※注意
親父さんの口調とか諸々捏造。
しかも香霖と薔薇っぽい。
つまり、霧雨の親父さん×香霖。
無理だと感じた方はブラウザバックを推奨します。
半人半妖というのは、便利なようで便利でない。
というのも、今日の日の酒の席、それを痛感した。
「親父さん。」
「ん?」
「飲み過ぎです。」
人間のようにすぐに酔い潰れてしまえば楽なものだが、いかんせん、妖怪の血がそれをさせてくれない。
つまるところ僕は、人間としては酒豪、妖怪の中での下戸なのである。
共に席を同じくする者が人間である場合、酔い潰れた相手を介抱するのは僕だ。
「あっはっははは、ふっ、うへへへへ。」
「……。」
親父さんは見た目にそぐわず、かなりの下戸であった。
だというのに、浴びるように飲むもんだから、今現在べろんべろんになってしまっている。
「ほら水です。飲んで下さい。」
「んあ?むぐっ!」
水の入った湯飲みをぐっと押し付けた。
ぱたぱたっと数滴、畳に落ちる。
水を飲み下す度に、大きく上下する咽頭を、僕はぼんやりと眺めていた。
そうして、よいしょという掛け声と共に抱き起こし、寝所へと連れていく。
別にただの酔っぱらいならば、引きずったって構わないものだが、今こんななりでも一応雇い主は雇い主である。
酔ったままの親父さんが、へらりと笑い、口を開いた。
「お前がいれば、嫁さんとらなくてもいいかもなぁ。」
「若いうちから何馬鹿げたことをおっしゃっているんですか。」
「何おぅ!俺よか若ぇくせに!」
「寝言は寝てから言いましょうか。」
僕がそう返すと、つらつらと僕の長所を上げていく。
「ああ、愛想がよくねぇのが難点か。」
「余計なお世話です。」
夕の頃に用意してあった布団に、親父さんを寝かせる。
すると、すぐに寝息が聞こえてきた。
「馬鹿ですね、本当に。」
もうすぐ僕はここを出ていくというのに。
理由は、別に親父さんの世話を焼くのに飽いただとかそういうものではなく、やりたいことを、能力の使い道を見つけたからだ。
しばらく寝顔をなんともなしに眺めていたのだが、片付けのことを思い出し、立ち上がった。
灯りの淡い朱が漏れる居間へと戻る。
床に散らかされた酒の瓶やグラス、おちょこにぐい飲み。
その騒々しいとも言える中に、少しばかりの酒の残ったグラスを見つけた。
僕はそれを手に取ると、くっと飲み干した。
アルコールが唇と舌を濡らし、軽く喉を焼いた。
「こんなのであそこまで酔えるのか。」
呟くと同時に、があがあといつもの喧しい鼾が聞こえてきた。
数瞬の間、寝所の方へ目を向けていたが、すぐに流し台へと足を向かわせる。
「仕込みくらいは…、しようかな。」
その後、僕は少ない灯りの元で親父さんの鼾を聞きながら、明日の朝の仕込みに取りかかったのだった。
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親父さんの口調とか諸々捏造。
しかも香霖と薔薇っぽい。
つまり、霧雨の親父さん×香霖。
無理だと感じた方はブラウザバックを推奨します。
半人半妖というのは、便利なようで便利でない。
というのも、今日の日の酒の席、それを痛感した。
「親父さん。」
「ん?」
「飲み過ぎです。」
人間のようにすぐに酔い潰れてしまえば楽なものだが、いかんせん、妖怪の血がそれをさせてくれない。
つまるところ僕は、人間としては酒豪、妖怪の中での下戸なのである。
共に席を同じくする者が人間である場合、酔い潰れた相手を介抱するのは僕だ。
「あっはっははは、ふっ、うへへへへ。」
「……。」
親父さんは見た目にそぐわず、かなりの下戸であった。
だというのに、浴びるように飲むもんだから、今現在べろんべろんになってしまっている。
「ほら水です。飲んで下さい。」
「んあ?むぐっ!」
水の入った湯飲みをぐっと押し付けた。
ぱたぱたっと数滴、畳に落ちる。
水を飲み下す度に、大きく上下する咽頭を、僕はぼんやりと眺めていた。
そうして、よいしょという掛け声と共に抱き起こし、寝所へと連れていく。
別にただの酔っぱらいならば、引きずったって構わないものだが、今こんななりでも一応雇い主は雇い主である。
酔ったままの親父さんが、へらりと笑い、口を開いた。
「お前がいれば、嫁さんとらなくてもいいかもなぁ。」
「若いうちから何馬鹿げたことをおっしゃっているんですか。」
「何おぅ!俺よか若ぇくせに!」
「寝言は寝てから言いましょうか。」
僕がそう返すと、つらつらと僕の長所を上げていく。
「ああ、愛想がよくねぇのが難点か。」
「余計なお世話です。」
夕の頃に用意してあった布団に、親父さんを寝かせる。
すると、すぐに寝息が聞こえてきた。
「馬鹿ですね、本当に。」
もうすぐ僕はここを出ていくというのに。
理由は、別に親父さんの世話を焼くのに飽いただとかそういうものではなく、やりたいことを、能力の使い道を見つけたからだ。
しばらく寝顔をなんともなしに眺めていたのだが、片付けのことを思い出し、立ち上がった。
灯りの淡い朱が漏れる居間へと戻る。
床に散らかされた酒の瓶やグラス、おちょこにぐい飲み。
その騒々しいとも言える中に、少しばかりの酒の残ったグラスを見つけた。
僕はそれを手に取ると、くっと飲み干した。
アルコールが唇と舌を濡らし、軽く喉を焼いた。
「こんなのであそこまで酔えるのか。」
呟くと同時に、があがあといつもの喧しい鼾が聞こえてきた。
数瞬の間、寝所の方へ目を向けていたが、すぐに流し台へと足を向かわせる。
「仕込みくらいは…、しようかな。」
その後、僕は少ない灯りの元で親父さんの鼾を聞きながら、明日の朝の仕込みに取りかかったのだった。
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「馬鹿ですね」の一言に甘苦酸っぱいのが詰まっている…
しかしもっと、もっとがっつり読みたい…!
霖之助さんはあらゆる角度からどう見ても受け受けしいので、
ご友人の方は杞憂されてらしたのではないかと存じます