「霊夢さん、わたしは大変なことに気付いてしまいました!」
「へっ?」
とある日の午後。
いきなり博麗神社にやってきて、そこの主、博麗霊夢に、彼女、緑色の巫女こと東風谷早苗がよくわからないことを言い出した。
「角も~らいっ」
「てい」
「あーっ!? こころちゃん、ずるいよ! そこに置くの禁止!」
「古明地こいし、敗れたり」
居間のテーブルの上にオセロを広げて、なぜか、古明地こいしと秦こころが対決中。
どうやら、こころが優勢であるらしい。無表情のままドヤ顔決めると言う妙技を見せている彼女はさておき、
「まぁ、早苗。あれだ。お前、トラブル持ち込むの大好きだけど、今日くらいはやめとこうぜ」
そう、同じテーブルについてお茶とようかんを広げている霧雨魔理沙が言う。
ちなみにその隣には、熱心に編み物中のアリス・マーガトロイドの姿もある。
「いいえ。これは皆さんにこそ、お伝えしなければならないと思います」
「……えーっと。
とりあえず、早苗。座って。うん」
「あ、すいません。失礼します」
卓に着くことを勧められ、腰を下ろした早苗の前にお茶が一つ。
それを一口してから、「つまりですね!」と彼女は大声を上げる。
「この前あった、こころさん異変!」
いきなり横からびしっと指差され、こころが驚いたような表情を見せる(お面)。
「あれの真の原因がわかったのですよ!」
「な、なんだってー」
「こころちゃん棒読みすぎ」
オセロの盤面見つめてぐぬぬとうなるこいしが横からツッコミを入れる。
ちなみにこころは、今の棒読みセリフでも充分驚いている。
「あれは、こころさんの元から希望の面がなくなったのが原因とされていました!」
「いや、『されてた』って。原因だったんでしょうが」
「それがどうやったら、こんな溶けたスライムみたいな面になるんだろうな」
新・希望の面をひっくり返しながら、魔理沙。
その彼女から面をひったくるように奪い取り、「がおー」と怒るこころ(お面)。
「思い返してください、霊夢さん。
あの異変……時間の経過と共に人々から活気が失われ、感情が消え去っていったことを」
「ええ、まぁ、覚えてるけど。っつーか、思い出さなくても覚えてるレベルの最近だし」
日中の活気とは打って変わって、暗く湿った時間の夜。
その対比は、そうそう、忘れようと思って忘れることの出来ない異様さである。
異変の中で大暴れした魔理沙も、「あれは変な異変だったよなー」と、こころのお面をいじりながらコメントする。
「わたしは異変が解決された後、家に戻って、ふと、思い返したことがあるのです」
「うん。
……あ、アリス。出来た?」
「出来たわよ。
はい。ご所望のエプロン。これでいい?」
「さんきゅー。やっぱ、アリスに作ってもらうとものが違うわー」
「あ、何ですか、それ。わたしに言ってくれれば、わたしが霊夢さんのために、愛をこめて作ったのにー」
「あ、いや、ごめんごめん。
この前さ、家事してたら引っ掛けて破いちゃって。で、たまたまアリスがいたから、アリスに直してもらうの頼んだのよ」
「私も、よくアリスに頼みごとするぜ。この前は靴まで作ってもらったんだ」
「お金取るわよ、あなた達。いい加減にしないと」
「――よし! いい手を思いついたよ!
とうっ!」
「白よっつ」
「にょおおおおお!?」
異変のことなどどうでもいいとばかりに会話に花を咲かせる四人と、オセロ勝負を白熱させるこいしとこころ。
それから1時間ほどが経過して、魔理沙が、「ああ、そういや、早苗。さっきの話はどうなったんだ?」と尋ねる。
「――はっ!? そういえば!」
アリスと『美味しいクレープ』の話で盛り上がっていた早苗が、ばんっ、とテーブルを叩いた。
隣で将棋(崩し将棋)をしていたこいしとこころが一瞬、びくっ、と背筋をすくませる。ちなみにオセロ勝負は、こころの圧勝であった。
「わたしは慌てて、自分の仮説が正しいかどうかの証明を行なうために、神奈子さまと諏訪子さまにも確認を取りました!
