魔法の森の家といったら、まず思い浮かぶのが白黒の魔法使いの家
でも、今日はもう一つの家のお話…あっ、香霖堂では無いですよ?
今日のお話は、七色の人形遣いの家の中のお話…
七色の魔法使い事アリス・マーガトロイドは今日は家にいない
今日は紅魔館で魔法使い三人の読書会があるからだ
その間、家を護っているのは
『ワタシタチ!』
大量の人形達であった
幸い、一番の大泥棒である魔理沙は紅魔館に連行されていったから
『アンシーン!』
人形達は気ままにしていた…
だが、今日はちょっと違う…
『ザワザワ!』
大量の人形達が、自分達の居るスペースを空けて集まっていた
「ミンナ!」
「シズカニ!」
アリスの傍に居るはずの上海人形と蓬莱人形の二人が
ざわついている人形達に声を発した
『シーン!』
それと同時に人形達が静まり返る
「アリス二頭ヲ撫デテ貰イタイカ!」
『オ~!』
「アリスト一緒ナ御布団デ眠リタイカ!」
『オオ~!』
「アリスト一緒二、御風呂二入リタイカ!!」
『オオオ~!」
上海人形と蓬莱人形がそう宣言すると
周りに居た人形達がやる気を見せる
今日は、人形達のバトルロワイヤル
優勝者には、一日アリスの傍で遊んでもらえる権利が与えられる
もっとも、優勝者になる猛者はかなり限られる
それでも、誰にでも権利が得ることができる為
人形達は己の力を出し切って闘うのだ
「デハ!勝チアガレ!目ノ前二居ル人形ハ今日ハ敵ダ!」
『サーチアンドデストロイ!』
「ソレデハ…」
「コノ大切ナ闘イノ開会ヲ…」
「「開始スル!」」
上海人形と蓬莱人形が最後にそう宣言すると
『ワ~!』
辺りにいた人形達が闘いを開始する
と、言ってもあまりに大量に居すぎるために
まず一時試験に突入する
「ソレデハ!マズ一問!アリスノ御母サンノ名前ハ、神崎…○カ×カ!」
『ワ~!』
一次試験は、アリスの事に関するクイズ
○×で選んでいき、約半分まで絞られる事になる
「正解ハ…×!」
『ヤター!』
『ウボア~(涙)』
勝つものが居れば、負けるものも居る…それが勝負だ…
「ソレデハ第二問!」
上海人形がクイズを話していく
シャンハイ人形は前年度の覇者なので二次試験まではパスになっている
だからクイズを読み上げているのだ
そして、人数が半分ほどまで落とされたあと
「二次試験二イクヨ~♪」
『オ~!』
その場に残った人形達が指定されたテーブルの上に降り立つ
「ソレデハ!二次試験…」
九つのテーブルの上に、上海人形と蓬莱人形が降り立つと
「開始!」
開始を宣言した
それと同時に、人形達が勝ち残るために他の人形達をテーブルの外に落とそうとする
「喰ラエ!人形魚雷!」
『ア~!?』
「「「今奴ヲ狙エ!」」」
「キャァ~!?」
九つのテーブルの上で、最後に残った一人だけが最終トーナメントに残る事ができる
「上海バスター!」
一番目のテーブルを制したのは、上海人形だった
最後の相手を、また裂き状態の技をかける
「倫敦ブリッジ!」
二番目のテーブルを難なく制したのは、倫敦人形
英国紳士のように、綺麗なグラウンドテクニックからの
綺麗なアルゼンチンバックブリーカーを決めた
「露西亜ノ!紅イ雨!」
三番目のテーブルを精したのは露西亜人形だった
その手から繰り出される、渾身のチョップで相手の意識を刈り取った
「ベルサイユパッケージホールド!」
四番目のテーブルを制したのは仏蘭西人形
目の前の人形を身動きが取れないように雁字搦めに固めた
「ガンジスDDT!」
五番目のテーブルを制したのは西蔵人形だった
無抵抗を装い、突っ込んできた相手の首を掴んで
そのままテーブルの外に放り投げた
「オルレアーン!スクリュードライバー!」
六番目のテーブルの勝者はオルレアン人形だった
この日の為に磨いた、プラスチック製のベアークローを使って
人形達をなぎ倒していった
「ハリケーン…オランダ!」
七番目のテーブルを勝ち取ったのは和蘭人形
頭に付け猫耳をつけ、思いっきり体当たりをして
最後の相手を弾き飛ばした
「スーパー不知火!」
八番目のテーブルの最後の生き残りは京人形であった
不自然な体勢から放たれる、オリエンタルキックから
相手を魅せることができる、不知火で最後の相手をテーブルに叩き付けた
「蓬莱クローバーホールド!」
そして、最後のテーブルを勝ち抜いたのは
上海人形のライバルである、蓬莱人形であった
他の人形達比べて、特に凄いイメージはないが
持ち前のスピリットで、決勝のトーナメントに勝ち上がった
「コノ九名デ、最終決勝戦ヲ行ナウ!」
宣言をしたのは、名も亡き人形…
負けてしまった彼等が、トーナメントに残った者に対して
賞賛のまなざしを籠めてレフェリーを行なうのだ
「デハ、一回戦目!」
最後のトーナメント戦が始まる
それぞれの、すばらしい技の競演があった
「倫敦ブリッジ!」
「甘イ!四十八ノ殺人形技ノ一ツ!」
倫敦人形の必殺アルゼンチンバックブリーカーを上海が切り返す
「上海ドライバー!」
「ガハッ!」
「ハリケーンオランダ!」
「キャー!」
和蘭人形の攻撃に、防戦一方のオルレアン人形
遂に、その殺人タックルが命中する
「次ノ一撃デ!終ワリダ!」
(…アリス…力ヲ貸シテ!)
