おや、こんなところまで人間が来るとは珍しいですね。全く、私のペット達は何をしているのやら。
それで御用はなんでしょう。解っていますが、一応聞いてあげます。礼儀作法ですから。
成る程、自分のSSが酷評されてどうしていいか解らなくなってしまって、色々と迷ってるうちにここに迷い込んだと。
ああ、そんな顔はしないでください。私は覚ですからね。しかしながら、貴方は幸運な人です。よりによって物書きの端くれたる私の前に迷い込んできたのですから。
紅魔館のフランちゃんの方が良かった?そこまで自殺願望があったとは思いませんでしたよ。
まあ、とりあえずそこに掛けて下さい。今、お燐にお茶でも淹れさせますから。
せっかくだから私が少しお話をしてあげましょう。執筆の合間にこういう息抜きもいいものでしてね。
どうやら貴方は初心者のようですし、私でも少しは教えてあげる事が出来そうです。
と、言っても何分道楽で書いている人間の言葉ですから、貴方が小説の書き方の書籍であったり、そういった事柄について纏めたサイトに心当たりがあれば、そちらを読んだ方が勉強になるでしょう。
【分量について】
貴方の作品は拝読しました。
うん?パソコンがないのにどうやって読んだんだって?貴方の心にあった作品の記憶を読んだんです。先程申し上げた通り、私は覚ですから。
色々とアドバイスをしてあげたいのですが、どこからいきましょうか。そうですね、分量からいきましょうか。
文章を初めて書く時は短めの方がいい。これは確かに真理です。どれだけの作家が長編を完結させる事が出来なかったか考えると、全くもってその通り。
しかしですね、短すぎる文章というのは難しいものなんですよ。
掌編やショートショートと言われるスタイルのものは、筆者の力量と落ちの切れ味の要求ハードルが非常に高い。
落ちなくてもいいじゃないかとはあんまりですね。まあ、随筆なんかがそういう類のものでしょう。
ただ、普通の人の随筆なんか読んでも、誰も面白くありませんよ。
あれは功なり名なり遂げた文筆家や、身分の高い人の「よしなしごと」が書きつづられているから面白いんです。
貴方の身なりを見る限りでは、失礼ですが、そういった方には見えませんね。
そうなってくると、落ちは必要です。
余程キレのある落ちでない限り、ある程度、ストーリーの中で持ち上げていく必要があります。その方が落差がつきますからね。
そうなってくると、一定量の分量が必要です。短い物語だと落ちに相応しい高さまで持ち上げる事が出来ませんから。
なので、最初は短編ぐらいの分量をお勧めしますよ。
【登場キャラクターについて】
さて、短編を書くとしましょう。
といっても、貴方が書くのはオリジナルではなく、東方の二次創作ですよね?
二次創作で物語を書くとき、書き始め方としては大きく分けて二通りのやりかたがあります。
一つは「書きたいキャラクターを決めて、そのキャラクターの為の物語を作る方法」。
もう一つは「自分の考えたストーリーに当てはまるキャラを選んで、物語を書く方法」。
どちらが正しいという事はないと思います。
貴方はフランが好きなようですし、フランちゃんの事を書きたい!それで結構だと思いますよ。
さてさて、貴方の愛するフランちゃんがどんな子なのか、貴方はご存じですね。
彼女の仲のいい人は誰でしょう?彼女は普段どんな事をしているのでしょうか?あるいは、どんな事をしそうですか?
と、この様に、ちょっと考えるだけでお話が出来てしまいますね。
ここで注意して頂きたいのは「出すキャラクターの数」です。これはどんな手法で話を作った時にでも言えます。
キャラクターを出せば出す程、話の進行やキャラクターの管理が面倒になります。
先の例で言えば、フランといえば紅魔館。間違ってはいないでしょう。
だからといって、館の住人総出になるようなお話ですと、これはもう大変です。
勿論、複数のキャラクターの思惑や行動が絡まって物語が進行する、群像劇というのもありますが、あまり短編向きではありません。
理由は簡単。書く事が多いからです。それに管理が複雑になる分、初心者向けとは言い難いですね。
最初のうちは、絡むキャラクターが二、三人のシンプルなものが宜しいでしょう。
人数が少なくても、一人あたりの事を濃密に書けば、その分詳細に書けますから。
【題材について】
次に題材の話をしましょうか。
ついでに、少し例を挙げて「自分の考えたストーリーに当てはまるキャラを選んで、物語を書く」も実践してみましょう。
さて、お話作りの黄金律として、一つの事があります。
「知っている事を書け」
これです。
例えば、貴方は八雲紫に取って変わろうとする大妖怪や、幻想郷転覆をたくらむテロリストの事をご存じでしょうか。
恐らくご存じないでしょうね。私も知りません。
物書きというのは想像力の生き物ですから、そこに思い至る人というのも、中にはいるでしょう。
しかしながら、そういったスケールの大きな話というのは、短編に不向きです。
恐らく、テロリスト首謀者の動機だけで一つの短編が出来るぐらいの分量になるでしょうね。
よって、そういう物語は駆け出しには不向きです。
そこで「知っている事を書け」です。
貴方は恐らく、色々な事を知っています。
些細な行き違いで喧嘩になってしまう事、一昨日の晩ご飯が美味しかった事、夕日が綺麗な事。
学生であれば学校で何が起きているのかご存じでしょうし、勤め人であれば自分の仕事の事はご存じでしょう。
それと、幻想郷に住まう様々な人々の性格や付き合い、習慣についてもご存じでしょう。
まずはそういったところから始めるといいと思いますよ。
例えばそうですね。「些細な行き違いで喧嘩になってしまう」でいきましょうか。
行き違いで喧嘩になってしまうのですから、多分喧嘩した者達は仲が良い筈ですね。
誰が思い当たりましたか?霊夢と魔理沙。成る程、確かに仲が良い。蓮子とメリーというお二人の事は私は知りませんが、貴方の心を見る限りだと仲が良さそうです。
私はお燐とお空が思い当たりました。彼女達は私の身近にいる、仲の良いコンビですからね。
さて、次は「些細な行き違い」について考えてみましょうか。
些細なというぐらいですから、きっと大した事ではないでしょう。
賽銭をこっそり盗んだ?魔理沙のシチューの味にケチをつけた?あるいは服装の趣味?
なんでもいいですよ、些細な話なんですから。あまり大袈裟にやると収拾をつけるのが大変です。
お燐とお空だったらそうですね、二人で居る時に見つけた綺麗な石の取り合いなんてどうですか?
喧嘩しっぱなしだったら後味が悪いですからね。彼女達には仲直りをして欲しい、そう思いませんか?
これで物語が一つ出来ました。「些細な行き違いで喧嘩をした二人が仲直りをする」。
ただ、いきなり仲直りしたのでは誰も納得しません。それだったら最初から喧嘩するなと思う筈です。
それに貴方が知っている霊夢と魔理沙は、喧嘩した直後にいきなり仲直りをするような二人ではないでしょう。
何かが起こるはずです。
霊夢が神社で一人、昔の事を思い出して反省してもいいですし、魔理沙が古道具屋の話を聞いて思い直してもいい。
それで思い直して、友人の事を思って仲直りするわけです。
「霊夢と魔理沙がシチューの味付けを巡って喧嘩するが、霊夢は昔、魔理沙に食べさせてもらったシチューの事を思い出して、仲直りする」
こんな感じでどうですか?
