「拳を交えてこそ、真の友情は培われるのよ!」
と、永遠の姫こと蓬莱山輝夜が相変わらずない胸を張って言った
その輝夜の後ろに掛けられた掛け軸には"永夜沙はもっと評価されるべき"と力強く書かれている
これシリーズだったのかよ
毎度おなじみ過ぎて説明するまでもないが、いつもの場所、いつものメンバー……あれ?
空席が一つ、たしかあの席は……
「うどんげは?」
「参戦済みの奴に用は無いッ!!」
……成る程、要するに黄昏の格ゲーに永夜沙キャラを出せというわけか
言われてみればそうか、永夜沙からの参戦はいまだにうどんげ一人なのに風神録からは二.五人(文含めれば三.五)、永夜沙からかなり後の地霊殿からすでに一人でているのはどうしたものか
……いや、こちらも霊夢と魔理沙含めれば三人参加しているんだが
「今回の会議では何故私達が黄昏格ゲーに出られないのかについてよ。今回はうどんげの変わりにスペースシャトルなゲストを呼んでいるわ」
「スペシャルだ」
輝夜が指をならすのと同時、襖が開いた
「上白沢慧音だ。よろしく」
見慣れた顔である
里の教師がそこにいた
「あのな輝夜」
「何よ」
「あれは三ボスが出れるほど出場条件は甘くない。門番は特別だ」
「バッッッカじゃないの。三ボスはもう一人いるわよ」
ん?
美鈴と……
あっ
「美鈴!アリス!だぁ~ったら慧音がいてもおかしくないでしょ!ニボスまで参戦しだす世の中よ!?」
確かに……!
って、アリスは永夜沙でサポートやったし、美鈴は紅魔勢優遇の結果がこれなんだろうし
まあチルノは……予想外過ぎたんだが
「とりあえず某格ゲーツールのおかげで出れないという線は消えたわ」
「そういうグレーな話はやめろ!」
コメント欄が荒れかねない
ここで永琳が挙手する
「やはり、永夜沙って紅、妖と比べると存在感やや薄いんでは」
うわーそれ言っちゃうかー
輝夜固まったぞオイ
「ほら、四面が優曇華で五面が私、六面が姫という勘違いした人も少なくないし。作者とか」
「まぁ霊夢と魔理沙があそこで出て来るなんて想像出来ないわよねぇ」
てゐも続ける
「あと、永夜沙メンバーは外出している所が想像しづらいんだろうな。私なんか教師だし」
「うぐぅ……慧音まで……」
輝夜が縮こまる
そのままカリスマガードでもしていろ
「だぁったら聞くけど!!あんたらは格ゲーに出たくないの!?」
「「「出たいッ!!」」」
「出たいのかよ!?」
どっちなんだよ!
「さぁ後は妹紅だけ!さぁ出たいの!?出たくないの!?」
むぐぐ……
出たくないわけじゃないがめんどくせェ……
ってなわけないだろ!!
「出たいに決まってるだろうが!!」
「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッ!?」」」」
「なんだよ!!」
思わず叫び返した
「ないわーマジないわー」
てゐは頭を抱える
「あなた……自分の立ち位置解ってるの?」
永琳も額を押さえる
「いやお前はこっちに来ちゃだめだろう……妹紅」
慧音が呆れた声を出し
「失望したっ!!空気読めない妹紅に失望したっ!!」
輝夜に失望された
私が何をした
「あーもー無理、しけた。会議終了。かいさーん」
「なんで!?私なんか言った!?」
「ほれ、帰っていいわよ妹紅」
「帰るのはいいが物凄く腑に落ちないんだが!! なんなのさ私が悪いのかこれ!?」
「自覚が無いのが一番タチ悪いのよねぇ」
「んだよ畜生!なんもしてないのに悪いことした気分になってきたよ!なんもしてないのに!」
泣きそうになってきた
いまなら誰の胸に飛び込んでもいい
「わかったとりあえず謝る。謝るから待て」
いつもならヴォルケイノかっとばす所なんだが……なんかそういう空気じゃないよね、これ
「はぁ?謝り方ってもんを知らないのアンタ?」
肘をつきながら輝夜が睨んでくる
あれ、逆切れしたくなってきた
「……申し訳ありません」
「言葉だけじゃなくて態度でもあらわせってんだよゴラ!!土下座しやがれ土下座ァ!!」
……たえろ妹紅、逆切れはマズイ
空気を読むんだ!
「申し訳ありません(土下座)」
と、輝夜が私の頭に向けて足を運ぶ
頭を踏むつもりか
私に土の味を味わわせる気か、畳だけど
キレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだキレちゃだめだ
キ レ ち ゃ だ め だ !
