Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

香霖堂に神様がやってきた プロポーズです

2008/02/10 01:37:01
最終更新
サイズ
21.49KB
ページ数
1

分類タグ


 香霖堂の朝は遅い……



 そして、その香霖堂の中で台所で料理を作っている人物がいた……
「~~♪~~~」
 その名前は神綺、その魔力、カリスマは魔界の神と言われていた……
「……え~と…菜箸とオタマは…」
 だが、今はその姿が小さくなっていた
「……うん、お味噌汁今日も美味しく出来ました!」
 出来上がったお味噌汁を小皿に移し、味見をしてから
 朝ご飯をテーブルの上に並べる…
 そして、朝ご飯を完全に用意すると 
「さあ、香霖さんを起こしてこないと」
 今も寝床で眠っているであろう
 自分が甘える事が出来る人を起こしに行こうとした
 
(ふらっ…)
「あらっ?」
 神綺が台所から少し歩くと、一瞬だけ自分の体から力が抜けた感じがした
 少しよろめいたが、ほんの一瞬だけだったので
(…う~ん…少し朝早く起き過ぎたのかな…)
 神綺はそう思うと
「よし……後で香霖さんと二度寝しましょう!」
 そんな事を呟いて、香霖を起こしに行った
  
 そして、香霖を起こして朝ご飯を食べる頃には
 先ほどの事は完全に忘れてしまっていた



「う~…寒いです……炬燵炬燵…」
 神綺が食器を片付けてくると
 水仕事をして冷えた手を温めるために炬燵に向かった
 そして、先に炬燵に入って本を読んでいた香霖は
 寒そうな神綺を見て、少し考えてから
 自分と炬燵の間に少し隙間を開けて神綺にこう伝えた

「(膝の上に)座らないか?」
「あっ…(ぽっ)」

 神綺は、その言葉を聞いて頬を染めてから頷くと
 香霖の膝の上に移動を開始した……

「いいのかい?ホイホイ膝の上に座ったりして」

 膝の上にちょこんと座った神綺に、そう告げてから頭を撫でる香霖
 その言葉を聞いた神綺は少し笑らうと

「かまいません……私、香霖さんの膝の上好きですから」
 頭を撫でられてうれしそうにしながらそう答えた
 香霖の方も、微笑みながら話を続ける

「うれしい事を言ってくれる……だったらもっと頭を撫でようか…」
「ん~♪」

 自分が好きな人に、優しく頭を撫でられて目を細める神綺
 気がつけば、背中から羽が出てしまっていた
 香霖もその事に気がつくと、頭を撫でる手とは別の手で
 神綺を後ろから優しく抱きしめると、その耳元で呟いた

「ところで……後ろから抱きしめられて、どう思う?」
「すごく……落ち着きます…」
 神綺は目を細めながらそう呟くと、抱きしめてくれている手に頬を摺り寄せた  


 こんなのが、香霖堂の中で寒い日の普通の光景になっていた

 
  
 
 そのままイチャイチャした時間が続いていたが
 流石にお店を開けなければいけない時間になってきた
「…そろそろお店を開けないといけないな」
 香霖がそう伝えると、膝の上に乗せていた神綺をそっと降ろした
「そうですね…」
 神綺がそういうと、少し名残惜しそうにしながらも
 香霖と一緒にお店に向かうために起き上がる
 そして、歩こうとした時… 
(ふらっ…)
「あれっ?…」
 足に力が入らずに、その場に倒れこむ
「神綺?」
「あ、あははっ…滑っちゃいました」  
 その様子を見ていた香霖が、心配そうに神綺の傍に駆け寄る
 神綺はそれに対して、心配をかけさせまいと笑いながら答える
「……とりあえず、立てるかい?」
「あ、はい」
 香霖が神綺に手を差し出すと、神綺がその手を掴む
 そして、起き上がると香霖が真剣な顔をして神綺の方を向く

「……神綺…」
「な、なんですか?」
 真正面から見つめられて、思わず顔が赤くなる神綺
 香霖は何も言わないで、そのまま神綺に向かって顔を近づける
(えっ!?……も、もしかして…き、キスですか!?)
 神綺が混乱している間にも、どんどん香霖の顔が近づいてくる
 
