ゲツメンウォーズリターンズ 〜帰ってきたじゃん！〜

月の都、綿月家の屋敷。
夜半も一時を過ぎ、人々が寝静まった頃、依姫は屋敷の廊下を歩いていた。
書類整理が殊の外長引いてしまい、今の今まで机に向かっていたのだ。
月と地上を繋ぐ使者として人の上に立つ以上、玉兎たちの訓練ばかりをしている訳にはいかず、今日のように事務的な仕事をこなす時もある。
体育会系な依姫にとってはどちらかと言うと不得手な作業であるが、姉の豊姫には難ない事のようで、日が変わらぬ内に寝所へ行ってしまった。
作業時間は同じ筈なのに、依姫が不得手である事を差し引いても、どうしてこう差が出るのか。
姉の要領が良いからだと理解はしているが、何か釈然としない気持ちが依姫の中に残る。
昼間の訓練にしたって、豊姫はニコニコと桃をかじりながらそれとなく指導していただけで、自身は殆ど動いていないのだ。
胸以外も膨らんじまえという暗い想いがふと依姫の心をよぎった時、豊姫の寝所から騒がしい声が響いてきた。
また地上製のゲームでもしているのかと思い、そっと覗いてみると、豊姫と共に玉兎たちがいた。















「よーし！今日はラップよー！」

『イェーイ！』


「私は豊姫♪」

『イェーイ！』


「めひりよペッタンコ☆イェーイ！」


「めひりよペッタンコ！イェーイ！」


「めひりよペッタンコ♪イェーイ！」


「めひりよペッタンコォ！？イェーイ！」


「それでは皆さん、いってみよう！」



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！』



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！！』



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！！！』



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！！！！』



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！！！！！』



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！！！！！！』



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！！！！！！！』



『めひりよペッタンコ☆イェーイ！！！！！！！！』






依姫は泣いた。