【作品集】52 【作品名】異動 【作者名】秘月氏 【あらすじ】 「一番の主は何処の誰だと思う?」という一言から始まる大騒動(の予感) 紅魔館の「レミリア=スカーレット」 マヨヒガの「八雲 紫」 白玉楼の「西行寺 幽々子」 永遠亭の「蓬莱山 輝夜」(追加) この四名をシャッフルし、本来とは異なる従者、側近と生活する。 その際に、従者や、その下で働く者達、そして霊夢らにより主としての器を点数表記する。 振り分けは自分で確認してくれたまへ。 【感想】 ここから感想。点数云々は正直どうでもいい(失礼ではあるが) ただ、タイトルからして従者を異動させるのだろうなと思っていたため 初っ端からのミスリードや、主自体を移し変えるという発想は新しい。 また、レミリア、紫、幽々子はよく目にする普段通りの振る舞いだが 普段はカリスマ皆無の駄目NEET扱いの多い輝夜が良い感じに物腰柔らかいお姫様。 前振りからしてこれは予想通りかと思ったら、おっとこれは嬉しい誤算か? この話は続き物であり、今回は導入編と言ったところか。 某人等はともかく、某人等は早くも波乱の予感、待て! 次回! 【作品集】52 【作品名】異動2 【作者名】秘月氏 【あらすじ】 前作「異動」の続き。 今回から本格的に生活の様子が描かれ始める。 ルールは前述したので、さわりと感想だけを短くまとめる。 今回から監査官が導入される。通常監査官を各組に二名ずつ、そして全体を監査する特別監査官。 全部で十二名らしいが、なんか数が合わなくない? このややこしい制度のおかげで某死神にトラブルが・・・! 【感想】 さて、ここから感想。場面の切り替わりが多いので、頭の中で少し話の整理が必要かもしれない。 とりあえずぶっちゃけて言えば、咲夜は色々と間違っている。 ある意味正解は妖夢。そして正解かどうかはともかく、賢いのは藍。 永琳はこの時点では何を考えているのか、正直わかんね。とりあえず従者の印象はそんなところ。 とりあえず気になる、美鈴の含みのある発言の詳細は? 咲夜は今後どう動くのか? やっぱり続く。待て! 次回! 【作品集】52 【作品名】醜形恐怖 【作者名】蟹人間コンテスト氏 【あらすじ】 早苗のコンプレックス。恐らくは年頃の女の子なら誰もが抱くであろうもの。 確かに幻想郷は間違いなくトップクラスの逸材が揃い踏みである。 早苗はそのコンプレックスを克服しようと慣れない手段を行使するが・・・? 【感想】 ここから感想。さっくり読める。最初から最後まで一本道で筋が通っているので読みやすい。 確かに自分がそんな状況の真っ只中にいたら? そう思うと早苗の行動も納得できるかもしれない。 まぁ、我々にとっては、諏訪子様の仰るとおりのものではあるのだが。 神奈子様の御言葉は必見。諏訪子様の名言も必見。 You! 割り切っちゃいなYO! しかし(35)はひどいだろ! 【作品集】52 【作品名】早苗50%フィクション 【作者名】詩所氏 【あらすじ】 怪談から始まる物語。最初こそ鈴仙の話から始まるが、すぐに早苗視点での怪談が始まる。 早苗がまだ外にいたときの怪談を語り聞かせる。妖夢が自身の存在を否定し始めたりと 所々で笑いを誘う要素も見えるが、正直、ちょっと背筋がぞっとする。 早苗の怪談が架橋に差し掛かるにつれ、えもいわれぬ緊張感が走る。 最後には背筋も凍る結末が・・・・? 【感想】 ここから感想。怪談は正直好きではない。ホラーゲームはするんだけど、怖い話は何故か嫌い。 地元に犬鳴峠がある身としては人事だと思えないからさらに怖い。 だけどすんなりと読めてしまう、知らぬうちに早苗の話に耳を傾けてしまっているよう。 タイトルからして、多分こういうオチだろう、と思いつつ読んでいたが、ところがどっこい。 最後の最後でそういうことか! と思わせるオチを用意してくれちゃってる著者に乾杯。 しかしあとがきのあれはなんというか・・・いいぞ、もっとやれ。 【作品集】52 【作品名】四月馬鹿 【作者名】大崎屋平蔵氏 【あらすじ】 御存知エイプリルフールネタ。といっても、別にかかったな阿呆め、という内容ではない。 恐らくは馬鹿がつくほどの正直者であろう慧音が、この日頑張って嘘をつこうと思慮する。 試行錯誤の上、妹紅、魔理沙らに当たり障りのない嘘をつくが・・・? 正直、ここで物語のあらましを話すと面白くないのでこれ以上は伏せる。 【感想】 ここから感想。とりあえずさっくり読めるのが嬉しい作品。 短い内容に、キャラの特徴がしっかりと現れている。 とりあえずおまいらは読んでからチルノの可愛さに悶えるといい。 【作品集】52 【作品名】妖怪、紅美鈴〜ボーダーオブライフ 【作者名】電気羊氏 【あらすじ】 妖怪は人を食うもの。それは人間よりも人間くさい紅美鈴でさえも同じこと。 しかし、美鈴は人を食いたくは無い。しかし、ある理由により食わなければならない。 だが美鈴はその理由がわからない。キーとなるのは、美鈴自身の過去。 ふらりと転がり込んだ博麗神社にて、ある者の助けでそれを思い出すが・・・。 まず冒頭に日記、そしてそれに沿った美鈴の一人称で物語が進む、といったSS。 【感想】 ここから感想。まず、設定自体が斬新。今までに無い設定だと思う。俺が知らないだけか? 前編後編とわかれてはいるが、そこまで長くは無く、読み易い。 また、登場する各々のキャラの意外な一面を、違和感無く垣間見させるのも良し。特にルーミアが深い。 「そして私は人を食う」 【作品集】52 【作品名】林檎 【作者名】PYTHON氏 【あらすじ】 アリスとオリジナル男性の一人称での物語。重要なのは、このオリジナルキャラが 「物語に参加するキャラ」ではなく「物語を見つめているキャラ」だということ。 オリジナルキャラクターというカメラを以ってして、アリス・マーガトロイドというキャラクターを映している。 故に、メアリ・スーやU-1のように忌避されがちなオリキャラではない。良くも悪くも存在感が無い。 【感想】 ここから感想。まず、短い。驚くほど短い。プチレベル。しかし、読み易さは一級品。 アリスのキャラクターがしっかりと出ていると思う。ただ、少々短くて物足りない感があるかも。もっと読ませろ。 なんかよく判らないけど、最後の一文にちょっと切なくなった。センチメンタル俺様。 「でも、帰れる場所があるって良い事だよ」 【作品集】52 【作品名】四季のベジタブルマスター 【作者名】電気羊氏 【あらすじ】 幻想郷が異常気象に襲われ、慢性的な食糧不足に見舞われた! このままでは不味い。慧音は苦渋の選択の末、この状況を打開できる可能性を持つ、風見幽香に助けを求める。 お前の能力で野菜を作ってくれ。持ち上げられてノリノリのゆうかりん。しかし、その後、二人に悲劇が起こる。 早い話が飯が足りないからゆうかりんに作ってくれっつってゆうかりんが美味い野菜作るために奮闘する話。 【感想】 ここから感想。まず、面白い。自身の中ではかなりの良作。イメージがイメージだからか、幽香のギャップに噴く。 話の本筋は一本道で通っている。寄り道も多少あるけど無駄に笑えるから悔しい。びくびく。 あー、それと美鈴、青いトマトが美味しそうとはどういうことだ。 「これは風見幽香が風見農香になるための訓練なのよ」 【作品集】52 【作品名】お嬢様は思い至る。 【作者名】大崎屋平蔵氏 【あらすじ】 「……咲夜の血が飲みたいわ」の一言からはじまる阿鼻叫喚。 ぱちゅえもーん、咲夜から血を採取する道具を出してよー。はい、「妄想爆発薬」ぅー。 レミリアが元凶ではあるが、気付けばパッチェさん大暴走で事態は深刻化。 どいつもこいつも変態ばっかり!! 美鈴と小悪魔が最後の良心。 【感想】 ここから感想。小悪魔が一晩でやってくれました。それはおいといて。 基本的にパチュリーの暴走と、それに振り回されるお嬢様(自業自得) そして本作のターゲットである咲夜の脳内中継によるギャグSS。 ギャグ系はあまり詳しく感想書くとネタバレになるから難しいところですな。 最後の最後は実に珍しい組み合わせが見られるかも。 「いいから」 【作品集】52 【作品名】こっぱい 【作者名】八重結界氏 【あらすじ】 転がる十円玉を追いかけて幻想入り 第一話 (注意:幻想入りシリーズではありません) 流れるような銀の髪に、見るものを惹きつける青い瞳を持った美人が紅魔館へとたどり着く。 立ち塞がるは門を預かる紅の守護者。館へ入りたければ、と門番が難題を叩きつける。 件の美人は難なく解き進み、紅魔館へと進入する。そこに在るは紅の悪魔。彼女の安否は、そして正体は? 【感想】 ここから感想。やられたっ! やってくれおったな作者め! チクショウチクショウ! と、言うわけで一見の価値あり。ニーチェは偉大すぎる。 でもダイエットコーラってあんま美味くなくね? 「天丼なら天丼と最初から言いなさいよ」 【作品集】52 【作品名】赤き悪魔(スカーレットデヴィル) 【作者名】少年氏 【あらすじ】 元気の無いレミリア。心配する紅魔館の面々。 血を全く食さなくなったレミリア。夢にはいつも薄く笑う人影。ねえ、いつまで、そんなくだらないことをしているの? レミリアの行動がおかしい。人間の真似事をはじめるまでになった。まるで人間になりたいかのように。 ねえ、いつまでそんな無駄なことを? 【感想】 ここから感想。やっぱり、そういうことは、吸血鬼だろうと、レミリアだろうと、共通して悩むことなのか。 タイトルに隠れた物語の中核。そして度重なるミスリード。奔走する咲夜。 全てはレミリアへの一言が切っ掛けだった。 「冗談。希望的観点。くだらない話。妄想。