お燐とお空の話は「綺麗な石を巡って二人で大喧嘩した挙げ句、地霊殿を半壊させ、私に怒られて仲直りする」なんて馬鹿馬鹿しい話がいいかもしれませんね。
【力を入れるポイントについて】
「霊夢と魔理沙がシチューの味付けを巡って喧嘩するが、霊夢は昔、魔理沙に食べさせてもらったシチューの事を思い出して、仲直りする」
この話を書くとしたら、どこの描写に力をいれるべきでしょうか。
ストーリーの流れとしては「昔食べさせてもらったシチューを思い出して」の降りが一番重要なポイントです。
そのシチューは美味しかったのでしょうか?あるいはシチューを食べながら、大事な話でもしたのでしょうか?
色々考えるべき事があります。ここが盛り上がれば盛り上がる程、「仲直りする」の落ちの説得力がつきますからね。
逆に、喧嘩の描写はそれほど力をいれなくてもいいでしょう。
よく起承転結とはいいますが、そこはあくまで「起」です。
では、お空達の話はどうでしょう。
「綺麗な石を巡って二人で大喧嘩した挙げ句、地霊殿を半壊させ、私に怒られて仲直りする」
この話は「大喧嘩した挙げ句、地霊殿を半壊」が盛り上がるポイントになりますので、地霊殿を半壊させるような大暴れっぷりを見せつけなければなりません。
お空は確かにあまり賢くないですが、いきなり地霊殿を吹き飛ばす程ではありません。
きっとお燐との売り言葉に買い言葉、軽いジャブに始まる取っ組み合いを経て半壊に至っている筈です、そう思いませんか?
よって、こちらの物語なら喧嘩が見せ場になります。
コメディータッチでいくなら、馬鹿馬鹿しいのがいいでしょう、途中、厨房でパイ投げを始めるとかね。
ストーリーと同様に、背景や小道具にも力を入れるべきポイントというのは存在します。
今回は短編を前提にお話を進めていますので、全体の描写は簡潔に進めていくと仮定します。
しかし、それでも手を抜いてはいけないところがあります。
霊夢と魔理沙の話であれば、ずばり「シチュー」がそれです。
どの様な具が入っていて、何が気にくわなくて、どんな味で、昔のシチューはどうなのか。
この辺りが具体的であれば、物語の説得力が増します。
お空とお燐の話でしたら「綺麗な石」と「地霊殿」でしょうかね。
二人が喧嘩を始めるぐらいなのですから、余程綺麗な石に決まっています。
地霊殿も頑丈で立派な作りにした方が、どれだけ盛大な喧嘩であるかが引き立ちます。
この様に、背景や小物の描写に関しては、ディテールが要求される箇所というのは確実に存在します。
逆に、どうでもいい、と言ってしまうとあれなのですが、細かく書き込む必要のない箇所というのも存在はしています。
シチューを食べている部屋、恐らく神社の一室か魔理沙の家なのでしょう。それだけで充分です。
畳の色褪せ具合や障子の破れが幾つあるかとか、棚に何本の硝子瓶が並んでいて、どんな色の魔法薬が詰まっているかとかは拘る必要はありません。
何でもかんでも細かく書こうとすると冗長になってしまいますし、読み手は退屈してしまいます。
読み手は「そこで何が起こるか」が知りたいのですからね。シチューと畳は関係ないでしょう?そういう事です。
【情景描写について】
話ついでに情景描写についても触れておきましょうか。
シンプルな短編であれば、情景描写に力を入れすぎるとすぐに短編の域を超えてしまいます。
本筋に影響が出ない程度にやるのが宜しいかと思います。
もっとも、この辺りは題材にもよるんですがね。
H.P.ラヴクラフトはご存じですか?
ああ、ご存じでしたか。話が早くて結構な事です。
あの作家のように、異世界に行くであったり、怪異が起きて世界が変貌する、と言うことを物語の主軸にするのであれば、精密な情景描写は避けて通れません。
あの手の物語は、そこで手抜きしてしまうと、拍子抜けの感が否めませんからね。
それと、キャラクターの動きは重要です。
もう一度言います。キャラクターの動きは重要です。
皆さん、あまり意識されないかもしれませんが、感情や思考というのは動きに出るものです。
覚でもない限り、そういった事を見て、相手が何を考えているのか、今どうなっているのかを把握します。
会話文だけのSSというのを、貴方もきっと一度ならず読んだ事がある筈です。
退屈だし、何が起きているのか解りづらいと思いませんでした?
例えばこんな感じで。
※※※※※
霊夢「ちょっと何よこのシチュー」
魔理沙「何って、私の特製シチューだよ」
霊夢「こんなの食べれるわけないじゃない」
魔理沙「お前なあ、言っていいことと悪い事があるぞ」
霊夢「食べていい物と食べちゃいけない物もあるわ」
※※※※※
何故、最初に名前が書いてあるかというと、名前無しだと誰が喋っているか解らないからですね。
こういう形式のもので、面白い物がないわけではありません。よく引き合いに出されるのだと沙翁でしょうか。
うん?解りませんか?シェイクスピアと言った方が良かったみたいですね。
才能さえあれば、会話文のみで歴史に残る名作を書き上げる事も可能です。才能さえあればね。
しかし、私も貴方もシェイクスピアではありませんので、地の文を挟み込んで、何が起きているのかきちんと解りやすくしなければなりません。
※※※※※
「ちょっと、何よこのシチュー」
鍋の蓋を取って開口一番そう言った霊夢の目には、毒々しい紫色の液体が写っている。
ジャガイモや人参と言った具材は確かにシチューのものだが、ルーの色と、そして何より今にも鍋を溶かしそうな酸性の匂いは、明らかにシチューの範囲を逸脱しているように思えた。
鼻についた匂いに顔を顰める霊夢を見て、魔理沙は怪訝な表情をした後、こともなげに言った。
「何って、私の特製シチューだよ」
「こんなもの食べれるわけないじゃない」
その言葉を聞いた魔理沙の眉が急角度に跳ね上がる。魔理沙は机から身を乗り出し、霊夢に顔を近づけて、先程よりも幾分低い声のトーンで言う。
「お前なあ、言っていい事と悪い事があるぞ」
「食べていい物と食べちゃいけない物もあるわ」
いつもの調子で皮肉を返す霊夢の言葉は、今一つ歯切れが悪い。
※※※※※
これで大分、解りやすくなったと思います。
何が解りやすくなったかと言うと、霊夢や魔理沙がどんな表情をしていて、どんな感情で言葉を発したのかとか。
あるいはこの地の文で、シチューが洒落にならない代物である事も伝わるかと思いますし、このシチューが魔理沙にとって、普通なものである事も伝わると思います。
想像力が豊かな方には「鍋を溶かしそうな酸性の匂い」から、金属の鍋である事まで伝わったかもしれません。
さて、ここでの文章を見て考えて頂きたいのは、私が「霊夢はシチューを見て驚愕した」「魔理沙は怒った」「霊夢は言った事を後悔した」などと書いていないという事です。
この辺りが先程私が言った「感情や思考は動きに出る」の一例です。
こういう表現は、三人称主人公視点や一人称で効果を発揮します。
主人公が私のような覚でない限り、いきなり怒った事を理解するよりも、所作から感情を理解した方がリアリティがありますからね。
それにこのように動きが挟まれた方が、延々続く会話文よりもリズムがあって、読み手も読みやすい事でしょう。
こういう会話の方がリアリティがあります。棒立ちで一切身体を動かさず会話をしている人というのはいないでしょう?
