Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

Superwoman

2009/10/11 20:33:12
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 長閑な昼下がり。そこには読書を楽しむ一匹の妖怪がいた。朱鷺色の羽の妖怪が、麗らかな太陽の光の下で、静かに文字から文字へと目を走らせている。
 
 「♪」

 鼻歌交じりに上機嫌に本を読み続ける妖怪。他に辺りには聞こえるのは鳥の囀りと、妖精の小さな声だけ。静かで、穏やかな一日だった。
 
 だが、その時、太陽の光を浴びながら、禍々しく赤い影が降りてきた。その影は妖怪の羽を掴みながら低い声で話しかける。

 「きゃああああ!」

 沈黙が妖怪の悲鳴によって破られる。 

 「あら? 妖怪の癖にいい物持ってるじゃない?」
 「なんですか! あなたは!」
 「博麗霊夢。ただの巫女よ、妖怪退治が生業のね」
 「そ、それは知っています。昔も――ああ、トラウマが! それより、私が何をしたというのですか! ただ本を読んでいただけですよ!」

 恐怖に捕らわれつつも、健気にも妖怪は抵抗を試みる。だが、霊夢は意にも介さずに薄い笑いを浮かべた。

 「妖怪に生まれた己の身の不幸を呪いなさい」

 そして静かに話しかける。その静けさが一層恐ろしさを感じさせた。

 「こ、こんな非道が許されると思っているのですか!」
 「ええ、妖怪は退治されるもの、それが決まり事でしょう?」

 絶望に満ちた顔を浮かべる妖怪。だが、巫女はそれを待っていたかのように、甘く、穏やかな声を出す。

 「ああ、でも運がいいわね、あなた。今日の私は機嫌がいいのよ」
 
 そして耳元で甘い声で囁いた。

 「その本をくれたら見逃してあげるわ」
 「馬鹿なことを言わないでください! これは私の物です!」

 もはや妖怪の声は震えていた。それでも必死に口先だけの抵抗を試みる。それを見た霊夢は次第に交渉が面倒になってきた様子だった。

 「まったく、妖怪に情けをかけたのが間違いだったわね。妖怪を退治する。本を奪う。古道具屋に売り払う。これがやっぱり一番簡単だわ」
 「誰かああああ!」
 
 悲鳴をあげる妖怪。だが、鳥の姿は何処へかと消え去り、妖精達も己の無力さを呪いつつ身を潜めるだけであった。

 「こっちもツケが溜まってるのよ、悪く思わないでね」

 そしてスペルカードを掲げる巫女。世界から正義は死滅したのであろうか?

 ――その時、空に何かが見えた。恐ろしいスピードで飛んでくるそれ。妖精達はそれを見て叫ぶ。希望に満ちた声で叫ぶ。

 「空を見ろ!」
 「鳥だ!」
 「飛行機だ!」

 そう、世界から正義は死滅などしていない!

 「いや! スーパーウーマンだ!」
 
 例のテーマを口ずさみつつ舞い降りるスーパーウーマン。聖白蓮。その顔には眼鏡を掛けていた。眼鏡越しに見える瞳に、微かに悲しみを浮かべながら白蓮が二人の前に佇んでいた。 
 
 「貴方の妖怪を全て排除する考え――私にはそれを否定する事は出来ません」
 
 静かにそう語りかける。霊夢は一瞬たじろいだ様子を見せたが、強気を装うかのごとく話した。
 
 「当然よ! 妖怪は退治されなくちゃ!」
 
 白蓮は最後の説得を試みる。

 「ですが、再び彼女の本を奪い取ると言うのなら――私は精一杯抵抗します」

 だが、霊夢はその慈悲に耳を貸すことは無かった。
 
 「そう来なくっちゃね! 私は妖怪に味方する奴は全員倒すつもりよ!」

 その慈悲が受け入れなかったことに悲しみを覚えながらも、朱鷺色の羽の妖怪の、未だ怯えた様子を浮かべつつ、そして白蓮の存在に目を希望に輝かせた表情を見て、白蓮は己の使命を果たすことを決心する。