その結果! 驚くべき事実が判明したのですっ!」
「もったいぶるなよ。もっとすぱっといこうぜ」
続きを促す魔理沙に、早苗は、『驚かないで聞いてください』と前置きをした上で、神妙な口調と顔つきになった。
「そう。
あの日――こころさんが、すってんころりんのドジをしながら頑張っていたあの瞬間――」
「え、わたし、そういう子扱い?」
「こころちゃんってそういうキャラでしょ?」
「そうよね」
「まぁ、間違いなく」
「……そうですか」
しょんぼりするこころ(お面)。
そして、早苗は言った。驚愕の事実を。
「あの日は、日曜日だったのですっ!!」
……
…………
………………
……………………
「……こころちゃん、器用だね」
「古明地こいし、あなたは不器用ね。ふふん」
「その無表情のドヤ顔、あなたの癖なの?」
「おーい、霊夢ー。茶がないぞー」
「欲しいなら金よこせ」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!」
なかったことにされてスルーされる早苗は、全力で、その場に割って入った。
霊夢すら、さすがに、『いやいや、早苗。当然でしょう』みたいな微妙な表情を浮かべてしまう中、早苗は続ける。
「だって、日曜日ですよ!? 日曜日!」
「いや、まぁ、何度も言わなくてもわかるが」
「日曜日の日中のテンションの高さは異常でしょう!?」
「そうかしら……?」
「アリスは、土日関係なく、幽香の店とかで働いてるしね」
「そうなのよ」
むしろ土日が稼ぎ時だ、とアリスは言う。
霊夢の方も、「神社に休日はないのよねー」と言った。自分の神社に客など来ない事実はスルーして。
魔理沙は毎日がエブリデイであんまり関係ないのでさておくとする。
「日曜日……。
朝、目が覚めたら『今日は何をしようかな。どこかに遊びに行こうかな。そうよ、そうしましょう。じゃあ、おしゃれして、お化粧して、お昼ご飯はあそこで食べて、帰りにあのカフェよって――』とか!
色々、考えるじゃないですか!? で、実行するじゃないですか!?」
「早苗、意外とまともな店にも足を運んでいたのね」
「月に3回くらいは電気街ですよ」
「あんた日曜日って月に4回しかないんだけど」
ツッコミ入れるアリスは無視して、
「それで『ああ、今日は楽しかったなー』って家に帰ってきて、ご飯食べてお風呂入って、テレビをつけて『サ○エさ○』がやっていた時の絶望感!」
何やらすさまじい恐怖と絶望に襲われ、さいなまれる早苗は顔をテーブルにたたきつけた。
その衝撃で将棋の駒の山が崩れ、圧倒的勝利を確信していたこころの顔に絶望が浮かび上がる(お面)。
「明日は学校! しかも小テストとかあったりしたら!
それがいやで現実から目をそむけていたのに、一気に現実に引き戻される、あの感覚!
ドアの向こうで月曜日が『やあ』とかやっている! もうそれだけで、一気にテンション最悪ですよ!」
「……えーっと」
どう反応したらいいんだろう、という顔で霊夢がアリスを見た。
アリスは首を左右に振り、ならばと向けた視線の先の魔理沙は、『私に話を振るな』とばかりにテーブルの下に潜ってしまった。
「すなわち!
これが異変の真相なのですっ!」
一足飛びどころかホップステップドラゴンメテオくらいの理論の飛躍を見せる早苗に、霊夢が「えーっと……早苗、お茶、いる?」と尋ねた。
「……不覚」
「甘いね、こころちゃん! 運も実力のうちだよ!」
「じゃあ、普通の将棋で勝負をつけましょう。古明地こいし」
その傍らで、リベンジに燃えるこころ(お面)を不敵な笑顔でこいしが迎え撃つ。
「土曜日から続く陽気の中で浮かれ騒いだ午前中!
そのピークの盛り上がりが続く午後!
そして、近づく月曜日の足音を聞いて、一気にテンション持っていかれる夜中!
こうして、幻想郷から希望は失われたのですっ!」
「早苗、あなた、疲れてるのよ」
アリスが早苗の肩を叩いてつぶやく。
「いいえ、アリスさん。あなたは知らないのです。
月曜日は通称『ブルーマンデー』と呼ばれ、多くの学生と大人が絶望に苛まれる事実を!
実際、月曜日は電車がよく止まるんですよ! それに巻き込まれて1時間、満員電車とか死ぬかと思いましたよ!
