夏の夜にしてはやけに涼しい。
満月の夜にしてはずいぶん暗い。
そんな事を考えながら霊夢は眠りから覚めた。
欠伸をしつつ頭を掻き・・・掻けない。まだ眠い目をこすり・・・こすれない。
「ん~、これって死後の世界なのかしら。それとも夢見てる?」
「残念ながらどっちもハズレ。ここは現実で博麗神社の境内裏よ。
ていうか相当寝ぼけてるわね、あなた」
どこからともなく声が聞こえる。どこから喋っているのかわからない、エコーのよくきいた声。
まだ寝ぼけている霊夢に対してマジ突っ込みを入れる声の主は、紛れもなくルーミアだった。
「んあ、そういえばあんたと戦ってたんだっけ。途中で眠くなっちゃ・・・・・・って、あれ?」
何気なく手を動かそうとしたが動かない。両足も、指の一本にいたるまでピクリとも動かない。
例えるなら、触感のない泥に両手両足を突っ込んでそれが抜けないような感覚。
霊夢はようやく、自分の体が動かないことを認識したのだ。
「何これっ、手が・・足が・・・」
「そういえばまだ教えてなかったね」
「あんたの仕業ね・・・ルーミア!これはどういう事よ!」
「何も知らずに果てるのはかわいそうだから、詳しく教えてあげる」
エコーの聞いた声でルーミアは続けた。
「そもそも、闇を操る私が光なんか使うから人間相手に負けちゃうのよね。
最初から闇だけを操ってればよかったのにって思うわ・・・」
「さっきのカード、攻撃用じゃないのよ。カードを召喚した時点で効力発動、
私に向けられる全ての攻撃を無に還してしまう・・・って当事者だからわかるか。重要なのはこの次よ」
「カードを触媒として私自身が深い闇となって敵を包み込む・・・もうわかるでしょ?
この闇は全部私自身ってわけ。カード召喚の時点で捕獲完了だったのよ」
「手足をしっかり押さえてるから逃げられるわけないよね。それと、
闇の外周には何重にも強力な結界を張ってあるから。それなり以上の実力がないと
この闇の中に入ってくる事なんてまず不可能だと思ってちょうだい」
「だけど安心してもいいのよ。私、あなたを取って食うなんて言ったけど
本当に欲しいのはあなたの霊力だけなの。本当に食べちゃったり殺すつもりはないわ」
「それさえ手に入ればもう用済み、解放してあげる。だけど、霊力を失って
ただの人間になったあなたが幻想郷で生きていけるかは微妙なところね・・・無理だと思うけど」
己の勝利に酔いしれているのか、ルーミアはかなり饒舌になっていた。
彼女の言葉がそこらじゅうで響き渡っている。エコーにエコーが重なって聞き取りづらいが、
とりあえず自分がとてつもなく不利な状況に置かれているというのはわかる。
何度も繰り返され響き渡る声・声・声。
だが、耳を塞ぐ事も実力で反撃する事もできない霊夢には、せめて虚勢を張るくらいしかできない。
「・・・・さっきから聞いてりゃ御託が長すぎるのよ。あんたの勝ち(私の油断でもあるけど)は認めてやるから、
やりたい事があるならとっととやればいいじゃない!」
「ふ~ん、負けたくせに勢いだけはあるんだね」
「何をっ・・・・!」
「ほら、そういうのを勢いがあるっていうのよ。それとも負け犬の遠吠えって奴?」
「う・・・・・」
「まぁ私もそういうのは嫌いじゃないよ。そうやって気丈に振舞う子がだんだん表情を歪めていくのとか・・・・ね」
不意に霊夢の目の前がわずかに明るくなり、そこに人影が現れる。現れたのは・・・・ルーミア。
だが周りの闇が全て消え去ったわけではない。闇と化した彼女の末端を使い、本体に似せ具現化させた姿だろう。
ルーミアの姿を借りた闇は、微笑を浮かべつつ動けない霊夢にゆっくり近づいてくる。
「痛くはないよ・・・・♪」
闇から生まれた『彼女』は迷うことなく霊夢の唇を奪った。