ただ、これもやりすぎると非常に冗長になりますし、実際の会話でもスピーディーな会話の場合は動作をあまり挟まない事もあります。
その辺りはもう、感覚的なものです。動作が重要な感情表現に繋がると貴方が判断したのであれば、書いて下さい。
【心理描写に関して】
所謂、「モノローグ」というやつですね。
その場で起きた事に対して沸き上がる感情であったり、過去の回想であったりとか。
一人称で書く場合の旨味の一つです。
ただし、これを頻繁に挟むと非常に冗長になります。もっとも、モノローグ自体が面白いものであれば、それが売りになったりしますので、一概に悪いとは言えません。
基本、長めのモノローグを挟むのであれば、私室に一人でいる時や、雑踏を眺めながら昔を思い出す時など、「一人でいて、暇な時間の時」にするのが宜しいかと思います。
敵と死闘を繰り広げている時や、追っ手から逃げる為に全力疾走している時に回想にひたるというのもおかしなものですし、スピード感を損ないますからね。
少し捻ったやり方では、特定のキーワード、キーアイテムを鍵にして、モノローグに入らせるという手法があります。勿論、それが物語後半の鍵になる場合に限ります。
あるいは短編でしたら、それそれものが過去の物語への導入であったりもします。
例えば霖之助主人公の一人称だとして。
※※※※※
「そう言えば、こんなもん拾ったんだよ」
そう言って、魔理沙は愛用の鞄に手を突っ込んでごそごそと手を動かす。
やがて鞄から出てきた彼女の白い手には、銀色の短剣が握られていた。
短剣をカウンターに置いて、僕の目を見て悪戯っぽく笑って言った。
「これ、そそらないか?」
僕は手を伸ばして短剣を取り上げ、机に置いたランタンの灯りにかざしてみる。
精緻な唐草模様が施された銀の鞘に収まった短剣で、柄には青緑色の大振りなトルコ石が埋められている。
その色を見た時、不意にある夏の日の事を思い出した。
※※※※※
と、まあこんな感じで過去の回想を始めるわけです。
過去からの回帰は魔理沙に「おい、ちゃんと話聞いてたか?」とでも声を掛けさせればいいでしょう。
この辺りは、非常に使い古された導入ですので、貴方もどこかで目にしているとは思います。
あと、心理描写で問題になるのは「主人公以外の心理描写」です。
三人称の「神の視点」からの物語であれば問題はないのですが、三人称主人公視点や一人称では一つの課題になります。
ところが、それに対する回答は既に貴方は知っています。
さっき、私は言いましたね?「感情は所作に表れる」という事を。
表情や手の動き、身体の動き等を見て、主人公に感じさせればいいのです。
皆自然にやっている事ですし、貴方の物語の主人公です。主人公にはそれぐらいの鋭さは期待してもいいところでしょう。
コメディであれば逆に、主人公が徹底的に鈍いというのも、一つのお約束ではあります。ラブコメなんかだと手垢が付きすぎるぐらいにこの手の主人公についての話があります。
【キャラクターのらしさについて】
二次創作では、「○○らしい」「○○らしくない」という事が良く取り沙汰されますね。
まあ、好きな作品の二次創作を読む人なんてのは、自分の好きなキャラクターが自分の好きな世界で動き回るのを見たいのですから、当然の欲求でしょう。
ではどういったところで「そのキャラらしさ」というのは表現されるのでしょうか。
まず、前提としてそのキャラの背景や口調ぐらいは把握しておきましょう。その方が違和感が少なくなります。
その上で、何かを書く時、「その表現がそのキャラにとって適切かどうか」を真剣に考えるようにしてください。
まず会話から例を挙げてみましょう。
シーンはそうですね、紅魔館の一室。魔理沙と誰かが会話しています。そこで魔理沙が下手な冗談を言って、誰かがこう返します。
「バッカじゃないの」
さて、誰でしょう?
紅魔館で会話をしているのですから、そこの住人が会話相手としては自然ですね。
レミリア、フラン、咲夜、パチュリー、美鈴、小悪魔……。
レミリアやフランでしたら、「バッカじゃないの」はありえそうです。しかし、他の面々でしたらどうでしょう。
パチュリー「バッカじゃないの」
いささか、違和感がありませんか?
勿論、慣れ慣れしい口を聞かせる事によって、魔理沙との親密さを伝えるという手法もあります。
では美鈴でしたらどうでしょうか。
美鈴「バッカじゃないの」
かなり違和感がありますね。
これは私の主観なのですが、パチュリーであれば下手な冗談は鼻先で笑って無視しそうですし、美鈴でしたら苦笑いして「いやあ、流石にそれはないでしょう」とか礼儀正しく否定しそうです。
恐らく、私のこの意見はある程度の方にご納得頂けると思います。
次に、所作です。
感情表現と同じぐらい、所作によって、その人らしさというのを表現する事が出来ます。
例えば「笑う」という動作がありますね。その動作の中でも、更に細かく表現が別れます。「大口を開けて笑う」とか「微笑む」とか。
そう言った所作の中から、そのキャラクターに似つかわしそうなものを選んであげてください。
勇儀でしたら「白い歯を見せて、大声で笑った」なんて、彼女の人となりに見合うでしょう。
私であれば「口角を僅かに吊り上げた」とかでどうですか?
表情だけではなくて、タイミングや状況でらしさを表現する事も可能です。
こいしなら、皆が困っている時に「唐突に笑声を上げ」るかもしれませんね。パルスィならカップルが破局した時に「満面の笑み」を見せてくれるでしょう。
あとは小道具でしょうか。
一つ、想像してみてください。
今、貴方は地霊殿の廊下を歩いています。目的地は私の部屋です。
私の部屋の扉を開けた時、私は何かを手にとって暇つぶしをしていました。
何を持っていた、あるいは何をしていたと思いますか?
恐らく「ジャンプを読んでいた」「ダンベルで筋トレをしていた」よりも「小説を読んでいた」「新作の小説を執筆していた」と考えた人が多いでしょう。
こういった「そのキャラがいかにも持ってそうな小道具」を作中にさりげなく登場させたり、それを使わせる事によって、キャラのらしさを演出する事が出来ます。
勿論、物語への関わり方、例えばどの様な問題にどういったスタンスで関わるのか、とかで表現する事も出来ます。
しかし、それらで表現されるのは、ある意味当然の事とも言えます。
物語に関わる為に主人公が居るわけですし、主人公ではない他のキャラクターも、物語に何らかの形で関わる為に登場しているわけですから。
そこまでは皆やります。そこからの差別化、貴方だけが書けるキャラクターの「らしさ」というのは、むしろ細かいところに宿るものなのです。
【オリキャラについて】
キャラクターの話が出たんで、オリキャラについても触れておきましょうか。
私はオリキャラ容認派です。
何故なら、オリキャラにしか出来ないストーリー上の仕事と言うのは確実にあります。
よくあるところではルーミア辺りを主役にした「人食い物」とか、妖怪らしい一面をクローズアップした「ホラー物」なんかですね。
そういった物語で、哀れな犠牲者の役をやってもらうには、オリキャラが一番です。
貴方がもう少し筆力に自信があったり、長い物が書ける精神力があるのであれば先に触れたような八雲紫に取って変わろうとする大妖怪を考えてもいいでしょう。
あるいは、異変を食い止める為に召還された外の世界の戦士の物語。人里に住まう平凡な人物が幻想郷で生きる様子を克明に描写した日常物。色々ありますね。
オリキャラに必要なのは物語に対する「必然性」です。
オリキャラが果たす役割は、東方のキャラクター達には務まらないものでなければなりません。
異変解決物だとして、何故霊夢や魔理沙ではダメなのでしょうか?そこを明確にする必要があります。
そこが明確に出来ない、あるいは説得力を持たせられないのであれば、素直に既存のキャラに務めてもらったほうがいいですね。
色々面倒なんですよ、オリキャラって。
既存のキャラであれば、設定に関しては書き手と読み手の間で相互理解がありますから、その辺りをあえて書かずに済みます。
ところが、オリキャラとなると、そこを省略するわけにはいきません。当然、書く事は増えます。
そういった面倒も踏まえた上で、登場すべきかどうか、考えてみた方がいいでしょう。
【クロスオーバー】
ついでに他作品とのクロスオーバーにも触れておきましょう。
難しいです。これで終わりにしていいですか。
読み手が東方を好きなのは当然なのですが、その人がクロスオーバー対象を好きか、どの程度の知識があるのか?というのが問題になります。
それなりにマニアックな題材であれば、どうしても解説が必要になります。自分の作品を読んで貰うのに「先に○○wikiを読んで下さい」と書けるぐらい厚顔なら話は別ですがね。
そこまで手間暇を書けた上で、東方のサイトに投稿するのであれば、東方の物語にしなければなりません。
果たしてそれが効率的なのでしょうか。
もっというと、面白くなるのでしょうか?
