Coolier - 新生・東方創想話

レティチル座の花園

2003/08/14 12:04:50
最終更新
サイズ
2.74KB
ページ数
1
閲覧数
736
評価数
2/17
POINT
790
Rate
9.06
「こんばんは!毎度クールでアイスティックな幻想郷の涼心レティチル軍!
 COOL・COOLER・COOOOLEST!!宇宙創生以来の氷河期人生、
 震えて凍えて氷精稼業、明日もどこかで涙雪、誰に見せるの雪化粧!」
「…………」
「……ってどうしたのよ黒幕の!? いきなり暗いよ! テンションめっさ低いよ!」
「実は……ね。今まで黙っていたけれど……」
「な……何?」
「私、氷精じゃないの」
「ええっ!?(カキーン)」
「ていうか、妖精じゃないの」
「ゲエー!?(コキィーン)」
「実は冬にしか存在できない、冬季限定の妖怪だったのよ」
「(ピキッ、パラパラ)なんですってーー!?
 ……で、でもそれなら、もう夏なのに、どうして……」
「それは――冬があったからよ。
 ただし、ふつうの冬ではなくて……『心の冬』が」
「心の冬……」
「そう。空に季節があるように、心にも季節があるわ。
 ただしそれは天のそれとは異なり、つねに春夏秋冬のサイクルで訪れるとは
 かぎらないし……また、いつまでたっても同じ季節のままのこともあるのよ。
 私はその『心の冬』をよすがに、これまで永い冬を過ごしてきた。
 でも、それももう――終わりのよう」
「どういうこと!?」
「その心にも、『春』が来たから」
「―――」
「だから私は、この地を去らなければいけない」
「だ……誰なのよ、そいつは!? そいつをやっつけて、また冬にしてやるわ!
 そうすれば……!!」
「それは無理なことだし、またしてはいけないことよ。
 心の季節は、いつだってうつろいやすいものだけど、
 いったん春のぬくもりを知った者は、容易に冬の冷たさを恋しがりはしないから」
「でも……!」
「私は冬を追いかけていくけれど、またこの地へ来ることもあるかもしれないし、
 ないかもしれない。でもこれだけは確かよ――」
「!」
「レティチル軍はいつでもクール」
「どんなときでもアイシクル」
「熱くなるなよアクトレス」
「ダイアモンドだブリザード」
「リンガリング!」
「リンガリング!」
「コールド。」
「コールド。」
『レティチル軍はいつでもクール』
「……く、黒幕の……!」
「……チルノ……」
「最後に――教えてよ。春は、誰の心に来たの……?」
「……それは……」

…………。

…………。

――黒まくの、元気ですか。あたしは冷え冷えむすめです。
あたしはひとりレティチル軍としてがんばってます。
あなたもはぐれレティチル軍としてがんばっていますか。
あなたはいまも冬をおっかけてるんでしょうね。
はやく冬がかえってくればいいとおもいます。
あなたのことをおもい出すと、なんとなく、ムネのあたりがほかほかします。
でも、なんだかうれしいです。ヘンでしょうか。
お別れのとき、けっきょくあなたは、『春』がだれにきたのか、
おしえてくれませんでしたね。
いまは、なんだか、わかる気がします。

あなたは、ひょっとして、冬じゃなくて、春の使いなんじゃないかって、おもいました。
今日も、どこかで、冬の心をもっただれかと、すごしてるんでしょうか。
その心に春がくる、その日まで。

もしいつの日か、あなたの心に、冬がきたら
そのときは、いつでも、あたしをよんでください。
あたしはおてんば冷え冷えむすめだけど……
あなたにあげる花が、このムネにさいてるから。
タイトルは『レティクル座の花園』(筋肉少女帯)から。
しかしあまり内容とは関係ありません。……でもないか?
STR
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.640簡易評価
1.50nanasi削除
くう、なんか目頭が熱いぜ・・・
11.無評価名前が無い程度の能力削除
今更レティの魅力に気づいたので読みすすめてます。
これはやばい。『ある日、ある水辺で』といい、シリアスとギャグを両立させるのがうまいなあと思った。
12.100名前が無い程度の能力削除
点数忘れorz