 そして、その距離が残り3cm…2cm…1cm
(きゃっ!……こ、こんな朝早くから!?…)
 思わず目を瞑る神綺の顔に、ついに香霖の顔がくっついた 





「……少し熱があるな…」
「…えっ?」


 ……口じゃなくておでこに…







「……37.5度か…」
「どうりで…朝からふらふらしていたと思いました」
 熱があると分かると同時に、香霖は神綺が何かを言う前に
 お姫様抱っこで、ベッドに運ぶと神綺を横させた
 そして、外の世界の道具で熱を測るとそう告げた
「今日は、眠っていた方がいい」
「で、でも…」
 香霖が神綺にそう告げると立ち上がる
「……悪化したら大変だからね…あとでまた来るから…」
「…はい…」   
 そう言われたら、仕方が無いので今日は一日
 横になる事にしました…
(……はあ…今日は一日大人しくしていましょう)
 神綺はそう思うと横になって
「……ZZZ」
 あっという間に眠った……



 


 
「……ふぁ~っ…良く寝ました」
 神綺が目を覚ますと丁度夕方になっていました
「寝すぎましたね…」
 神綺がそう呟くと同時に、誰かが部屋のドアを叩いた
 まあ、叩く人なんて香霖以外いないのだが

「起きたかい?」
 部屋に入ってきた香霖が神綺にそういうと
 神綺も頷くと
「はい、良く寝ました」
 そういってから、少し考えて
「…えっ!…起きた…?も、もしかして香霖さん…」
 神綺が何かを言おうとする前に
 香霖が意地悪な笑顔を浮かべて一言答えた
「……可愛い寝顔だったよ」
「!?」
 その言葉を聞いた神綺が、顔を真っ赤にして呟く
「……寝顔覗くなんて…酷いです」
 しばらくの間、神綺は顔を膨らませていた
 香霖はその様子を見て少し笑うと
「さて、雑炊を作ったんだが食べれるかい?」
 神綺にそう伝えた
 それに対して神綺が何か言う前に
(ぐぅ~)
 いいタイミングでお腹が返事をした
 
(……そのせいで神綺が涙目になって、香霖の胸に
 ぽかぽかとグルグルパンチをしたのだが気にしない)
 

 しばらくしてから、香霖が雑炊を持ってきた
「熱いから少しだけ冷ましておいた」
 香霖がそういうと神綺に雑炊を手渡した
「ありがとうございます」
 神綺がそう言って、手を伸ばそうとした時だった

(がくん!)
「えっ?」
 伸ばそうとした手に力が入らず、そのまま布団の上に落ちる
 香霖も神綺の呆然とした顔を見て、何かあったことに気づく
「……神綺…」
 香霖に声をかけられて、神綺も動き出す
「腕……力が入りません…」
 その言葉に、二人は想像以上に事態は深刻な事に気がついた





「……とりあえず、あーんして」
「あーん♪」
 ……訂正、あんまり重く見ていないようだった
 



 食事を終えた後、改めて神綺が手足を動かすと
 動かす事は出来たが、鈍くなっていた
 流石にこれは大変だと言う事で
「お医者さんに見てもらったほうがいいな」
「……そうですね」
 せめて原因を突き止めたいので
 お医者様を呼ぶ事にした 

 で………



「患者は何処かしら?」
 香霖堂にお医者様がやってきました
「夜分遅く申し訳ありません……永琳先生」
 香霖がやってきてくれた、永遠邸の八意永琳に頭を下げる
 永琳はその言葉に首を振ると
「あら?夜遅くとかそんなのは関係ないわ……私は医者だから
 患者の居るところにいつでも現れるわよ?」
 そう伝えて、香霖に患者が居る場所を案内させた
 
「でも、患者は誰かしら?」
「……まあ、余り大きな声でいえませんが」
 香霖が、神綺の居る部屋に永琳を連れて行く
「神綺……お医者さんが来たよ」
 香霖が、部屋の外からそう話しかけると、部屋の中に入った
  

