永く。

「………お互い、永く生きたと思わない？」


不意に茶を飲んでいた紫が口を開いた。まるで独り言のように。


「それは、もう死んで亡霊の私に対する嫌味なの？紫」

「ふふ。別に嫌味じゃないわよ、単純にそう思っただけ」


団子を頬張りながら視線を向けてくる幽々子の様子を横目で見て苦笑する。
薫り高い茶を飲み干すと、再び急須から湯飲みに茶を淹れ直す。


「でも、何処ぞの月のスパイ達よりは絶対若いわ」


若干トゲを含んだような親友の言葉に紫は金色の瞳を若干見開いた。
普段穏やかで何処ぞの紅白巫女に劣らぬ暢気さを持つ彼女が先程のように
トゲを含んだような言い方は至極珍しい事である。


「……どうかした？紫」

「……いいえ。ふふ、何でもないわ」


誤魔化す様に茶を飲む親友の様子を幽々子は団子を頬張りながら不思議そうに見つめる。
桃の花の様な瞳にじっと見つめられ少し居心地悪そうに紫は若干困った様な微笑みを浮かべた。
困ったような微笑でさえも月や花が羨むほど美しい。


「………永く生きれば生きるほど、哀しい事も楽しい事もきっと増えていく…」


視線を紫から漆黒に浮かぶ朧月に変え、幽々子はぽつりと呟く。
その言葉に紫は返答をせず只温くなった茶を飲んでいる。


「でも、それでも貴方はもっと永く生きるつもりなのでしょう？紫」


再び視線を親友に変え、ふわりと柔らかく…花が綻ぶように微笑みかけた。
その言葉に頷き紫は優しげな…けれど美しい笑みを浮かべ答える。


「ええ。……それが私の、幻想郷を見守る者の役目だから…」



縁側で茶会を続ける二人を朧月が優しく照らしていたー…。

今年初の投稿の露草です。
相変わらずの低クオリティーですみません…。
内容薄っぺらい上に短い話…、スランプも言い訳に出来ませんね。
こんな作品でも楽しんで頂ければ幸いです。