渡る。
そして、ルナサが歌い出す。
透き通った、綺麗な声で。
レイラの『思いを』全身で受け止めるように。
例え別れが来ても はなればなれになっても
ココロ 思いは通い合う 信じているから
さよならは言わないわ きっと いつか
どこかで まためぐり合う それを 信じて
鎖が解かれる。
愛する家族への思いが生み出した呪縛が。
全ての迷いを断ち切ったルナサは、その歌声と同様、美しく輝いていた。
~Fin~
思い出すと、とても胸が痛くなる、その時は私は必ずこの曲を弾く。
弾くと、少しはこの胸の痛みが忘れられるから。
本当は忘れたい。
この胸の痛みは、いつまでたっても慣れない。
でも、忘れられない。忘れられるはずが無い。
それを忘れると、私の存在自体を否定してしまう事に繋がるから。
それに、私とあの子の大切な思い出を。
失いたくないから。
ルナサ・プリズムリバーの日記より
とある日の、晴れた昼下がり。
幻想郷と人間界の境にある博麗神社の巫女、博麗霊夢は、暖かい陽気に誘われて、
妖怪退治を名目に、散歩へ繰り出していた。
空は、雲一つ無い快晴。眩しくも心地よい光が、霊夢を優しく撫でる。
時折吹く風が、霊夢の髪を優しくなびかせた。
「今日は本当にいい天気ね……。絶好の昼寝日よりだわ」
そんな事を言いながら、目的地も決めず、ただ気の向くままに空中散歩を楽しんでいた。
どれくらい進んだだろうか。
夢見心地で散歩していた霊夢の耳に、何処からか澄んだ音が飛び込んできて、霊夢は我に
返った。
よく、耳を澄ましてみる……すると、はっきりとそれは聞こえてきた。
眼下に広がる森の中から、ヴァイオリンの音色が。
霊夢はその音色に誘われ、音のする場所へとゆっくりと降りていった。
「どっかで聴いた事のある音ね。まさかとは思うけど……。あ、居た」
森の中に降り立った霊夢が見たのは、木に背中を預け、瞳を閉じ、一心不乱に
ヴァイオリンを奏でるルナサ・プリズムリバーの姿だった。
よほど熱中しているのか、霊夢が近づいてもまるで気がつく気配がない。
別に演奏の邪魔をする理由はない、そう思った霊夢は、ルナサから二、三歩離れた場所で
腰を降ろし、暫しその演奏を楽しむ事にした。
静かで、とても優しい、聴いているだけで心が安らぐような、そんな、そんな静かな曲
だった。
木々の間から太陽の光が差し込み、霊夢とルナサを照らす。
霊夢には、この瞬間がとてもゆっくりとしたものに感じられた。
ひとしきり曲を奏でた後、ルナサはゆっくりと手に持っていたヴァイオリンを下ろした。
「ふぅ……」
ルナサがゆっくりと溜息をつく。
その表情には、かすかに憂いがあったが、霊夢はそれに気がつかなかった。
霊夢が、ルナサに対し拍手を送る。
「……!?」
突然、自分の耳に拍手の音が聞こえ、驚くルナサ。
しかし何を思ったか、すぐさま瞳を閉じると俯き、小さな声でこう言った。
「幻聴が聞こえる……。幻聴なのかな。まさか……あの子が?」
「幻聴って何よ」
突然、自分の真横から人の声がし、慌ててその方向に振り向く。
すると、自分の予想だにしない場所に、予想だにしなかった人物が見え、ルナサは驚きの
あまり一歩後ろへと退き、バランスを崩し横転した。
「わっ、たっ、あたっ!」
「なに、そんな驚いてるのよ……」
「なっ、な、な、な、な……」
狼狽し、慌てふためくルナサ。
そんな彼女に、霊夢が手を差し伸べる。
「ほら、早く立ちなさいよ」
「……」
言われるままに霊夢の手を掴み、立ち上がるルナサ。
顔を真っ赤に染め上げ、霊夢から目を逸らして言った。
「いっ……いつからそこに?」
「どうだったかしら。随分前からいたような、いなかったような。演奏に聴き惚れていたから
どれだけ時間が経ったか、よく判んないわ」
「聴いてた……のか?」
「ええ。素敵な曲だったじゃない。あなたって、こんな曲も弾けたんだ」
霊夢の素直な感想を聞き、ルナサの顔が、更に真っ赤に染めあがる。
