霊夢さんの、何気無く暇な一日。

作品集: 1 投稿日時: 2012/04/01 08:52:40 更新日時: 2012/04/01 12:02:00 評価: 3/7 POINT: 20467220 Rate: 511681.13

 

分類
霊夢さん
レイマリ?
 


「おーい……、霊夢起きろーう」
「んむぅ。何でよー……」
「何でも何も、もう朝だ。生きてる人間は、そろそろ目を覚ます頃合いだぜ。墓に入るにゃ早いだろ」
「目なら覚めてるし……」
「なら、さっさと布団から出るこった」
「いーやぁーだー」
「嫌も八百屋もなかろうよ。顔洗ってシャキッとさせな」
「んんんんんー」
「布団ごと移動しようとするな。……ぅ、ふ、ふぁあああぁ〜」
「何よぅ。あんたの方がよっぽど眠そうじゃない」
「仕方無いじゃん。ここんとこ寝不足なんだ。とかく、そろそろ暖機を始めようじゃないか。新しい一日の始まりだ」
「新品にしては、どこかで見たような、ね」
「やっとその気になったか。単に床を離れる程度で、一々大仰な奴め」
「誰のせいだと思ってるの?」
「ほっとくと、お前は一ヶ月だって平気でふいにしそうだからな」
「余計なお世話だ。ったく……、おはよ、魔理沙」
「ああ、おはよう。霊夢」
「そしておやすみなさぁい……」
「裸に剥くぞこのぐーたら巫女」







「……うん、いい感じ」
「お、今日の具は何だ? あげに海藻に……キノコにキノコにキノコだな」
「あんたがたんまり持ってきたから、昨晩で消費できなかったんじゃない、」
「悪いこっちゃないだろ。お腹によければお肌にも良い、万能の食材だぜ。人間、キノコがあればどこだって生きて行けるもんだ」
「それ、何かの宗教?」
「明かりになれば武器にもなる、上手く吟味すりゃ、完全犯罪だって可能だしな……。どれ、私にも味見させろ」
「味噌汁は私がしたんだから、あんたは白米をなさい」
「……。うん、見た感じ炊けてる」
「それは良かったわね」
「キノコご飯にしときゃよかったかな。色々と腑に落ちんが、しかしまあどうして、出来たての飯ってのは、こう食欲をそそるものかねぇ。いっそここで食っちまうか?」
「台所で? 魔理沙、料理したお鍋から直接食べたりしてない?」
「忙しい時はな。致し方無い場合もある」
「はしたない、だらしない、も一つついでに意地汚い」
「お前のことか?」
「私達のことよ……」







「よし、頑張れ」
「……あんたはそこで何してるの」
「お前が掃除してるの見てる」
「もうちょっと何か――」
「仕方無いな。じゃあ、応援してやるよ。ついでに武運も祈ってやる」
「駄目。ポンポン持ってないと認めないから」
「人の親切を無下にするなよな。ふぅむ、何なら代わってやろうか?」
「遠慮しとく……。一帯焼け野原にされちゃぁ敵わないわ。あんたに任せるくらいなら、紫に頼んだ方がマシよ。指一本動かさなけりゃ、少なくとも、これ以上散らかりはしないでしょうから」
「あいつに巫女服を着せるつもりだと!? 正気か?」
「着るつもりだったんかい」
「そういうもんだろ? ああもう、じれったいな。箒の遣い方がなっちゃいねぇ。もそっと腰を入れるんだ」
「魔理沙に、玄関先を掃いた経験があるとは思えないけど」
「コツがあるのさ。騙されたと思って聞いてみろよ。まずは、箒に跨るだろ」
「こう?」
「次に、飛ぶ。方角はどっちでもいい。風の向くまま、なるべく遠く、地平線を眺め渡す。そうしてるとな、段々どうでもよくなってくるんだ。散らかりっぱなしの部屋とか、本棚から溢れた魔導書とか、洗ってない食器とかな……。これが霧雨流清掃術って奴さ」
「成程……。屑が一人出て言った分、部屋は綺麗になっているって寸法ね」







「あー、お日様がぬるくてきもちーわねぇ」
「だな。……おい、もう座布団を二つ折りかよ。折角の好天だ。もちっと有意義に過ごさんかぇ?」
「だって眠いんだもん。食べたい時に食べて、寝たい時に寝る。我慢するなんて、よっぽど勿体無いわ。という訳で、おやすみー」
「おいおい。折角お客様が来てやってるっていうのにだなぁ。せめて湯呑くらい片付けろって」
「ぐー……」
「…………」
「む………」
「………おい」
「………ぅ」
「…………」
「…………」
「寝ちまったのか……」
「く………」
「……――」
「…………」
「……おーい」
「…………」
「霊夢……? 全く、信じられん……」
「むにゃむにゃ……」
「……、私も転がっとくかなぁ」
「…………」
「……………………」
「……すぅ」
「……食べたい時に食べて、寝たい時に寝る。欲望に忠実に……」
「…………」
「…………おい」
「…………」
「……、本当に、寝てるんだろうな……?」