 「まったく。人間は変わっていないな……誠に浅く、大欲非道であるッ! いざ、南無三──!」

 それを聞き終わった瞬間、霊夢はスペルカードを宣言した。
 
 「霊符『夢想封印 散』!」

 回りに数多の弾が現れ、拡散する。だが、それを一瞥すらせず、白蓮は静かにスペルカードを宣言した。

 「超人『聖白蓮』」

 次の瞬間、霊夢の視界から白蓮の姿が消えた。否。目にとまらなかった。霊夢が瞬きをする間に、白蓮は霊夢の後ろに浮かんでいた。
 
 「南無三」

 白蓮はそう呟き、霊夢に罰を与える。辺りに西洋風の衝撃音が響き渡った気がして、次の瞬間に霊夢は気を失っていた。妖怪と妖精の歓喜の声が辺りにこだまする。

 「ありがとうございます!」

 しかし、その瞬間にはもう白蓮の姿は見えなかった。だが、確かにその日も幻想郷の平和は守られた。




 
 「見て下さい白蓮様!」

 その数日後、星が新聞を片手に白蓮の部屋を訪れていた。

 "またまたお手柄スーパーウーマン! 追い剥ぎ巫女に天誅を下す!"

 新聞にはそんな見出しが躍っていた。

 「またスーパーウーマンの活躍ですよ!」
 「ええ、そうらしいですね、彼女のおかげで霊夢も反省したようですし」
 「はい、昨日は命蓮寺まで来ていましたからね。ツケで首が回らないとかで、信仰と賽銭の集め方を相談に来ていました」

 スーパーウーマンの正体は誰も知らない。白蓮の髪のグラデーションからは催眠効果のある光が出ている。そのため、眼鏡を掛けた瞬間に誰もが白蓮を白蓮と思えなくなるのである。

 「ええ、追い剥ぎより先に成すべきことに気づいてくれたようです。」
 「はい。それにしても、私たち以外にも妖怪のために頑張っている方がいるんですよね」
 「そうですね」
 
 そして、星は少し考え込んだ様子を見せた。

 「私たちもスーパーウーマンを始めませんか?」
 
 白蓮はその言葉を予想していたのだろうか、すぐに返事を返す。だが、その言葉は否定的な物だった。

 「その気持ちはわかりますが……」
 「私たちの力があればきっと、もっと多くの妖怪が救えますよ」

 白蓮達は人間と妖怪の平等を説き、世界に平穏をもたらそうとしている。だが、その行動はあくまで穏健な、教えを説くと言ったものであった。
 その行動は確かに結果を残していた。命蓮寺には人間、妖怪問わず多くの信徒が集まり、白蓮の教えに耳を傾けるようになった。幻想郷も少なからず平穏になったように思われる。
 しかし、それでも全ての者に教えを説くことは出来ない。無実の妖怪が襲われることも未だ無くならない。それに対し、教えを説くことでしか対抗できないことに、星が歯がゆさを感じていること、それもまた白蓮は感じ取っていた。

 「星」

 白蓮は星に教えを説く。

 「確かにスーパーウーマンは妖怪を、あるいは人間を救います」
 「はい」
 「ですが、一人の存在が救える量は僅かな物です」

 スーパーウーマン白蓮は、その事を誰よりも痛感していた。確かにスーパーウーマンの力は人々を救う。スーパーウーマンの身は一つでしかない。一つの身では、極僅かな者しか救うことは出来ない。
 だからこそ、多くの人々に教えを説き、スーパーウーマンが必要の無い幻想郷を作ることを白蓮は夢見ているのだ。
 そして、白蓮はスーパーウーマンの無力さ、多くの者を救えない苦しさを他のものに感じさせたくはなかった。この一人で物事を背負い込む癖が、あるいはただ一人法界に封印される結果を招いたのかも知れない。

 「確かに、スーパーウーマンが救うものもあるでしょう。ですが、それはスーパーウーマンに任せ、我々は違った形で平穏な世を、そしてより多くの者を救いましょう」
 「ですが、スーパーウーマン一人に任せず、私たちも手伝えばより効率的では……」
 「者にはそれぞれの役割があります。私たちも自分の出来ることをこなしましょう」
 「はい…」