意外なルナサの素振りに、霊夢は声を上げて笑った。
「何で笑うのよ」
「いや、何か面白かったから」
「…上昇気流」
「誰がよ!」
「誰とは言わない。ところで、何であなたがこんな所にいるわけ?」
「あんまりいい天気だったから、ちょっと散歩してたのよ。そういうあんたこそ、
こんな所で何やって……じゃない、演奏していたわけ?」
質問になっていないな、と思いつつルナサの方へ目をやると、ルナサは以前、霊夢に
みせた気だるそうな表情を取り、こう言った。
「ここは、私の家の近く。だから、私がここにいたっておかしくはないわ」
「え、そうなの?」
「嘘言ってどうするのよ。……ほら」
そういうと、ルナサがとある方向を指差した。
その先には……まるで蜃気楼のように、うっすらと揺らいでいる屋敷があった。
「あれ、あんなところに屋敷なんてあったんだ。そういえば、他の二人は?」
「今は出かけてる。って、あなた、何処行こうとしてるのよ!」
「何処って、あんたの家……」
「私は行っていいとは言ってない。それに、私が先導しないと、あの屋敷はたどり着けないわ。
亡霊の館だし」
「だったら、案内してよ」
「だから、私は行っていいとは……」
「いいじゃない、どうせ他の二人がいなくて暇なんでしょ? 折角だし、もうちょっと
他の演奏聴いてみたいし」
そう霊夢に言われ、ルナサが腕を組み、考えるような仕草を取った。
暫くして、ルナサは顔を上げると、ゆっくりと頷いた。
「判ったよ。……こっちよ」
そういって、霊夢を先導するように歩き出した。
「へぇ、結構大きいのね。しかも綺麗」
屋敷に入ると、霊夢が全体を見回しながらそう言った。
「どっかの魔術師の家とはえらい違いだわ」
「何の話?」
「こっちの話。ところで、この屋敷には3人しかいないの? 何か、結構大きいような気がする
んだけど」
「3人よ。大きい気がするのは多分気のせい。……さ、こっちよ」
そういうと、ルナサは目の前の階段をゆっくりと登り始めた。
霊夢も、それにつられるように階段を登る。
暫く歩いていくと、二人の前に四つの扉が姿を現した。
その扉の一番左に、霊夢を誘導する。
「ここが私の部屋。さぁ、入って」
そういい、ルナサが扉を開ける。
霊夢は、『何で三姉妹なのに部屋が四つあるんだろう』と思いながらも、言われるまま
部屋の中へと入っていった。
「ほほぅ、ここが騒霊長女の部屋か。結構さっぱりしてるのね」
部屋の中は、とても女の子の部屋とは思えないようなシックで清潔感溢れる
部屋で、小物やそういう類いのものは、一切無かった。
木で出来た棚、机、箪笥。
ガラス張りの棚の中に、ヴァイオリンが綺麗に並べられている。
霊夢がそれを見て、感嘆の息を漏らした。
「……なんだか、別世界見てるような気分だわ……」
「お茶を入れてくるから、あんまりそこらのもの、かまったりしないでね。どうなっても
知らないわよ」
そういうと、ルナサは部屋から音も無く出て行った。
霊夢が、部屋の中をぐるりと見渡す。
見れば見るほど、自分が予想していた部屋と違う事に驚き、そして息を漏らす。
そして、視線が机へと写った時だった。
「あら? これは何かしら」
霊夢が、『ある物』を見つけ、それに近づいていった。
小さな、写真立てである。
その写真立ては何故か、写真が見えないよう伏せて置いてあった。
霊夢は純粋な興味もあって、ルナサに警告されたにも関わらず、倒れた写真立てに
手を伸ばした。
そして、その写真を覗き込む。
そこには、四人の人物が写っていた。
左から、気だるそうにしているルナサ、そんなルナサに腕を絡めて笑っている
リリカ、満面の笑みを浮かべ、中央を向いているメルラン、そしてその横には。
もう一人、霊夢が見たことのない少女が、笑っていた。
「…はて、確かルナサって三姉妹じゃなかったっけ。この子は誰かしら」
そんな事を言いながら、その写真をマジマジと眺める霊夢。
その時だった。
「ちょっと、何見てるのよ!!」
