仔猫 vs 煮干し

作品集: 最新 投稿日時: 2012/04/01 21:55:09 更新日時: 2012/04/01 21:55:09 評価: 1/3 POINT: 10460573 Rate: 523029.90

 

分類
アリス
霊夢
煮干し
ぜんくつ
 
 
 
 

 ※ 作中の登場人物は例外なく全裸に靴下です。苦手な方はご注意ください。












 まだ風が冷たいけど天気の良い日だった。
 私が博麗神社を訪れると、境内にしゃがみ込んだ霊夢が仔猫と戯れていた。

「あら仔猫?」
「あ、なんだアリスか」

 霊夢は私を認めるとつまらなそうな表情を作る。この子は誰に対してもそうだ。
 再び仔猫に向き直ると、手に持った煮干しで仔猫をじゃらす。

「かわいいわね」
「うん、かわいい」

 私も霊夢も「きゃー、かわいいー!!」と大騒ぎするようなキャラじゃないけど、それでも仔猫や子犬や子ネズミなどの小動物を見れば、その愛らしさに心を奪われてしまうものだ。

「親猫とはぐれちゃったのか、お腹空かせてたみたいだから。煮干しぐらいしかこの子が食べられそうな物なかったけど」
「ふーん、可哀想ね」

 必死になって煮干しに齧り付く灰色の仔猫。頭を撫でてあげようと手を伸ばしたところ、霊夢に止められた。

「触っちゃ駄目。人間の臭いがつくと、親猫はこの子を見捨てるわ」
「あ、そっか」
「あんたが責任持って飼うってんなら別にいいけど」

 飼うかといわれると流石に責任持てない。仔猫を撫でるのは諦めてかわりに上海を放つ。
 頭上でくるくると踊る上海を捕まえようと、仔猫は飛び跳ねる。
 その様子が愛らしくて、目尻が下がるのを感じる。隣にしゃがむ霊夢を見ると、彼女も締まりの無い表情を浮かべている。

「あ、そういえば」

 ふとした思いつきで、疑問に思っていたことを口に出してみる。

「幻想郷には海が無いのに、なんで煮干しはあるのかしらね」
「ん? 里の乾物屋に売ってるじゃない」

 人里にある北畠乾物店のことだろう。私も煮干しはそこで買っている。

「じゃあ、その乾物屋はどこから仕入れてるのかしら」
「あぁ、そっか。アリスは知らないのね」

 霊夢は優越感を含んだ視線を向ける。

「妖怪がいるのよ」
「妖怪!?」
「そう。手から煮干しを出す程度の能力を持った妖怪が」
「……ふーん」

 なるほど妖怪の仕業か。納得できるような、そうでもないような。
 上海を追うのを諦めた仔猫が「にゃー」と一声鳴いた。
 四月になったばかりの風は、まだ冷たかった。




 了
 
 
 
 
 
 
 
 
煮干しが無いと味噌汁が味気ないことでしょう。
星崎遙一朗
作品情報
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投稿日時:
2012/04/01 21:55:09
更新日時:
2012/04/01 21:55:09
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1/3
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10460573
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0. 2682796点 匿名評価 投稿数: 2
1. 7777777 奇声を発する(ry ■2012/04/01 21:58:20
やばい最初の注意書きのせいで…
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