※文ちゃんキャラ崩壊注意。
「ありがとうございます、本当に助かりました」
「困ったらまた言ってね」
妖怪退治屋の名を持つ霊夢と魔理沙は、珍しく仕事の依頼が入ったので人里に来ていた。
内容は人々に害なす下級妖怪の根城を潰すだけなので楽なものだったが、存外報酬が多かったのに驚いた。
両手に抱えきれないほどの大きさの箱いっぱいに詰められた食材。
嬉しいのだが、二人じゃ食べきれない。
「そうだ、すき焼きにしよう」
仕事を終え、帰路についた彼女らは空中で他愛の無い会話をしながら神社を目指す。
魔法使いの箒には唐草模様の風呂敷に包まれた荷物がぶら下がっている。
「晩飯はすき焼きかー。いいねぇ」
「それにしても二人で仕事なんて初めてじゃない?」
「ん、確かにそうかもな。別に今回のも一人で十分だったがな」
「二人だと楽でいいわぁ。今度から手組まない?」
「だが断る。私が組むのは腕だけだぜ」
「ふーん、そう」
わかりきっていたことだが、少し残念そうな顔をする。
「それよりもこんな量食えんのか?」
魔理沙は荷物を指して言う。
「うちには鬼もいるし、食べてるうちに集まってくるんじゃない?…って」
彼女らは神社に着いた。中を見ると吸血鬼とメイドとがくつろいでいた。無論、鬼も一緒に。
「なんで家主の居ない神社にあんた達が居るのよ!」
「そこの鬼に許可もらったから問題なしよ」
「おー、そーだ」
「あんたねぇ…まぁ、ちょうどいいわ。今日は誰か呼ぼうと思ってたし」
「食べてるうちに、じゃなくて食べる前に、だったみたいだな」
「なんかあるの?」
「これからみんなですき焼きでも食おうって話だ」
文『誰かが私を呼んでいるッ!今行きます!!フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!』
「ほらぁ、あんた達も手伝いなさいよ。食べるんでしょ、すき焼き」
「客に働かせるの?そんなんだからお賽銭が入らないのよ」
「余計なお世話ね。まぁあんたのメイドに免じて許してあげるけど」
「すき焼きでもお任せあれなのですわ」
すき焼き鍋に具材を放り込む。しょうゆ、酒、さとう、そして水を少量入れ、火にかける。
突如、外で轟音が鳴る。
何事かと思い、戸をあけてみる。
上空から黒い塊が超高速で降ってきた。
『射命丸文、見参ッ!』
「おや、烏天狗。烏は鼻も利くのかねぇ?」
『ハローミス萃香!すき焼きが私を呼んでいるぅぅぅぅ!!』
言い終えると同時に烏天狗クレイドルをしながら季節外れのコタツに突っ込み、反対側からぽこんと顔を出した。
「うるさい奴だな。まぁいい、卵を割って、と…コンコンっとな。おっ?おおおっ?こいつ双子だぜぇぇぇ!ラッキー!」
「えっ!?私のと交換しなさいっ!」
「だが断る。この霧雨魔理沙の最も好きな事のひとつは、自分でカリスマに溢れていると思ってるやつに『NO』と断ってやることだ」
「泣かす!ブッコロす!表に出なさい!」
ガタンと立ち上がり、魔理沙を指差し叫んだ。
「お嬢様、落ち着いてください。お行儀が悪いです」
メイドの咲夜が嗜める。
「元気ねぇ…」
「まー宴会はうるさいくらいがいーよ。うん」
卵をかき混ぜながらニコニコと嬉しそうに言う。
『最高に「胚!」ってやつだアアアーッ!!トルネードオブエッグミキシング!!!』
鍋がぐつぐつといい音を鳴らし始める。そろそろ頃合いだ。
「そろそろ食べれそうね。卵、卵…」
霊夢は卵を割り、かき混ぜる。
すると横から射命丸がそれを奪い取る。
『違うッ、こうやって混ぜるんだよォーッ!お前には、速さが足りないッ!こう、こう、こうだッ!WRYYYYYYYYYYY!!!!』
「……」
「なんか変なものでも食べたんだろう。我慢だよ霊夢」
萃香が霊夢に同情した。
「うん、うまいぜ」
「お肉を萃める程度の能力~♪」
「肉ばっかりじゃなくて白菜も食べなさいよ」
「んぎぎぎ…」
『ふぅんッ……』
レミリアと文がひとつの肉を奪い合っている。
「吸血鬼の獲物に手ェ出すなんていい度胸じゃない…!」
『速さは質量に勝てないのかいやそんなことはない速さを一転集中させればどんな分厚い壁であろうと砕け散るゥゥッハハハハァァ!!』
「うるせェーッ!これは私の獲物だしバタバタ暴れて何ブチ抜こうとしてんだよォォォッ!!ついでに箸と箸が触れ合っていいのは骨を拾う時だけだッ!!」
「霊夢ぅ!落ち着いて!!」
『射命丸はクールに去るぜ』
文は逃げ出した。
「あッ、この…」
「お嬢様、いけません」
「はぁ、はあ、あいつ、何かあったのかしら?」
「さ、さぁ?私は聞いてないよ?」
「狂っちまうキノコでも食ったのかもな」
「邪魔者も消えたことだし。再開しましょう」
「あんたも反省しなさいよ」
ほどよく酒が回り、いい感じに出来てきた。