動けなくなった、オルレアン人形が
己の力をかけた最後の勝負に出た
和蘭人形の殺人タックルを空中に飛んで避けると
「ベアークロー(プラスチック)二刀流!」
ベアークローを両手にはめる
「コレニ!何時モノ二倍ノジャンプト…三倍ノ回転ヲ加エレバ!」
覚悟を決めたオルレアンの一撃が和蘭人形を狙う
「博愛ノ!ファイナルベアークロー!」
「キャ、キャー!?」
だが、最後の一撃は惜しくも和蘭人形の猫耳の一部を破壊しただけに留まった
「…無念…」
「…敵トシテ会イタクナカッタ…」
「ベルサイユパッケージ…」
「ソンナ技ガ効クカ!」
開幕から、仏蘭西人形が己の必殺技を
露西亜人形に仕掛けるが、それを察知した露西亜人形が
それを避けると…
「毒ガス!」
「ト、飛ビ道具!?」
露西亜人形の最終兵器である、毒ガス攻撃が放たれた
この技…連射性、威力、飛び道具と言う化け物性能なため
某、タッグマッチでは使用禁止するところが続出したという物
「待ッタ!」
そのため、試合の途中で待ったがかかった
数人の審査員の協議の結果
『使用禁止技ノ項目二触レタ為!使用ヲ禁止スル!』
とされた…
「紅イ雨!」
「キュゥ…」
結局、露西亜人形が仏蘭西人形の意識を刈り取ったわけだが…
「ガンジスDDT!」
「ナンノ!腕ヒシギ逆十字!」
西蔵人形と京人形の試合は、周りの人形達を沸かせた
関節技…打撃技…投げ技…二人とも、最高水準の物を持っていた
「足四字!」
「ウボア!」
ほんの少しの隙を突いて、京人形が西蔵人形に足四字をかける
これで勝負有かと思われたが
「ヒックリ返ス!」
「アダダ!」
西蔵人形がひっくり返った為、二人とも苦しむ…
そのうち、お互いがひっくり返し始めた為一旦試合を止めた
しばらくの間、試合が中断されてから
一人の人形がマイクを持って出てくるとこう告げた
『只今ノ試合…二人トモ足ヲ怪我シタノデ、両者引キ分ケトシマス』
「…私ノ相手?」
「オイッス!」
九人なので、相手がいない蓬莱人形に
特別マッチが設けられた
「もこたんINしたおー!」
ここでまさかの、もこたん…
だが、試合はかなりの熱血ぶりをみせた
一番の見所だったのは、空中戦
「フライングボディシザースドロップ!」
空中で蓬莱人形が、もこたんに強引にボディシザースドロップをかけると
「まだまだ!不死鳥パイルドライバー!」
もこたんが、空中でそれをパイルドライバーに移行させる
「エーイ!アチェーリストレッチ!」
パイルドライバーが完全に決まる前に蓬莱が腹筋で起き上がり
相手を弓のようにしならせる関節技に移行する
「なんのこれしき!ブルドッキングヘッドロック」
もこたんが、その技を外すと蓬莱人形の首を固める
そして、遂に地面にぶつかる直前
「アリス直伝!肩固メ!」
「ウボア!?」
蓬莱が肩固めにもこたんを切って落とした
「うう~…まだ切り返せたのに…残念だお~」
このような感じで一回戦…そして準決勝が行なわれ
激しい戦いの末に…遂に最後まで残った二人が
決勝のリングの上にあがった
「赤コーナー!上海!」
「シャンハーイ!」
露西亜人形の一撃を、必殺上海バスターで下した上海人形が
リングの上に現れ片腕を上げてみんなにアピールする
「青コーナー!蓬莱!」
「ホウラーイ!」
和蘭人形を、蓬莱カーフブランディングでしずめた蓬莱人形が
気合を入れるとがリングに向かって歩きだした
この二人…実は一度も対戦した事がない
方や、常にアリスの傍にいる上海人形
方や、一番に家の事を任されている蓬莱人形
どちらも、アリスが特に信頼している人形であり
上海も蓬莱もお互いをライバルとしてみてきた
だが、信頼されている者同士…ぶつかる機会はほとんどなかった
そして、その機会が遂に訪れたのだ
「ゴング!(カーン)」
ゴングが鳴るとともに、リングの中央に上海人形と蓬莱人形が
一気に駆け寄る、そして…
「シャンハーイ!」
「ホウラーイ!」
(みしっ!)