海外コミックなんかでは、クロスオーバーの傑作は幾つもありますので、クロスオーバーを否定する気はありません。
ただ、オリキャラ以上に難しい題材である事は断言しておきます。
【推敲について】
物語を書き終わった後で、もう一度読み返しながら文章を練り直したり、ある単語をもっと気の利いた物に入れ替えられないか考えたりする作業を「推敲」と言います。
一般的には、書き上げてから少し日にちを置いて、冷静な頭で客観的にやるスタイルが主流のようです。
推敲に関するスタンスは書き手によって様々ですね。「推敲こそ物書きの本道である」とする人もいますし「あんまりやらんね」という人もいます。
私はあまり推敲を熱心にやるクチではないので、分類としては後者でしょうか。
ただ、物を書くという人間で「全く推敲なんぞやらん、一発書きでええんや!」という人は、今のところお目に掛かった事はありません。
推敲のスタイルも人によって様々なのですが、私は削れる文章を削って、無駄な情報を減らすのに終始する事が多いです。
基本、筆がのっている時はさらさらと書き進めていけるのですが、推敲の段になって読み返してみて「ここの一文は無くても解るわね」というような所を削ります。
ある文筆家に言わせると「素人の文章が読みづらい原因は、概ね書き過ぎに起因する」そうですよ。
そんな中でも「この一文は必要不可欠ではないけれど、妙に味があっていい」というところは残します。
あとは言い回しや単語ですね。先に触れたような考え方で、より適切な表現がないか、とか、味わい深いのはどっちかとかも考えます。
台詞は音読してみて、「無理なく喋れそうか」をとにかく気にします。こだわる時は、句点を打つか打たないかで悩みます。
そういう作業を繰り返すのが推敲です。あまりに熱心にやらない派の私でもこれぐらいなので、こだわる派の方はもっとやっている事でしょう。
実際、推敲の効果は高いと思います。
平凡な一文が、我が意を得たりというような表現になったり、一文を削った事で全体が引き締まったり。
あるいは、読み返して最後に思いついた一文を書き足して、それが評価されるような事もあります。
ただ、誤解を恐れずに言うと、推敲は魔法ではありません。
何が言いたいかと言うと、残飯にキャビアを掛けても、基本的に残飯であるという事です。
書いていて今一つだけど、推敲したら面白くなるだろう。
そんな事を考えて書き進めるのは手抜きでしかありません。書き手が面白いと思わない事を書いたものを、誰が面白いと思うのでしょうか。
気にくわない箇所を推敲を待たずして書き直すか、いっそのこと全ボツにして新しく書く事をお勧めします。
それが面倒な方は物を書くのを諦めて、モンハンでもやったらどうでしょうか。
【語彙について】
あった方がいいです。
ただし、語彙があれば面白いものが書けるという事ではありませんし、難しい言葉を使ったら美文になるというものではありません。
あった方が表現に幅が出る、というのは間違いないのですが、語彙が多いから面白い、という事ではないです。
この辺りは推敲の「キャビアと残飯の理論」ですね。
実際、平易な言葉で書かれた名作・名文というものは星の数ほどありますし、汚い言葉で書かれた面白い作品も大量にあります。
それに、状況によっては、取り澄ましたお上品な言葉よりも、シンプルな言葉や汚い言葉の方が説得力を生むというものです。
例えばチルノ主人公の一人称視点で。
※※※※※
大ちゃんから受け取った乳白色のキャンディの曲線には、どこか遠い海に住まう海豚を思わせる優美さが備わっていた。
このキャンディの居場所はあたいの口中ではなく、濃い霧の漂う静かな湖の湖底こそが相応しいと感じられ、あたいはそれを実行に移した。
※※※※※
ああ「馬鹿じゃねえの」「流石にそれはねーよ」ですか。ありがとうございます。
つまり、そういう事です。
書きたい物語に過不足ない言葉を使えるのであれば、それ以上の問題はないという事です。
結局、何が書けるかの問題なのですからね。
語彙を増やすのであれば、これはもう読書しかありません。
読書からは、言葉以外にも学ぶべき事があります。
実際に実力ある作家が「どのような流れでストーリーを展開するか」です。これはかなり勉強になります。
特定ジャンルの作品を絞って読めば、そのジャンルに通底する「作法」みたいなものも学習できます。
一定のジャンルを読み続けると解るのですが、コメディにはコメディの、ホラーにはホラーの作法が存在しています。
どれを読めばいいか解りません、と言われても、私にだって貴方が何を読んでいいのか解りません。
日本文学の名作が参考になる人もいれば、パルプ雑誌の三文小説で何かに気が付く人もいるでしょう。
基本的には、貴方が書きたいと思うジャンルの作品の先駆者のものを読めばいいと思います。
幅広く色々読みたい、という方には私の好みになってしまうのですが、筒井康隆の全集通し読みをお勧めしておきます。
色々幅広い作品が書かれていますし、それなりにお堅く見えますので、カバー無しで電車で読んでも大丈夫です。
ひょっとしたら老人が嫌な顔をするかもしれませんが、その際は目測で棺桶の大きさでも測ってやってください。
【最後に】
だいたいこんなところでしょうかね。
随分と長話になってしまいました。
最後に言っておきましょう。あまり作品の評価を気にしない事です。
物を書く以上、誰かに評価してもらいたいという欲求は否定できません。
しかし、その評価が好意的であるにせよ、否定的であるにせよ、評価は評価です。
好意的なもので「○○が良かった」というのは次回作への参考になるでしょう。
「○○はどうかと思ったね」という否定的意見も、改善の一案になるでしょう。
「死ね」「つまんない」という類は鼻で笑って放置しておけばいいと思います。
しかし、これらの評価を気にしすぎるあまり、自分の書きたい事を書かないようになるのが一番良くありません。
所詮趣味でやってるんですから、あくまで、自分の意志で何を書くのか、書かないのか決めてください。
おや、どうしました?
新作のプロットが思い浮かんだんで帰る?