そういった類の話よ」 【作品集】52 【作品名】ピンチな咲夜さん 〜瀟洒なメイドに愛の手を〜 【作者名】三文字氏 【あらすじ】 【感想】 さwwwwwwwwwwwwいwwwwwwwwwwwwごwwwwwwwwwwwww 「待てぇい!」 【作品集】52 【作品名】香霖堂氷奏曲 【作者名】久我&金井氏 【あらすじ】 暑い夏の日、屋根に少女が刺さっていた。 香霖堂の屋根に突き刺さっていたのは氷の妖精チルノ。魔理沙に負けた際に落ちたらしい。 チルノを介抱した霖之助。何か思うところがあってチルノを店に置いて世話をすることになった。 目標は打倒魔理沙。チルノと霖之助は生活を共にしつつ、様々な日々を過ごす。 【感想】 ここから感想。チルノ可愛いよチルノ。二人で素麺食ってるシーンで悶えてしまった。 チルノ好きなら一見の価値あり。というか見れ。というか、このチルノ、なかなかみないキャラをしている。 最初のうちは一人称に違和感を感じるかもしれないが、最後には気にもならなくなるだろう。 最後にもう一回。チルノ可愛いよチルノ。 「おぉ。霖之助は頭がいいのか?」 【作品集】55 【作品名】ルーミア 【作者名】500氏 【あらすじ】 主役はルーミア。目覚めと同時に見つけた銀色に光る指輪。自分の物ではないのだから人の物。 人間のルールでは、それが人の物であれば、持ち主に返すのが礼儀である。ってけーねが言ってた。 なんの気まぐれか、慧音の元へ赴き、事の次第を話す。妖怪の中にも感心な奴がいたものだと慧音も喜ぶ。 人間にも、ルーミアのように感心な妖怪がいるということを知ってもらえれば、隔たりもなくなるだろう。 そう思った慧音は、ルーミアに、指輪を持ち主に返しに行ってあげなさいと諭す。ルーミアもそれに倣うが・・・。 【感想】 ここから感想。ちょっと話の内容が短いので、割とさわりだけでも結構読み進めてしまうかな、ってくらい短い。 逆に言えば、それだけさっくりと読みやすい。短いながらも、運びもしっかりとしていて見入ってしまう。 それだけに、最後にどかんと来るかもしれない。タイトルに納得する。短い内容に、これだけのキャラクターを 描ききれるだけあって、やはり面白い。短い分、あっさり読めちゃうから時間が無い人にもお勧め。 「行ってきます! 突撃十進法!」 【作品集】55 【作品名】しあわせなわたしたちのいびつな家族ごっこ 【作者名】過酸化水素ストリキニーネ氏 【あらすじ】 主役はフランドール。舞台は紅魔館。フランドールの視点、一人称ではじまる物語。 無邪気なフランをよく見るが、この作品ではどことなく気だるげな感じが伝わってくる。 魔理沙や紅魔館の面々と触れ合っていく中で、フランドールは当たり前の日常に、とても大切なことを悟る。 周りが己を拒絶しているのか、己が周りを拒絶しているのか。知らないだけか、知ろうとしないだけか。 手を伸ばせばそこにある、今まで気付かなかった、本当に大切なものが。 それはそれは、とてもいびつで、それでもとてもきれいな家族の物語。 【感想】 ここから感想。まず、シリアスっぽいが、所々に小ネタ、というか笑いを誘う要素を含ませているので シリアスにありがちな、どこか気が滅入るといったようなことが無い。続き物のようだが、読んでいなくとも問題はあるまい。 紅魔館の面々と触れ合っていくのだが、その中でもパチュリーの話は結構くるものがある。 どのキャラにも嫌味のない扱いをしているところに好感が持てる。 「まぁなんせ暇潰し歴495年の引篭もりニートなんで」 【作品集】55 【作品名】花の色は 【作者名】久我&金井氏 【あらすじ】 主役はとある少女。彼女もまた、年頃の娘。勿論、異性に恋をすることもある。 そして、今がまさにそのとき。彼女の想い人は、霧雨道具店で働く無愛想な彼、森近霖之助。 彼を想うと、胸が痛い。いっそ好きだと言えたらどんなに楽なことか。しかし、嫌われたら? つらい、つらい、つらい。恋煩いが、彼女を蝕む。ただ彼女は、彼のことを想い、彼のことを見るしかできない。 彼の働く店に出向く、彼は少女のことを憶えていてくれた。彼女はそれだけで幸せだった。 しかし、幸せは長くは続かない。縁談の話。霖之助の名が出ると、両親に妖混じりゆえにと反対される。 どうしてそんなことで? 両親は自分のためだと言っているが、しかしこの想いも忘れろというのか? 少女は家を飛び出す。その先に何が待っているかも知らずに。 【感想】 ここから感想。ああ、やっぱこういうことってあるんだろうなぁ、と読みながら理不尽さを噛み締めてた。 人間と妖怪、はこの世にはありえない組み合わせだけど。貴族と平民。みたいなノリなら幾らでもあったろう。 それだけに、こういう話は、いつの時代にもある永遠のテーマではないかと思う。 少女の気持ちも判るけれど、自分が親だったら、本当に笑顔で背中を押せるか、送り出せるかどうか。 ともかく、オチまで読んで初めてこの物語は完結する。新説。しかしそれがいい。結構お気に入りの作品。 「おや、また来ていたのかい。今日は何をお探しですか?」 【作品集】55 【作品名】彼女がソレを咥えたら 【作者名】白氏 【あらすじ】 構内全面禁煙、タクシー全車禁煙、飛行機も新幹線も禁煙禁煙。歩きタバコも厳禁。タバコ税の増加。 愛煙家にとっては肩身が狭くなっていく一方の外の世界。それは幻想郷でも同じであった。 紫煙を一つ吹きだしたなら、やれ身体に毒だ、やれ禁煙しなさい、やれ外で吸え。 ああもう、幸福追求権の侵害である。愛煙家達は、おのれらの境遇に嘆き、徒党を組んで決起した。 さあ、我らが安心して、堂々と、美味いタバコを吸える楽園を見つけよう。 【感想】 ここから感想。タバコ。およそ吸っている描写があるのは男性が殆どだと思う。勿論、女性もいるにはいるが。 しかし、やっぱり男性のほうが多いことだろう。それ故に、女性ばかりの東方キャラが吸うと これまた良い感じにギャップがあって萌え・・・げふげふ、どことなく絵になる情景が浮かび上がる。 勿論、タバコを題材にしているだけあって、色々と考えさせられる部分もある。 やっぱり、吸わない人、苦手な人の傍で吸っちゃあいけませんわな。マナーを守るのもとても大切なことです。 ところどころに入る笑いのポイントが実に良い。点数が物語っているが、かなりの良作。 タバコ好きな人も、タバコが嫌いな人も楽しめます。 「う、まーい! あぁ、これだから仕事のあとの一服は止められないんですよねー」 【作品集】55 【作品名】みっしんぐ ぱんつ ふるぱわー☆ 【作者名】電気羊氏 【あらすじ】 主役はタイトルから判るように萃香。開始一行目からぶっ飛んでいる。やっちゃったぜもいいところの展開。 長く履いていたお気に入りの鬼のパンツが破けてしまった萃香。まぁ、破けてしまったものは仕方が無い。 しかし、そこで萃香は思いつく。幻想郷のみんなが履いてるパンツってどんなのけ? 興味津々。好奇心は猫をも殺す。一度走り出したら止まらない。さあ、萃香の能力の見せ所だ。 周りに迷惑がかからないように、周りに迷惑がかからないように萃香はパンツを萃める。大事なことなので二回言いました。 さて、皆々様がお履きになられている下着は果たしてどんなものなのか? 【感想】 ここから感想。これはひどいwwwwwwwwwwwwww勿論褒め言葉であります、サー。 とりあえず言っておこう、これはギャグである。それ以上でも以下でもない。 妄想を膨らませろ、煩悩を解き放て、想像の限界を超えろ。よろしい、ならば爆笑だ。 あ、それと最後に。萃香乙! それから、変態が何人か出ます。ご注意ください。 「萃まれ!! 幻想郷中のパンツ!!」 【作品集】55 【作品名】射命○文 【作者名】八重結界氏 【あらすじ】 普段は多忙の極みの閻魔様こと、四季映姫・ヤマザナドゥ。今彼女は極稀に出来る暇な時間を謳歌していた。 というか、持て余していた。何をするでもなく、煎餅を齧りつつ新聞を手に取る。そこに書かれていた驚愕の記事。 そう、それは捏造。根も葉もない事実無根の記事。それも自分に関連するものだった。これはいけない。 文々。新聞・・・、それを発行する天狗、射命丸文に説教をかますべく、閻魔は走る。 そして、射命丸文を出しなさいと迫る楽園の閻魔。そこで出てきた鴉天狗とは・・・! 【感想】 ここから感想。その発想はなかった。こればっかりは発想の勝利。もうなんでこんなこと考え付くのよ。 ぶっちゃけると、最初に文が出てきた時点で吹いた。もう一行目で吹いたら死亡だったらもう死んでた。 どうもこういうのに弱いらしい。みんなはどうだろう? 兎にも角にも、さっくり読めるのがありがたい。 とりあえず聞こう。文よ、お前実はHだろ。椛に同情するしかないぜ。 「好きな数字を言ってください。その数だけあなたを殴ります」 【作品集】55 【作品名】巫女三日会わざれば刮目して見よ 【作者名】みつば氏 【あらすじ】 主役は早苗。彼女は幻想郷の巫女としての心得を、同じく巫女である霊夢の元で学ぼうとする。 巫女の一日は境内の掃除からはじまる。勿論、早苗も毎日のように掃除をしていた。 それこそ、手を抜くようなことはご法度。しかし、霊夢を見れば己はまだまだ、真剣さが足りていないと痛感させられる。 彼女の目が、彼女の動作が、どれをとっても、ただの掃除一つでどこまでも真剣だった。 早苗は思う。早速霊夢に教えられた。と、そのときだった、彼女の足元に光る何かを見つけたのは――― 【感想】 ここから感想。涙なくしては語れぬ物語です。登場キャラクターが少ない分、それだけに一人一人のキャラが立っている。 特に、霊夢は健気で、それでもしっかり者で、さらに言うならとても強い女の子。この物語は彼女なくしては語れない。 そして彼女に教えを請う早苗。