「足を舐めなさい」
ドガァァァァァァァァァァァァァァァンン!!(効果音はイメージです)
「そう!それでこそ私の妹紅よ!!」
「何がしたいんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
燃え尽きたぜ……真っ白によ……
「いやさ、私もカリスマお姫様としてロマン技の一つくらい持っておきたいのよね」
唐突に切り出す
「おいおいそれじゃ会議じゃなくて妄想じゃないか」
「会議はもうしないって言ったじゃん」
「マジでしないのかよ!じゃあ私らはなんの為にここにいるんだよ!」
「会議なんてくだらねぇ!私の妄想を聞けぇぇぇぇぇ!!」
「嫌だよ!他人の妄想ほどくだらないものも無いよ!」
「私が妹紅とイチャイチャしたいための口実ってことでいいわ」
「それじゃ私とお前以外がいる意味ないな」
「そんな……二人きりなんて……スイッチ入ったら怖いじゃない。私の」
「お前のかよ!」
輝夜の言い分を聞いて永琳がスッと 立ち上がる
そのまま足先は部屋の外
「んあれ?どこ行くのよ永琳」
「…………そんな理由で夫婦漫才見せつけられてたまりますかっ」
拗ねてる――――!!
月の頭脳拗ねた――――!!
「ちょ、おま、ただでさえうどんげ欠席なのに、永琳まで抜けたら永遠亭会議じゃなくなるじゃん」
「会議じゃないんでしょう?」
「ああ、そっか。じゃあいいや」
「いいのかよ!」
「話を戻すわね。私もカリスマお姫様としてロマン技の一つくらい持っておきたいって話だったわね」
ロマン技
それは、高威力な技
ロマン技
それは、不便の極み
ロマン技
それは、やたらかっこいい技
ロマン技
それは、非効率の極み
でもなんか狙いたくなる
それが、ロマン技
様々な格ゲーには、やはりなにかとロマン技があるもんだ
例えばス〇リートファ〇ターならダ〇の挑発伝説とか
メル〇ィブ〇ッドの十七分割も割とそうだし、ギ〇ティ〇アにおいては一撃必殺技がすべてそうなるだろう
ちなみに東方にも夢想転生というロマン技がある
で、輝夜は一体どんなロマン技が欲しいのか
「コストは1、単体で使うと意味ないけど、決められた順番道理に五枚使えばその場で私の勝ち」
ふむ、決められた順番か。まさにロマンだな
「それぞれの難題を順番道理に使っていく訳だな?なかなか面白いじゃないか」
慧音が妄想を称賛した
「いいえ、呪文よ」
「呪文?」
「体は剣で出きていた――」
無限の剣製かよ!
あんな派手な演出は東方には無理だから!
「封印されし輝夜の右腕」
「エグゾ〇ィア!?」
「黄昏よりも昏きもの――」
「竜〇斬!?」
「どうよ!?」
「パロ技しか出来ないお前に失望した」
舌打ちする輝夜
こいつはどんな返答が欲しかったのか
「いいじゃない、パロ技。黄〇ならやってくれるわ。モーゼを殺意の波動に目覚めさせた〇昏なら」
まぁ確かにアレは……アレだが
「慧音はやりたい技とかなんか無い?」
「む~……ツインホーントレインとか」
「………………」
「ふ、ファイ〇ルアトミッ〇バスターとか」
「……………………微妙ね」
がーん
って感じの効果音
まあ投げキャラじゃあ鬼と被るしな
「で、そろそろ私のターンでいいか?」
「さりげなくてゐをとばしたわね」
当のてゐは「いいよ、あたしゃどうせ出れないから」
と、言ったっきり寝てしまった
どんだけ寝るんだよ
「なんでわたしがトリで固定なんだよ」
「うっせぇ!自己主張すんな!」
「何でだよ!」
「お前なんか妹紅じゃねえ!あれだ、フェニックス藤原だ!」
「なにその出落ちキャラみたいな名前!」
「ってなわけでフェニックス藤原よ、お前の欲しいものは何だ?…………ロードローラーだッ!!」
「いらねえよ」
「ま、どうせジェノサ〇ドカッターとか陳腐な技使うんでしょ?どうせ運送社員になるんでしょ?」
「だからそのネタはやめろっての!」
「全画面即死とか判定がないとか言ったらぶつわよ?」
「しねーよ!あくまで普通のキャラで!ねらったパロ元とかない普通の技だよ!」
「言ってみなさい」
「ああ聞け!まずは対空!炎を纏ったサマーソルトキック、ファイヤーサマー!」
「…………」
「波動技!サッカーボール大の火球をおもいっきり蹴り飛ばす、バーニングシュート!」
「…………………」
「次に逆波動コマンド技!ドラゴンの形に炎を纏わせおもいっきり相手を殴り飛ばす、ドラゴンナックル!」
「…………………………」
「超必殺技(スペルカード)!不死鳥の羽を纏わせ宙に舞い上がり、敵を貫く勢いで音速のライ〇ーキックをくりだす、フェニックス流星脚!」
「……………………………………」
輝夜が少しずつ距離を開けているのに気がついた
同時、
「ぷふっ……!!」
慧音が吹き出した
「はははははははははっ!!」
「なんで笑うんだよ!」
「うわははははははははははは!!」
輝夜もつられて笑い出す
「なんで笑うのかって……ねぇ?」
「ねぇ?」
二人顔を合わせて
「ねぇ、じゃねぇよ!んだよこちとら真面目に答えてやったってのに!」
というともう一度輝夜は吹き出し、
「真面目!?今の真面目だったの!?ウケルwwww」
「ファイヤーwwwドラゴンwwwフェニックスwww流星脚www」
慧音が見たことの無いキャラ崩壊を見せる
草生やすな
「だからあんたはフェニックス藤原なのよwww」
「誰がフェニックス藤原だコラ!私がフェニックス藤原ならお前はあれだ、エターナル輝夜だ!」
「フン、語呂が悪いわね」
「んじゃ苗字と合わせてエターナル輝山(てるやま)だ!」
「ぶふふぅぁははははははははははっ!!」
慧音の腹筋がやばいらしい
「わ、笑ってんじゃないわよ!この、Caved白沢(しらさわ)!」
あ、固まった
と、突然戸を叩く音
「東方非想天則の収録で遅れました。鈴仙・優曇華院・イナバです。永遠亭メタ会議はまだやってますか?」
て、あれ、うどんげ?