そうですか。私の話が少しでもお役に立てば幸いです。
貴方の新作が幻想入りしない事を、ここでお祈りしていますよ。
それでは、ごきげんよう。
それで御用はなんでしょう。解っていますが、一応聞いてあげます。礼儀作法ですから。
成る程、自分のSSが酷評されてどうしていいか解らなくなってしまって、色々と迷ってるうちにここに迷い込んだと。
ああ、そんな顔はしないでください。私は覚ですからね。しかしながら、貴方は幸運な人です。よりによって物書きの端くれたる私の前に迷い込んできたのですから。
紅魔館のフランちゃんの方が良かった?そこまで自殺願望があったとは思いませんでしたよ。
まあ、とりあえずそこに掛けて下さい。今、お燐にお茶でも淹れさせますから。
せっかくだから私が少しお話をしてあげましょう。執筆の合間にこういう息抜きもいいものでしてね。
どうやら貴方は初心者のようですし、私でも少しは教えてあげる事が出来そうです。
と、言っても何分道楽で書いている人間の言葉ですから、貴方が小説の書き方の書籍であったり、そういった事柄について纏めたサイトに心当たりがあれば、そちらを読んだ方が勉強になるでしょう。
【分量について】
貴方の作品は拝読しました。
うん?パソコンがないのにどうやって読んだんだって?貴方の心にあった作品の記憶を読んだんです。先程申し上げた通り、私は覚ですから。
色々とアドバイスをしてあげたいのですが、どこからいきましょうか。そうですね、分量からいきましょうか。
文章を初めて書く時は短めの方がいい。これは確かに真理です。どれだけの作家が長編を完結させる事が出来なかったか考えると、全くもってその通り。
しかしですね、短すぎる文章というのは難しいものなんですよ。
掌編やショートショートと言われるスタイルのものは、筆者の力量と落ちの切れ味の要求ハードルが非常に高い。
落ちなくてもいいじゃないかとはあんまりですね。まあ、随筆なんかがそういう類のものでしょう。
ただ、普通の人の随筆なんか読んでも、誰も面白くありませんよ。
あれは功なり名なり遂げた文筆家や、身分の高い人の「よしなしごと」が書きつづられているから面白いんです。
貴方の身なりを見る限りでは、失礼ですが、そういった方には見えませんね。
そうなってくると、落ちは必要です。
余程キレのある落ちでない限り、ある程度、ストーリーの中で持ち上げていく必要があります。その方が落差がつきますからね。
そうなってくると、一定量の分量が必要です。短い物語だと落ちに相応しい高さまで持ち上げる事が出来ませんから。
なので、最初は短編ぐらいの分量をお勧めしますよ。
【登場キャラクターについて】
さて、短編を書くとしましょう。
といっても、貴方が書くのはオリジナルではなく、東方の二次創作ですよね?
二次創作で物語を書くとき、書き始め方としては大きく分けて二通りのやりかたがあります。
一つは「書きたいキャラクターを決めて、そのキャラクターの為の物語を作る方法」。
もう一つは「自分の考えたストーリーに当てはまるキャラを選んで、物語を書く方法」。
どちらが正しいという事はないと思います。
貴方はフランが好きなようですし、フランちゃんの事を書きたい!それで結構だと思いますよ。
さてさて、貴方の愛するフランちゃんがどんな子なのか、貴方はご存じですね。
彼女の仲のいい人は誰でしょう?彼女は普段どんな事をしているのでしょうか?あるいは、どんな事をしそうですか?
と、この様に、ちょっと考えるだけでお話が出来てしまいますね。
ここで注意して頂きたいのは「出すキャラクターの数」です。これはどんな手法で話を作った時にでも言えます。
キャラクターを出せば出す程、話の進行やキャラクターの管理が面倒になります。
先の例で言えば、フランといえば紅魔館。間違ってはいないでしょう。
だからといって、館の住人総出になるようなお話ですと、これはもう大変です。
勿論、複数のキャラクターの思惑や行動が絡まって物語が進行する、群像劇というのもありますが、あまり短編向きではありません。
理由は簡単。書く事が多いからです。それに管理が複雑になる分、初心者向けとは言い難いですね。
最初のうちは、絡むキャラクターが二、三人のシンプルなものが宜しいでしょう。
人数が少なくても、一人あたりの事を濃密に書けば、その分詳細に書けますから。
【題材について】
次に題材の話をしましょうか。
ついでに、少し例を挙げて「自分の考えたストーリーに当てはまるキャラを選んで、物語を書く」も実践してみましょう。
さて、お話作りの黄金律として、一つの事があります。
「知っている事を書け」
これです。
例えば、貴方は八雲紫に取って変わろうとする大妖怪や、幻想郷転覆をたくらむテロリストの事をご存じでしょうか。
恐らくご存じないでしょうね。私も知りません。
物書きというのは想像力の生き物ですから、そこに思い至る人というのも、中にはいるでしょう。
しかしながら、そういったスケールの大きな話というのは、短編に不向きです。
恐らく、テロリスト首謀者の動機だけで一つの短編が出来るぐらいの分量になるでしょうね。
よって、そういう物語は駆け出しには不向きです。
そこで「知っている事を書け」です。
貴方は恐らく、色々な事を知っています。
些細な行き違いで喧嘩になってしまう事、一昨日の晩ご飯が美味しかった事、夕日が綺麗な事。
学生であれば学校で何が起きているのかご存じでしょうし、勤め人であれば自分の仕事の事はご存じでしょう。
それと、幻想郷に住まう様々な人々の性格や付き合い、習慣についてもご存じでしょう。
まずはそういったところから始めるといいと思いますよ。
例えばそうですね。「些細な行き違いで喧嘩になってしまう」でいきましょうか。
行き違いで喧嘩になってしまうのですから、多分喧嘩した者達は仲が良い筈ですね。
誰が思い当たりましたか?霊夢と魔理沙。成る程、確かに仲が良い。蓮子とメリーというお二人の事は私は知りませんが、貴方の心を見る限りだと仲が良さそうです。
私はお燐とお空が思い当たりました。彼女達は私の身近にいる、仲の良いコンビですからね。
さて、次は「些細な行き違い」について考えてみましょうか。
些細なというぐらいですから、きっと大した事ではないでしょう。
賽銭をこっそり盗んだ?魔理沙のシチューの味にケチをつけた?あるいは服装の趣味?
なんでもいいですよ、些細な話なんですから。あまり大袈裟にやると収拾をつけるのが大変です。
お燐とお空だったらそうですね、二人で居る時に見つけた綺麗な石の取り合いなんてどうですか?
喧嘩しっぱなしだったら後味が悪いですからね。彼女達には仲直りをして欲しい、そう思いませんか?
これで物語が一つ出来ました。「些細な行き違いで喧嘩をした二人が仲直りをする」。
ただ、いきなり仲直りしたのでは誰も納得しません。それだったら最初から喧嘩するなと思う筈です。
それに貴方が知っている霊夢と魔理沙は、喧嘩した直後にいきなり仲直りをするような二人ではないでしょう。
何かが起こるはずです。
霊夢が神社で一人、昔の事を思い出して反省してもいいですし、魔理沙が古道具屋の話を聞いて思い直してもいい。
それで思い直して、友人の事を思って仲直りするわけです。
「霊夢と魔理沙がシチューの味付けを巡って喧嘩するが、霊夢は昔、魔理沙に食べさせてもらったシチューの事を思い出して、仲直りする」
こんな感じでどうですか?
お燐とお空の話は「綺麗な石を巡って二人で大喧嘩した挙げ句、地霊殿を半壊させ、私に怒られて仲直りする」なんて馬鹿馬鹿しい話がいいかもしれませんね。
【力を入れるポイントについて】
「霊夢と魔理沙がシチューの味付けを巡って喧嘩するが、霊夢は昔、魔理沙に食べさせてもらったシチューの事を思い出して、仲直りする」
この話を書くとしたら、どこの描写に力をいれるべきでしょうか。
ストーリーの流れとしては「昔食べさせてもらったシチューを思い出して」の降りが一番重要なポイントです。
そのシチューは美味しかったのでしょうか?あるいはシチューを食べながら、大事な話でもしたのでしょうか?
色々考えるべき事があります。ここが盛り上がれば盛り上がる程、「仲直りする」の落ちの説得力がつきますからね。
逆に、喧嘩の描写はそれほど力をいれなくてもいいでしょう。
よく起承転結とはいいますが、そこはあくまで「起」です。
では、お空達の話はどうでしょう。
「綺麗な石を巡って二人で大喧嘩した挙げ句、地霊殿を半壊させ、私に怒られて仲直りする」
この話は「大喧嘩した挙げ句、地霊殿を半壊」が盛り上がるポイントになりますので、地霊殿を半壊させるような大暴れっぷりを見せつけなければなりません。
お空は確かにあまり賢くないですが、いきなり地霊殿を吹き飛ばす程ではありません。
きっとお燐との売り言葉に買い言葉、軽いジャブに始まる取っ組み合いを経て半壊に至っている筈です、そう思いませんか?