 星は釈然としない様子を見せつつも、白蓮の言葉は正論と感じたらしく引き下がる。

 その次の日。命蓮寺に一人の魔法使いが訪れた。

 「ゲホッ! ゲホッ!」
 「大丈夫ですか?」
 「あ、ああ、はい、喘息持ちでして……」

 パチュリー・ノーレッジと名乗ったこの魔法使いは悩み事を話し始めた。

 「この頃空き巣に悩まされてまして……」

 最近、魔法の森に住む霧雨魔理沙という魔法使いが、パチュリーの家の書籍類を日々奪っていくらしい。

 「抗議はしているのですが……」

 だが、抗議をすれども、「盗んでいるんじゃない、死ぬまで借りてるだけだぜ」などといい、聞く耳を持たないとの事であった。

 そして、白蓮は件の魔法使いの下に赴くこととした。鬱蒼とした森の一角に魔理沙の家があった。白蓮がノックをすると魔理沙がドアを開ける。

 「こんにちは」
 「ああ、命蓮寺の尼さんだっけ、ええと、名前は……」
 「聖白蓮と申します」
 「そうだったな」

 そう言いながら魔理沙は白蓮を部屋に迎え入れた。紅茶を差し出しながら魔理沙が話しかける。

 「そうだ、魔法使いなんだよな?」
 「ええ」
 「少し知りたいことがあるんだ――」

 そして魔理沙は白蓮を質問攻めにする。白蓮もその一つ一つに丁寧に答えた。

 「なるほどなあ、流石に魔法の年期が違うぜ。ありがとう」
 「いえいえ、私程度の知識がお役にたてば何よりです」
 「そういえば何をしに家まで来たんだい?」
 「とある妖怪から相談を受けましてね――」

 白蓮はパチュリーから相談された空き巣のことについて話し始めた。

 「あなたの魔法への情熱はわかりますが、空き巣をするなどもってのほかです、少し考え直してはいかがでしょうか?」

 だが、魔理沙から帰ってきた答えは白蓮の予想していないものであった。

 「何を言っているんだ? 私は盗んでなんていないし、空き巣になんて入っていないぜ?」
 「どういう意味ですか?」
 「私は堂々と入っているから空き巣じゃないぜ、それに盗んでいるんじゃない、借りているだけだ」
 「借りている?」
 「ああ、私はあんたやパチュリーと違って捨虫の法を会得したわけじゃないし、まあ覚える気も今の所無いな、だから死ぬまで借りてるだけさ」

 魔理沙は、実際罪悪感を感じてもいない様子で話していた。

 「ですが……」
 「いいか、私の寿命なんて妖怪からみればあっという間の儚い存在なんだ。何十年かの間借りてても問題ないだろう?」
 「そういう問題では……」
 「いや、人間は弱い存在だからこのくらい優遇されるべきだぜ、それにパチュリーの本は何百年掛けても読み切れないくらいあるんだしな」

 その後も二人の話は平行線を辿った。白蓮もやむをえず力ない顔で命蓮寺への帰路についた。





 それからしばらくした日、白蓮は虫の知らせを感じた。

 (スーパーウーマンの出番が近づいてきたようね……)

 「星、少し散歩に出かけてきますね」
 「はい」

 白蓮は回りに人目が無いことを確認すると眼鏡を付ける。そして紅魔館に向かい飛び立った。

 その頃紅魔館ではパチュリーが真剣な顔で魔法の研究をしていた。

 「よう、パチュリー」
 「今忙しいから黙ってて、本さえ盗まなければ何しててもいいけど話しかけないで」
 「じゃあ、お言葉に甘えて死ぬまで借りとくぜ」

 最後の言葉をもはやパチュリーは耳に留めていなかった。魔理沙に目もくれず、真剣に目の前のビーカーを見つめている。

 「ええと、これとこれとこれに……ああ、これも読みたいな」

 鞄に次から次へと本を詰め込む魔理沙。今日も紅魔館の図書室からは本が消え去るかと思われた。

 「そこまでよ!」

 図書室に声が響き渡る。パチュリーの物だろうか? いや、パチュリーはこの声すらもはや耳に入っていなかった。そして、方角もパチュリーの方からではない。魔理沙はパチュリーを背にしていた。だが、声は魔理沙の前方から聞こえてくる。そこには眼鏡の女性が。スーパーウーマンが佇んでいた。