だけどなぜかわたし、痴漢にあわないんですよね。それを味わいたいってわけじゃないですけど」
「お前、周りから近づきがたいオーラ出してるんじゃないのか?」
「そんなことないですよ。
あ、だけど、通学鞄にお気に入りのアニメのステッカーとかピンバッヂとか色々つけたりしてましたけど」
「それだよ」
そういうのを『近寄りがたいオーラ』というのだ、と魔理沙は断言した。
世の中、自分中心に回ってるんじゃないんだぞ、と。もちろん早苗とアリスは即座に『お前が言うな』と魔理沙に返した。
「えっと……えっと……。
こ、こころちゃん! この一手、待って!」
「ダメ」
「じゃ、じゃあ、これ!」
「絶対ダメ」
「うぐぐぐ……!」
「古明地こいし、次はあなたの番。下手の考え、休むに似たり」
またもや圧倒的な強さでこいしを蹂躙するドヤ顔こころ(お面)。
「月曜日! それは絶望のフレーズなのです! 逃げようと思っても逃げられない! 必ず向こうからやってくる!
火曜日もそう! 三連休の余韻を吹き飛ばし、絶対包囲で訪れる、これぞまさに『どうあがいても絶望』!
こころさんの希望は、月曜日が奪ってしまったんですよっ!」
「月曜日ってのは、そこまで言われにゃならんもんなのかね……」
「魔理沙さん、暇人じゃないですか」
「おい暇人って言うな」
「ちょうどいいわ、魔理沙。今、うちの店、人手が足りないの。
ちゃんとお金は払うから、うちで働きなさい」
「命令口調かよ!?」
「うちでもいいわよ、魔理沙」
「お前の神社、人に金払えねぇだろうが」
「友達のよしみで、時給250円まで出すわ!」
「どこの妖怪退治だよ!?」
「私、巫女。妖怪、退治」
「片言やめろ!」
「王手飛車角金銀取り」
「にゅぐぐぐぐぅー!」
まぁ、要するに。
「けど早苗、あなた、幻想郷に来てからフリーダムよね」
「だからわたし、希望を失わずにすんだんですよ」
だから出演を逃したんですかねー、とあっけらかんと言った後、早苗はお茶を一口する。
「まぁ、そういうわけで、これが異変の真相です。
それを打ち破るほどの希望を、こころさんが持たなくては」
「あんまり結論よくわかんないんだけど」
「困ったもんですよね」
「あんたが言うな」
アリスの一言が全てを示し、打ち切る、そんな博麗神社のけだるい午後の話であった。
「へっ?」
とある日の午後。
いきなり博麗神社にやってきて、そこの主、博麗霊夢に、彼女、緑色の巫女こと東風谷早苗がよくわからないことを言い出した。
「角も~らいっ」
「てい」
「あーっ!? こころちゃん、ずるいよ! そこに置くの禁止!」
「古明地こいし、敗れたり」
居間のテーブルの上にオセロを広げて、なぜか、古明地こいしと秦こころが対決中。
どうやら、こころが優勢であるらしい。無表情のままドヤ顔決めると言う妙技を見せている彼女はさておき、
「まぁ、早苗。あれだ。お前、トラブル持ち込むの大好きだけど、今日くらいはやめとこうぜ」
そう、同じテーブルについてお茶とようかんを広げている霧雨魔理沙が言う。
ちなみにその隣には、熱心に編み物中のアリス・マーガトロイドの姿もある。
「いいえ。これは皆さんにこそ、お伝えしなければならないと思います」
「……えーっと。
とりあえず、早苗。座って。うん」
「あ、すいません。失礼します」
卓に着くことを勧められ、腰を下ろした早苗の前にお茶が一つ。
それを一口してから、「つまりですね!」と彼女は大声を上げる。
「この前あった、こころさん異変!」
いきなり横からびしっと指差され、こころが驚いたような表情を見せる(お面)。
「あれの真の原因がわかったのですよ!」
「な、なんだってー」
「こころちゃん棒読みすぎ」
オセロの盤面見つめてぐぬぬとうなるこいしが横からツッコミを入れる。
ちなみにこころは、今の棒読みセリフでも充分驚いている。
「あれは、こころさんの元から希望の面がなくなったのが原因とされていました!」
「いや、『されてた』って。原因だったんでしょうが」
「それがどうやったら、こんな溶けたスライムみたいな面になるんだろうな」
新・希望の面をひっくり返しながら、魔理沙。
その彼女から面をひったくるように奪い取り、「がおー」と怒るこころ(お面)。
「思い返してください、霊夢さん。
あの異変……時間の経過と共に人々から活気が失われ、感情が消え去っていったことを」
「ええ、まぁ、覚えてるけど。っつーか、思い出さなくても覚えてるレベルの最近だし」
日中の活気とは打って変わって、暗く湿った時間の夜。
その対比は、そうそう、忘れようと思って忘れることの出来ない異様さである。
異変の中で大暴れした魔理沙も、「あれは変な異変だったよなー」と、こころのお面をいじりながらコメントする。
「わたしは異変が解決された後、家に戻って、ふと、思い返したことがあるのです」
「うん。
……あ、アリス。出来た?」
「出来たわよ。
はい。ご所望のエプロン。これでいい?」
「さんきゅー。やっぱ、アリスに作ってもらうとものが違うわー」
「あ、何ですか、それ。わたしに言ってくれれば、わたしが霊夢さんのために、愛をこめて作ったのにー」
「あ、いや、ごめんごめん。
この前さ、家事してたら引っ掛けて破いちゃって。で、たまたまアリスがいたから、アリスに直してもらうの頼んだのよ」
「私も、よくアリスに頼みごとするぜ。この前は靴まで作ってもらったんだ」
「お金取るわよ、あなた達。いい加減にしないと」
「――よし! いい手を思いついたよ!