よって、こちらの物語なら喧嘩が見せ場になります。
コメディータッチでいくなら、馬鹿馬鹿しいのがいいでしょう、途中、厨房でパイ投げを始めるとかね。
ストーリーと同様に、背景や小道具にも力を入れるべきポイントというのは存在します。
今回は短編を前提にお話を進めていますので、全体の描写は簡潔に進めていくと仮定します。
しかし、それでも手を抜いてはいけないところがあります。
霊夢と魔理沙の話であれば、ずばり「シチュー」がそれです。
どの様な具が入っていて、何が気にくわなくて、どんな味で、昔のシチューはどうなのか。
この辺りが具体的であれば、物語の説得力が増します。
お空とお燐の話でしたら「綺麗な石」と「地霊殿」でしょうかね。
二人が喧嘩を始めるぐらいなのですから、余程綺麗な石に決まっています。
地霊殿も頑丈で立派な作りにした方が、どれだけ盛大な喧嘩であるかが引き立ちます。
この様に、背景や小物の描写に関しては、ディテールが要求される箇所というのは確実に存在します。
逆に、どうでもいい、と言ってしまうとあれなのですが、細かく書き込む必要のない箇所というのも存在はしています。
シチューを食べている部屋、恐らく神社の一室か魔理沙の家なのでしょう。それだけで充分です。
畳の色褪せ具合や障子の破れが幾つあるかとか、棚に何本の硝子瓶が並んでいて、どんな色の魔法薬が詰まっているかとかは拘る必要はありません。
何でもかんでも細かく書こうとすると冗長になってしまいますし、読み手は退屈してしまいます。
読み手は「そこで何が起こるか」が知りたいのですからね。シチューと畳は関係ないでしょう?そういう事です。
【情景描写について】
話ついでに情景描写についても触れておきましょうか。
シンプルな短編であれば、情景描写に力を入れすぎるとすぐに短編の域を超えてしまいます。
本筋に影響が出ない程度にやるのが宜しいかと思います。
もっとも、この辺りは題材にもよるんですがね。
H.P.ラヴクラフトはご存じですか?
ああ、ご存じでしたか。話が早くて結構な事です。
あの作家のように、異世界に行くであったり、怪異が起きて世界が変貌する、と言うことを物語の主軸にするのであれば、精密な情景描写は避けて通れません。
あの手の物語は、そこで手抜きしてしまうと、拍子抜けの感が否めませんからね。
それと、キャラクターの動きは重要です。
もう一度言います。キャラクターの動きは重要です。
皆さん、あまり意識されないかもしれませんが、感情や思考というのは動きに出るものです。
覚でもない限り、そういった事を見て、相手が何を考えているのか、今どうなっているのかを把握します。
会話文だけのSSというのを、貴方もきっと一度ならず読んだ事がある筈です。
退屈だし、何が起きているのか解りづらいと思いませんでした?
例えばこんな感じで。
※※※※※
霊夢「ちょっと何よこのシチュー」
魔理沙「何って、私の特製シチューだよ」
霊夢「こんなの食べれるわけないじゃない」
魔理沙「お前なあ、言っていいことと悪い事があるぞ」
霊夢「食べていい物と食べちゃいけない物もあるわ」
※※※※※
何故、最初に名前が書いてあるかというと、名前無しだと誰が喋っているか解らないからですね。
こういう形式のもので、面白い物がないわけではありません。よく引き合いに出されるのだと沙翁でしょうか。
うん?解りませんか?シェイクスピアと言った方が良かったみたいですね。
才能さえあれば、会話文のみで歴史に残る名作を書き上げる事も可能です。才能さえあればね。
しかし、私も貴方もシェイクスピアではありませんので、地の文を挟み込んで、何が起きているのかきちんと解りやすくしなければなりません。
※※※※※
「ちょっと、何よこのシチュー」
鍋の蓋を取って開口一番そう言った霊夢の目には、毒々しい紫色の液体が写っている。
ジャガイモや人参と言った具材は確かにシチューのものだが、ルーの色と、そして何より今にも鍋を溶かしそうな酸性の匂いは、明らかにシチューの範囲を逸脱しているように思えた。
鼻についた匂いに顔を顰める霊夢を見て、魔理沙は怪訝な表情をした後、こともなげに言った。
「何って、私の特製シチューだよ」
「こんなもの食べれるわけないじゃない」
その言葉を聞いた魔理沙の眉が急角度に跳ね上がる。魔理沙は机から身を乗り出し、霊夢に顔を近づけて、先程よりも幾分低い声のトーンで言う。
「お前なあ、言っていい事と悪い事があるぞ」
「食べていい物と食べちゃいけない物もあるわ」
いつもの調子で皮肉を返す霊夢の言葉は、今一つ歯切れが悪い。
※※※※※
これで大分、解りやすくなったと思います。
何が解りやすくなったかと言うと、霊夢や魔理沙がどんな表情をしていて、どんな感情で言葉を発したのかとか。
あるいはこの地の文で、シチューが洒落にならない代物である事も伝わるかと思いますし、このシチューが魔理沙にとって、普通なものである事も伝わると思います。
想像力が豊かな方には「鍋を溶かしそうな酸性の匂い」から、金属の鍋である事まで伝わったかもしれません。
さて、ここでの文章を見て考えて頂きたいのは、私が「霊夢はシチューを見て驚愕した」「魔理沙は怒った」「霊夢は言った事を後悔した」などと書いていないという事です。
この辺りが先程私が言った「感情や思考は動きに出る」の一例です。
こういう表現は、三人称主人公視点や一人称で効果を発揮します。
主人公が私のような覚でない限り、いきなり怒った事を理解するよりも、所作から感情を理解した方がリアリティがありますからね。
それにこのように動きが挟まれた方が、延々続く会話文よりもリズムがあって、読み手も読みやすい事でしょう。
こういう会話の方がリアリティがあります。棒立ちで一切身体を動かさず会話をしている人というのはいないでしょう?