背後からルナサの怒号が聞こえ、霊夢は慌てて振り返った。
そこには、紅茶とティーカップを乗せたお盆を持ったまま、厳しい表情をしている
ルナサがいた。
けたたましい音を立て、お盆を近くにあった棚の上に置く。
チィーカップが落ち、パリン、という音を立てて割れた。
「ぇ、あっ、ちょっと……」
突然のルナサの変わりように、慌てふためく霊夢。
ルナサが、厳しい表情のまま霊夢に近づき、乱暴に、持っていた写真を取り上げた。
すぐさま写真を胸に抱き、霊夢に背中を見せる。
そして、ルナサはそのまま押し黙ってしまった。
「えっと、あの……」
どうしたらいいのか判らず、霊夢はオロオロとする。
暫くすると、ルナサが霊夢に背中を見せたまま、こう言った。
「帰って……」
「……」
「帰って! もうここには来るなッ!!」
「…判った。ごめんなさい……」
そう、呟くように言うと、霊夢はルナサの部屋から出て行った。
…部屋の中に、ルナサ一人だけが残された。
ルナサの瞳からは、涙が流れていた……。
すっきりしない。
胸の中がもやもやとする。
どうして、ルナサはあんなに怒ったんだろうか?
そんな事を何回考えただろうか、霊夢は照り付ける太陽の下、暗い表情を引きずった
ままプリズムリバー家の屋敷を後にした。
深く溜息をつく。
「…確かに、勝手にかまうなって言われておいてかまったのは私が悪かったんだけど……。
どうして、あんなに怒ったのよ。う~ん……」
もう一度、深く溜息をつく。
ふと、前方に視線をやると、前方に霊夢の知った顔が二人、こっちに向かっている事に
気がついた。
ルナサの妹の、メルランとリリカである。
その二人も霊夢に気がつき、近づいてくる。
目と目があった。
「あら、誰かと思えば博麗神社の上昇気流じゃない。こんな所で何やってたの?」
「上昇気流~」
「五月蝿い、上昇気流言うな」
「何だか、随分と落ち込んでるみたいだけど。何かあった?」
「…何にもないわ」
「何にもないなら、そんな暗い表情してるわけないでしょ? 亡霊じゃあるまいし」
「亡霊に言われたくないわよ」
「あら、私達は騒霊よ。結構、そこはかとなく違うわ」
「そんな細かいこと、どうでもいいわ……」
そう言って、霊夢は再び深い溜息をつく。
その様子を見て、メルランが首を傾げる。
「こりゃ、重症ね」
「姉さん、そういえば……」
そんなメルランに、リリカが霊夢に聞こえない声でそっと話し掛ける。
それを聞いて、メルランが頷く。
「ああ、そういえば……。もしかしたら、もしかするかも。物凄く普通に気になるかも。
ちょっと、ルナサ姉さんの様子を見てくるわ」
そういうと、メルランは先程霊夢が出てきた場所……プリズムリバー家の屋敷へ
翔けて行った。
その様子を見守った後、リリカが霊夢に話し掛ける。
「もしかして、ルナサ姉さんに会った?」
「ええ、まぁ……」
「あ~、やっぱり。で、一体どうなったの?」
「ぅ~ん……」
話してもいいものか。
そう、霊夢は少しだけ思ったが、相手がルナサの妹だと言う事もあり、先程の出来事
を全部、リリカに話すことにした。
それを聞いて、リリカが頷く。
「あ~、やっぱり。姉さんは素直だから、引きずっちゃうんだよねぇ」
そういうと、リリカは顎に手を当て、何か考えるような仕草を取った。
それを見て、首を傾げる霊夢。
やがてリリカが顔を上げ、何かを思いついたようなに頷くと、霊夢に話し出した。
「あの写真に写ってた、あの子はね。私達の妹なの」
「へっ…。妹? 確か、あんた達って三姉妹じゃなかったの?」
「今は三姉妹よ~。でも元々、私達は四姉妹だった」
「……」
「詳しい話は省くけど、私達3人は騒霊だったのに対して、もう一人……四女に当たる
レイラは、普通の人間だったの。だからね」
「……」
「それで、今日はそのレイラが死んだ日だった。……ルナサ姉さん、その事を未だに
忘れられないみたいなのよ。素直だからね~」