彼女もまた、霊夢の教えに、その生き様に、心の底から涙することの出来る女の子。 読んでいると、本当にこっちまで胸が痛くなってくる。涙腺決壊注意。その危険度は点数が物語っている。 話のテンポも良くて読みやすい。そこそこ長そうに思えるけど、さっくり読めるのは物語に引き込まれるせいか。 ところで、湿気た煎餅が好きなのって俺だけかな? あれ結構美味くね? 「……泣くなよ」 【作品集】55 【作品名】ある男子高校生の初恋 【作者名】イセンケユジ氏 【あらすじ】 主役は外の世界にいるころの早苗さん、ではなく、そのクラスメイトの男の子。所謂オリキャラである。 タイトルからして判るように、彼は東風谷早苗に絶賛片思い中。それも小学生のころから。 十年以上も彼女を想い続け、今日に至る。しかし、彼は判っていた。彼女と自分は、住む世界が違うと。 彼女に自分は相応しくない、いや、どんな男でも、人間でも、彼女には相応しくないんだ、と。 【感想】 ここから感想。あまりこれのあらすじに触れたくはない。だって面白さが半減するから。 とりあえず言おう。感動した。というか、泣ける。こういう話に弱いのはなんでだろう。 っつーか、俺ならもう立ち直れないと思う。それだけ衝撃が強いし、胸が痛くなる。 はじめから好きにならなきゃよかたんじゃないか、いっそ高校が別になってしまえばよかったんじゃないか。 でも、きっとそんなことはない。想っていた時間は、間違いなく幸せだったのだから。 『はじめまして、こちやさなえです』 【作品集】55 【作品名】霊夢と女中喫茶 【作者名】暇人KZ氏 【あらすじ】 博麗霊夢は限界だった。何が限界かと言うと、腹が。金がない! お茶がない! 餓死する数日前! あんまりにもあんまりに腹が減るもんだから、ついには人間を捨てて新聞紙に手を伸ばす。 と、そのときだった。或る項目が目に入る。霊夢は目を見開く、活路が見えた。 プライド? それで飯が食えるの? 霊夢は迷うことなく飛び出した。『女中喫茶[かりんとう] アルバイト急募』を見て。 【感想】 ここから感想。所謂アルバイトもの。小遣い稼ぎにはバイトだよね。みんなもやったよな! 霊夢は生活のためにバイトするからちょっとほろりだぜ。ともかく、喫茶店、それも所謂メイド喫茶。 生活費のため、食費のため、霊夢はある先輩二人と迫り来る一筋縄ではいかないお客様、もといご主人様を持て成す。 そして食い物絡みでは奴がくる! ないわwwwwwwそれはないわwwwwwwテンポのいいギャグでさっくり読める。 あとギャップに吹く。上記の作品をつらーっと読んでからこれ読むと間違いなく吹く。と言うか泣く。 うわーん! なんでそんなに黒くなっちゃったんだよー! だがそれがいい。 『酒買ってこーい! 金がないなら体売ってこーい!!』 【作品集】55 【作品名】ルーミア 【作者名】500氏 【あらすじ】 主役はルーミア。柔らかな朝日に包まれた爽やかな目覚めと共に、彼女は一つの指輪を見つける。 綺麗だな、でもこんなの持っていなかった。自分の物でないのだから、これは人の物。結論。 人間のルールだと、遺失物の拾得者は速やかに遺失者へ返還しなければならない、ってけーねが言ってた。 どうせ暇だし、と気まぐれも相俟って人里の慧音を訪ねることに。レッツゴー! 突撃十進法! お茶を御馳走になりながら事の経緯を話すと、慧音は嬉しそうにルーミアに諭す。適当に相槌、そーなのかー。 善い行いをする妖怪もいるということを人間に知ってもらえれば、人妖の隔たりもなくなるかもしれない。 そう思った慧音は、この指輪を是非ルーミアの手で持ち主に返してあげなさい、と提案。頭突き怖いから快く承諾。 そうしてルーミアは指輪を持ち主に返還し、大層感謝されるのだが…………。 【感想】 ここから感想。オチで色々穿たれた。主に精神とか。短い内容にばっちりとキャラクターが活きている。 作者自身がショートショートを謳うだけあって本当に短い。さっくりあっさり読める。そして面白いのだから困る。 オチに至るまでは全てが溜め。そして最後に溜まりに溜まったパワーが炸裂する。その威力まさにマスタースパーク。 ここまでシンプルでありながら納得してしまうタイトルもそうはあるまい。そういったところも踏まえて相当の良作。 文章力  ★★★★☆(上手いと思う) 読み易さ ★★★★★(ショートショートを謳うだけの事はある) 落し方  ★★★★★(どっかんどっかん) 面白さ  ★★★★★(素直に面白い!) 【作品集】プチ34 【作品名】ダッシュ!幻想郷 【作者名】つくし氏 【あらすじ】 ミニ四駆。外の世界においては、タミヤ社が発売した自動車模型である。 累計売り上げ台数は2億台近くという凄まじい一大ブームを引き起こした。 そんなブームも過ぎ去って、忘れられていった数々の車種は、結界という垣根を越えて、この幻想郷へと流れ着いた。 外の世界において圧倒的な人気を誇った商品。幻想郷においても、その人気は類を見なかった。 香霖堂の敷地内に設置されたコースを囲んで賑わう人間や妖怪たち。人妖の区別なく、この玩具は笑顔をもたらした。 ただひたすらにスピード求める者、知識を駆使して頂点を狙う者、外道の手段を用いて勝利を掻っ攫う者。 そのどれもが、ミニ四駆という玩具の上で己を誇示し、大いに楽しんだ。 そんな彼女らの笑顔を見ながら、霖之助は一抹の不安に駆られるのだった。 【感想】 ここから感想。若かりし日を思い出させてくれてありがとう。言うほど昔でもないが。 懐かしい。まずこの一言に尽きる。勿論、今でもミニ四駆は存在しているが、あの頃の情熱は二度と甦るまい。 キャラクター一人一人の個性が、短い文章中に確かに存在している。とりあえずゆかりん自重しる。 ミニ四駆を扱ったことがある人ならば、思わずにやりとしてしまうことは間違いないだろう。私がそうだし。 行けー! と叫べば速くなる。そう思っていた時期が私にもありました。幻想郷だとマジで速くなりそうだから困る。 特に欠点という欠点は見つからない、が、ネタが判らないという人にとってはピンポイントネタは重大な欠点か。 あと、些細なことだが、もう少し改行をしてくれると読みやすかったかもしれない。 文章力   ★★★★☆(上手いと思う) 懐かしさ  ★★★★☆(あの頃の記憶が甦りました) 読みやすさ ★★★☆☆(ちょっと折り返しが……) 面白さ    ★★★★☆(ギャグもテンポも良く、とても面白かった) 満足度   ★★★☆☆(幻想郷ものすごいおとなげないミニ四駆大会の様子が読みたかった!) 作品集53 大崎屋平蔵氏 「陽気な妖忌 〜日々是鍛錬の場合〜」 作品集49 大崎屋平蔵氏 「陽気な妖忌 〜切れるものなどなにも無い場合〜」 陽気な妖忌シリーズ。もっと評価されるべき。さて、みなさまは魂魄妖忌というキャラクターをご存知でしょうか。 東方好きならば、まず知っているでしょう。魂魄妖夢の祖父にあたる方です。半人半霊は妖夢と同じ。 その性格は厳格にして質実剛健という言葉が実に似合いそうな人物。公式キャラクターではあるが 一切のイメージが存在しないため、実はどんな外見なのかは謎に包まれています。ZUN氏の回答から 老人である、ということは確定のようです。まぁ、非常に貴重な男性キャラという立場もありますな。 そんな妖忌ではあるが、このタイトルは如何なものか。本文中は如何にも古強者という印象。 ううむ、渋い。言葉の節々に重みを感じる、が、しかし、はて……、妖夢はどこか場に不釣合いな言葉を耳にした。 日々是鍛錬においては、共に競い合った古くからの友が眠る団子屋にて妖夢に人生を説く。 過去を語る漢の背中が涙を誘うものである。生きるとはなんぞや、そう語り終わったとき、妖忌は駆ける。 妖夢もそれを追うが、その先に待っていたものは剣士とはまた違った、新たな人生との邂逅であった。 ここから感想。面白い。ただその一言に尽きる。何故この作品が2000点程度で埋もれているのか、不思議でならない。 私が100点を入れた数少ない作品の一つである。もっと評価されるべき。そして続きを書くべき。 短い分、とても読みやすいので、いざ作品を読む滑り出しに最適。しかし、これ一つで満足できるので注意されたし。 まぁ、ここまで思わせぶりなことを書いておいてなんだが、これは陽気というかお茶目というのではあるまいか。 文章力  ★★★★☆(この話の長さでは判断しかねる、が、普通に上手いと思う) 読み易さ ★★★★★(さっくり読めるありがたさ。短いながら満足できる) 意外性  ★★★★★(こういうの大好き。読んで知るべし) 面白さ  ★★★★★(ベスト5に入るくらい大好きだ) 【作品集】69 【タイトル】純白の乙女 【書いた人】傷と顎鬚氏 【あらすじ】 深々と幻想郷に降り続いていた雪もやがては止み、降り積もった雪が織り成す銀世界を太陽がまばゆく照らす。 惜しみなく天より浴びせられる陽光は、とある薄暗い店内を明るく照らす光源となって降り注いだ。 普段は読書することも儘為らぬ薄暗いそんな時分に、そんな天然の光明を賜っては、やるべきことは一つしかあるまい。 店の主、森近霖之助は、自然の気まぐれにも似た太陽の恩恵に与って相も変わらず読書に勤しんでいた。 そんな折、不意に鳴らされる店のカウベル。本に集中していた霖之助は、良い所だったのに、と僅かに名残を惜しむ。 しかし、件の紅白に白黒とでは、まず考えられぬ上品な音色に、来客を予見してか、霖之助は相応の態度で迎えた。 来店して来たのは、魔法の森の人形遣い、アリス・マーガトロイドと、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜。 