「チェスト!」
「おぐっ!?」
自分の対戦相手に対して聖拳突きが決められる
「次!」
勝った余韻に浸る間もなく、対戦相手を要求する
紅魔館門番隊の中でのみ行なわれる
伝説の組み手「紅魔百人組み手」
それが行なわれるのは、いくつかの条件が重なった時のみ
一つは、門番隊の中でその組み手を受ける事を許可される事
この組み手を受ける資格があるのは門番隊のみ
それは、たとえ屋敷の主であるレミリア様でも曲げる事は出来ない
(私は生粋の門番隊だから資格はある)
次に、門番隊の中で、かなりの間貢献した者か
長い時間を過ごして来て部下の信頼に厚い者であること
これが無ければ、この試験を受けるという事を口に出す資格すらない
(部下の信頼はわからないが、かれこれ数十年以上門番隊で働いてきました)
そして、一番最後にとても重要な事
「折り返し地点ですよ、此処からが正念場です」
「お、おっす!」
門番長である紅美鈴に時間が取れた時であった
門番の仕事はほぼ毎日あるのも事実だが
門番長はまた別、屋敷の力仕事の担当もあるうえ
フランドール様の相手をなされている事が多いからだ
「さあ、次の者構えて!」
幸い、今日は折り合いがついてくれたらしく
数年ぶりに、この組み手が開始された
(はぁ…はぁ…)
門番隊の体力は、おそらく幻想郷のどの
組織の連中よりもタフであると自負できる
(勝負できるとしたら、天狗の山の哨戒天狗達だろう)
そんな体力馬鹿達を倒して60人を超えたあたりで
既にものを言う体力も失っていた
「……つ、次…」
「お、おっす!」
この試練を受けた事で、大怪我をおって数ヶ月寝込んだ者も居る
だが、それよりももっと大切な事がある
(…こ、こんな好機…もう次があるかどうか)
この組み手こそが、門番隊の誰もがあこがれる
門番隊副隊長の名誉を得ることが出来るのだ
「せいやぁあ!」
「おごっ!?」
なけなしの体力と共に、自分のハイキックが対戦相手の首に決まる
「ぶはっ…ぜはっ…」
呼吸が乱れているのはわかる、だが此処まで来て棄権するようでは
(…門番隊…副隊長の名誉は…受けれない!)
「うおりゃあ!」
「ぐむっ!」
体力と気の弱りから、相手の攻撃を受け始めてくる
(か、身体が…重い)
普段動いている自分とは思えないほどに体がだるく感じる
「はいぃぃ!」
それでも、対戦相手は手を抜かずに回し蹴りを入れてくる
「うりゃぁああ!」
動かぬ体に鞭を打ってその脚を抱えて思いっきり捻りこみ
相手を思いっきり投げ込む
「…ぜぁ…ぜぇ」
既に、80人を相手にしてきた
体力はとうの昔になくなっている
此処まで来たら、何時倒れこんでもおかしくは無い
「…つ…つぎぃ…」
それでも、百人組み手を達成するまでは
(…ま、まだまだ……倒れられない)
倒れる事を自分が許さない
「そりゃ!」
脚払いを受ける
(倒れてグランドに持ち込まれたら負けだから捌く)
「ぬん!」
裏拳が飛んでくる
(ガードしたら打ち抜かれる、だから肘を狙い打つ)
「つ…っぎっ…」
「…90人目前へ!」
門番長のかけ声と共に
苦楽を共にしてきている門番隊達が立ちふさがる
「ぉ…オッスッ!」
「うりゃあ!」
「次の相手!前へ」
右手は67人目の放ったチョップで腫れている
(だが、壊れてはいないから痛みを無視して拳を握る)
「ウィィィイイ!!」
「92人目!前へ!」
左の肘は59人目で曲がらなくなっている
(上等、振り回せるからラリアットは放てた)
「っしゃあ!」
「93人目前に!」
右足は64人目で捻挫している
(痛みのおかげで意識ははっきりせざる終えない)
「…っっ~!」
「94人目!」
左の膝は80人目辺りから悲鳴を上げている
(その程度でよかった、折れてはいない)
すでに体力は尽きて、気力だけで立っているが気力も尽きようとしている
何故此処までする必要があるのか…
本来、紅魔百人組み手は、門番長が自分の修行として行っていたもの
だが、とある古参の門番隊の一人もそれを行い
大怪我を負いながらも、その苦行を超えた事から始まる
「パチキ!」
四肢全てを使い切ってきた私が99人目の相手に喰らわせたのが
最後に動く所であった、自分の頭であった
思いっきり頭突きを決めて、此方も意識が落ちそうになるが
(つ、次ぃ…)
最後の相手に向けて、倒れそうになる体を地面に両手をつき
崩れ落ちそうになる体と
疲労で震えている膝や脚に活を入れて起き上がる
(昔、百人組み手を初めて超えた古参の門番は、全身がボロボロ
流血をしながらも最後の相手を気力だけで倒し地面に倒れた…
そして、門番長が大急ぎで流血を止めようとしたためのある事から…)
「さあ…百人目」
しばらく、意識が朦朧としていたようだったが
門番長の声で意識が覚醒する
膝をついていた自分が最後の相手を見るために起き上がると
「…よく此処まで戦いました…」
目の前の相手は
「門番隊副隊長としての資格は既に十分です!」
自分が憧れている門番長自らとの戦いであった
「さあ!勝っても負けても私が最後の相手です…全力でかかってきてください!」
その言葉と共に、最後の攻撃を仕掛ける
右手…(今なら砕けても構わない!)