とうっ!」
「白よっつ」
「にょおおおおお!?」
異変のことなどどうでもいいとばかりに会話に花を咲かせる四人と、オセロ勝負を白熱させるこいしとこころ。
それから1時間ほどが経過して、魔理沙が、「ああ、そういや、早苗。さっきの話はどうなったんだ?」と尋ねる。
「――はっ!? そういえば!」
アリスと『美味しいクレープ』の話で盛り上がっていた早苗が、ばんっ、とテーブルを叩いた。
隣で将棋(崩し将棋)をしていたこいしとこころが一瞬、びくっ、と背筋をすくませる。ちなみにオセロ勝負は、こころの圧勝であった。
「わたしは慌てて、自分の仮説が正しいかどうかの証明を行なうために、神奈子さまと諏訪子さまにも確認を取りました!
その結果! 驚くべき事実が判明したのですっ!」
「もったいぶるなよ。もっとすぱっといこうぜ」
続きを促す魔理沙に、早苗は、『驚かないで聞いてください』と前置きをした上で、神妙な口調と顔つきになった。
「そう。
あの日――こころさんが、すってんころりんのドジをしながら頑張っていたあの瞬間――」
「え、わたし、そういう子扱い?」
「こころちゃんってそういうキャラでしょ?」
「そうよね」
「まぁ、間違いなく」
「……そうですか」
しょんぼりするこころ(お面)。
そして、早苗は言った。驚愕の事実を。
「あの日は、日曜日だったのですっ!!」
……
…………
………………
……………………
「……こころちゃん、器用だね」
「古明地こいし、あなたは不器用ね。ふふん」
「その無表情のドヤ顔、あなたの癖なの?」
「おーい、霊夢ー。茶がないぞー」
「欲しいなら金よこせ」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!」
なかったことにされてスルーされる早苗は、全力で、その場に割って入った。
霊夢すら、さすがに、『いやいや、早苗。当然でしょう』みたいな微妙な表情を浮かべてしまう中、早苗は続ける。
「だって、日曜日ですよ!? 日曜日!」
「いや、まぁ、何度も言わなくてもわかるが」
「日曜日の日中のテンションの高さは異常でしょう!?」
「そうかしら……?」
「アリスは、土日関係なく、幽香の店とかで働いてるしね」
「そうなのよ」
むしろ土日が稼ぎ時だ、とアリスは言う。
霊夢の方も、「神社に休日はないのよねー」と言った。自分の神社に客など来ない事実はスルーして。
魔理沙は毎日がエブリデイであんまり関係ないのでさておくとする。
「日曜日……。
朝、目が覚めたら『今日は何をしようかな。どこかに遊びに行こうかな。そうよ、そうしましょう。じゃあ、おしゃれして、お化粧して、お昼ご飯はあそこで食べて、帰りにあのカフェよって――』とか!
色々、考えるじゃないですか!? で、実行するじゃないですか!?」
「早苗、意外とまともな店にも足を運んでいたのね」
「月に3回くらいは電気街ですよ」
「あんた日曜日って月に4回しかないんだけど」
ツッコミ入れるアリスは無視して、
「それで『ああ、今日は楽しかったなー』って家に帰ってきて、ご飯食べてお風呂入って、テレビをつけて『サ○エさ○』がやっていた時の絶望感!」
何やらすさまじい恐怖と絶望に襲われ、さいなまれる早苗は顔をテーブルにたたきつけた。
その衝撃で将棋の駒の山が崩れ、圧倒的勝利を確信していたこころの顔に絶望が浮かび上がる(お面)。
「明日は学校! しかも小テストとかあったりしたら!