「そうだったの……。でもいいの? そんな身内の事、部外者の私に教えちゃって」
「別にいいわよー。知らないと、何で姉さんが怒ったか気になるでしょ?」
「そりゃ、そうだけど……」
「姉さんも、本当に怒ってたわけじゃない。レイラの事思い出して、悲しくなって……。
でも、その思いを何処にぶつけていいか判らなかっただけだと思う。それだけ、覚えて
おいて欲しいな」
「判った……。うん。その、私が謝ってたって、ルナサに伝えてくれない?」
「うん、判った~」
そういうと、霊夢はリリカに別れをつげて、自分が居るべき場所、博麗神社に向かって
翔けていった。
その姿を見送ると、リリカは、小さく溜息をついた。
「ま、これでいいわよね。後はメルラン姉さんが上手く説得すればいいわけだ、と。
いい加減、ルナサ姉さんにもレイラの事について立ち直ってもらわないと、こっちの
気も持たないわよ」
そう、誰に言う事無く呟くと、リリカもまた、自分の帰るべき場所へと戻っていった。
「姉さん、いる? 入るわよ」
ルナサの部屋をノックしながら、そうメルランが言う。
しかし、中からは返事が無い。
メルランは小さく溜息をつくと、部屋のドアを開け、中へと入っていった。
そこには、写真を胸に抱いたまま、声を殺して泣いているルナサがいた。
「やっぱり」
「……」
「そうじゃないかと思ったわ。この状況から見るに……。その写真を見られたって所かな?」
ルナサは答えない。
変わりに、小さく頷いた、
メルランが、やれやれと首を左右に振る。
「姉さんの気持ち、判るわよ。私達の大切な家族だものね……。例え、私達がレイラの
思いで『つくられた』としても……四人は、本当の意味で家族だったんだからね」
「……」
ルナサが、顔を上げる。
その顔は、涙でくしゃくしゃになっていた。
「メルラン……」
「姉さん、毎年この日が来るたびに姉さんは一人で泣いてたわよね。私達、知ってたのよ。
知ってたけど……声をかける事できなかった。どれだけ、姉さんが悲しんでるか
判っていたから」
「……」
「でもね、そろそろ泣くの止めにしない? 多分、レイラ、きっとそんな姉さんを見て
怒ってると思うわ。ううん、多分じゃない、絶対」
「…? なん、で?」
ルナサが、涙に濡れた瞳でメルランを見る。
その時、メルランの周りに、薄い光の尾を引きながら、漂う物体が現れた。
メルランのトランペットである。
それをゆっくりと手に取り、とある曲を吹き始めた。
部屋に響き渡る、トランペットの音。
その音色を、その演奏を聞いて、ルナサがハッとなる。
その曲は、ルナサの良く知っている曲だった。
静かで、とても優しい、聴いているだけで心が安らぐような、そんな、そんな静かな曲。
その曲を、ルナサは夢でも見ているような面持ちで聴いていた。
演奏が終わる。
夢から、覚める。
ルナサとメルランの、目と目があった。
「覚えてるわよね、この曲」
「あっ……ああ、覚えてる。忘れるはずなんかない。今日だって、私は演奏したんだ。
…レイラが、私達のために創ってくれた、思い出の曲……」
「あら、弾いたんだ。だったら、何で気がつかないのかしら」
「…なっ、何よ」
「この曲の歌詞、よく思い出して。…確かに、レイラは死んじゃったわ。あの子は私達
と違って、人間だった。だけど、あの子との思い出は、あの子の意思は、死んでなんか
いないのよ。ずっと、私達の中で生き続けてる。そうでしょ?」
「……」
「だったら。いつまでもその事を引きずってたら、レイラ、本気で怒りかねないわよ」
「…レイラ……」
ルナサが、自分の涙を拭った。そして、メルランの目を見る。
もう、その表情には何の迷いの欠片も無かった。
「さぁ、みんなでこの曲を演奏しましょ。リリカ、そこにいるんでしょ?」
メルランがそう言うと、部屋の扉の向うから、リリカが顔をだした。
そして、メルランとルナサが、それぞれの楽器を構える。
「あ~、ちょっと待った! どうせなら、さっきの上昇気流がいる神社でやらない?