「患者の神綺です……」
 香霖がそう言って、永琳の方を向いた
「(ぽたぽた)」
 そこには鼻を押さえて悶えている永琳の姿が
「だ、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ!?え、ええ大丈夫……問題ないわ」
 鼻を押さえながらも、香霖に親指を突き出す永琳
(少し心配になってきたな……)


 少女診療中……
(嫌です~!注射はいやです~)
(……ね、ねえ?店主…この子もらって行ってもいい!?)
(…駄目です)



「……う~ん」
 検査を終えた永琳が額にしわを寄せる
「…何か…分かりましたか?」
 その様子に香霖が心配そうにしながら、永琳に問いかける
 永琳は少しの沈黙の後
「これは、風邪ないわね……」
「風邪じゃ…ない?」
 香霖がそう呟くと、永琳が首を縦に振る
「ええ…少なくとも、何かのウィルスとかによる物ではないし
 ましてや風邪なんて物でも無いわね」
「……だったら…」
 一体何なのか?と香霖が聞く前に永琳は呟く  
「身体は健康でも、それ以外の事が原因なら…ある程度限られてくるわね……」
 永琳がそう言って、前置きをしてから話し出す

「一つは神経系の疾患がある場合…でもこれは痛みが出るし私にも分かるから除外ね」
 そう言うと、永琳は持ってきた鞄の中から、何かを調合しながら話を続ける

「次に考えられるのは、疲労が溜まっている場合とかになるんだけど」
 話をしながら、永琳が大量のビーカーを用意する

「どうも、違うみたいだから……」
 ビーカーの中身を一つのビーカーに合わせる

「結果として、最後の原因になるわね」
 そして出来上がった物をコップに入れると

「……多分魔力の渇欠が原因だと思われるわ」
 永琳は香霖にそう答えた 
「魔力の渇欠…?」
 香霖の呟きに永琳は頷くと
「ええ……あの子は魔法使いみたいだし、魔力が無くなっているのなら
 色々と説明がつく症状ですしね…とりあえずこれをあの子に飲ませて
 あげれば、少しは動くようになるはずよ?」
 そういわれて香霖は、調合した薬を神綺の所に持って行こうとして
「……と言う事は、魔力が戻れば…治るのか?」
 その言葉に永琳は少しだけ困った顔をして
「…二つ問題があるわね」
 そう伝えてから、その問題を香霖に話してから帰って行った





「神綺…」
「あっ…香霖さん」
 ベッドの上で横になっていた神綺が起き上がる
「…とりあえずこれが薬らしい」
 そう言うとコップを渡す
「……えいっ…」
 そして、それを一気に飲み干す神綺
「!?」
 少ししてから暴れる神綺…

 少女暴走中…


 神綺が落ち着いてから、香霖が先ほど永琳から聞いた事を神綺に話し始めた
 
「……魔力の事すっかり忘れてました」
「おいおい…」
 あっさりと言う神綺に突っ込みを入れる香霖
 そして、打開策と問題点を注げた
「永琳先生が言っていた事なんだが二つの問題点がある」
「二つ……ですか?」
 神綺の問いかけに、香霖が頷く
「ああ、一つは君の魔力の量が桁外れに多い事……
 まあ、魔界の神だからそれも当然だとは思うが」
「えっへん!」
 褒められたと思って、胸を張る魔界神
 そして、それを微笑ましく香霖が見てから
 後ろの方から何かを探し出す
「そのせいで、その魔力を回復させるのが大変なんだがそれは何とかなる……」
 そして中に何か入っている小瓶を取り出した
「これは?」
「エリクサー……何でも『HP・MPを最大値まで回復させる能力』らしい」
「な、なんでこれがここに?」
「……大方、勿体無いからと言って最後まで使われずに
 忘れ去られたものが幻想郷に来たんだろう…」
 香霖がそう言ってから、神綺にもう一つの問題点を告げる