どこか珍しい組み合わせに、霖之助も普段の無愛想に僅かに驚きを張り付かせた。 数少ない上客のご来店に、霖之助はお茶を振舞うつもりであったが、逆に振舞って貰う形で、三人は談話に落ち着く。 しばしの会話の末、霖之助は、ふと、アリスが店内のある商品に目移りしていることに気が付いた。 【感想】 ここから感想。まず文章が巧い。特徴としては抑揚がなく、どこかしら淡々としたイメージを受ける。 会話文も淡白で、余計な物を感じさせない、ある意味では本当にらしい描き方をしていると思う。 これだけ書くと山場が存在しない冒頭からの惰性に任せた作品と捉えられてしまうかもしれないが そもそもの日常って、一定の水準をキープして綴られるものなんじゃあないか、と読んでいるうちに自然と引きこまれる。 本当にあっさりとした作品で、毒気を感じられない、タイトル通り、純白なイメージの作品。 読みやすく、オチも二つの意味で綺麗で、キャラクターを大事に描いているあたりも好感が持てる。 最近アリスに熱が入ってきたせいもあってか、もっと評価されてもいい作品だと思う今日この頃。 【作品集】69 【作品名】マルク・シャガールのように空を跳ねる河童と、些か残酷なさとりの妖怪 【作者名】佐藤厚志氏 【あらすじ】 心を読む妖怪、さとり。地上で忌み嫌われた物の怪どもが跋扈するこの深い深い地底に 厳かに存在する大きな屋敷、地霊殿に彼女は居た。 ただっ広い屋敷には、奉公する使用人もいなければ、住人も片手の指で足るほどにしか存在しない。 その代わり、とでも言うかのように、屋敷には沢山の動物たちが住み着いていた。 言葉を持たぬ動物たちであったが、心を読めるさとりにしてみれば、言葉の隔たりなどは無いにも等しい。 そんな彼女に惹かれ、彼女を慕って集った動物たちの相手をするのが、彼女の日常であった。 一見すれば便利に思える能力だったが、彼女自身はその能力を、己の有様を厄介だ、と辟易する。 安楽椅子に身を委ね、誰の思念も情念も入り込ませない、介入されない静寂を噛み締めいた時分、一匹の猫がさとりを訪ねた。 猫の名は燐。いつしか妖怪に相成った彼女は、人語を解し、心を読ませるまでもなく、口頭で来客の訪問を告げた。 出張販売を銘打ってやってきたのは地上の河童。彼女は奇想天外な商品の目録を開き、必死に達者な弁舌を振るう。 最初こそ興味津々だった燐も、やがては飽きて、そっと退室してしまった、そんな折。 さとりの忌まわしい力は、どうしようもなく彼女の心に魔の手を伸ばす。彼女の心に触れたさとりは、そうして彼女の真意を知る――― 【感想】 ここから感想。文章が巧い。読み終わってから気付いたけど、サジタリウスの沈黙の作者様だったか。納得である。 正直、レビューの文章がチープすぎて、逆に作品を貶めてしまっているような気がして為らないが、それはそれ、これはこれ。 語彙が豊富で実に羨ましいという作者側の視点と、読んでいて飽きさせないという読者側の視点で双方から評価できる。 さとりの一人称で話が進むのだが、文章全体にどこか物悲しさを感じるのは、それが彼女の深層心理の表れか。 このSSからは、本当に静かな印象を与えられる。しんみりとしたストーリーは、素直にすとんと心の奥底に感慨を残す。 全体の話は短くまとまっており、それとなく難しい語彙も存在するが、気にさせることもなく読ませてくれる作品。 静かにはじまり、静かにおわる。それ以上、言葉は必要あるまい。言葉ではなく、ただありのままの心で感じるストーリー。 文章力   ★★★★★(ナチュラルに巧い。語彙も豊富でどこか捕らわれない描き方) 読み易さ  ★★★★☆(前述したよう語彙は豊富だが、無い頭では辞書をひかなければ意味が判らなかった) 感慨深さ  ★★★★☆(物悲しげなさとりの心象が、素直にじんときた) 静々しさ  ★★★★★(全体的にしとしととした雰囲気を感じる。とても静かに流れるストーリー) 総合評価  ★★★★☆(大々的には難しいかもしれないが、ひっそりと、でも確かに評価されるべきSS) 【作品集】70 【作品名】明日本気出すから今日は寝る 【作者名】愁氏 【あらすじ】 睡眠。それは幅広い脊椎動物において、自発的に生じる静的状態である。 夜行性の動物を除けば、日が沈んでから床に就き、睡魔に身を委ねて眠りに落ちるのが一般的だ。 規則正しい生活を心掛けることは、人間がバイオリズムを保つ為に最も有効で、誰にでも出来る手立てである。 そして、それは魔法使いであるアリスにとっても同じことであった。 月が玲瓏と輝く時分、アリスは自室のベッドで気持ち良く小さな寝息を立てていた。 そんな折、不意に窓ガラスを小突くような音が部屋の中に飛び込んでくる。思わずアリスは目を覚ます。 恐らく風の悪戯だろう、アリス・即・断。魔法の森ではよくあること。 ころりと寝返りを打った瞬間に聞こえる、明らかに人為的な打撃音も気の所為に決まっている。 しかしスペルカード宣言だけは勘弁な。渋々アリスは窓を開け、不躾な来訪者を大変に不本意ながらも迎え入れた。 月明かりに照らされた少女の顔はひどく見覚えがある。むしろ、確認せずともこいつ以外には考えられないわけだが。 突然真夜中に現れた白黒の魔法使い、霧雨魔理沙。彼女がアリスを訪ねた理由とは――― 【感想】 ここから感想。アリスの一人称で進むストーリーなのだが、このアリスの心象描写がとにかく面白い。 アリスらしいとでも言うべきか、冷静に結構えぐいことをさらっと言ってくれる毒舌振り。言ってはないが。 前述した通りアリスの一人称であるからして、地の文も会話文のようにすらりすらりと軽快に読み進められる。 それでなくても読み易く、最後まで飽きさせずに引っ張ってくれるテンポの良さには脱帽。見習いたいものである。 妙なテンションで出来上がった魔理沙の拍車がかかった我が侭はどこか彼女らしさを思わせる。 実際いたら迷惑この上ないのだが、画面の向こうの世界の少女であれば、その程度の我が侭は許されて然るべきなのだ。 しかし、同じ世界に在るアリスは堪ったもんじゃあなかろう。それでもぼやきつつも世話を焼くアリスはマジお母さん。 最初こそカップリングかな、なんて思いはしたが、アリスにして見れば手を焼く子供の世話をしているだけにも思える。 むしろそうあれかし。「アリスの匂いがする」の一言で、一瞬ほろりとしてしまったのは何故だろうか。 全体が比較的短いからと言うのも勿論だが、加えて話に惹き込ませる文章のおかげでさらりと読み切れてしまう。 結論として一つ。アリスは優しいは「重言」である。頭痛が痛い、馬から落馬と同義。要らぬ形容詞は不要です! あれ? 文章力  ★★★★★(巧い。アリスの一人称から、彼女のキャラクターが伝わってくる) 読み易さ ★★★★★(感想でも書いた通り、素直な描写のおかげですらすらと読み進められる) 傍迷惑度 ★★★★☆(まぁ、魔理沙だし) アリス度 ★★★★☆(アリス=優しいがデフォルト。と言いたいところだけど、私にはちょっと物足りない!) 総合評価 ★★★★☆(普通に★五個つけてもなんら問題はない良作。ほのぼのを謳うだけあって、ほんわかするSS) 【作品集】71 【作品名】おくるものたち -小町VSお燐- 【作者名】白氏 【あらすじ】  小野塚小町は死神である。死に様は捉え方次第では生き様である。 死者の象徴である魂と接する小町は、否応なく死という概念に触れる。 そんな彼女だからこそ、死を通して生を尊ぶ、死神であるからこそ。 火焔猫燐は火車である。死は決して侵されざるひとつの終焉である。 火車として存在する燐は、死ぬ逝く死体を攫い恨み辛みを聞く事を好しとする。 そんな彼女だからこそ、死体を通して死を美と捉えた、火車であるからこそ。  一人の男が命の火を僅かに灯し、今まさに臨終の時を迎えようとしていた。 もう時期、余命幾許もない彼の魂を迎えに、死神がやってくることだろう。 そんな床に臥した男を迎える為の死神は、しかし普段は渡しを担っている小町であった。 やんごとなき事情で彼の魂を迎える任に就かされた小町は、気乗りしないまま男の下へ向かう。 もう何度目になるかも判らぬ欠伸を噛み殺し、重い腰をあげた矢先に、背筋に悪寒が走った。 死神だからこそ感じる、狂気を孕んだドス黒い瘴気にも似た何か。 刹那、小町は駆け出す。友人のため、上司のため、そして何より、己が死神であるからこそ。 【感想】 ここから感想。なんていうか科白に風情があるっていうか、凄く科白が上手いと感じる。 そしてキャラクターの描写。小町と燐が主演だが、どちらかと言えば小町メインだろうか。 各々の在り方がとてもらしく、特に燐に至っては、彼女がどうして地底の住人なのかがよく判る。 勿論、小町もそのなりに似つかわしい風情ある色気が漂っていて、「あたい」同士でもその違いは顕著。 お互い、どうしようもなく死と言う概念に触れるが、そのレーゾンデートルは決して交わらない。 作中の二人の罵倒合戦はそれに起因するのかも。商売敵や犬猿の仲ってレベルじゃねーぞ。 おっと脱線してしまった。このSSはタグを見ても判るとおり、バトル物であり、その内容は結構濃い。 スペルカードを使用した幻想郷らしいバトルで、イメージ的にはSTGではなく緋想天に近い。 燐が緋想天に参戦したら? と考えながら読んでいると二重に愉しめるかもしれない。 とにかく戦闘中の科白のテンションが高い高い。思わずこっちもそのテンションに引き込まれてしまう。 お互いなかなかえぐい攻撃を繰り出すバトルシーンと、小町のF○ck Youは必見! メインはバトルだが、どちらかというと前後の日常がとても印象に残る作品。科白が本当に魅せるなぁ。 