上海人形が渾身のエルボーを蓬莱人形の顔に
そして、蓬莱人形が体重を乗せたハイキックを上海人形に…
「「キュゥ~…」」
試合開始すぐにぶっ倒れる二人
これだけで、観客の人形達が一斉に声をあげた
出だしから、二人は見せ場を作ってしまったのだ
「…シャ…シャン…ハイ…」
「ホ…ホウ…ライ…」
倒れた二人が起き上がると
「……(ニヤッ)」
「……(ニヤッ)」
お互いが笑みを浮かべて、構えを解く
そして、無造作に二人とも拳を固めると
「シャンハイ!」
(ゴッ!)
「ホウ…ラーイ!」
(ゴスッ!)
ノーガードのまま、殴り合いを始めた
『どちらがタフか』それを決める為の戦い
最後まで立っていた者が勝者…
そんな、恐ろしいデスマッチを二人は敢行したのである
上海人形が、蓬莱人形のお腹にボディブローを決めると
今度は、蓬莱人形が上海人形の顔にエルボーを決める
ボロボロの二人がその場に立てるのは
アリスと一緒に居られる権利ではなく
「蓬莱ニハ…負ケラレナイ!」
「コッチダッテ!上海ヨリ前二倒レル事ハデキナイ!」
目の前のライバルの存在が、二人をその場で立たせていたのであった
何度殴りあったか分からない…
だが、遂に決着が着くときが来た
上海人形と、蓬莱人形がお互いに動きを止める
そして、二人がボロボロの身体で詰め寄ると
「最後ノ!」
「一撃!」
上海人形と蓬莱人形の右手が同時に攻撃をしかける
そして、その一撃はお互いに顔を的確に狙い…
(ミシッ!)
お互いの腕が綺麗に交差して相手の顔に一撃を加えたのだった
その一撃は、お互いの意識を失わせるのには十分であった
立ったまま意識を失っている、二人を見た観客の人形達が総立ちする
「ク…クロス…」
「クロスカウンターダ!」
『ワ~~~!』
それは、上海人形と蓬莱人形が放った…とてもとても綺麗な一撃であった
その二人の見事な戦いに、観客達は拍手で迎えた…
「ただいま~…」
アリスが紅魔館から帰ってきて、驚いた
「シャンハーイ…」
「ホウラーイ…」
「ど、どうしたの二人とも!?」
アリスの信頼している人形二人が
ボロボロの姿で現れたからだ
「…遊んでいたら、酷い目にあった?」
「「ウン!」」
上海人形と蓬莱人形がそう頷くと
アリスが優しい顔に戻る
「そう…でも、解れた所を直さないといけないから二人とも、こっちにいらっしゃい」
「シャンハーイ♪」
「ホウラーイ♪」
戦いの結果は、二人とも同時優勝となった
誰も、その意見に反対するものは居なかったからだ
そして、誰一人として、あそこまで戦えると思った者は居なかったからだ
こうして、人形達の戦いは終わった
次の機会に向けて、再び人形達は自分の居る場所に戻る
アリスが居なくなった事を確認してから
「上海…」
「何?蓬莱…」
「次ハ必ズ勝ツ」
「…ソレハ私ノ台詞ダヨ…」
二人はお互いの手を握った…
「それじゃあ、治療も終わったし寝ましょうか?上海、蓬莱」
「「ワーイ♪」」
人形達の居る、棚の中…
『イイナ~…』
『次ハ負ケナイ!』
『一次試験残レル用二、勉強スル…』
『私モ~』
どうやら、そう遠くない未来に人形達のオリンピックが開かれるようだ
>ここでまさかの、もこたん…
確かにまさかだw
蓬莱「ナンノコレシキ!」
ですね。分かります。
それだけ暴れて家の中めちゃめちゃになってないかい??
まっ、最後に後かだつけするでしょうけどwww
これは皇帝か?
なんという肉肉しい人形たちであることか