電話

もしもし。
もしもーし。
聞こえたら返事くーださーい。
……。
……。
あれ、おかしいな。
どうしたんだろ、やっぱ勘違いだった？
おっかしいなぁ、この人形からちゃんと声が聞こえたんだけどなぁ。
うーん、ただの勘違いだったのかなぁ。
まぁいっか、もっかい呼んでみよっと。
もしもーし。
もしもーし。
……。
……。
……。
……。
うーん、やっぱり故障？
さっきちゃんと声が聞こえたんだけど、勘違いだったのかなぁ。
あ、そうだ。
振ったらよく聞こえるかも！
河童も言ってたし、うん！
そうと決まれば、そりゃっ！
えいっ、やぁっ、とうっ、ていっ！
そりゃっ、とうっ、がちゃんっ、てっ、
あ、え、がちゃん？
ってあ、あーっ！あーーーっ！
やばっ！ぶつけた！ぶつけちゃったよ！
うわああっ、なにやってんの！どうしようどうしよう！
傷ついてないかなぁっ、ああどうしよう！
あーほんとバカ、あたしってホントバカ。
うんそうだね、ってうるさいよ。
あーあー、どうしよう。どうすればいいのかなぁ。
傷はついていないみたいなんだけど…。
え、なに？どうもするなって？ってそんなこと言われても！
この人形、私じゃ作れないしなぁ…。
相変わらずアンタはバカだね、ってうっさいわ！
ああもうどうしよう、これで壊れてたらまたあの人形遣いのところ行かなきゃいけないのかなぁ。
そもそも拾ったものだし、またあの夜みたいに酷い目に合わされるかも。
あーやだやだ……え、なに？
壊れてないって？でもさあ、あんなに大きく振り回しちゃったしさぁ。
バカだね。ってアンタに言われたくないわ！
そもそもアンタはいっつも私といたでしょうよ！同じレベルだから！
え、なにうるさいって？なによ、せっかく久々に話したのにその反応は！
もっとありがたがって……え？
なに？壊れてないって？現にあたしの声が聞こえるでしょ、って？
えっと、えーっと、
あ、
あっ、あっ、
あーーっ！ホントだ！
ちゃんと声聞こえてるじゃん！
うわなにこの人形！どこにつながってんの！？
え、なに、地獄？アンタ地獄にいるの！？
うっわーーしばらく見ないと思ってたら！そっかー、地獄かぁ。
アンタ性格悪いもんねー、落とされて当然よねー、って、
え、違う？
死んでない？
死んでないの？アンタ。
なーんだ、生きてるんだ、よかったー。ってそりゃそっか。
三途の川渡っちゃったらこんな話できないもんねぇー。
え、なに。異変？
こっちで異変が起きたでしょ、って？
あはははは、嫌だなぁー、私を誰だと思ってるのよ。
え、なに？あーそうそう。ゴキブリホイホイ……って違うわ！
いい加減にしてよねまったく！せっかく久しぶりにあったのにさぁ。
なに、異変？だからー、異変のことなんて知らないって。
なんでって、そりゃそうでしょ。
まぁ確かに、虫のなかじゃ私が一番強いけど。
え、なに、アンタの方が強いって？またまたぁ。
あーいいよ、勝負しよっか。でもさぁ、アンタ地獄にいるんでしょ。こっち来れるの？
何にも知らないんだね、ってうっさいわ、ため息つくな！
で、なんで知らないかって、もうね、そういうのやめたの。
なんでって、周りの連中が強すぎるじゃん。うちらの力量じゃたかが知れてるっての。
あー、そうそう、そうねぇ。私も３年前ぐらいかなぁ。酷い目に合わされてさー。
この人形！この人形作ったやつにボコボコにされたのよ！
でね、それ以降、異変だのなんだのそういうことには首突っ込むことやめたのよねー。
いやぁ、若かったってやつ？あはは……え？
そうなんだー、そっちも会ったんだー。あーそうそう、それよそれ！
ぶすーっとした人形遣いとやったら生意気な白黒の魔法使い！
いやー、アンタも一戦交えたんだねー。どうだった？