ただ、これもやりすぎると非常に冗長になりますし、実際の会話でもスピーディーな会話の場合は動作をあまり挟まない事もあります。
その辺りはもう、感覚的なものです。動作が重要な感情表現に繋がると貴方が判断したのであれば、書いて下さい。
【心理描写に関して】
所謂、「モノローグ」というやつですね。
その場で起きた事に対して沸き上がる感情であったり、過去の回想であったりとか。
一人称で書く場合の旨味の一つです。
ただし、これを頻繁に挟むと非常に冗長になります。もっとも、モノローグ自体が面白いものであれば、それが売りになったりしますので、一概に悪いとは言えません。
基本、長めのモノローグを挟むのであれば、私室に一人でいる時や、雑踏を眺めながら昔を思い出す時など、「一人でいて、暇な時間の時」にするのが宜しいかと思います。
敵と死闘を繰り広げている時や、追っ手から逃げる為に全力疾走している時に回想にひたるというのもおかしなものですし、スピード感を損ないますからね。
少し捻ったやり方では、特定のキーワード、キーアイテムを鍵にして、モノローグに入らせるという手法があります。勿論、それが物語後半の鍵になる場合に限ります。
あるいは短編でしたら、それそれものが過去の物語への導入であったりもします。
例えば霖之助主人公の一人称だとして。
※※※※※
「そう言えば、こんなもん拾ったんだよ」
そう言って、魔理沙は愛用の鞄に手を突っ込んでごそごそと手を動かす。
やがて鞄から出てきた彼女の白い手には、銀色の短剣が握られていた。
短剣をカウンターに置いて、僕の目を見て悪戯っぽく笑って言った。
「これ、そそらないか?」
僕は手を伸ばして短剣を取り上げ、机に置いたランタンの灯りにかざしてみる。
精緻な唐草模様が施された銀の鞘に収まった短剣で、柄には青緑色の大振りなトルコ石が埋められている。
その色を見た時、不意にある夏の日の事を思い出した。
※※※※※
と、まあこんな感じで過去の回想を始めるわけです。
過去からの回帰は魔理沙に「おい、ちゃんと話聞いてたか?」とでも声を掛けさせればいいでしょう。
この辺りは、非常に使い古された導入ですので、貴方もどこかで目にしているとは思います。
あと、心理描写で問題になるのは「主人公以外の心理描写」です。
三人称の「神の視点」からの物語であれば問題はないのですが、三人称主人公視点や一人称では一つの課題になります。
ところが、それに対する回答は既に貴方は知っています。
さっき、私は言いましたね?「感情は所作に表れる」という事を。
表情や手の動き、身体の動き等を見て、主人公に感じさせればいいのです。
皆自然にやっている事ですし、貴方の物語の主人公です。主人公にはそれぐらいの鋭さは期待してもいいところでしょう。
コメディであれば逆に、主人公が徹底的に鈍いというのも、一つのお約束ではあります。ラブコメなんかだと手垢が付きすぎるぐらいにこの手の主人公についての話があります。
【キャラクターのらしさについて】
二次創作では、「○○らしい」「○○らしくない」という事が良く取り沙汰されますね。
まあ、好きな作品の二次創作を読む人なんてのは、自分の好きなキャラクターが自分の好きな世界で動き回るのを見たいのですから、当然の欲求でしょう。
ではどういったところで「そのキャラらしさ」というのは表現されるのでしょうか。
まず、前提としてそのキャラの背景や口調ぐらいは把握しておきましょう。その方が違和感が少なくなります。
その上で、何かを書く時、「その表現がそのキャラにとって適切かどうか」を真剣に考えるようにしてください。
まず会話から例を挙げてみましょう。
シーンはそうですね、紅魔館の一室。魔理沙と誰かが会話しています。そこで魔理沙が下手な冗談を言って、誰かがこう返します。
「バッカじゃないの」
さて、誰でしょう?
紅魔館で会話をしているのですから、そこの住人が会話相手としては自然ですね。
レミリア、フラン、咲夜、パチュリー、美鈴、小悪魔……。
レミリアやフランでしたら、「バッカじゃないの」はありえそうです。しかし、他の面々でしたらどうでしょう。
パチュリー「バッカじゃないの」
いささか、違和感がありませんか?
勿論、慣れ慣れしい口を聞かせる事によって、魔理沙との親密さを伝えるという手法もあります。
では美鈴でしたらどうでしょうか。
美鈴「バッカじゃないの」
かなり違和感がありますね。
これは私の主観なのですが、パチュリーであれば下手な冗談は鼻先で笑って無視しそうですし、美鈴でしたら苦笑いして「いやあ、流石にそれはないでしょう」とか礼儀正しく否定しそうです。
恐らく、私のこの意見はある程度の方にご納得頂けると思います。
次に、所作です。
感情表現と同じぐらい、所作によって、その人らしさというのを表現する事が出来ます。
例えば「笑う」という動作がありますね。その動作の中でも、更に細かく表現が別れます。「大口を開けて笑う」とか「微笑む」とか。
そう言った所作の中から、そのキャラクターに似つかわしそうなものを選んであげてください。
勇儀でしたら「白い歯を見せて、大声で笑った」なんて、彼女の人となりに見合うでしょう。
私であれば「口角を僅かに吊り上げた」とかでどうですか?
表情だけではなくて、タイミングや状況でらしさを表現する事も可能です。
こいしなら、皆が困っている時に「唐突に笑声を上げ」るかもしれませんね。パルスィならカップルが破局した時に「満面の笑み」を見せてくれるでしょう。
あとは小道具でしょうか。
一つ、想像してみてください。
今、貴方は地霊殿の廊下を歩いています。目的地は私の部屋です。
私の部屋の扉を開けた時、私は何かを手にとって暇つぶしをしていました。
何を持っていた、あるいは何をしていたと思いますか?
恐らく「ジャンプを読んでいた」「ダンベルで筋トレをしていた」よりも「小説を読んでいた」「新作の小説を執筆していた」と考えた人が多いでしょう。
こういった「そのキャラがいかにも持ってそうな小道具」を作中にさりげなく登場させたり、それを使わせる事によって、キャラのらしさを演出する事が出来ます。
勿論、物語への関わり方、例えばどの様な問題にどういったスタンスで関わるのか、とかで表現する事も出来ます。
しかし、それらで表現されるのは、ある意味当然の事とも言えます。
物語に関わる為に主人公が居るわけですし、主人公ではない他のキャラクターも、物語に何らかの形で関わる為に登場しているわけですから。
そこまでは皆やります。そこからの差別化、貴方だけが書けるキャラクターの「らしさ」というのは、むしろ細かいところに宿るものなのです。
【オリキャラについて】
キャラクターの話が出たんで、オリキャラについても触れておきましょうか。
私はオリキャラ容認派です。
何故なら、オリキャラにしか出来ないストーリー上の仕事と言うのは確実にあります。
よくあるところではルーミア辺りを主役にした「人食い物」とか、妖怪らしい一面をクローズアップした「ホラー物」なんかですね。
そういった物語で、哀れな犠牲者の役をやってもらうには、オリキャラが一番です。
貴方がもう少し筆力に自信があったり、長い物が書ける精神力があるのであれば先に触れたような八雲紫に取って変わろうとする大妖怪を考えてもいいでしょう。
あるいは、異変を食い止める為に召還された外の世界の戦士の物語。人里に住まう平凡な人物が幻想郷で生きる様子を克明に描写した日常物。色々ありますね。
オリキャラに必要なのは物語に対する「必然性」です。
オリキャラが果たす役割は、東方のキャラクター達には務まらないものでなければなりません。
異変解決物だとして、何故霊夢や魔理沙ではダメなのでしょうか?そこを明確にする必要があります。
そこが明確に出来ない、あるいは説得力を持たせられないのであれば、素直に既存のキャラに務めてもらったほうがいいですね。
色々面倒なんですよ、オリキャラって。
既存のキャラであれば、設定に関しては書き手と読み手の間で相互理解がありますから、その辺りをあえて書かずに済みます。
ところが、オリキャラとなると、そこを省略するわけにはいきません。当然、書く事は増えます。
そういった面倒も踏まえた上で、登場すべきかどうか、考えてみた方がいいでしょう。
【クロスオーバー】
ついでに他作品とのクロスオーバーにも触れておきましょう。
難しいです。これで終わりにしていいですか。
読み手が東方を好きなのは当然なのですが、その人がクロスオーバー対象を好きか、どの程度の知識があるのか?というのが問題になります。
それなりにマニアックな題材であれば、どうしても解説が必要になります。自分の作品を読んで貰うのに「先に○○wikiを読んで下さい」と書けるぐらい厚顔なら話は別ですがね。
そこまで手間暇を書けた上で、東方のサイトに投稿するのであれば、東方の物語にしなければなりません。
果たしてそれが効率的なのでしょうか。
もっというと、面白くなるのでしょうか?