ルナサ姉さんだって、あいつと喧嘩しっぱなしは嫌でしょ?」
「あら、いい考えね。リリカ」
「へへ~。ま、当然ってことで」
「相変わらず頭が斬れる……。そうね、あそこだったら……きっと、凄くいい演奏が
できると思う」
「そうと決まれば、さぁ、さっさと用意する!」
三人が、同時になって笑う。
ルナサの顔に、珍しく、笑顔が宿った。
霊夢は、もうすでに博麗神社へと戻っていた。
相も変わらず気分は晴れない様子だったが、お茶を飲み、落ち着く事で
何とかいつもの日常を取り戻しつつあった。
「何か、今日はやたらと暗くないか?」
隣で霊夢と一緒にお茶を啜っていた魔理沙が、そう、霊夢の顔を覗きながら言った。
「そうかしら」
「ちなみに言っとくと、天気とか太陽の明度とかじゃないぜ。お前の表情がだ」
「そんなの、判ってるわよ」
「判ってるって事は、何か心当たりがあるってことか?」
「どうしてそうなるのよっ!」
「いや、怒るなよ……」
そうして、二人そろってお茶を啜る。
暫く、そんな気まずい雰囲気が場に流れた。
その時だった。
「…ん? おい霊夢。何か聞こえないか?」
そう言われて、霊夢が耳を澄ました時だった。
どこか聞き覚えのある音が、どこからか流れている事に気がついた。
ヴァイオリンの音色だった。
「この曲……」
「なんだなんだ?」
「魔理沙、上を見て」
「…ん?」
霊夢に言われ、魔理沙が空を見上げる。
そこには、リリカ、メルラン、そしてルナサの三人がいた。
ルナサが、空から霊夢を見下ろしながら、笑う。
「今日は、タダでたっぷりと演奏を聴かせてあげる! とことん付き合ってもらうわよ!」
そう、ルナサが叫ぶ。
そんなルナサに、霊夢が笑いかけた。
そうして、プリズムリバー三姉妹の、演奏が始まった。
流れてきたのは、霊夢が森の中で聴いた、あの曲だった。
レイラが自分の姉達のために書いたという曲。
3人の、思い出の曲を。
ヴァイオリンとキーボード、トランペットの音が溶け合い、優しくも心を揺さぶられる
曲が、辺り一体に響き渡る。
そして、ルナサが歌い出す。
透き通った、綺麗な声で。
レイラの『思いを』全身で受け止めるように。
例え別れが来ても はなればなれになっても
ココロ 思いは通い合う 信じているから
さよならは言わないわ きっと いつか
どこかで まためぐり合う それを 信じて
鎖が解かれる。
愛する家族への思いが生み出した呪縛が。
全ての迷いを断ち切ったルナサは、その歌声と同様、美しく輝いていた。
~Fin~
三姉妹のキャラとかもはっきりしててツボです。
ごちそうさまでした。