 「あ、あんたは……もしかして噂のスーパーウーマンか!?」
 「魔理沙、あなたには仏の教えを理解して貰えず残念です……誠に狭く、田夫野人であるッ! いざ、南無三──!」
 「これは新魔法の試しがいがあるぜ! 相手に取って不足なしだ!」

 白蓮は己の身を覚醒させる。超人となり、目にもとまらぬ動きとなる。だが、魔理沙もさるもの。箒から出る魔法を推力とし、魔理沙もまた猛スピードで飛び回る。
 二人とも本を気遣ってか、弾幕は殆ど放たない。肉弾戦となろうとしていた。だが、間合いを二人とも掴みかねていた。猛スピードの中での読みあいとなる。パチュリーはそれに全く気づく様子も無く、黙々と魔法を研究している。
 その中で、やはり年期の差だろうか、一瞬魔理沙が隙を見せた。方向転換の際に、刹那の静止を見せた。

 「私と肉弾戦で勝負しようなど軽挙妄動であるッ!」

 白蓮がその隙を見逃すわけもなく、魔理沙に迫る。魔理沙は白蓮に吹き飛ばされ、思わず気を失った。その時、パチュリーもまた大声を出した。魔理沙から本を守った喜びだろうか? いや。そうではなかった。

 「出来たわ! ついに日&火符の完成よ!」

 パチュリーの魔法が完成したらしい。

 「あとはこれに着火すれば……」

 その瞬間――凄まじい音が室内に響きわたる。魔法の何かを間違えたのだろうか。凄まじい爆発が起きた。パチュリーは吹き飛ばされる。不幸中の幸いか魔理沙が気絶した場所とは距離があったが、近くであれば人間の身では即死を免れないほどであった。辺りには粉々になった机や器具が散乱し、その威力を物語る。妖怪のパチュリーも衝撃によって思わず意識をなくす。

 超人である白蓮は、その身体能力によってどうにか意識を保った。目がちらつき、耳鳴りを感じていたが、爆発の方から伝わる熱気によって思わずそれを忘れた。
 爆発が起きた所には火柱が立ち上っていた。その火が部屋中の物に引火しようとしている。広大な図書室ゆえ本棚とは少々距離があったが、このままでは引火することは時間の問題と思えた。
 いや、本以前に、このままでは中にいる三人の身が危ないだろう。外からはこの大音に気づいた住人達が駆けつけてきた音が聞こえたが、ドアがひしゃげていてすぐには入れない様子だった。
 白蓮は必死に炎を消し止めようとする。だが、白蓮は水の魔法は得意としない。火の勢いは白蓮の魔法より遙かに強い。

 「ああ、私一人では無理でしたか……他の者がいれば……星の言うとおりでした……誠に愚かで自分勝手であった!」
 
 そして炎と煙の中で白蓮は膝をつく。
 
 「星、村紗、一輪、雲山、ナズーリン……すみません、後は頼みましたよ」

 だが、白蓮が膝をついた瞬間。声が聞こえてきた。

 「おいおい……ちょっと気を失ってる間に偉いことになってるな」

 魔理沙は意識を取り戻していた。そして、必死に火を消そうとしている。

 「こっちはまだ十何年しか生きてないんだ。魔法もろくに覚えていないのに死ねないぜ」

 絵に描いたが如くの見事な決め台詞を放つ魔理沙。だが、魔理沙も水の魔法は得意としない。火の勢いは弱まる所を見せない。白蓮が再び絶望を感じようとした時、また一つの声が聞こえた。

