春告精が春が来たことを伝え、幻想郷にも春がやってきた。
年中暇を持て余してる妖怪などは、何かある度に宴会を開いていた。
それは時間が経つのを忘れさせる程度の力を持つ。
もちろん宴会と名がつくので、酒も出てくる。それはもうわんさかと。
鬼や天狗のように、酒の強い者もいれば弱い者もいる。
宴会も進み、夕暮れが顔を照らす頃…。
神社の階段で寝ている八雲紫は酔い潰れていた。
「うふふ…もう食べられないわぁ」
いったい何の夢を見ているんだか…想像はつきますが。
「紫様。夜は冷えます、家に帰りましょう」
主の身を心配して、紫の式である藍が迎えに来ていた。
確かに主の身も心配しているのだが、
それよりも自分の式のほうが勝っているのは言うまでもない。
「油揚げは藍が好きよねー…」
「逆です。ほら風邪をひきますよ」
意味が分からない寝言を呟きながらも、紫は動こうとしなかった。
「まぁいいじゃない。寝かしてやれば?風邪引いても文句は言えないわよ」
奥から出てきたのは、神社の主である博麗霊夢である。
「そうはいかない。風邪を引かれては困る」
例え妖怪で風邪が引きにくかろうと、
仮にも主なので、放っておくわけにはいかなかった。
「今日はここに泊まるといいわ。もちろんあなたも」
「それはありがたいが、私にも待ってる者がいるんでな」
さすがに、橙一人を家に置いておくわけにはいかない。
きっと悲しむだろう。主に藍が。
「じゃあ紫を置いていくしかないわね」
霊夢の顔は少しだけ赤かった。酒ではないだろう。
「すまない。助かる」
「それよりもあんたも少し飲んでいきなさいよ。萃香も飲み足りないらしいわ」
ふと見ると、酔い潰れている者を起こそうとしている。
さすがにもう飲めそうにないだろう。顔が真っ青だ。
「しかたない。少しだけだが付き合ってやろう」
「あんたならそういうと思ってたわ。
それじゃあ私は紫を部屋に連れて行くから」
さっきより顔が赤くなったのは見間違えではないだろう。
「少しだけだが酒に付き合ってやろう」
「ホントか!?いやあ飲む相手がいなくて困ってたんだ。じゃ、乾杯だな」
萃香の目は玩具を見た子供の用に目がキラキラしていた。
この時藍は後悔していた。
普段主と乾杯する時は片手程の小さなコップだった。
だからここでもそうだろうと思っていた。
だが、萃香が取り出したのは、
両手で持ってもまだ余裕な程の盃だった。
だが、萃香のあの目を見てしまったら断るなと良心が叫ぶ。
「ほれ、これあんたの分」
そういって真っ赤で大きな盃を渡され、そこに並々と酒を注がれてしまった。
「んじゃ、乾杯!」
「か、乾杯…」
藍は鬼の酒という事を忘れて一気飲みをしてしまった。
「う、うまいが…この酒の度数はいくらなんだ?」
「うーん…よく分からないけど鬼用だし80くらいかな?」
アルコール度数80…これを酒を愛する人なら、
一気飲みをしたらどうなるかは分かるだろう。
「80!?い、いかん…あっ」
一気飲みのおかげで僅か一杯で少し酔ってしまっていた。
「な?効くだろ?最高だろ?なっ!」
自分のお酒で飲めるのが楽しいのか、
萃香のその目は現代で言う子猫の目に近い。
「さすがは鬼の酒だな…」
しばらくの間…と言っても30分程だが藍は鬼の酒を飲み続けていた。
そして…。
「うぃー。ちぇえええええん!今帰るおー!」
大声で叫びながら藍は我が家へと帰っていった。
ちなみに萃香は…。
「ほらほら、休んでないでもっと飲めよーい」
誰も飲まない盃に注ぎ続けていた。
さすがの鬼もたくさんの量を飲めば酔うだろう。
「私の酒が飲めないって?うるしゃい!黙ってのみゅ!」
誰に喋っているのだろうか。
そんなこんなでここはマヨヒガ。
「うー、紫様も藍しゃまも遅いですー…」
橙は一人家で2人の帰りを待っていた。
「早く帰ってきてよー…」
今にも泣きそうな橙のところへ、
「うぃー、藍しゃまのお帰りだぞーい」
声は藍のものだったが、明らかにいつもと違う。
「らんしゃま!おかえりなさい!」
藍が帰ると同時に飛びついてくる橙。
だが橙はこの瞬間は分からなかった。
まさかあんなことが起ころうとは…。
藍に抱きついた橙だが、どうも反応がない。
「藍しゃま…?」
不安に思って見上げてみると、
藍が虚ろな目でこちらを見つめている。
「藍しゃま?」
もう一度呼びかけてみる。
すると…。
「橙…」
やっと口を開いた。
「なんでしょう」
「かわいいいいいいいいいいい!!」
と叫んだかと思うと、
いきなり抱きついてきた。
「え、ちょ、藍しゃま!?」
状況が読み込めない橙。
「ああ、私の橙。かわいい、愛してる」
一歩間違えれば犯罪になりそうな雰囲気である。
「藍しゃま、どうしたんですか!?」
と言うと藍は橙のある部分を触ってきた。
「んっ、あっ、藍しゃまやめてください!」
「ん~?橙はここが好きなのかー?」
そういうと藍は先っぽの少し硬くなった部分を摩りだした。
―シュッシュッ
「おや?少し硬くなってきた」
「や、やめて。ぁんっ」
橙の顔は赤らめ、少し涙さえ浮かべている。
二つの硬くなったモノを藍は舌でなめ始めた。
―ペチャペチャ、プチュ
「ん~、橙の味がする~」
「そこはだめですぅー!」
家全体に粘っこい物を舐めるような音が響く
―クチュクチュ、ペチャペチャ、
橙のそれを摩り、舐め、揉むうちについに限界も来て…
「あ…あ…んんんんんんっ」
体を震わせて膝から落ちてしまった。
酔いがまわったのか、藍は寝てしまった。
橙は、
「もうお嫁にいけない…」
なんて昭和染みた事を言って、手に顔を当て泣いていた。
翌日。
不機嫌な橙と、
何で不機嫌なのか分からなくて、オドオドしてる藍がいたそうな。
あと橙姉さんに萌える事が出来なかった私は猫娘(ねこ)好き失格ですね…………orz