- 分類
- リリー、あれが鳥さ、よく見ろよ、あの町が鳥なんだ、あれは町なんかじゃないぞ、あの町には人なんか住んでいないよ、あれは鳥さ、わからないのか?
- 本当に分からないのか?
- 砂漠でミサイルに爆発しろって叫んだ男は、鳥を殺そうとしたんだ。
- ←の男ってもしかして続・猿の惑星の主人公でしょうか?
――夢の世界でくらい、自分の望みどおりに生きてみたい。
そんなあなたの望みを叶えると謳われた睡眠薬がA社より発売されてから、まだ三ヶ月と経っていなかった。しかしすでに多くの薬局などの小売店からはその姿を消しているのが現状だった。
最初は半信半疑だった消費者も、店頭に並んでいるそれを騙されたつもりで試した。
そして一晩の後、その効果を絶賛する声が相次いだ。
「これは本物だ」「まるで夢のような薬だ」
見たい夢を望むままに見ることが出来るその睡眠薬は、口コミで爆発的なブームを巻き起こした。そして誰もが眠り、自らが望んだ世界で過ごすことが出来るようになった。
その薬を利用する者は、いつしか夜眠ることこそが一日でもっとも楽しみな時間となっていた。
しかし、やがて一つの噂が世間に広まった。
――その睡眠薬を飲んで、目を覚まさない人間がいるらしい。
その噂は瞬く間に広がり、その睡眠薬には何らかの問題があるのではないかという話が出だした。それからの話は早く、昏睡者の家族らが被害者の会を発足してA社を訴えた。
この裁判は今、最も世間の注目を集めていると言っても過言ではない。
未だ決着が付いていない問題ではあるが、この昏睡事件についてA社の言い分はこうだ。
「被害者だなんてとんでもない。ただ昏睡者は、目覚めたくもないほどに《良い夢》を見ているだけです。それこそ我々の製品の品質を保証する何よりの証拠ではありませんか?」
- 作品情報
- 作品集:
- 最新
- 投稿日時:
- 2012/04/01 22:11:21
- 更新日時:
- 2012/04/01 22:11:21
- 評価:
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お見事。