↓前回までのあらすじ↓
早苗「私はTakuさんのことが好きなの……っ!」
Taku「ぼくもだよ……ああ、早苗……」
私たちはそのあと、キスをして幻想的な世界へと足をふみいれた・・・
Takuさんは優しく、私の心も体もうけとめてくれた・・・
私はただただ、幸せだった・・・
早苗「ハッ・・・ドリームか・・・」
そう、全ては夢だったのだ――。
Takuさんは、いない。……いや、いないのは私だ。Takuさんの心の中から、私は姿を消してしまったのだ。
なおちゃん。
なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。
なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。なおちゃん。
今のTakuさんはことあるごとにその名前を口にする。日曜朝の番組を撮りためては夜な夜な繰り返し見ているうちに、Takuさんは何かに取りつかれてしまったようだった。
液晶テレビは電源が入っていない。泣き腫らした目をした私の、我ながら生気のない顔が反射している。あの、おかしな目をしたTakuさんとお揃いね、と思ったけれど、あまり慰めにはならない。
Takuさんの趣味に合わせるために、私も日曜に早起きしてずっとテレビを見てたのに――それも徒労だった。Takuさんのことをわかりたかったけれど、今となっては、Takuさんのことを理解することは、私の精神の崩壊を意味するだろう。
怖い。
あの子も、緑の髪をしている。いったい、どこで私は負けてしまったんだろう。わかりたくない。認めたくなどあるものか。Takuさんからもらった温もりを失って、私はどうして風祝でいられるだろう。あの温もりこそ奇跡だったのに、それなくして、どうして私が空を飛べるだろう。
夢を濡らした涙が、海原へ流れるような心地だった。
泣きすぎて、おなかが空いたけれど、ごはんを作る気にも、買いに行く気にもならない。
むしろもう、立ち上がる気力もない。
捨て鉢な気持ちで、寝たままでいると、また意識がもうろうとしてきた。
ああ、よかった。
意識を失えば、おなかは空かない。
悲しくも、ない――
Taku「……ちゃん、早苗ちゃん!」
早苗「あ……Takuさん……」
Taku「大丈夫? すごくうなされてたよ……」
早苗「すごく、怖い夢を見ました……Takuさんがいなくなる夢……」
Taku「……ばか。俺が早苗から離れるわけないだろ。俺はここにいるよ」
早苗「でも、怖いんです……怖くならないように、もっと、ぎゅってして下さい……」
Taku「……うん」
◆
そうして、Takuさんはキスをすると、私を優しく抱いてくれたのです・・・
まるで、夢の中にいるような心地でした・・・
私はただただ、幸せでした・・・
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