 「魔理沙に……盗まれた…本…は取り返せば…いいけど、燃…えたら……それも出来ないのよ…」

 パチュリーもまた意識を取り戻したが、煙を吸い込んだせいか、苦しそうに咳き込む。パチュリーは本来、水の魔法も得意とするが、喘息のせいで思うように魔法が使えない。

 「しかし二人ともあの爆発に巻き込まれて無事かあ。やっぱり人間は守られるべき弱い存在だぜ」

 そう軽口を叩く魔理沙も、火の勢いには苦戦している。三人は必死に魔法を使うが、火は燃え広がらない程度で、弱くなる気配を見せない。ドアも開けることに苦労している様子で、三人の体力、魔法の燃料が尽きることも時間の問題かと思われた。
 だが、そこで白蓮に閃きが生まれた。

 「一本の矢は脆い物かもしれません」
 「おいおい、こんな時に何言ってるんだ? あ!」
 「三本の矢は折れないわけね」

 三人もまた気づく。白蓮は水を出すことをやめた。代わりに雲を浮かべる。

 「吉兆『紫の雲路』」

 魔理沙はそれを吹き飛ばす。一面に雲の欠片が広がった。

 「恋符『マスタースパーク』」

 パチュリーは己の魔力ではなく、白蓮の作る雲を水の元として、水を作り出す。

 「水符『プリンセスウンディネ』」

 そして、三人の魔法が合わさり――人間と、妖怪と、元人間の力が合わさり――水&恋&吉兆「紫のプリンセスマスタースパーク」が放たれる。水は次第に勢いを弱めていた。
 そして、その時、ドアが投げ飛ばされる音が聞こえた。レミリアがその怪力でようやくドアを壊した。レミリアが、咲夜が、美鈴が、フランが、皆が室内に入ってくる。紅魔館の者たちは必死にバケツリレーを始めた。

 人間と、妖怪と、元人間が魔法を放ち、吸血鬼と人間と妖精と小悪魔がバケツリレーを行う。皆で一つの火を消そうとする。

 「ああ……これが私の望んだ世界です……幻想郷に光が満ちる――」





 決死の努力によって、ようやく火は消し止められた。

 「疲れたぜ……」
 
 魔理沙が思わずそう呟く、全員が同じような感想を抱いていた。

 「ところで魔理沙は何しに来てたの?」
 
 ようやく喘息の発作が治まったパチュリーが問いかける

 「本当に覚えてないんだな……本を借りに来たと言っただろう?」
 「魔法の研究をしてる時の事なんて聞いてないし、覚えてないわよ。それに魔理沙は死ぬまで返さないでしょう! それは盗むって言うの!」
 「たいした違いはないだろう?」

 パチュリーは早速本を取り返す。そして、改めて魔理沙に手渡した。

 「いいわ。今日は世話になったからね、これはプレゼントするわ」
 「私にとってはどっちでも同じだけどな。まあ遺書には返すように書いておいてやるさ」

 白蓮はそれを微笑ましく見守っていた。そんな白蓮に魔理沙が問いかける。

 「しかし、スーパーウーマンって魔法使いだったんだな。あれだけの魔法。一体あんたは何者なんだい?」

 白蓮は一瞬の逡巡を見せた。だが、思い直した様子で、眼鏡を天高く投げ捨てた。

 「あなたは……」

 パチュリーが驚きの表情を浮かべる。
 
 「白蓮!?」
 
 魔理沙もまた同じく。レミリアも、咲夜も、そこにいた皆が。

 髪の毛の催眠効果は確かだった。眼鏡を捨てただけで、皆が驚きの表情を浮かべていた。

 「ええ、私がスーパーウーマンでした。ですが、スーパーウーマンは一人で行えることの限界を学びました。そして、一人は皆無力な存在であることを。ですからスーパーウーマンはもういません。ここにいるのはただの僧侶。聖白蓮です」

 そして白蓮は皆で協力することの大切さを説く。ありがたい話ではあったが、レミリアが口をはさんだ。

 「ええと、みんななんだか感動してるみたいだけど、それはいいとして、私の家を壊した犯人は誰かしら?」

 かろうじて本は無事だったが、ドアは無く、辺りには壊れた物の破片が散乱し、壁は焦げ、と言った無残な部屋を見て、一同は無言となる。

 「ねえパチェ。言わなかったっけ? 室内でむやみに火を使うなって?」
 「覚えてないわ」
 「そうね、多分パチェが魔法の研究してた時に話した気がするわ」
 「そりゃ覚えてないわよ」

