Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

勇儀姐さんが仮面ライダーになりたいそうです

2010/08/23 22:41:05
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1

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「外の世界の漫画って本ねぇ、酒のつまみくらいにはなるかな」

昼間に散歩している間に拾った単行本を杯片手に開く鬼、星熊勇儀。
普段は本というものをあまり読まぬ彼女であったが、見たことの無い形式の書籍に対する興味から食指を伸ばした。
最初は酒を呷る合間合間に目を通していたのが、ページを経る毎に下へと視線を向ける回数が増える。
一ページをめくる度に彼女の集中は増してゆき、初めの物語が終わったときには項を進めるのに邪魔だと杯を地面に置いた。
主人公達のピンチには息を呑み、敵と大立ち回りをする展開には汗を握り締める。
とはいっても実際に鬼の力で握りしめた日には勇儀にとって好ましくないことが起こるので心中で行うに留まったが。
まあ要するに彼女は物語に夢中になったというわけだ。

胡座をかきながら両手で漫画本を握り締め、顔を紙面へと近づけるというスタイルで過ごす事小一時間。
一度も止まること無く結果的に勇儀は漫画本を三回も読み返した。
両腕で挟むようにして単行本を閉じ、ついでに瞳もとじた後に大きな吐息を一つ。
ここ数十年で最上の娯楽を発見した勇儀は満足気に頷くと、右手に本を持ち、左手で膝を押してゆっくりと立ち上がる。
ずっと動いてなかったので凝り固まった体を大きな伸びでほぐし、左腕でスカートに付いた土埃を払う。
そして再び大きく吸い込み、呟く様でありながらもハッキリと聞き取れる声で言った。

「よし、仮面ライダーになろう。力の二号は当然私として……技の一号はどうしたモンかね」

力の二号。
鬼という種族的に怪力を約束された存在の中でも屈指の力を持つ勇儀。
そんな彼女がこの称号に惹かれぬワケが無い。
加えてもう一つの理由、勇儀は仮面ライダーという男達にどうしようもなく惚れてしまったのだ。
それは恋慕の情ではなく、漢が己の認めた相手へと送る尊敬の意。

「ゆうぎぃぃぃぃパアァァーーーーンチ、って流石にこれはちょっと小っ恥ずかしいな」

人材探しのツテがないので、とりあえずは地獄で顔の広そうな物の元へと行こうと地霊殿を目指す。
その道中に落ちていた岩を一殴りで粉砕しつつ、掛け声にきはずかしくなり僅かに頬を紅潮させる。
しかし恥ずかしいと言いながらも目的地へと向かうまでに勇儀チョップと勇儀キック、そして卍キックを試す時点で結構ノリノリなのかもしれない。


「はぁ、業師を探してるですか」

地霊殿の主である古明地さとりは頼みごとを口にする前に案件を言い当てた。
さとりの能力を知っているので特に驚くこともなく勇儀は『流石だねぇ』とカラカラ笑う。

「申し訳ありませんがこの辺りにはいないと思います。
 私やお燐は別段技巧派というわけでもないし、お空に至っては完全に論外ですから」

小さく頭を下げながらさとりは心当たりがないことを告げる。
良くない知らせであったが勇儀はあくまでも笑みを崩さずに立つ。

「地底のものでも無くてもいいですか、ちょっと待って下さいね」

勇儀の思考を読み取り、心当たりが無かったか思い出そうとする。
二つの瞳を閉じ、顎に軽く手を当てた姿は同姓から見ても可愛らしいと思うものがあった。
が、相手は妖怪覚。
あまり読まれたくない考えをしてしまった勇儀は気恥かしそうに鼻の頭を掻く。
瞳を開けたさとりがあえてその事には触れずに、単調な様子で唇を動かし始めた。

「そうですね……紅魔館の門番は素晴らしい技量の持ち主であると聞いた覚えがあります」
「紅魔館っていうと湖のそばだったね? ありがとう、じゃあちょっくら行ってくるよ」

また来るからなという別れ際の挨拶とともに地霊殿を去った。
自分の眼鏡に敵う相手なのだろうかという期待で地上を目指す足取りは軽い。
あっという間、本当にあっという間であった。
どんな道を通ったかすら覚えておらず、気がつけば目的地である湖の畔へとたどり着いていたのだ。



目的の相手はすぐに見つかった。
門の前で武術の型を繰り返し行っている女。
流れるような動きと、精密かつ力強い動きはまさに技巧派と呼ぶのにふさわしいだろう。

「おお、確かにあれなら技の一号にふさわしい逸材だ!」

嬉々として門番の元へと駆け寄っていく勇儀。
その最中に一度だけ見せた飛び蹴りの動きにテンションは最大まで上がる。
こいつだ、こいつしかいない。
観察すれば観察するほど株が上昇してゆく。
駆け寄る勇儀に気がついたのか、修練を中断して視線を飛ばす美鈴。

「技の一号になってくれないか?」

説明する手間すらも惜しみ美鈴の手を握りしめてブンブンと振り回す。
咄嗟のことに困惑する美鈴であったが、すぐに状況を飲み込んで冷静さを取り戻した。
自分の腕をもぎ取らんばかりの勢いで動かしてくる鬼をなだめることで一旦落ち着かせる。
そして美鈴は言った。






「いや、私は一号ってよりはむしろスーパー1なんで。主に拳法使い的な意味で」
はじめまして、この度は未熟な文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。
別の作品を書いてる合間の息抜きで書いた作品が初投下ってのもどうだって話ですが、
ど素人の自分はまずは投下するところから始めようということでさらさせていただきました。
かなり人を選ぶような内容になってしまって申し訳ありません。
これからも精進していきたいと思います。

それと技の一号力の二号のフレーズはライスピ一巻内では出てませんねw
書き終えて確認した時に初めて気が付きました。




追記:自分のハンドルの〇〇に当てはまる言葉がサラリーマンだと思う方はお友達になりましょう
通りすがりの〇〇
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
美鈴の反応がいいですね
というかライスピって幻想郷でも人気なのね
2.こじろー削除
仮面ライダーときいたら読まざるを得ない
屋上 握手
すいかちゃんはやっぱりJだよね巨大化する的な意味で
3.けやっきー削除
>勇儀チョップと勇儀キック、そして卍キックを試す
影響されやすい勇儀姐さん可愛いですw
いや、でもその威力は半端ないのか…
4.名前が無い程度の能力削除
仮面(ry
OO……ひとつ足りないと思ってしまった。ごめんなさい。
本命の作品、期待させてもらいます。
ありえないけどパルスィはWだよね。主に緑+マフラーと私の脳内だけ的な意味で。
5.奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
6.暮森削除
 ライスピも東方も好きなので、楽しんで読めましたー。
 私的には何となく、技の1号は霊夢か咲夜で、力の2号は魔理沙か美鈴のイメージが。
 勇儀姉さんと立ち並ぶとすると誰ですかね、意表を突いて早苗さんとか?
7.名前が無い程度の能力削除
イメージ的にはV3が幽香(苗字繋がり)でXがにとり(水・メカ繋がり)でしょうかね
何が言いたいかと申しましてはいいぞもっとやれ、むしろもっとお願いします
8.名前が無い程度の能力削除
スーパー1は月面開発用だから、かぐやたちとはとことん相性悪いですね(アポロ的な意味で
9.名前が無い程度の能力削除
パチュリーに七種類のハンドを作ってもらうんですね