左肘…(今だけ曲がれ!後で休暇をくれてやる!)
左足…(痛みなど、覚悟と気迫で押さえ込んでくれる!)
右膝…(どうした!?最後の踏み込みぐらい砕ける覚悟を見せろ!)
頭…(お前が一番軽症だ…頼む!最後まで持ってくれ!)
「おおおぁあぁぁあああ!」
両足を思いっきり地面に叩きつけて(嫌な音が響くが気にしない)
両腕をフェイントに使い(後で肘がパンパンに張るであろう)
思いっきり覚悟を決めて(これで最後)
この一撃が、私が百人組み手の最後に放つ攻撃
玉砕覚悟の万歳アタックであった
「メイリン隊長!覚悟!」
その心意気やよし!
最後に、門番長の笑みとその言葉を受けて
門番長の必殺技である『破山砲』の音を最後に
私はしばらく意識を落とした
「…ぇぁ?」
気がつけば、全身をボロボロにされた上で
百人組み手の会場の一角で寝かされていた
「気がつきましたか」
目の前に居るのは、門番長と戦ってきた門番隊達
「へぁ、へぁふりんふみへは(ひゃ、百人組み手は?)」
身体への負担だけでなく、どうやら顎も
ボロボロになっているようだったが無理やり声を上げると
門番長と門番隊の皆が笑顔になり、門番長が代表して答えてくれた
「紅魔百人組み手達成です、おめでとう新副隊長」
その言葉と共に、門番長がその証である鉢巻を私の手に乗せてくれた
『おめでとう!』
それと同時に、門番隊の全員が喜んでくれたが
今の自分は目の前が涙で霞んで前を見ることが出来なかった
「さあ!全員、新副隊長を大急ぎで救護班の場所へ連れて行ってください
一応、気で治療はしていますが、大怪我なのは間違いないですから!」
『了解しました!』
そして、私は門番隊の皆に連れられてしばらく過ごす事になる
救護部屋に連れて行かれる事になった
「おめでとう、新副隊長!」
「よく此処までやれたよね」
「くそ~…羨ましいな…」
門番隊の皆から羨ましそうに声をかけられる
さあ、皆の前で副隊長の証である『鉢巻』を頭に巻こう
『副隊長』と名前はもらうが、たいした事は無い
百人組み手を最後まで終了したという証というだけで
他の者に指示を少し出すだけで、殆ど変わらない
現に、今数人居る副隊長達の一人が
一番初めに百人組み手を超えてきた初代の副隊長である
その初代副隊長が、一番初めに貰った物は鉢巻でなく
門番長が自ら手当てしてくれた『包帯』の代わりの物だった
(そう…これこそが、我々門番隊にとって、どんな宝にも代えがたい代物)
それを手にする事と、身に着けることが許される事が
門番隊副隊長に許される特権であり、自らの命よりも得難い代物であった
「さあ、新副隊長殿!見せ付けてやれ!」
古参の副隊長にそういわれて、私は頷くと
「ふぉったど~~!(とったぞ~~!)」
門番長の胸に巻いていた『サラシ』で作られた
『鉢巻』を高らかと持ち上げて門番隊の皆に祝福された
入隊許可書は何処で取り扱っていますか?ここに入隊したい人がいますが?
ところで門番隊の入隊方法なんですが・・・
前までの百人組み手はそのためか、ならそこまでやる理由も分かりますw
その「証」を盗んだ瞬間死亡フラグですね、分かりますw
門番隊の報復が怖い・・・見事に弱点を突いていますww
ところで入隊方法はどこでやってますか?
これは誤字なのか本気なのか判別付け難い。
紫への報復がスゲェw 勝てる手を尽くすってのを地で行ってるw
奪うより門番隊に入るが地道の近道
以上に強かったあの門番隊はこういった理由があったのか、
それは強いな