文章力  ★★★★★(実はこの作者さんの文章は結構尊敬してる) 読み易さ ★★★★☆(途中でどっちの科白か判らなかったところがあった。読解力低い?) えぐさ  ★★★★☆(決闘、死闘、色々あるけど、闘いと言うよりは殺し合い) 総合力  ★★★★☆(少し、あれ? と思った部分もあったけど、それほど気にならない。素直に面白い作品) 【作品集】46 【作者名】門番隊詰所増築申請 【作者名】フービー氏 【あらすじ】 みなさんは稟議書と言うものをご存知でしょうか。私はこれを書くのが大っ嫌いでした。大概棄却されるから。 クソが! だったらそんな書類全部燃やしてしまえ! っつーか現場に出てみろよ! 必要だってわかんねーのか! はい、取り乱しました申し訳ありません。稟議書とは即ち、稟議を行うための文書である。 稟議は、会議の手間を省くために、担当者が作成した案を関係者に回覧して、それぞれの承認を求めることをいう。 ウィキペディアより抜粋。詰所を道場代わりに鍛錬していると、いつのまにやら本格的に。 MONBANTAI−DOJOの看板を掲げ門下生(門番隊の妖精メイド)達の士気も高い。 しかし、元々休憩施設程度の詰所。全ての門下生を一度に鍛えるには少々狭すぎる感がある。 彼女らの向上心を無駄にしたくない美鈴は、そうして増築案を申請する。流石に状況を把握できていなかった 咲夜はびっくり。様子を見に行くとまさかまさかの現状に二度びっくり。三度めのびっくりにはもう頭を抱えるしかなかった。 【感想】 ここから感想。はっちゃけすぎだwwwwwwwwwwwwwシリーズ化してほしかった。押忍! 短いけれど、よくまとめられた作品だと思う。欠点という欠点が見つからない良作。もっと伸びるべき。 おぜうさまもいいけど、ここはやっぱりパッチェさんが頑張るべき! 目指せアウトドア! 【作品集】46 【作者名】八意×× 【作品名】ぬるた氏 【あらすじ】 美鈴からMを取ったらえーりん! って前どっかで書いたと思うけど、そんな話。 輝夜が朝目を覚ますと、八意永琳が八意美鈴になっていた。おやおやびっくり、あらあらまぁまぁ。 最初に言っておきます。これを踏まえた上で読んでください。どうやらこの作品の永琳は月の煩悩です。 そんな永琳と入れ替わった美鈴。スキマの仕業だろうと輝夜は自己完結。しかし、美鈴に変わったことで 永遠亭には真の平和が訪れていた。優しいお姉さんでありお母さんであり、そして頼りになる師匠。 入れ替わっていることに皆気付いてはいるものの、しかしまるで動じない、むしろ歓迎している様は 美鈴の人柄の良さの表れか。いや、先の永遠亭が地獄だったというだけの話かな。さもありなん。 【感想】 ここから感想。うーん、やっぱり美鈴はこうでないと。ふわっとした雰囲気が良く似合う、そんな作品。 輝夜もなかなかにいい描写。なんというか、姫という貫禄がある。イナバたちに懐かれている輝夜ってのも なんだか珍しいかもしれない。でもそれが簡単に想像できるあたり、やはり似合っているのだろう。 鈴仙もてゐも安心しきっているし、今までどんな目にあってきたんだおまいら。カワイソス( ・ω・) そして、紅魔館は地獄と化していた。主におぜうさま。かなりの良作だと思う。こんな師匠ほしいよ! 【作品集】47 【作品名】流れる風氏  【作者名】カードの切り方が人生だ 【あらすじ】 どうする! どうするよ俺! そんなCMを見たことがある人はきっと沢山入るはず。本当に人生とはそんなもの。 ギャンブルのほうがまだ可愛げがありますな。美鈴もそんなお先真っ暗な人生に身を投じている一人。 そんな美鈴に転機が訪れる。それも一気に複数の選択肢が。転職、独立、昇進。 前者二つは門番をしていたんじゃあ切ることは出来ない。では三つ目か。いや、考えろ、考えるんだ美鈴。 結局のところ、考えるに考えて、起き得る限りのことを想定してみた。結果的に前者二つを選択した場合は……。 レミリアに辞職の旨を伝える美鈴。あらそう、バイバイ。つれないなぁ。でも、なんだか含みのある表情……。 美鈴は部屋を後にすると、各々に挨拶をして回り、意を決して最後に咲夜を尋ねた。そこに待っていた結末とは……? 【感想】 ここから感想。こわいよー! 人間って怖いよー! 下手な妖怪よりよっぽど怖いよーう! ありゃあヤンデレじゃなくて、狂気って言うんだと思う。別にホラーなわけじゃないので安心してください。 しかし、このおぜうさまはいいな、凄くいいな。この人の作品で私のおぜうさまのイメージは固まった気がする。 あとけーね先生最高です。一生あなたについていきます。ってことはないけど、選択肢を誤ったさいは 是非ともあなたの講義を受けさせてください。きっと一語一句間違いなく胸に刻んで見せます。 これはかなりの良作。多分今出せば一万点は軽く突破してくれるはず。龍の見る夢に並ぶ聖典。 【作品集】14 【作品名】狐の出稼ぎ 【作者名】おやつ氏 【あらすじ】 狐、とあるように主演は藍様。出稼ぎ、と言うタイトルに偽りはなく、八雲家の家計が心許なくなった藍は マヨヒガを離れ、一時資金稼ぎに金をもってそうな場所で奉公することを決める。 その際に色々あって妖夢も引き連れる。まるで社会科の職場体験である。向かった先は紅魔館。 そこで待っていたのは門番である紅美鈴の奇襲。なんとか事なきを経た藍と妖夢。 ところがそのすぐあと、美鈴と妖夢の間で(というか一方的に妖夢が)一触即発の状態。 その場をなんとかおさめ、結果的に紅魔館で働くことが決定されるが……。 【感想】 ここから感想。最初の美鈴があまりにも自然すぎて、腹の底でそんなこと考えてたとは、誰も気付くまい。 数ある美鈴像の中でも一際奇抜な描写がなされている。おやつさんの美鈴はどこか、というか本当に、「らしい」 私も、それなりに「らしい」美鈴を書いてきたつもりではあるが、この人の美鈴は遥かにそれを凌ぐ。 前後編と外伝がある。外伝は完全に美鈴に主点を置いているので必見。美鈴が何故「そう」なのかが判る。 あと、妖夢は完全にオマケ。 【作品集】17 【作品名】漬物戦記 【作者名】うにかた氏 【あらすじ】 主役はまたしても美鈴ではなく、妖夢。ではあるが、美鈴及び紅魔館メンツが物語の主軸のような気がする。 漬物、とあるように、本当に妖夢が漬物を求めて放浪する話。しかし、これが深い。一つのテーマにこれだけ 深みを持たせるのは相当の技術がいるのではあるまいか。かくして、漬物に関する情報を求めるべく 妖夢は幻想郷一と思われる大図書館を有する紅魔館を訪れた。そこに待っていたのは門番である紅美鈴。 妖夢の話を聞き、漬物に想いをはべらせる美鈴。あぁ、白い御飯を漬物で頂く口福感。美鈴はレミリアに直訴する。 あまりの美鈴の饒舌振りに気圧され、というかペースを握られたレミリアも、いつの間にかその気にさせられる。 しかし、いざ図書館を訪れるに際し、本の虫、パチュリーの意外な一言が、本件を一変させた。 【感想】 ここから感想。まず文章が上手い。本当に上手い。これを読んで自信を喪失した人はそれくらいいるのか聞きたいところ。 丁寧で、含みを持たせて、どこか脱線しつつも、その戻しがまた秀逸。何気に難しい文章にも関わらず すらすらと読ませる面白さも伴って、なんというか、ちっくしょー! ダメだ、これを読んでいると文章なんて書けない……! 上手い人は本当に上手いんだよなぁ。ともかく、面白かった。美鈴の漬物にかける情熱は必読。 【作品集】19 【作品名】紅魔館の娘たち 【作者名】FELE氏 【あらすじ】 【感想】 美鈴が主役、というよりも、紅魔館総出といったところか。内容はぎしぎしあんあん。 いや、マジだって。ホントだってばよ。あ、今新しくっていうか美鈴もので面白かったの思い出した。 同じ系列? それもよし。ほのぼのです。イカロ? いーや、違うね。 でもなんていうんだろう、こういうのはレビューするのは難しいなぁ……。読んでください、としかいえない。 ちなみにシリーズ物にして一作目から一万点越えの猛者。シリーズ全部読んだけど、そんなに長くもなく まったりと読める作品。こういうSS最近になってなかなかないなぁ。そういう意味でも、読んでみる価値は十二分にあり。 【作品集】12 【作品名】龍の見る夢 【作者名】人妖の類氏 【あらすじ】 紅魔館の門番と言えば紅美鈴。それは世の理にも等しき当然の事象であった。 しかし、なにも生まれた瞬間からそうだったわけではない。当然、美鈴にもフリーの時代はあった。 彼女は湖の畔に棲む妖怪。日々なんとはなしに物見遊山を見て過ごし、稀に人里に訪れたりもしていた。 中秋の名月を楽しんでいたそんな夜、不意に割れ響く歌のような声を耳に、美鈴は振り返る。 振り返った先には、幼いが、しかし余りにも危険な存在。遊び相手になりなさい、と悪魔の囁きが耳を劈く。 二人のアヤカシは拳を交える。方や技を以って、方や力を以って。双方の戦いは熾烈を極めた。 やがて、夜明けを迎えるその直前、ついには死闘が決する。美鈴は、その戦いの先に何を見るのか――― 【感想】 ここから感想。あらすじはほとんどさわりと言っても過言ではない。というか、100分の1も伝えられていないと思う。 これだけは本当に読んで欲しい。それだけ面白い、というか聖典。私の美鈴好きはここからはじまった。 まずはキャラクターが生きている。文章という字面から登場人物の動きが鮮明に脳裏に浮かび上がる。 そして発想。本当に「その発想は無かった」と言うほかに無い。それに至る構成力も素晴らしい。 文章もとても上手く、なかなかのボリュームにも関わらず、苦も無くスラスラと読ませる地力がある。 美鈴好きは言わずもがな、紅魔館好きにも是非読んで欲しい逸品。私的創想話大賞。