ただひとつの真実
作品集: 最新 投稿日時: 2012/04/01 23:00:16 更新日時: 2012/04/01 23:00:16 評価: 2/5 POINT: 19579748 Rate: 652659.10
分類
香霖堂
今日から卯月である。その始めの日。エイプリルフール、四月馬鹿、あるいは万愚節である。
外の世界はもう桜が咲き始めたところもあるのだろうが、山奥にあるこの地はまだ雪に閉ざされているので、今日も気温は零度を行ったり来たりしている、のをストーブの効いた客の来ない店から眺めていた。
「こんにちわ、文々。新聞です。」
「どうも。」
「ここの店主は客に対して相変わらずいらっしゃいと言わないのですか。」
「新聞に関してお金を払っているのは僕だよ。」
客の滅多に来ない僕の香霖堂にあらわれたのは、やっぱり客ではなかった。
「今日はエイプリルフール仕様の新聞を持って来ました。」
そう射命丸は自信たっぷりに言う。
「いつもと何が違うんだい。」
「失敬な。文々。新聞は常に真実しか書きません。」
その言葉の真偽はともかく、新聞を受け取る。一面に「阿礼乙女、万歳三唱についての正式な作法の資料を発掘」と大きく載ってある。その他、「上白沢慧音氏、『遮断』の語源は英語のshutdownに由来することを発見」とか、これでもかというほど出任せの記事が並んでいる。
「今日の新聞には正しいものはひとつもありません。」
妙におかしなことを自信満々に言い切る。
ふむ。
「その言葉には誤りがあるね。」
「えっ、そんなはずはありませんよ。今回の記事は全部私のでっち上げです。」
僕は黙って新聞のある部分を指差した。
そこには「第百二十七季 卯月 朔日」と、まごう事無き今日の日付がただひとつの真実として書かれていた。
こちらには初投稿になります。よろしければお付き合いくださいませ。
嘉島安次郎
作品情報
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2012/04/01 23:00:16
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奇声を発する(ry
■2012/04/01 23:02:16
そこかw
2.
7777777
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名前が無い程度の能力
■2012/04/01 23:38:24
落語みたいね
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