「むぐ。おー、意外と、普通に出来てる。今日のところは」
「至って普通だぜ。まあ、ざっとこんなもんだ」
「キノコ尽くしだけどね」
「今年は豊作だったんだ。にしても、ちょっと調子に乗りすぎたな……。アリスの奴、妙に張り切っててさ」
「ああ、一緒だったんだっけ」
「昨晩話したじゃんか。本命は別にあったんだが、取り逃しちまってさ。かといって、手ぶらで帰るのも間抜けだろ。軽く寄り道したつもりだったんだが……。あそこは穴場だな。今度、お前も連れてってやるよ」
「ん……」
「で、収穫の大半を押し付けられた。アリス、ほんと最低限しか食わないんだよな。腹が膨れるより、舌の肥える方が大事なんだと。そもそも連中、食べなくったって死にゃしないって話なんだが……」
「あー……」
「その点、お前の食べっぷりは見てて気持ちが良いな」
「んん。飢えてるっていいたいの?」
「いや、美味そうに食べるなーって」
「そうかしら。そうかな。確かに、一人でご飯食べても味気無いよね」
「だな。香辛料のあるなしじゃ、随分と風味が違う」
「もう少し、辛辣な評を期待してた?」
「いんや、スパイスは一振りで十分だ。とっとと食おうぜ。飯が冷めちまう」
「待って……。甘みが足りない場合はどうするの?」
「任せとけ。私が囁いてやるよ。その、愛とかなー、砂を吐くような口説き文句をだなー」
「…………」
「その目付き止めろよ。飯が冷めちまうだろうが」
「ふん……。ま、いいか。塩辛さなら、後で幾らでも注ぎ足せる――」







「なあ、霊夢」
「何よ」
「あぁ、何だっけな。思い付かん」
「せめて、思い浮かべてから声を掛けなさいよ」
「だってなー。うー、天井が回るぜ」
「私は地面が回っている……。水持って来よ」
「こっちも頼む……。あ、そうだ」
「何?」
「二人で飲むのって久し振りだな」
「昨晩も飲んだじゃない」
「だっけか? うん、そうだな……。だがしかし、あれだ」
「気の利いた台詞をまとめた上で、口を開きなさい」
「お前の口が塞がらなくなるような口上を考えてはみたもののだ」
「そう、じゃあ、整理できたら言ってね。私の瞼が落ちる前に」
「いや、迷ってんのは、言うか言うまいかでさ……」
「そこまで言って、やっぱり止めたりしたら、口を割らせるよ?」
「おっかねぇなぁ。ほら、最近、飲みと言えば大人数だろ。出入りする連中も増えたしさ。参拝客はさっぱりだが――」
「うるさい。黙れ」
「だから、しみじみと思ったんだ。霊夢、お前――」
『よぉ、霊夢。邪魔するぜ』
「ぅ!?」
『お前一人か? なんか、話し声が聞こえたんだが……』
「な、何でもない。用件は?」
『実は――っと、丁度良かった。それそれ、帽子を忘れちまっててさ。お陰で一日中、落ち着か無いったらなかったぜ。悪いな、預かってもらってて。一人でかっくらってたのか?』
「うむ」
『そっか。もうちょい早く来るべきだったな。思やぁ最近、賑やかし抜きで飲んじゃいないもの。今日は流石に遅いか。部屋の片づけもせにゃぁならんし。すまんがまた今度な。霊夢』
「あー、うん。おやすみ」
『おやすみ、だ。そこで寝ると風邪ひくぞ、気を付けろよ』
「分かってるって、もう……」
『おう、じゃーなー』
「」
「」
「」
「ふん、また今度ね……」



(おわり)
 




「以上! 霊夢さんによる一人レイマリ劇場でしたーっ!」
「ゆかりいつから」





ご読了ありがとうございます。プラシーボ吹聴と申します。
吹噓と水渠は血の繋がらない妹です。

たまにはこんな、お茶目な霊夢さんもよいものかと。
一発ネタの掌編ではありますが、多少なりともお楽しみ頂けたでしょうか。
この見境無きハレの日に、賑わいの一助となれましたらこれ幸い。

最近血に飢えてしょうがない、プラシーボ吹聴でした。
プラシーボ吹聴
作品情報
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1
投稿日時:
2012/04/01 08:52:40
更新日時:
2012/04/01 12:02:00
評価:
3/7
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20467220
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0. 4245000点 匿名評価 投稿数: 4
1. 7777777 名前が無い程度の能力 ■2012/04/01 09:19:32
へっ
3. 666666 奇声を発する(ry ■2012/04/01 10:19:02
最後でw
6. 7777777 名前が無い程度の能力 ■2012/04/01 21:36:10
b
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