「そして、もう一つの問題点……」
 そこまで話すと、香霖が少し黙る
「……香霖さん?」
 それを不思議に思った神綺が香霖に話しかける
 そして、香霖が口を開いた
「……もし、魔力が完全に戻ったら…反動が起こる」
「反動……どんな事が考えられますか」
 心配そうに聞いてくる神綺に対して、首を縦に振る香霖
「ああ……もしかしたら…魔力の奔流が起きて
 身体が耐え切れないかもしれない…」
「……」
「下手したら、大爆発が起こる」
 原因は神綺自身の魔力の容量が、はるかに高い事にある
 もしこれが魔理沙やアリス、パチュリー等であったら
 何も起こらないか、もしくは一日寝込む程度だろう
 だが、仮にも魔界の神である神綺の魔力の限界量は
 魔理沙が40、アリスで70、そしてパチュリーを100と
 考えれば少なくとも1000を軽く超える。
 小さくなっている今の状態でも、軽く120は魔力があるだろう
 
 そして、それを一気に戻すとなると莫大な量の力が
 動く事になる……それを今の神綺が耐える事が出来るか
 となれば、まさに1か8かの賭けであった 

「……もし、このままにしておいたら…どうなりますか?」
 神綺がそう話しかけると、香霖は小さく答えた
「……だんだん体中が動かなくなっていく…そして最後には…」
 そこからは言わなくても分かる
 しばらくの間、沈黙が続く

「…香霖さん」
「何かな?」 
 初めにその沈黙を破ったのは神綺であった
「……明日一日…もしよかったら一緒にお出かけしませんか?」
 その言葉に、香霖は少し驚いたが
 神綺が何か考えを持っているのであるのだろうと思い
「ああ……いいよ、何処に行く?」
 そう答える、神綺がうれしそうに喜ぶと
 明日の事を、うれしそうに香霖に話した




 次の日……香霖と神綺は一緒にお店を出ると
 お店の看板を『営業中』から『臨時休業』
 に変えると二人で歩き出した

「それで、何処に行くんだい?」
 香霖がそう伝えると、神綺は笑いながら答えた
「里の方です」
「分かった、では行こうか」
 香霖は頷くと、神綺が遅れないようにゆっくりと歩き出した
 
  
 里に着くと、神綺がはしゃぎ出す
「うわ~!」
「……どうやら今日はお祭りみたいだね」
 偶然にも、今日は大きな祭りが行なわれているみたいだった
 香霖が驚いている間に
「香霖さ~ん!置いて行っちゃいますよ~」
「って!おいおい、置いてかないでくれよ」
 神綺は走り出していた 


「あれなんですか?」
「ああ、あれは八目鰻の屋台だね…かなり美味とのことだ」
 二人分を買って食べた


「あ、あれいいですね」
「これは髪止めか……」
 露天を見てウインドショッピングを楽しんだ

 
「白玉ぜんざいかな…」
「じゃあ、私はこのイチゴサンデーにします」
 有名な甘味処で甘いものを食べた



 そして、しばらくぶらぶらしていると
 人が大量に集まっている小屋があった
「あれなんでしょうね?」
 神綺の問いかけに、香霖が答える
「どうやら人形劇みたいだね」
「見てみたいです!」
「そうだね、見てみようか」
 二人がその小屋の前に行くと、どうやらまだ
 開園には時間がかかるみたいだった
「少しだけ、待たなきゃいけないみたいですね」
 先に席に座ると、少しの間待つ事になる
(そうだな…今のうちに)
「少し、トイレに行ってくるよ」
 香霖はそう言って、少しだけ外に出ると
 先ほど目をつけていたあるものを買ってきた

 香霖が戻ると同時に人形劇が開始された
 
 その人形劇は……
 ある世界に巫女、妖怪、魔法使い、祟り神
 が攻め込むと言うお話……
 そして、最後には四人とその世界の神が
 和解すると言うお話であった
「……どこかで聞いた事あるお話ですね…」
「ははっ……(汗)」
 多分、この人形を操っている人も当事者の一人なのだろう
 

 
 一日中遊びまわって、気がつけばすでに夕方になっていた
「……もうそろそろ戻らないと…」
 香霖がそう告げると、神綺が頷いた
「はい…」
 そして神綺が歩き出そうとした時