それがいやで現実から目をそむけていたのに、一気に現実に引き戻される、あの感覚!
ドアの向こうで月曜日が『やあ』とかやっている! もうそれだけで、一気にテンション最悪ですよ!」
「……えーっと」
どう反応したらいいんだろう、という顔で霊夢がアリスを見た。
アリスは首を左右に振り、ならばと向けた視線の先の魔理沙は、『私に話を振るな』とばかりにテーブルの下に潜ってしまった。
「すなわち!
これが異変の真相なのですっ!」
一足飛びどころかホップステップドラゴンメテオくらいの理論の飛躍を見せる早苗に、霊夢が「えーっと……早苗、お茶、いる?」と尋ねた。
「……不覚」
「甘いね、こころちゃん! 運も実力のうちだよ!」
「じゃあ、普通の将棋で勝負をつけましょう。古明地こいし」
その傍らで、リベンジに燃えるこころ(お面)を不敵な笑顔でこいしが迎え撃つ。
「土曜日から続く陽気の中で浮かれ騒いだ午前中!
そのピークの盛り上がりが続く午後!
そして、近づく月曜日の足音を聞いて、一気にテンション持っていかれる夜中!
こうして、幻想郷から希望は失われたのですっ!」
「早苗、あなた、疲れてるのよ」
アリスが早苗の肩を叩いてつぶやく。
「いいえ、アリスさん。あなたは知らないのです。
月曜日は通称『ブルーマンデー』と呼ばれ、多くの学生と大人が絶望に苛まれる事実を!
実際、月曜日は電車がよく止まるんですよ! それに巻き込まれて1時間、満員電車とか死ぬかと思いましたよ!
だけどなぜかわたし、痴漢にあわないんですよね。それを味わいたいってわけじゃないですけど」
「お前、周りから近づきがたいオーラ出してるんじゃないのか?」
「そんなことないですよ。
あ、だけど、通学鞄にお気に入りのアニメのステッカーとかピンバッヂとか色々つけたりしてましたけど」
「それだよ」
そういうのを『近寄りがたいオーラ』というのだ、と魔理沙は断言した。
世の中、自分中心に回ってるんじゃないんだぞ、と。もちろん早苗とアリスは即座に『お前が言うな』と魔理沙に返した。
「えっと……えっと……。
こ、こころちゃん! この一手、待って!」
「ダメ」
「じゃ、じゃあ、これ!」
「絶対ダメ」
「うぐぐぐ……!」
「古明地こいし、次はあなたの番。下手の考え、休むに似たり」
またもや圧倒的な強さでこいしを蹂躙するドヤ顔こころ(お面)。
「月曜日! それは絶望のフレーズなのです! 逃げようと思っても逃げられない! 必ず向こうからやってくる!
火曜日もそう! 三連休の余韻を吹き飛ばし、絶対包囲で訪れる、これぞまさに『どうあがいても絶望』!
こころさんの希望は、月曜日が奪ってしまったんですよっ!」
「月曜日ってのは、そこまで言われにゃならんもんなのかね……」
「魔理沙さん、暇人じゃないですか」
「おい暇人って言うな」
「ちょうどいいわ、魔理沙。今、うちの店、人手が足りないの。
ちゃんとお金は払うから、うちで働きなさい」
「命令口調かよ!?」
「うちでもいいわよ、魔理沙」
「お前の神社、人に金払えねぇだろうが」
「友達のよしみで、時給250円まで出すわ!」
「どこの妖怪退治だよ!?」
「私、巫女。妖怪、退治」
「片言やめろ!」
「王手飛車角金銀取り」
「にゅぐぐぐぐぅー!」
まぁ、要するに。
「けど早苗、あなた、幻想郷に来てからフリーダムよね」
「だからわたし、希望を失わずにすんだんですよ」
だから出演を逃したんですかねー、とあっけらかんと言った後、早苗はお茶を一口する。
「まぁ、そういうわけで、これが異変の真相です。
それを打ち破るほどの希望を、こころさんが持たなくては」
「あんまり結論よくわかんないんだけど」
「困ったもんですよね」
「あんたが言うな」
アリスの一言が全てを示し、打ち切る、そんな博麗神社のけだるい午後の話であった。
絶対…
あぁ、久々にサ○エさん見たい…
痛々しさで涙出て来る。
祝日の月曜日さんの人気は異常
テンポ良く読めました