持ち上げすぎか。 文章力 ★★★★★ 面白力 ★★★★★ 満足度 ★★★★★ 美鈴度 ★★★★★ 【作品集】72 【作品名】虹色人形計画 【作者名】水切り氏 【あらすじ】 一人の少女が暗い部屋の一角で小さく呟くように感嘆の声をあげる。 彼女の目の前に座しているのは、小さな一体の人形。見てくれは、良く出来た普通の人形。 しかし、その中身は人形の常識を、定義を覆す画期的なメカニズムが為されていた。 自立人形。自らの意思で行動し、学び、成長する、人形と言う道具の枠を超えた存在である。 人形技師アリス・マーガトロイド。その自立人形の生みの親であり、魔法の森に住まう魔法使い。 魔法の探求者である彼女が、他の研究の手隙に少しずつ手を加えていた結果、それは完成したのだった。 完成したはいいが、もとより本当に作り上げる気はなかったアリス。どうにも始末に困る。 一頻り考えたアリスは、自立人形を起動させることに決めた。アリスの手が、人形に命の火を灯す。 そうして、小さな人形に小さな生命が芽吹いたのだった。 【感想】 ここから感想。気取らない文章と限られたフィールドで短くまとめられたストーリーが秀逸。 ショートショートクラスの短さもそうだが、全体的な文章に癖がなく、とても読み易い。 キャラクターの描写は、主役であるアリス以外は残念ながらそこまで深くはないが、 その分、アリスの新しい可能性を発見できるほど、アリスが色んな意味で良く描かれている。 いや、想像することが出来る、と言ったほうが正しいか。 文章を読んで、そこに描かれた情景が脳裏に浮かぶと言うよりは、 文章を読んだ結果、その情景を想像する自由枠が用意されていると言った感じ。 判らない? 判らないよねぇ。ならばまず読め。百聞は一見にしかず。むしろ一読にしかず。 私には鮮明に思い浮かぶぞ、人形たちときゃっきゃうふふしているお母さんなアリスの姿が。 文章力   ★★★☆☆(可もなく不可もなく。しかし気取らない文章がかえって読み易い) 構成力   ★★★★☆(若干足りないかな、と思うところもあるが、充分まとまっている) 読み易さ ★★★★★(この作品の一番の魅力。無論、他が悪いと言うことはなく、総じて良い) お母さん ★★★★★(やっぱり女性は母性があって何ぼってやつでさぁ!) 総合点   ★★★★☆(すっきり読めちゃうから、みんなさっくりと見てくるといいよ! 今から!) 【作品集】73 【作品名】鐘の声が響きました。 【作者名】大崎屋平蔵氏 【あらすじ】 「鐘がおかしい」と、ある時を境に、不明瞭で不可解な異変が人里に舞い込んだ。 原因の所在と思しき大きな鐘櫓は、しかし霊的な障壁が施されており、 解決に臨もうにも、人体に恐ろしい影響を及ぼすため近付くことさえ適わない。 八方塞の現状に窮した人里の守護者、上白沢慧音は異変解決の専門家、博麗霊夢を訪ねた。 慧音に連れられて人里へ訪れた霊夢は、件の異変の概要を聞くも、どうにも判然としない。 曰く、鐘の音が鳴るべき刻限になると、突然、鐘の「声」が聞こえると言う。 聞く限りでは、異変と言うよりも手の込んだ悪戯だ。事実、里人も叩かなくとも鳴る鐘程度の思慮でしかない。 一体何のために声を聞かせるのか。霊夢を以ってしても意図の掴めぬ異変に、難しい顔を浮かべる。 そして、今日も鐘は鳴る。涼しい風が運んできたその鐘の音は、ただの一声で博麗の巫女を打ちのめすのだった。 【感想】 ここから感想。まずは読み易さが最も際立っているように思える。 すっきりと短く要点をまとめられているのでさっくり読めるのが嬉しい。 ただ欲をかけば、もう少しボリュームが欲しかったかな、なんて思うのはやはり面白かったからか。 逆に言えば、これくらい短かったから良かったのかもしれない。 と、言うのも、登場キャラクターの一人がタグからも判るように完全にオリジナルだから。 下手に(と言うのも失礼だが)含みを持たせると、余計な描写が際立ってキャラが一人歩きしてしまいかねない。 オリジナル部分を前面に押し出しすぎると全体がくどくなり作者以外、つまり読者はついていけない。 その点、この作品は必要最小限に描写を抑えてあり、要点だけが淀みなく読み手に伝わってくる。 実際にいてもおかしくはない、むしろいて欲しいキャラクター像がそう思わせるか。作者の独創性に乾杯。 読者の多くはレーゾンデートルにも等しい一言を好いているようだが、 むしろ「少し自慢をしても良いですか?」のくだりこそが秀逸と思う。読んで知るべし。 あと、カフェオレ飲むと腹が緩みやすい私に、是非、博麗印の御札を売ってください霊夢さん。 文章力   ★★★★☆(充分上手いと思う。特に前作の四月馬鹿では打ちのめされた) 独創性   ★★★★★(オリジナルキャラクターがとても魅力的。採用して欲しい。何に?) 読み易さ ★★★★★(短いストーリーに要点をしっかりとまとめられていて余計な描写がない) 満足度   ★★★★☆(余計な描写がないのが良いなんて言っておきながら、やっぱりもっと読みたくあった) 総合点   ★★★★☆(お勧めできるレベル。むしろ読むことを推奨する。あれ、意味同じか?) 【作品集】73 【作品名】銀の糸-The sun and the moon- 【作者名】電気羊氏 【あらすじ】  紅の長い髪を携えた妖怪、紅美鈴は日記に筆を走らせる。あれからもう一年経った。 生にしがみつく為に、一人の少女を犠牲にしたあの日。一年経った今でさえ、選択の正誤に煩悶を重ねる。 生きる為に、人間を喰わねばならない。誰であれ例外のない妖怪の性。そして美鈴は妖怪。 なればこそ選択に間違いはなく、むしろ少女自身が望んだこと。けれど、しかし、本当に――― 余念が渦巻く。妖怪の倫理観と人間の死生観の狭間で、美鈴は葛藤に苛まれた。 生きる為にはどうしようもなく犠牲が付きものである。それは判る。しかし、美鈴は未だに割り切れない。 自分を見失ってはそれこそ事だ。美鈴は折り合いを付ける時間が必要だろうと、日常に身を委ねた。 咲夜との何気ない会話、チルノやミスティア、ルーミアたちと共にした食事。そして噂話――― なんでもないような日常が続いたある日のこと、慧音と妹紅の訪問が、美鈴の日常に変化の風を吹かせた。 【感想】 ここから感想。同作者のデビュー作である「妖怪、紅美鈴〜ボーダーオブライフ」の続編であり、 前作同様、作品中に美鈴の日記が登場する。それにより、どことなく作者の思い入れが窺える気がした。 どこか寄り道をしているかのような文章だが、それがかえって日常を髣髴させて転機のインパクトが強い。 普通なら詳らかに描写するであろう肝の部分をわざと暈して描写しており、 前後の流れから上手く読者側の想像を湧き立てるスパイスになっている。なかなかの天邪鬼だが、それが上手い。 登場キャラクター一人一人をとても大事に描写されており、非常に好感が持てる。 文章も美鈴の一人称のお陰か、割と長く重い内容にも関わらず、会話を聞いているような感覚ですらりと読める。 それだけでなく、回りくどい表現がないのも特徴か。徹底して読みやすい描写を心掛けているように思えた。 最後に、あえて何がとは書かないが、人間には歩めない道の向こう側を、この美鈴に見た気がする。 文章力   ★★★★☆(充分上手い。一人称でこれだけ書ければどんなに良い事か) 構成力   ★★★★★(デビュー作と同じく日記を使った文章構成に何か来るものがあった) 読み易さ ★★★★★(前述したように、美鈴の会話文のような一人称とくどさのない文章で読みやすい) 満足度   ★★★★☆(充分満足できる仕上がりではあったが、あるシーンはやはりもう少し見たくはあった) 総合点   ★★★★☆(面白い。デビュー作も是非読んでほしい。しかし、それだとこれはネタバレすぎるか) 【作品集】73 【作品名】いるもの、いらないもの 【作者名】昌幸氏 【あらすじ】  満開に咲く桜。世界でも有数の四季を備えた日本における、一年に一度の催される自然の恩典。 芽吹いた花弁は、まだ綺麗な桜色を持して散る気配を見せない。今年は遅咲きだな、と脳裏を掠める。 否、年度の問題ではないか。過去に居た「あちら」と今身を寄せている「こちら」は違うのだから。 守矢神社の風祝、東風谷早苗は改めて己が過去の世界と決別し、幻想郷へ辿り着いた現実を意識した。 家の庭、神社の境内を見渡すと、移住した際にまとめて持ってきてしまった「あちら」の名残が目に留まる。 件の桜の木もその内の一つだ。副産物の茫々と生い茂る雑草を眺めて、早苗は今日やるべきことを思い出す。 今日は大掃除をする予定だったのだ。早苗は家に戻ると窓を開け空気を入れ換える。朝方の冷たい空気が頬をなでた。 まずは物の整頓。どこから手をつけるべきか、と頭を捻っていたところ、唐突に何処からか啓示が囁かれる。 声の主は開けた窓から侵入した魔理沙。常識の範囲外の登場に素っ頓狂な声をあげた早苗は、紆余曲折の後、 魔理沙と共に大掃除をすることになった。目聡く私物を漁る魔理沙が、そのとき、一冊の思い出を手に取った。 【感想】  ここから感想。思い出なんて歳食うごとに煩わしくなる。そう思っていた時期が私にもありました。 そんなことはなかった。ただ背伸びをしたかっただけの話。思い出は募るもの。捨てられないもの。 その一冊は過去を振り返る唯一の術。だからこそ過去を捨て去った早苗には余りにも重く、余りにも苦しい。 鮮明に映った目の前のそれは、しかし二度と目の前には訪れない叶わぬ幻想。懐かしいだけが思い出じゃあない。 慣れ親しんだ世界からの決別。十代の女の子が耐えられる現実だろうか。そう思うと居た堪れない気持ちになる。 あんまりここで書くと流石にネタバレすぎるか。