(ガクン!)
「神綺!」
 神綺が地面に倒れかけるのを香霖が抱きとめる
「……あははっ…ちょっと疲れちゃいましたね」
 神綺が笑いながらそう伝えると
 香霖はそのまま神綺を背負う
「えっ?ちょ、ちょっと…香霖さん!?」
 神綺がうろたえるが、香霖はそのまま歩き出す
「……無茶した罰だ…このまま連れて帰る」
 神綺が今は歩けないと言う事を知っているからついた嘘だった
 神綺にもそれが分かっていたので、そのまま香霖に抱きつくと
「…はい……」
 そう答えた



 香霖に背負われながら二人は香霖堂に向かう途中
「香霖さん……」
 神綺が香霖の背中に抱きついたまま話を始めた
「私、あの薬飲みます……」
「…そうか」
 香霖がそう呟くと神綺は少し笑い
「今日は…ありがとうございました」
 そう伝えた、香霖はそれに対して
「なんで里に行こうと思ったんだい?」
 そう返すと、しばらくの間神綺が黙り
「……夢だったんです…魔界神の神綺としてじゃなくて
 女の子の神綺として、ウインドウショッピングしたり…買い食いしたり……」
 そこまで言うと、少しだけ言葉を止めてから
「……デ、デートしてみたり…」
 そう呟いた、香霖には背中に居る神綺の顔は見えなかったが
 確実に真っ赤になっているのは分かった。
 そして、それは自分の顔も……
「そ、そうか…」
 今の香霖にはそう言うしか出来なかった
 香霖がそう答えると、神綺は香霖の背中の上で
「……夢…かなっちゃいました」
 そう呟いた




 そうして香霖堂に二人が戻ってきた
 そして、すぐに二人は準備をした
 神綺がお出かけ用の服を着替えている間に
 香霖は薬と、お祭りで買ってきた物を用意する。
 そして、最悪の場合を想定しての魔力結界(対ファイナルマスタースパーク)
 をありったけ用意するして準備は整った。

 今、二人はお互いが最も落ち着ける場所である
 居間で最後になるかもしれないお茶を飲んでいた

(香霖さん!茶柱!)
(おっ?縁起がいいな) 
 ……この二人には緊張なんてあんまり無い


 お茶を飲み終えると、香霖が最後の確認に入った
「……このエリクサーを飲めば、それでいい」
「…はい」

 神綺が頷くとそれを受け取るために手を伸ばす
 だが、香霖はその手に薬を渡す前に話を始めた
「…その前に二つほどお願いがある」
「お願い…ですか?」
「……ああ、大切な事だ」
 香霖がそう前置きをすると話を続ける

「まず一つは、薬を飲む際に僕も一緒にいる事」
「!?だ、駄目です!」
 それは危険な事だった、仮に魔力が暴発したら
 近くにある物は全て薙ぎ払われる
 もし、その場に香霖がいたら確実に命を落とす
 だから、神綺は香霖お願いを聞いて真っ先に反対した
「絶対駄目です!もし…もし失敗して
 香霖さんまで巻き込むような事になったら…」
 その言葉を聞いて、香霖が答える
「仮に僕だけが生き残ってしまったら!僕は一生後悔する!」
「!?」
 香霖の言葉を聞いて神綺がハッとする。
 もし、この立場が逆で神綺だけが生き残ってしまったら
 生きている意味が無い……それどころか一生後悔するであろう
「僕に……また君が消えた時と同じ思いをさせるつもりかい?」
「あっ……」


 事故のせいで、腕を無くした香霖のために
 無理をして治した代償で、しばらくの間、神綺は
 香霖の傍から離れる事になった。
 その時の、香霖の気持ちは激しい後悔であった
 あの時のような辛い思いをしないために
 香霖はそう伝えたのだ

「それと……二つ目のお願いだ…」
 神綺が考え込んでいる間に、香霖は
 何かを取り出して神綺に手渡した
「……これ…」
 手渡されたものを見て神綺が目を見開く
 掌に渡された、小さな輪

「後悔がないように……しておかないといけないからね」
 それは、指輪と言われる代物だった
 香霖が神綺の掌に乗せた指輪を取ると
 それを神綺の指にはめた…… 
「結果がうまくいったら、もっと良いのを用意するから
 それまではこれで我慢してくれ」
 薬指に……


