咲夜が春まで休暇をもらった、ある雪の日の紅魔館。
主の部屋のテーブルに、二つの人影があった。
一人は主。
一人は魔女。
主は窓の外の雪を見ながら紅茶を飲み、
友人の魔女は分厚い本をひたすらに読んでいた。
音のないその部屋。
幼さの残る主の声が、ふと沈黙を破った。
「ねえパチュリー、その本面白い?」
「ええ、なかなか。」
先ほどから長く続いた会話はなかったが、主は楽しそうに微笑み、
魔女もやはりどこか楽しげだった。
「ねえ、パチュリー?」
「どうしたんです、さっきから。そんなに名前を呼ぶなんて珍しいですよ?」
魔女は読んでいた本にしおりを挟み、椅子の隣に高く高く積まれた本の上に静かに置いた。
「あら、パチュリーが本を読むのを中断するよりは、珍しくないと思うわよ?」
ふふっ、と二人で笑いあう。
その笑みを残したまま、主は窓の外に視線を移した。
「咲夜は今、何をしているのかしらね…?」
独り言のような呟きに魔女が笑った。
「何かしら?」
「ふふ、いえ、お嬢様は繊細なお方だな、と。」
魔女の言葉に、主は怪訝な顔をした。
「…寂しい、のでは?」
どこか意地悪っぽい笑みに、主はきょとんとしてから、
「…そうかも、知れないわね。」
笑って言った。
「ああ、ほら、パチュリー。」
「なんですか、レミリアお嬢様?」
「そろそろ口うるさいのが帰ってくるわ。
…もう少しゆっくりして来ればいいのに。」
その言葉に、魔女は笑いをこらえながら言う、
「…ええ、紅茶の用意でもしておきましょうか。」
雪は止み、外には綺麗な桜の花びらが、
ひらり、ひらりと舞い出していた。
主の部屋のテーブルに、二つの人影があった。
一人は主。
一人は魔女。
主は窓の外の雪を見ながら紅茶を飲み、
友人の魔女は分厚い本をひたすらに読んでいた。
音のないその部屋。
幼さの残る主の声が、ふと沈黙を破った。
「ねえパチュリー、その本面白い?」
「ええ、なかなか。」
先ほどから長く続いた会話はなかったが、主は楽しそうに微笑み、
魔女もやはりどこか楽しげだった。
「ねえ、パチュリー?」
「どうしたんです、さっきから。そんなに名前を呼ぶなんて珍しいですよ?」
魔女は読んでいた本にしおりを挟み、椅子の隣に高く高く積まれた本の上に静かに置いた。
「あら、パチュリーが本を読むのを中断するよりは、珍しくないと思うわよ?」
ふふっ、と二人で笑いあう。
その笑みを残したまま、主は窓の外に視線を移した。
「咲夜は今、何をしているのかしらね…?」
独り言のような呟きに魔女が笑った。
「何かしら?」
「ふふ、いえ、お嬢様は繊細なお方だな、と。」
魔女の言葉に、主は怪訝な顔をした。
「…寂しい、のでは?」
どこか意地悪っぽい笑みに、主はきょとんとしてから、
「…そうかも、知れないわね。」
笑って言った。
「ああ、ほら、パチュリー。」
「なんですか、レミリアお嬢様?」
「そろそろ口うるさいのが帰ってくるわ。
…もう少しゆっくりして来ればいいのに。」
その言葉に、魔女は笑いをこらえながら言う、
「…ええ、紅茶の用意でもしておきましょうか。」
雪は止み、外には綺麗な桜の花びらが、
ひらり、ひらりと舞い出していた。