海外コミックなんかでは、クロスオーバーの傑作は幾つもありますので、クロスオーバーを否定する気はありません。
ただ、オリキャラ以上に難しい題材である事は断言しておきます。
【推敲について】
物語を書き終わった後で、もう一度読み返しながら文章を練り直したり、ある単語をもっと気の利いた物に入れ替えられないか考えたりする作業を「推敲」と言います。
一般的には、書き上げてから少し日にちを置いて、冷静な頭で客観的にやるスタイルが主流のようです。
推敲に関するスタンスは書き手によって様々ですね。「推敲こそ物書きの本道である」とする人もいますし「あんまりやらんね」という人もいます。
私はあまり推敲を熱心にやるクチではないので、分類としては後者でしょうか。
ただ、物を書くという人間で「全く推敲なんぞやらん、一発書きでええんや!」という人は、今のところお目に掛かった事はありません。
推敲のスタイルも人によって様々なのですが、私は削れる文章を削って、無駄な情報を減らすのに終始する事が多いです。
基本、筆がのっている時はさらさらと書き進めていけるのですが、推敲の段になって読み返してみて「ここの一文は無くても解るわね」というような所を削ります。
ある文筆家に言わせると「素人の文章が読みづらい原因は、概ね書き過ぎに起因する」そうですよ。
そんな中でも「この一文は必要不可欠ではないけれど、妙に味があっていい」というところは残します。
あとは言い回しや単語ですね。先に触れたような考え方で、より適切な表現がないか、とか、味わい深いのはどっちかとかも考えます。
台詞は音読してみて、「無理なく喋れそうか」をとにかく気にします。こだわる時は、句点を打つか打たないかで悩みます。
そういう作業を繰り返すのが推敲です。あまりに熱心にやらない派の私でもこれぐらいなので、こだわる派の方はもっとやっている事でしょう。
実際、推敲の効果は高いと思います。
平凡な一文が、我が意を得たりというような表現になったり、一文を削った事で全体が引き締まったり。
あるいは、読み返して最後に思いついた一文を書き足して、それが評価されるような事もあります。
ただ、誤解を恐れずに言うと、推敲は魔法ではありません。
何が言いたいかと言うと、残飯にキャビアを掛けても、基本的に残飯であるという事です。
書いていて今一つだけど、推敲したら面白くなるだろう。
そんな事を考えて書き進めるのは手抜きでしかありません。書き手が面白いと思わない事を書いたものを、誰が面白いと思うのでしょうか。
気にくわない箇所を推敲を待たずして書き直すか、いっそのこと全ボツにして新しく書く事をお勧めします。
それが面倒な方は物を書くのを諦めて、モンハンでもやったらどうでしょうか。
【語彙について】
あった方がいいです。
ただし、語彙があれば面白いものが書けるという事ではありませんし、難しい言葉を使ったら美文になるというものではありません。
あった方が表現に幅が出る、というのは間違いないのですが、語彙が多いから面白い、という事ではないです。
この辺りは推敲の「キャビアと残飯の理論」ですね。
実際、平易な言葉で書かれた名作・名文というものは星の数ほどありますし、汚い言葉で書かれた面白い作品も大量にあります。
それに、状況によっては、取り澄ましたお上品な言葉よりも、シンプルな言葉や汚い言葉の方が説得力を生むというものです。
例えばチルノ主人公の一人称視点で。
※※※※※
大ちゃんから受け取った乳白色のキャンディの曲線には、どこか遠い海に住まう海豚を思わせる優美さが備わっていた。
このキャンディの居場所はあたいの口中ではなく、濃い霧の漂う静かな湖の湖底こそが相応しいと感じられ、あたいはそれを実行に移した。
※※※※※
ああ「馬鹿じゃねえの」「流石にそれはねーよ」ですか。ありがとうございます。
つまり、そういう事です。
書きたい物語に過不足ない言葉を使えるのであれば、それ以上の問題はないという事です。
結局、何が書けるかの問題なのですからね。
語彙を増やすのであれば、これはもう読書しかありません。
読書からは、言葉以外にも学ぶべき事があります。
実際に実力ある作家が「どのような流れでストーリーを展開するか」です。これはかなり勉強になります。
特定ジャンルの作品を絞って読めば、そのジャンルに通底する「作法」みたいなものも学習できます。
一定のジャンルを読み続けると解るのですが、コメディにはコメディの、ホラーにはホラーの作法が存在しています。
どれを読めばいいか解りません、と言われても、私にだって貴方が何を読んでいいのか解りません。
日本文学の名作が参考になる人もいれば、パルプ雑誌の三文小説で何かに気が付く人もいるでしょう。
基本的には、貴方が書きたいと思うジャンルの作品の先駆者のものを読めばいいと思います。
幅広く色々読みたい、という方には私の好みになってしまうのですが、筒井康隆の全集通し読みをお勧めしておきます。
色々幅広い作品が書かれていますし、それなりにお堅く見えますので、カバー無しで電車で読んでも大丈夫です。
ひょっとしたら老人が嫌な顔をするかもしれませんが、その際は目測で棺桶の大きさでも測ってやってください。
【最後に】
だいたいこんなところでしょうかね。
随分と長話になってしまいました。
最後に言っておきましょう。あまり作品の評価を気にしない事です。
物を書く以上、誰かに評価してもらいたいという欲求は否定できません。
しかし、その評価が好意的であるにせよ、否定的であるにせよ、評価は評価です。
好意的なもので「○○が良かった」というのは次回作への参考になるでしょう。
「○○はどうかと思ったね」という否定的意見も、改善の一案になるでしょう。
「死ね」「つまんない」という類は鼻で笑って放置しておけばいいと思います。
しかし、これらの評価を気にしすぎるあまり、自分の書きたい事を書かないようになるのが一番良くありません。
所詮趣味でやってるんですから、あくまで、自分の意志で何を書くのか、書かないのか決めてください。
おや、どうしました?
新作のプロットが思い浮かんだんで帰る?
そうですか。私の話が少しでもお役に立てば幸いです。
貴方の新作が幻想入りしない事を、ここでお祈りしていますよ。
それでは、ごきげんよう。
ところで気になるのは、この作品は想定する読み手として「ssを酷評された人」という(多いけれど)限られた人に向けられたもので、「これからssを書きたい人」を無意識のうちにか排除しているフシがある点でしょう。「こんな書き方はしないほうが良い」、「推敲すべき」などなどといった助言は、酷評を恐れ萎縮する初心者にはすばらしいアドバイスですが、これから書いてみたい人には逆にハードルを上げてしまう。これらのアドバイスの下に上手に完成させたssを、読んでもらって評価してもらう喜びと達成感について伝えることが、新規参入者を増やす助けとなると思います。
作品を美しく仕上げることはそれだけで満足感と達成感を得られる営みであり、それを評価してもらえばなおのことそうなのです。
すでにデビューしている人間にとっても、勉強になる内容でした
注意、反逆者は既に多くの小説を作り、この作者よりもはるかに上位です。
こりゃ完成度高すぎっていうか、またまたやらせていただきましたァンというか……
策士だな、抜け目ない作者め……
出せば出す程
人を小馬鹿にしたいのか、それとも・・・
内容自体もしっかりしてるし、これは便利だなぁ。
しかし少し強い言葉が用いられている箇所があるかなとは思ったけど、この作品を読んで偉そうとか、馬鹿にしてるとか感じるのはどうなんでしょう。
もう既に数多の作品を手がけ、わかってることばかりだから参考にもならないのでそっ閉じ、というのであればまだわかるんですが。
ホントに初めて物語を書く人じゃなくて、少し書いたことがあるけど、改善点とかがわからない人
長くやってる人が自分の作品を見つめなおすのにも良いかもしんない
評価に関してはみんな解ってるけど割り切れて無いんじゃないかな?
こういうの誰でも書ける話じゃ無いから作者すごいね
ただこの話なら
蘊蓄を語る
割と一方的に話す
外の世界の知識がある
普通の人間が迷って(悩みながら歩き回ってる内に)たどり着ける立地
この辺りで霖之助が適切な気がした
他の作品なら気にならないけど
作品の内容が内容なだけに気になった
さとりが暇つぶしに何を持っていたか考えた時、「サードアイを弄くりまわしてるさとり」が頭に浮かんだw
サードアイを小道具と認識してたみたいw