 指輪をはめられた神綺がしばらくの間硬直してから
 その目から、涙がこぼれる
「…っぐ…ひ、酷いですよ…こ、こんな…ひっく…
 こんなタイミングで……は、反則…っく…です…」
 神綺は、その目から流れる熱いモノを拭おうとはせずに
 そのまま、香霖の胸に飛び込んだ    
 香霖も、飛び込んできた神綺を抱きしめると耳元で呟いた
「……一緒に居てやるからな」
「はい」





 準備は整った、香霖が薬を手渡すと神綺が受け取り
 神綺が一番安心できる場所である
「……膝の上なのか?」
「はい!私の特等席です」
 香霖の膝上に陣取る、そして香霖も
 神綺を後ろから抱きしめると
「行きます」
「ああ」  
 神綺がエリクサーを一気にあおった

 


 神綺がそれを飲み干して、数秒たってから
 神綺の体になにやらオーラが見え始め
(ぐらぐら!)
 地面が地響きを上げ始めた

 香霖が神綺の身体を強く抱きしめる
 神綺も抱きしめられた手を強く掴む

 そして、次の瞬間辺りが真っ白になり
 二人とも意識が途絶えた




















「あれ?……」
 始めに目が覚めたのは神綺だった 
 気がつけば、そこは香霖堂ではなかった
「…香霖さん?」
 神綺が一番近くにいたはずの香霖を探すが
 そこには誰もいない
「そ、そんな……」
 もしかして、大爆発を起こしてしまったのか?と思っていたら

(大丈夫ですよ…)
「!?」
 何者かが神綺の頭に直接話しかけてきた
(……今、その人は意識を失っているだけです)
「だ、誰ですか?」
 神綺の頭に直接話しかけてくる者に
 そう話しかけると、神綺の目の前に何者かが姿を現した 


「あ、貴方は……」
 目の前に現れたのは、本来の神綺のように
 背中に6枚の羽を持つ女神……
(お久しぶりですね……)


「サリエルお婆ちゃん!?」
(お婆ちゃんじゃない!)

 死の天使事、サリエルでした

「で、でも……サリエルお婆…じゃないサリエル様は確か…」
(確かに…貴方に魔界を託してから居なくなりました…あとお婆ちゃんは止めて)
 今の神綺がした事は、魔界を統一して
 様々な人や動物を過ごせるようにした
 それにより、今日の魔界があるわけだが
 魔界という土地に始めに居たのはサリエルであった
  
「確か……飲み屋で意気投合して」
(そうそう、貴方なら良い魔界作れそうだからって
 魔界の神の証である六枚の羽渡してあげて)
「……懐かしいですね」
(そうね……)
 二人が昔話に花を咲かせてから 
 神綺が何かを思い出す

「……でも、なんでサリエル様が?後ここは何処ですか?」
(…それを話さなければいけませんね)
 神綺の質問にサリエルが答える

(まずここは、時間が止まった世界…次元の狭間…)
「次元の狭間?」
(ええ、ここには黒歴史と言ったものが流れ着く場所)

 無かった事にしたい物が流れる場所であった
「では、サリエル様も……」
(ええ、もう出番は確実に無いでしょう…)
「……」
 神綺には何も言えなかった……
 自分もこの場所には来る事になるかも知れなかったからだ
 だが、ここに来ることが無いのは
(貴方の娘達が居る限りは、ここに来ることは無いでしょう)
「……はい」
 アリスやそのほかの娘達が居るからであった


(そして、貴方の魔力が少なくなったせいで貴方に渡した羽が
 私の所から力を得ようとしたから、偶然繋がったの…)
 元は、神綺の持っている六枚の羽はサリエルの物
 そのような事があってもおかしくは無い
「では……」
(ええ…貴方の魔力が戻った事で、貴方の元に羽は完全に戻るわ……)
 その言葉を聞いて、少しだけしんみりとした空気が広がった