え、ぼこぼこ？そっかー、そりゃそっかぁ。
え？アンタほどじゃないって？うっさいわ！
一緒にするなって？こっちは遊んでただけだからって、はいはい。
相変わらず見栄っ張りなんだからー、ああもう機嫌直してよね悪かったわよ。
わかってるわかってる、変わってないんだからホント。
えー、なに私も？変わってないって？
ドジなとことバカなところがって、うっさいわ、憎まれ口しか叩けないんかい！
はぁ、まぁいいけどさー。もう会えないかなーって思ってたから。
いきなりいなくなるんだもん。ホントびっくりしたよー。
なんでかなぁって思ってたんだよこれでもさ。
ん、なに、ごめん？いいよもう昔のことなんてさ。
こうして話せただけで充分だって。
ん、なにしんみりしてんのさ。らしくないじゃない。
怒ってないから、ホント、ほんとだって。
アンタがしおらしいとすごい違和感あるね。え、なに、うるさいって？あははは。
うん、そう、そうかもねー、あはは。
いやー、ほんとさ、久々だね。何年振りだろう？
元気でよかったよー。
ほんとにそう思ってるって。なに照れてんのさ。
誤魔化さなくてもいいって。わかってるって。
え、なに、今？
今何してるかって、えっとね、虫の知らせサービスってやつをね、
ちょ、え、な、なに笑ってんの！？
なに笑ってんのよ失礼ね！
本気よ本気！バカにしないでくれる？あーもー、アンタってやつは！
ったく、で、そっちは今なにしてんの？
あー、そっか。
ボコボコにされて休んでいるのね。
え、なになに？
普段はアイドル？
え、なにそれっ、ぶっ、ぶははっ
アイドル！アンタが地獄のアイドル！
ふはははっ、ひ、ひぃーーっ！
マジなのそれ、マジなの？
うっそお！
あー、待って待って、悪かった、
切らないで切らないで！
悪かったわよ！ごめんって！
ごーめんって！
ふぅ、ちょっとは機嫌直してくれたー？
だっていきなりアイドルなんてさぁ、くっ、
あああごめん、ごめんって！
もう笑わないから切らないで！
あーちょっと！ホントに切るの！？ちょい待って！
せっかく会ったんだからもーちょっと話しようよ！
うん、うん。ごめんごめん。こんどお詫びするから。
え、なに、一発殴らないと気が済まない？ごめんごめんって。
ふう、機嫌直してくれたー？
うん、そっか、ごめん。
ま、こっちはこっちで楽しくやってるよ。
ホントだって、昔よりもだいぶ暮らしやすくなったんだからー。
嘘じゃないって。暮らしやすくなったのはホントなんだって。
ほらあのスペルカードってやつでさー、持ってるでしょ？うん。
「原因不明の熱病」って、アンタ相変わらず物騒ね。
まぁいいいや。それでね、こっちじゃおかげで地獄のやつよりも強い奴と一戦交えることもあるのよ。
結構楽しいんだよ、アンタがいない間に結構変わったのよ？
うん、そう、そうだね。そんなこともあったねぇ。
今度さ、こっちきなよ。せっかくだから飲みにでも行こうよ。
うん、うん。わかってる。わぁかってるって。
え、なに、アンタに会いたくて行くわけじゃない？って何照れてるのよ。
まぁいいけど、私は嬉しいしさ。
うん、うん、来週あたりね。うん、わかった。
うん、待ってるわー。はははっ、
そういやアンタがいない間にさ、おっそろしい妖怪に遭っちゃってー。
ホントすっごいんだから！あー、ははっ、そういやそんなこともあったね。
それでさ、続きなんだけどね、その妖怪がね。
はいはい、わかってるってー。そいでさ、そのあと大変だったのがさー。





























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