呼ばれてないはずじゃ……
「な、なんやねんお前!なんでお前がここにおんねん!」
声を荒げる輝夜
なんで関西弁やねん
「な、なんですか?私は収録が終わった後、師匠に私の代わりを埋めといてほしいって聞いて……」
「ウゴハァ!」
「はぁっ!?」
突然盛大に吐血した慧音にうどんげは素っ頓狂な声をあげて身を引いた
なんだなんだ
いつの間にか起きていたてゐが叫ぶ
「血を吐いた!」
「慧音さんが血ぃ吐きおったで!あかんかったんや……本来慧音さんはうどんげの代理に来たのに、いきなりうどんげが出て来るのはあかんかったんや!」
慧音は「Caved白沢……Caved白沢……Caved白沢……」と呟いている
うん、輝夜のせいだよなこれ
タイムラグだよなこれ
「謝れ鈴仙・優曇華院・イナバ!」
「慧音さんに謝れ!」
「え、いや、その」
哀れ鈴仙
まさにあわれいせん
まぁうどんげの弄られキャラっぷりは今に始まった話でもないが
「謝れ!Caved白沢に謝れ!」
「ガハァ!」
……もう許してやれよ……どっちも
「謝れ!」
「謝れ!」
「あやまれいせん!」
「ルナティック鈴仙!」
「……なんかいまひとつなあだ名だねぇ」
「奇遇ねてゐ。私も言いながらそう思っていたわ」
「あれだよ、藤原とか白沢みたいな平凡さに欠ける名前だからだよ」
「なるほど、所詮は鈴仙ね」
「何が所詮なんですか!」
「鈴仙なら仕方ないね」
「何が!?ねえ何がなんなんですか!?」
「なんでもいいから謝れ!」
「土下座しろ!」
「足を舐めろ!」
「……………………う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!師匠~~~~~~~!」
……あーあ
苦労してんなぁこいつ
「……危機は去ったわ」
「何のだ」
「慧音の」
「ぴくりとも動かないんだが」
「大変!なかったことにしてもらわないと!」
「ぴくりとも動かないんだが」
「医者~~~~~~!!」
叫びながら輝夜は駆け出した
ったくどいつもこいつもえーりんえーりんと……
一体なんのために今日集まったんだよ
「な、なんやねんお前!なんでお前がここにおんねん!」
鈴仙と鉢合わせしたんだろう
なんか……頭痛がしてきた
ふと見ればてゐがなんか書いていた
「何してんだ?」
「報告書書いてる」
書くのかよ
今日何もやってないぞ
「てかお前寝てたし」
「まぁ適当に書くよ」
なんというか……八雲紫に合唱
「私もう帰っていいのかな……」
「いいんじゃない?お疲れ~」
「………………」
なんというか
ストレスで私の寿命がマッハってやつだ
死なないけど
第二回永遠亭会議報告書
<議題:永夜沙キャラの格ゲー参戦について>
拝 啓 八雲紫 様
秋も終わりに近づきやや冷え込む日が増えてまいりましたが如何お過しでしょうか。
さて、この度の永遠亭会議では諸事情が重なり中止、うやむやとなってしまいました。
我々の過失による側面も少なからずあり、誠にお詫び申し上げます。
今後このような事が起きないようによりいっそう努力に励みますので、これからも永遠亭
をよろしくお願い申し上げます。
敬 具
永遠亭 兎のリーダー 因幡てゐ
「するか馬鹿!しなかったならわざわざ送ってくんな!ってかこの毎度意味不明な会議の報告書を見て私に何をしろってんだ畜生!!畜生ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「紫様!お気を確かに!紫様!紫様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
面白かったですが
永夜『抄』です
あと、合唱じゃなくて合掌ですよね?