(……でも、貴方も良い人見つけたみたいね)
「えっ!?」
 だが、サリエルが頬を染めてそういうと、神綺が凍りついた

(まさか、あんなに甘えるなんてね~)
「ちょ、ちょっと待ってください!?なんで知ってるんですか!?」
 神綺が慌てふためくと、サリエルが意地悪そうな笑顔を見せて
(足りない分の魔力を私から送る際に情報がね…)
 その言葉に神綺が真っ赤になる

(食事のたびにあ~「うわ~!うわ~!うわ~!」してもらったりとか 
 小さくなった姿を良い事に、膝の上「あ~!あ~!あ~!」とか
 寝ぼけて居て「らりるれろ!らりるれろ!らりるれろ!」する事もあったわね)

「はあ、はあ、はあ……」
(……さて…もうそろそろお別れみたいね…) 
 サリエルの言葉の苛めが一段落すると
 疲れきっている神綺に対して優しく伝える
(……私は、貴方に魔界を託したけれど…
 貴方にも幸せになってもらいたいの……だから)
 
 気がつけば、だんだんとサリエルの姿が遠くなってきていた
「サリエル様!?」
(……貴方の大切な人と…幸せにね…)
 サリエルがそう告げるとサリエルの身体が輝いて眩い光に包まれた
 神綺は、眩しくて目を瞑った

 そして、次に目を覚ますと……
「……あ…れ?…」
 そこは、香霖堂の居間だった
 そして自分は倒れていた……
(香霖さんは…?)
 神綺が身体を動かそうとして、その違和感に気がつく
「……服がきつい…」
「うっ……うぅ…」
 少しおかしいなと思って居ると、自分の頭の方から
 呻き声が聞こえてきた……
「香霖さん!?」
 急いで起き上がると、呻き声がした方向を向く
 そして、気がついた自分が眠っていた場所は
 香霖の膝の上でした

 香霖はどうやら、少しだけ意識を失っていたみたいだが
「……神綺…無事かい?」
 神綺の姿を確認して、そう話しかけた
 神綺は二人とも無事である事を確認してから
 無言で香霖に抱きついた

「し、神綺?」
 香霖が驚いているが、神綺はそのまま抱きついて呟いた
「……よかった…無事で…」
 香霖も納得したのだろう
 抱きついてきた神綺を両手で抱きしめると
 その頭を撫でる……
 しばらくの間、そのままでいたが
 神綺がある事を思い出す
「……香霖さん…」
「ん?」
「……結果が良かったから、きちんとした指輪買ってくださいね」
「…そうだな」
 香霖が頷くのを見届けると
「それと……」
「まだ、何かあるのかい?」
 香霖が少し苦笑するのを見た神綺が顔を紅くして


「もう一度、プロポーズしてください」
 今までで、一番の笑顔を見せてそう告げた
 香霖もその答えに難儀したそうな……















「あ、あの……神綺…」
「なんですか?」
「い、いや……その…目のやり場に困るから…
 服を着替えてきてくれないか?」
 香霖にそういわれて、改めて自分の姿を見ると

「元の姿に…戻ってる」


 大人魔界神×肌ワイ×数ランク小さめな下着

 ……お後がよろしいようで

 
 魔界神……元の姿に戻しました……

 そんでもって、これにて長かった魔界神のお話は多分終わりになると思います
 サリエル様のお話は、まあ…でっち上げというか作者のオリジナル設定です
 もしかしたら……結婚式のどたばたを書くかもしれません

 それでは…森近『神綺』に幸あれ…  BY作者
 

 おまけ

サリエル(あと、確か子作り「ちょ、ちょっと待って」…なんですか?)
  神綺「それは、創想話じゃなくて別の所に出したお話です!」
サリエル(あら?ほんと……でも作るんでしょ?)
  神綺「そ、それは……」
サリエル(まあいいわ…でも子供が出来たら見せに来てね?)
  神綺「……はい…って!アリスちゃん達とかも居るけど、どうやって見せにいけばいいんですか!?」
サリエル(……諦めるわ…)