 レミリアは溜息と共に天を仰いだ。

 「わかったわ。私は寛容だからね、終わったことは問わないわ」
 「流石はレミィね。友人であることが誇らしいわよ」
 「だけどこれからの事は別よ。パチェ。掃除よろしく。ああ、美鈴も咲夜もメイド達もみんな忙しいからね。掃除どころじゃないってことは覚えておいて」

 




 その日の夜

 「星、少しお話があるのですが」
 「なんでしょう?」
 「いえ、皆で力を合わせて行いたいことがありましてね――」

 そしてスーパーウーマンは幻想郷から消えた。

 その次の日。パチュリーが病弱な体に鞭打ちながら、一人片付けをしていた時のこと。謎の助っ人が現れた。彼女たちは不思議な衣服とマスクに包まれていた。

 「捜し物なら私に任せな! ブラジャーからミサイルまで何でも捜すよ! 小さな賢将ロータスグリーン!」
 「鬼でも悪魔でも殴ってみせるわ! だけど尼さんだけは勘弁ね! ハイカラ娘ロータスピンク&雲山!」
 「奇人・変人誰でも運ぶわ! 幽霊キャプテンロータスブルー!」
 「封印解除は私にお任せ! ドジを踏むのもご愛敬! 毘沙門天の弟子ロータスイエロー!」
 「私のような天才策略家じゃなきゃ強者どもはまとめられない! このような強者が集まったのは誠に握髪吐哺の結果であるッ! 大魔法使いロータスレッド!」

 五人は声を合わせる。
 
 「五人揃って命蓮戦隊ロータスレンジャー!」

 この件を皮切りに、時折幻想郷には謎のヒロインが現れるようになった。命蓮戦隊ロータスレンジャー。人と妖怪の、平等で平穏な世界を作るために尽くす英雄。だが、そのマスクの下の正体は誰も知らない。
早苗……教えてくれ、俺はあと何回ナズーリンを倒せばいい? 後何回ナズーリンと小傘を倒せば超人「聖白蓮」が見られるんだ?

諏訪子様は何も言ってくれない……教えてくれ、早苗。

P.S 誤字修正しました ご指摘感謝。

 あと↑の後書きはお察しのようにガンダムWネタです。山のような早苗さんを犠牲にしてるのに、ルナどころかハードですら白蓮に辿り着けません……
Pumpkin
[email protected]
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
雲山実名wwwww
何気に朱鷺子さんかわいいな
2.名前が無い程度の能力削除
雲山ならロータスホワイトでいいじゃないか!

誤字報告です。
>命連戦隊ロータスレンジャー
命蓮戦隊~、かな?
3.名前が無い程度の能力削除
まさかのオチw
面白かったです
4.名前が無い程度の能力削除
眼鏡ひじりんとな。これは拝まざるを得ない。
序盤の横暴巫女とタイトルから中盤までの流れは読めましたが、ラストは予想外でしたww
5.七人目の名無し削除
スーパーマンとか特攻野郎Aチームとかネタ満載でおもしろかったです。
後書きのセリフはガンダムWのパロですよね?
6.名前が無い程度の能力削除
早苗さんがでこっぱちとな!?
7.名前が無い程度の能力削除
ゼロータスシステムが未来を見せてくれるさ。
近接戦闘トップクラスだろうなあ。
8.名前が無い程度の能力削除
終盤まさかの展開www
超人ネタ性高すぎるwww
9.名前が無い程度の能力削除
早苗はむしろマリーメイアだろwww
量産機スカイサーペントの大群に立ち向かうは
オペレーション命テオの5人の少女
10.名前が無い程度の能力削除
やべぇ解脱しそうだ
11.名前が無い程度の能力削除
南無三ww
12.名前が無い程度の能力削除
追加戦士はアンノウンなあの子ですね、わかります。