風鈴が静かに鳴った。
蝉の鳴き声が煩く響く。
いくら幻想郷といえど、最低限のルールは必要である。
そのため100年おきに選挙を行い、選ばれた人が最低限のルール作りをする。
例えば500年前の八雲 紫は人と妖怪の最低限の関わり方を定めた。
例えば200年前の西行寺 幽々子によって作られたルールは幻想郷の食料生産量を増大させた。
例えば100年前のレミリア・スカーレットの下で作られたルールは幻想郷に貨幣経済を齎した。
しかし近年、人々は選挙の重要性を忘れてしまった。
過去に作られたルールによって幻想郷はそこそこうまくいっていた。
スペルカードの浸透は人と妖怪の緊張を和らげていた。
人々は思った。
別に選挙なんかしなくたっていいじゃん。
今回の選挙に出る面子をみても、やる気が無いのが伺える。
蓬莱山 輝夜
立候補理由 えーりんに働けって言われたから
チルノ
立候補理由 さいきょ~だから
といった有様だ。
無論、白熱した選挙戦など行われているはずもなく
輝夜陣営は、選挙対策を任された月のウサギが発破をかけるも地上のウサギ達はまるで動かず、
輝夜本人も妹紅と殺し愛をしている有様、月の賢者は無視を決め込んだ。
チルノ陣営でも騒いでいるのは大妖精と鴉天狗の文ぐらい。
まあそれでも輝夜陣営よりはドングリの背比べぐらいの差でましであった。
さらに民衆の声をいくつか聞いてみよう。
「そんなことよりアリスとデートだぜ!」
「幽々子様の食料確保で忙しいんです」
「チルノとテルヨじゃあね~」
「次は上海でも出してみようかしら」
「門番は門から離れるわけにはいきません」
「お姉様以外に興味無いわ」
「紫様は冬でもないのに冬眠中です」
「御柱背負ってると出歩くのも億劫でな」
「地上の事より、こいしを愛でる方が重要です」
「うにゅ?」
「むきゅ~、外なんか出たら死んでしまうわ」
「今日も酒飲み、明日も酒飲み、選挙? 酒はでるのかい?」
「選挙? なんだかわからないけど、ああ妬ましい」
「寺は世俗から離れているのです」
とまあ、こんな調子である。
しかしそんな民衆の寝耳に水・・・いや氷を落とすかのごとくチルノ当選が報じられた。
作り出される無茶苦茶なルールの数々
施工される妖精優位政策
反発する人々
ついに勃発する人妖対妖精の最終戦争
崩壊していく幻想郷
そして100%の税金が課せられる博麗神社の賽銭
「ふざけるな~! ・・・・・・・・・・・・はっ・・・夢か」
少し寝苦しい夏の午睡
博麗 霊夢は変な夢を見た。
でも本物の選挙はどうなる事やら