感傷的になっている所為で色々と吐き出したいらしい。なんて威力だ。 多くのキャラクターが出ている訳ではなく、取り分け主役格の二人で物語が成り立っている。って主役だし当然か。 メインキャラクターがしっかりとらしく描写されていて、特に魔理沙はらしいな、と思わず頷いてしまった。 会話文が多く、地の文も早苗の一人称なので全体的に会話をしているような流れ。 家の中で大掃除、と大きな動きがない内容の為に、それだけで充分内容が想像出来るし、なにより読みやすい。 早苗の健気さに涙し、可哀想と思うよりも頑張れと応援したくなる作品。本当に可哀想なのは妖夢だしな。 文章力   ★★★☆☆(会話文が多いため少々判断がつかず。読みやすくはあったのは間違いない) 読み易さ ★★★★★(会話をしているような地の文で全体的に会話を聞いているかのようにすらりと読める) 切なさ   ★★★★★(早苗さん……、無理すんな) 総合点   ★★★★☆(すらすら読めるし特に長くもなし。普通に面白くお勧めできる作品) 【作品集】73 【作品名】神霊の菓子 【作者名】稲葉チャコ氏 【あらすじ】  お彼岸と聞けば、多くの人がお墓参りなどのご先祖様を敬い供養することを連想するだろう。 彼岸とは元来、サンスクリット語の波羅密多から転じたもので、煩悩から脱した悟りの境地を指す。 仏教がそれとなく広まった日本では、しかし修行如何よりも故人を尊ぶ傾向が強く、 供養の行事として定着したのが今日に至るまでの彼岸である。人情の民、日本人ならではの境地だ。 さて、お彼岸と言えばご先祖様が眠っている墓の掃除や、りんを鳴らして線香をあげることも大事だが、 やはりなんと言ってもお供え物こそがその筆頭だろう。春の彼岸に牡丹餅を。 いつの頃からか定例化された行事、それはここ幻想郷でも例外ではなかった。古ぼけた道具屋、香霖堂。 店主である霖之助は、商品と言う名のガラクタが散らかった店内で、目の前にある小振りの牡丹餅を眺めていた。 墓参りの帰りに寄った霊夢が拵えたものだ。そこに狙ったかのようにやってくる冷やかし少女、霧雨魔理沙。 三人で牡丹餅を囲みお茶を嗜む結果に落ち着くのは必然と言えた。お茶の時間に御喋りが飛び交うのもまた必然。 そんな折、魔理沙が唐草模様の風呂敷包みから取り出した「戦利品」を巡って、魔理沙と霊夢の間に刹那の戦慄が走った。 【感想】  ここから感想。私は何も知らなかったんだなぁ……。そう改めさせてくれた作品でした。 彼岸なんてただ霊園まで車飛ばして桶に水汲んで柄杓で墓に水を浴びせて綺麗にしたあと、線香を立ててりんを鳴らす。 そうして手を合わせて御祷りをする程度のものだとばかり思ってた。勿論、それが日本の彼岸の姿だとは思う。 でも、深いところまで意識していたかと言えば、そんなことはない。ただ「そうするもの」としか考えていなかった。 と、言うのもお供え物。彼岸云々ではなくお供え物。深い、流石に深いね和菓子。日本の美。和の心。東洋の神秘。 双方の定義の違いがあると言うことはなんとはなしに聞き及んではいたが、詳らかにすればなんともまぁ深いこと。 よく勉強されているなぁ、と素直に感心して、読んでいる最中に良く判らない笑いが込み上げてしまったほど。 こいつは敵わん。そんな感情か。勿論、薀蓄だけならどこかしらから引っ張ってくればいい。ウィキペディアマジ便利。 ただ、この作品は勿論違う。知識をどこで得たのかなど問題ではなく、登場するキャラクターに上手く語らせていることに脱帽。 特に霖之助が魔理沙と霊夢に彼岸とそのお供え物について説き聞かせている様子は、実に霖之助のらしさが押し出されている。 さながら香霖堂外伝、と言ったところか。愉しませてくれただけでなく、非常に勉強になったと思う。 この作品はたった一つの題材で構成されているので物凄くレビューに悩んだ。ホントなんで牡丹餅だけでここまで書けるんだよ。 文章力   ★★★★☆(上手い。特に会話文がらしさをかもし出していた) 構成力   ★★★★★(牡丹餅一つでここまで書けるのかよ、どんだけだよ、奥が深いなぁ) 読み易さ ★★★★☆(そんなに長くはなく、むしろ短い部類。ちょっと会話文と地の文の改行あたりで気になったところが) 満足度   ★★★★☆(勉強になりました。もっと日本のことを知りたいと思わせてくれた) 総合点   ★★★★☆(ためになる話。そして面白い。キャラクターを通じて和の心を学びましょう) 【作品集】74 【作品名】鬼ごっこ 【作者名】大崎屋平蔵氏 【あらすじ】  激しい動悸が内から胸を叩く。息を殺して身を潜め、周囲に追っ手の如何を窺った。 運動量だけの問題ではない。ばくばくと外にさえ聞こえそうな心音は明らかな不安の証。 酸素を求めようにも、居場所を教えることに為るのでは、と大きく息をすることさえも憚れた。 物陰から周囲を窺っているのは火焔猫の燐。珍しく彼女は主から賜ったリボンを召していなかった。 それと言うのも、神社で振る舞われたお茶に、薬が混入されていることに気付いたのが事の始まり。 共に遊びに訪れた猫仲間の橙がお茶を飲むと、酔っ払ったかのようにくたりと横たわってしまった。 さすがに不信感を拭い切れなかった燐は、博麗神社の巫女、霊夢の気配に気付き空寝で様子を窺う。 燐が本当に寝ているものと思ったのだろう。何を思ったか、霊夢の手が燐のリボンをするりと解いた。 そして、その手が次に狙いを定めたのは、あろうことか燐の衣服。様子見などしている場合ではない。 おっかなびっくり飛び退いて、燐は一心不乱に走って逃げた。何をされそうだったのか、それは判らない。 ただ、どうしようもなく嫌な予感が否めなかった。このまま逃げるのは簡単だ。脱兎の如く駆ければいい。 でもそれは出来ない。橙が霊夢の毒牙に掛かってしまっただから。なんとか霊夢を撒いて橙を救出する。 神社は霊夢のテリトリー、援軍は期待出来ない。これは、敵地の真っ只中で奮闘する一匹の火焔猫の物語である。 【感想】 ここから感想。燐の視点で見ると相当の恐怖だろう。なにせ妖怪の天敵である博麗の巫女が、 得体の知れない目的を持って追いかけてくるのだから。形振り構わず逃げる燐の気持ちも推し量れようもの。 身に着けた大事な何かを失ったって構いやしない。目を逸らせぬ現実を突きつけられても泣きはしない。 走れ、逃げろ、彼方まで。地獄の鬼より恐ろしい、博麗の巫女がそこにいる。なんとなくリズム良く書いてみた。 とりあえず内容は最初に書いたあらすじ(これは修正してある)でオチを残して全部書ききってしまったほど短い。 流石にこれじゃレビューと言う名のネタバレだ、と添削する作業に移らざるを得ないほど。 しかしこの作品において短いことはむしろ強み。と言うか、読み易いのがやっぱ何よりだよね。その上、面白いし。 恐怖に慄く燐の錯乱振りは必見。読んでいるこっちがはらはらしてしまう。描写がなかなかに際どい。 【作品集】74 【作品名】鬼ごっこ 【作者名】大崎屋平蔵氏 【あらすじ】  激しい動悸が内から胸を叩く。息を殺して身を潜め、周囲に追っ手の如何を窺った。 運動量だけの問題ではない。ばくばくと外にさえ聞こえそうな心音は明らかな不安の証。 酸素を求めようにも、居場所を教えることに為るのでは、と大きく息をすることさえも憚れた。 物陰から周囲を窺っているのは火焔猫の燐。珍しく彼女は主から賜ったリボンを召していなかった。 それと言うのも、神社で振る舞われたお茶が事の始まり。霊夢の不審な行動におっかなびっくり飛び退いて、 燐は一心不乱に走って逃げた。一体、霊夢は自分に何をするつもりだったのか、それは定かには判らない。 ただ、どうしようもなく嫌な予感が否めなかった。このまま逃げるのは簡単だ。脱兎の如く駆ければいい。 でもそれは出来ない。出来ない理由が、逃げ出したその場に存在していたから。一人覚悟を決める燐。 神社は霊夢のテリトリー、援軍は期待出来ない。これは、敵地の真っ只中で奮闘する一匹の火焔猫の物語である。 【感想】 ここから感想。燐の視点から見ると相当の恐怖だろう。なにせ妖怪の天敵である博麗の巫女が、 得体の知れない目的を持って追いかけてくるのだから。形振り構わず逃げる燐の気持ちも推し量れようもの。 身に着けた大事な何かを失ったって構いやしない。目を逸らせぬ現実を突きつけられても泣きはしない。 走れ、逃げろ、彼方まで。地獄の鬼より恐ろしい、博麗の巫女がそこにいる。なんとなくリズム良く書いてみた。 とりあえず内容は最初に書いたあらすじ(これの修正前)でオチを残して全部書ききってしまったほど短い。 流石にこれじゃレビューと言う名のネタバレだ、と添削する作業に移らざるを得なかった。長いのが悪い? さーせん。 それは置いといてもこの作品において短いことはむしろ強み。読み易いのがやっぱ何よりだよね。その上、面白い。 恐怖に慄く燐の錯乱振りは必見。読んでいるこっちがはらはらしてしまう。描写がなかなかに際どいし。 文章力   ★★★★☆(少々短く簡潔にまとめてあるので判断に困るが、充分上手いと感じる) 構成力   ★★★☆☆(水準くらいかと。悪いと言うわけではない。この短さでこれなのでむしろ評価できる?) 読み易さ ★★★★★(これに尽きる。最近短いのしか読んでないぞ。どうなってるんだ。時間をくれ) 満足度   ★★★☆☆(これが漫画だったらなぁ! なんで文章じゃあ映像として捉えられないのかなぁ!) 総合点   ★★★★☆(少し空いた時間に、何かちょろっと読みたいな。そんな人にお勧めの作品) 【作品集】74 【作品名】感受性の高いお年頃。 【作者名】GUMモドキ氏 【あらすじ】 モノを喰らう。