満月の夜にしてはずいぶん暗い。
そんな事を考えながら霊夢は眠りから覚めた。
欠伸をしつつ頭を掻き・・・掻けない。まだ眠い目をこすり・・・こすれない。
「ん~、これって死後の世界なのかしら。それとも夢見てる?」
「残念ながらどっちもハズレ。ここは現実で博麗神社の境内裏よ。
ていうか相当寝ぼけてるわね、あなた」
どこからともなく声が聞こえる。どこから喋っているのかわからない、エコーのよくきいた声。
まだ寝ぼけている霊夢に対してマジ突っ込みを入れる声の主は、紛れもなくルーミアだった。
「んあ、そういえばあんたと戦ってたんだっけ。途中で眠くなっちゃ・・・・・・って、あれ?」
何気なく手を動かそうとしたが動かない。両足も、指の一本にいたるまでピクリとも動かない。
例えるなら、触感のない泥に両手両足を突っ込んでそれが抜けないような感覚。
霊夢はようやく、自分の体が動かないことを認識したのだ。
「何これっ、手が・・足が・・・」
「そういえばまだ教えてなかったね」
「あんたの仕業ね・・・ルーミア!これはどういう事よ!」
「何も知らずに果てるのはかわいそうだから、詳しく教えてあげる」
エコーの聞いた声でルーミアは続けた。
「そもそも、闇を操る私が光なんか使うから人間相手に負けちゃうのよね。
最初から闇だけを操ってればよかったのにって思うわ・・・」
「さっきのカード、攻撃用じゃないのよ。カードを召喚した時点で効力発動、
私に向けられる全ての攻撃を無に還してしまう・・・って当事者だからわかるか。重要なのはこの次よ」
「カードを触媒として私自身が深い闇となって敵を包み込む・・・もうわかるでしょ?
この闇は全部私自身ってわけ。カード召喚の時点で捕獲完了だったのよ」
「手足をしっかり押さえてるから逃げられるわけないよね。それと、
闇の外周には何重にも強力な結界を張ってあるから。それなり以上の実力がないと
この闇の中に入ってくる事なんてまず不可能だと思ってちょうだい」
「だけど安心してもいいのよ。私、あなたを取って食うなんて言ったけど
本当に欲しいのはあなたの霊力だけなの。本当に食べちゃったり殺すつもりはないわ」
「それさえ手に入ればもう用済み、解放してあげる。だけど、霊力を失って
ただの人間になったあなたが幻想郷で生きていけるかは微妙なところね・・・無理だと思うけど」
己の勝利に酔いしれているのか、ルーミアはかなり饒舌になっていた。
彼女の言葉がそこらじゅうで響き渡っている。エコーにエコーが重なって聞き取りづらいが、
とりあえず自分がとてつもなく不利な状況に置かれているというのはわかる。
何度も繰り返され響き渡る声・声・声。
だが、耳を塞ぐ事も実力で反撃する事もできない霊夢には、せめて虚勢を張るくらいしかできない。
「・・・・さっきから聞いてりゃ御託が長すぎるのよ。あんたの勝ち(私の油断でもあるけど)は認めてやるから、
やりたい事があるならとっととやればいいじゃない!」
「ふ~ん、負けたくせに勢いだけはあるんだね」
「何をっ・・・・!」
「ほら、そういうのを勢いがあるっていうのよ。それとも負け犬の遠吠えって奴?」
「う・・・・・」
「まぁ私もそういうのは嫌いじゃないよ。そうやって気丈に振舞う子がだんだん表情を歪めていくのとか・・・・ね」
不意に霊夢の目の前がわずかに明るくなり、そこに人影が現れる。現れたのは・・・・ルーミア。
だが周りの闇が全て消え去ったわけではない。闇と化した彼女の末端を使い、本体に似せ具現化させた姿だろう。
ルーミアの姿を借りた闇は、微笑を浮かべつつ動けない霊夢にゆっくり近づいてくる。
「痛くはないよ・・・・♪」
闇から生まれた『彼女』は迷うことなく霊夢の唇を奪った。