 誤字修正と、基本的な魔力の底上げしました
脇役
コメント



1.さねかずら削除
真っ先に口から砂糖を吐きました。甘い…
まさかエリクサー、あの時のお前がいたとは…
この二人には末永く幸せになって貰いたいものです。
子作り…夜伽のことか!いや時間帯的には朝でしたが。
2.逢魔削除
うほっ、いい膝……
エリクサー、君もそっちに行っていたんだね。
……思わずニヤリなネタ満載で…いやはや、笑いましたよ。
戻ったんだねぇ、神綺様………エロッ!!肌ワイ+ミニ下着…!!奴の戦闘力は底なしか…!?
さぁて、結婚式も目前に迫りました!きっと華やかな式になることでしょう…ドタバタ具合が。
子作りワッショイ子作りワッショイ!!銀髪の可愛くて魔力の強い子が生まれることでしょうな。
3.名無し妖怪削除
これでハッピーエンドでもいいけれど、結婚式のドタバタも見てみたいです
二人に幻想郷の祝福があらんことを!!
4.名無し妖怪削除
創想話じゃないとこってどこ!?
すげえ見たい!

ところで錬金術の最高峰の究極の薬エリクサーも幻想郷入りか・・・
FFからエリクサーが消えるのも近いな
というかどちらかというとエーテルのほうが消えそうな・・・
5.欠片の屑削除
今回も堪能させていただきました。エリクサーの使い方が上手い!そう来たか!!
でも、こんな甘々神綺様を前にしながら、永琳のダメっぽさが可愛らしく見えてしまうのは重症なんでしょうかね?私…
何はともあれ、ご馳走様でしたw
6.回転魔削除
タダ甘いだけでなく暖かいんですな!
ご馳走様なんですな!

追伸
ク○ノ・トリガーだとたくさん余るんですな!!
7.名無し妖怪削除
>魔理沙が20、アリスで30、そしてパチュリーを100
アリスが人間の魔理沙に近いのがちょっと
種族的に、少なくてもパチュリーよりな気が

後、神綺と魔界の関係が・・・
8.幻想入りまで一万歩削除
魔界神のシリーズもとうとう完結、お疲れ様でした。
大人魔界神×肌ワイ×数ランク小さめな下着・・・最後にコレは反則だと思うんだ、ぼかぁw

「創想話じゃなくて別の所」もしかしてネチョですか?
9.時空や空間を翔る程度の能力削除
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!
私の栄養強壮剤!!!!

さて、アリスが「叔母」になる日が近いぞ!!!
そして、作者さんお疲れ様でした。
次は「グリル伝承伝」かな??
10.イスピン削除
エリクサーは結構ありますね。でも自分はむしろ徹底的にレベル上げをしてアイテムを使わずにラスボス撃破に挑戦するタイプです。
そしてまさかのレイ異伝(漢字が出てこなかったorz)サリエル様!?
11.名無し妖怪削除
エリクサーの所に妙に納得したw
たしかに最後まで使わなかった
12.思想の狼削除
結構楽しみに見ていたこのシリーズもついに完結…ですか…。
(実はあの『…やっちまったOTL』話が最終回かと思ってましたw)
結婚式のお話…エピローグとして、是非お願いします!(土下座)

この二人に輝く季節が永遠に続く事を祈って…Forever Love

PS.前回のご飯粒ネタ、ありがとうございました。
13.名無し妖怪削除
こーりんが死亡フラグ立てまくったので心配になりましたが、ちゃんと生還して大団円になって良かったです。第一話からずっと読んでいたので感慨深いものがあります。あとアリスの魔力、やっぱり私も少し少ないんじゃないかと思いますが……。
>「……37.5分か…」
37.5度、または37度5分では?
>永琳にの方を向いた
「に」が余計では?
14.名無し妖怪削除
こーりん・・・、うらやましい・・・・
15.名無し妖怪削除
>「らりるれろ!らりるれろ!らりるれろ!」
ちょwwww大佐wwwww
16.名前が無い程度の能力削除
どなたか砂糖用のバケツを持ってきてくれません?

とりあえず1ダースくらい。



うらやましいぞこんちくしょうw
17.名前が無い程度の能力削除
うらやましいぞwwwwww

こんにゃろw
18.名前が無い程度の能力削除
ということはマスターボールも幻想入りしそうだなww