こうなってくると、ただの飯と酒じゃ満足できなくなるのだ。
その時、魔理沙がみんなの注目を集める。
「一発芸やりまぁす!」
「「「「おおおおッ!」」」」
「ドロワーズお化け!!」
ドロワーズを頭から被る。ただ、それだけである。
「わはははっ!穴から髪の毛出てるよォー」
何が面白いのかわからないが、とりあえずウケる。
こういう席ではやったもん勝ちなのだ。
『一発芸!射「命」丸!!どわっははは!!ぎゃははははおえっ、ゲホゴホッ、ウホッ!』
両手を下斜め45度に向け、左腿を上げ横に開く形にする。まさにその形は「命」であった。
勝手に現れ、勝手に笑って帰っていった。
流れも落ち着き、みんな大人しくなり始める。こうなると始まるのは愚痴タイムだ。
「最近ねぇ、フランが冷たいのよ…下着は別々に洗えって言うし、どろわぁず被ったら怒るし。
仕方ないから翼の宝石かじったら欠けた。歯が」
「それはお嬢様にも問題があるかと」
「うるさい!いつも咲夜は小言ばかりだし…何よりその仮面みたいに張りついた笑顔が気に入らないのよッ!!」
「!!」
「レミリア…それは言っちゃいけないんじゃないのか?」
咲夜は驚きを隠せず、神社から飛び出してしまった。
「ふんッ…」
『お嬢さん。人々はみな仮面を被っている。彼女はなんのために仮面を被っていたんだろう?
人を傷つけないために仮面を被ることは、悪いことじゃないよ。
彼女はあなたを喜ばせたかったんだろう。完全で瀟洒な従者で在りたかったんだろう。
あなたにとって誇らしい存在になりたかった。だから、笑顔の仮面を被った。
彼女は手先が器用だ。でも、そんなところは不器用だったみたいだね。可愛いじゃないか。
その仮面の下にあるのは憎しみや恨みじゃない。完全であるために隠したかったものさ』
「あ…ああっ…!」
『行きなよ…』
「うん…!」
レミリアも咲夜の後を追いかけて飛び出していった。
『フッ……』
「ねぇ、みんなうどん食う?」
いつの間にか夜はどっぷり更けていた。
最後の言葉かっこいいぜぇ
萃香さんは勇儀姐さんの婿。
譲れないのですわ。
すき焼における葱の様に(個人的に超重要)
しかも何気にアニキのセリフが合ってた気がする
みんながいい感じのテンションで面白い
射命丸wwww
すき焼きは肉もいいけど、やっぱり煮込んだ長ネギだね。
ザ・マイペース萃香。いかなるカオスにも飲まれません。
>2番の名無しさん
落ち着いて読み直すと酷いことになってました。
最後の言葉というと…
萃香の「ねぇ、みんなうどん食う?」でしょうか?(殴
>謳魚さん
「くっくっく…二番目と四番目に好きなものはなんなんだい?」
「くっ…うぅっ…」
ちくしょう、何で僕は葱が食べられないんだ。葱類は何かお腹壊すんですよ。
>4番の名無しさん
幻想郷最速と最速のアルター使い。僕はこの二人はなんだか仲良くなれるんじゃないかと思いました。
アニキかっこいいです。
>5番の名無しさん
確かに厳密に言うとそうなのですが…セリフに起こしてみると、拾うの方がしっくりくるかな、と思いまして。申し訳ありません。
指摘ありがとうございます。
>6番の名無しさん
たまにはぶっ壊れもいいかなーと。(読み直してうわっと思った僕の言い訳です)
面白いと言っていただけて光栄です。
>奇声を発する程度の能力さん
この作品を見たとき、あなたはきっと言葉では言い表せない「カオス」を感じてくれたのだろうか?
混沌とした流れの中で、マイペースである気持ちを忘れないでほしい、そう思ってこの作品を書き上げたんだ。
実は、そんなことは考えていなかった。
文ちゃんごめんなさい。
>8番の名無しさん
本気でそういうことができる人はもはやかっこいいとすら思います。まじめに。
僕は照れちゃってそんなことができないので…。
僕は葱類が苦手なのが残念だー。美味しいといいながら食べれる人が羨ましいです。
しかし、周りを囲まれてしまった。
と、いう展開になり、めくりめく大人な展開になるという風な流れになると思ったのは自分だけでいいwww
『おっと、こいつぁまずいぜ…だが甘いッ!私の足を舐めるなよぉっ!』
「誰が好んで舐めるもんですか」
『あややややッ!?』
「いくら足が速くたって凍った世界に敵うはずないじゃない。さぁ、この烏どうしてくれましょうか」
「いっそのこと剥いて食っちまうってのはどうだ?もちろん性的な意味で」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
こうですか?わかりました。
僕に夜伽な話は無理そうですなww
あと作品多少修正。
>12番の名無しさん
YAHOOO!!しかし頭をグリグリするのだけはやめてくれよっ!
今度はお笑いネタでも拝借して作品を書こうかしら。