それは他者の命を刈り取り糧とする、生きとし生けるモノが背負った業。 妖どもの食卓に載せられれば、鯉でさえも激しく抗う。居並ぶ哀れな食料たちも己が運命に抗い続けた。 抵抗虚しくその身体に深々と突き刺さる歯牙。失意か、諦観か、絶望か、そのつぶらな瞳は何を思う。 共に生まれ落ちた仲間たちが次々に食い殺される惨劇。無残に、無慈悲に、なんの希望も与えられず、 ただただ泣き叫びながら己の運命に絶望する。ここは地獄の魔女の釜の底よりも深い深い地の底の果て。 その悲痛の叫びは、最早誰にも届かない。しかし、声なき断末魔は、確かに一人の少女の心に響いていた。 【感想】 ここから感想。そりゃあ喰いますさ。喰われるために生まれてきたのだから、むしろ喰わねばそれこそ失礼だろう。 しかし、そんなのは割り切った者の考え方。そうでない者もどこかしらに存在するかもしれない。 ものを喰うってことはそれ自体は決して悪いことじゃあない。ただ、少し捻くれて見れば命を奪っていると言うだけの話。 彼女は少し感受性が高すぎた。だから食料に過度の感情移入をしてしまった。可哀想だ、食べたくない、と。 気持ちは痛いほど判る。似たような経験は確かにあった。純粋だったあの頃を思い出させてくれる。 内容自体は行間があいている為、見た目以上にとても短く、数分も掛からずにさらっと読める。 モノを喰う。普段は意識することもなく、ただ日常の一片として片付ける行為のその意味を改めさせてくれるかもしれない作品。 文章力   ★★★★☆(短く判断が難しいけど、元々正確でもないわけで、食料の内情の描写の鬼気迫った感が良かったので) 構成力   ★★★☆☆(水準くらいかと。悪いと言うわけではない。この短さでこれなのでむしろ評価できる?) 読み易さ ★★★★★(読み易さって面白さを二の次にしそうな予感! いや、冗談です) 満足度   ★★★☆☆(短い、というのはメリットでありデメリットであり。やっぱりもっと読みたくはあった) 総合点   ★★★★☆(さっくり読めるし、内容自体も面白いので是非目を通して見てはいかがでしょう) 【作品集】76 【作品名】明羅さんと明太子 【作者名】与吉氏 【あらすじ】  若干暑くも感じられる陽気も、ひんやりと落ち着いたそんな昼下がり。 博麗神社の居間には、神社の巫女である霊夢ともう一人、凛とした風貌の侍がいた。 名を明羅。以前霊夢より博麗の力を強奪しようとした末に、見事返り討ちに遭い、 挙句、埋められそうになった気の毒な女侍である。しかも男と勘違いされている。 いつかは雪辱を果たそうと、返り咲いてくれようと、明羅は今日も霊夢に挑んでは惨敗を喫した。 口惜しさと不甲斐なさとで憤慨する明羅は、衣服も自尊心もぼろぼろのまま帰路につこうとする。 そんな明羅を、霊夢は、しかしなんの気紛れか引き止めた。まぁ、飯でも食っていけ、と。 【感想】 ここから感想。なんで明太子? まずはそんな疑問を抱いた人も多いことだろう。私もそうだし。 ああ、名前の最初の一文字が同じだね。おそらく妙な偶然である。それにしても良いほのぼの。 二人のキャラクターがよく描かれており、と、言っても明羅のキャラはあまりよく知らないが、 しかし違和感なく受け止められるのは、しっかりとした描写が背景に包含されているからであろう。 そしてやはり食べ物ネタはとにかく腹が減る。食いたいと思わせる描写は流石と言うべきか。 霊夢が手を広げてすけとうだらの大きさを表現する様子は、想像するだけで可愛さに悶えてしまう。 ちなみに、私は明太子はトースターでしっかり五分は焼く。焼きたらこさえありゃ他におかずは要らねえ! 最後に、明太子はふくやが一番だと思うんだ。さあ、家庭用明太子無着色レギュラーを週末にお買い上げ! 文章力   ★★★★☆(上手い。何が上手いかと問われても困るが、読んでいてそう思う) 構成力   ★★★★☆(これだけのファクターでよくもまぁここまで書けるものだなと感心する) 読み易さ ★★★★★(すらすらと読める癖のない文章に、さっくりと読める長さ) 誘食度   ★★★★★(さあ、今日も一本明太子をトースターで焼いてどんぶり飯に載せようかぁねぇ!) 総合点   ★★★★☆(さっくり読めるし、内容自体も面白いので是非目を通して見てはいかがでしょう) 【作品集】82 【作品名】name is... 【作者名】りーくー氏 【あらすじ】  品揃えが豊富、と言えば聞こえは良いが、その実、雑然と商品の名を冠した物が散在する店、香霖堂。 その様相も相俟って、まるで物置のように薄暗く閑散とした店内に、不釣合いなほど明るく元気の良い声が響いた。 魔法の森に住む、自称普通の魔法使い、霧雨魔理沙。香霖堂の店主、森近霖之助とは幼少の頃からの付き合いだった。 暇を持て余したのか、平素からの習慣か、今日も今日とてやって参りましたは香霖堂。霖之助の返答を待つことなく、 彼女の細腕は古びた扉を豪快に開け放ち、我が家に帰宅したようにさえ思える足取りで店内を闊歩した。 普段なら常時勘定台に向かって本を読んでいるはずの偏屈店主は今はおらず、魔理沙の視線は、 勘定台の上に代わりのように置いてあるものに向けられた。それは茶碗と呼ぶには少々歪な形をしており、 コップと呼ぶにはサイズが大きすぎる、結果的に用途不明という形に落ち着いたナニカ。 好奇心は女の子の特権。その中でも一段と際立っているのがこの霧雨魔理沙。目の前に謎の物体が置いてある。 為ればこそ、それを調べずにして何とする。魔理沙は手を伸ばす。その瀬踏みが、深間に陥ることになるとは知らずに。 【感想】  ここから感想。魔理沙の素直になれない性格が、このようなシチュエーションではやはり裏目に出るか。 勿論、魔理沙でなくとも、こんな状況下においては、魔理沙と似たような反応を見せる人も少なからずいると思う。 その辺り、キャラクターが非常に「らしい」と感じた。物語自体も、さっくりと読めるお手頃サイズがありがたい。 短いながらもしっかりとまとめてあり、最後まで綺麗にオチている文章には好感が持てる。 普段は魔理沙に甘いだろう霖之助の珍しく厳格な姿。最初こそ意地を張った魔理沙が再度店を訪れた際のいじらしい姿。 勿論、各々素晴らしいものではあるが、真価はその二つが調和を織り成してこそ発揮される。 何が言いたいかと言うと、魔理霖は私のジャスティス! オチで某幼稚園児が作ったねんど作品の差異を彷彿したのは秘密だ。 文章力   ★★★☆☆(特筆した点はないが、しっかりと読ませてくれる地力は充分ある) 構成力   ★★★☆☆(水準くらいか。勿論悪いわけではない。特にオチは秀逸) 読み易さ ★★★★★(さっくりと読めるありがたさ。くどさもなくあっさりしている) 魔理霖   ★★★★☆(魔理沙は霖之助と一緒にいるだけで魅力が三倍になると思うんだ!) 総合点   ★★★★☆(少し空いた時間に、何かちょろっと読みたいな。そんな人にお勧めの作品) 【作品集】89 【作品名】ナポリを見てから死ね 【作者名】蛸擬氏 【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255544126&log=89 【あらすじ】  人里には幻想郷随一の蕎麦屋がある。そこには豊富なメニューがあるわけでもなければ、 常連客で店内がごった返すようなこともない。肝心の蕎麦の味だって、他に比べればお粗末なもの。 内装だって閑散としていて味気ない。飲食店だと言うのに寡黙で無愛想な老店主の接客態度など致命的だ。 唯一の救いは金銭の持ち合わせが少ない人にも優しい破格の値段くらいのもの。 しかし、それだってこの蕎麦の価値に見合った価格設定だと思うとちっともお得と感じることもない。 客足が遠退くのも頷ける。そんな閑古鳥が鳴く店の暖簾を一人の女性がかき分けた。ここは寂れたお蕎麦屋さん。 それでも、聖輦船の船長、村紗水蜜にとっては、その店は間違いなく幻想郷一の蕎麦屋だった。 【感想】  ここから感想。短編のタグがある通り、短時間で読めるのが強み。短いだけでなく内容もすっきりしている。 なんたって蕎麦を食うだけの話である。他に飾る必要などあるまい。美味いか不味いか、それだけだ。 尤も、すっきりとした簡素な作品が好きな人もいれば、こってりとした濃厚な作品が好きな人もいるだろう。 それこそ、麺とスープだけの安っぽい蕎麦が好きな人がいれば、具沢山の妙味溢れる蕎麦を好む人もいるように。 この作品は、特に前者の皆々様にこそお勧めできる作品。SSの内容だけにあらず、SSそのものにも言えること。 失礼な言い方かもしれないけど、全体的に安っぽい。勿論、文章構成如何云々ではなく、イメージの問題である。 事実、必要な描写はしっかりと書かれているし、文章も丁寧。蕎麦は美味そうだし、ムラサは可愛いときた。 そも、蕎麦を食うだけの作品で濃厚な描写を為せる人など、今のところ一人しか知らない。 充分満足させるに足る作品に仕上がっていると思う。ただ、も少し改行して欲しかったのは本音。 昔っから安っぽい味が大好きな私は、このムラサとはいい蕎麦が食える、とそう思った作品でした。 文章力   ★★★★☆(上手い。水準以上だと思う。基準は何かと問われたら逃げるのでしないように) 構成力   ★★★☆☆(長さ的に構成如何の判断は難しい。と言うよりもどう判断すればいいのか判らん) 読み易さ ★★★★★(癖がなくまとまりの良い文章のおかげでさっくりと読める。長さも良好) 船長度   ★★★★☆(この作品のおかげでムラサ船長が好きになりました。次こそは新作で書く) 総合点   ★★★★☆(さっくり読めるが、人によってはお勧めできない。同じ趣向を持つ人なら必ず愉しめます)