博麗の巫女が弾幕決闘を作り出して幾許かの時間が流れた
その間にどれだけの異変が起こったのかは分からない
妖怪達に聞いたら少し前の事だと教えてくれるはず
だが、人からすればその時間は一生を終えるのには十分であった
それがたとえ神や鬼、悪魔や亡霊達と戦って勝って来た少女達でも
時の流れには残酷に過ぎていくものである
紅い屋敷に住んでいた人間…
「…短いものね…」
レミリア・スカーレットはそう呟く
たかが100年足らず…
妖怪にとってはそれはあっという間の時間だった
「でも、今まで私が生きてきた中で…一番大切な時間だったわ」
レミリアが落ち込んだ様子でそう言うと紅茶を飲もうとする
そして、紅茶を飲むためのカップを手に取ってから思い出す
「…そうだったわね…」
今までのように空のカップを手にしたら
瀟洒なメイドがいつの間にか紅茶を入れていた
「貴方はもう…居なくなってしまったのね…」
だが、もう時を止めてまで紅茶を入れてくれた
瀟洒でちょっと天然が入っている紅魔館にとっての大切な…
「咲夜…」
十六夜咲夜は居なくなってしまった
レミリアも自分が頭を下げてまで眷属になるように伝えたが
それでもなお、最後の最後まで人間であり続け
紅魔館の皆に看取られて幸せそうに去っていった
「…なんで…死んじゃったのよ…」
誰も居ない自分の部屋の中で…
「咲夜ぁ…」
赤い悪魔は自分の最愛の従事者の為に涙を流した
・・・
普通の魔法使いだった人間…
「……もうこんな時間か…」
森近霖之助は静かにそう呟いた
今日も一日、誰も来ないで静かなものだった
「…ふぅ…」
丸一日読書を続けていたせいか、少々目が痛む
つけていた眼鏡を外し、目の前にあったテーブルに置くと
自分の手を目の上に置いた
「………」
目を閉じて静かにしていると、少し前の事を思い出す
お店に厄介事ばかりを持ち込んできて
勝手に商品を奪っていっていた少女の事を
「…静かになってしまったな…」
あの時は、静かであって欲しいと思っていたが
実際に静かになってしまえば寂しさが身に染みていた
「…魔理沙」
霧雨魔理沙は魔法使いにはならなかった
無論、なることは出来てはいたが
最後の最後になっても普通の魔法使いである事を望んだのだ
「…最後の最後まで本当にどたばたしていたな…」
魔理沙は自分が死ぬ寸前に、今まで借りていた物を
全て返しに向かった
そして、借りた先々で魔女になるようにと懇願されたらしいが
その全てをきっぱりと断り
最後に香霖堂にやってきて八卦炉を返してから
「自分の家じゃなくて此処で倒れるなんてな…」
霖之助の手の中に倒れこみ
遺言を伝えてから眠るように逝った
魔理沙の遺言はただ一つ
『家の掃除頼む…また戻ってくるから』
「…さて、明日にでも久しぶりに掃除にいくかな」
霖之助は死んでしまった妹分の為にそう呟いた
・・・
妖怪の山に来た神社の風祝だった人間…
「……はぁ…」
八坂神奈子は静かに月を見ながらお酒を飲んでいた
「…酔えないねぇ」
自分の目の前には何個もの酒樽が空になっていたが
今日はそれでも酔う事が出来なかった
「今まで…何度も体験してきているって筈なのに…」
今までの間に、何度も何度も体験してきているはずの事だった
そして、それは仕方が無い事だと思っていたことだった
「…酔って忘れないと…潰れるって言うのに…」
だが、今回はそれが出来そうに無い
今まで此処まで近く、そして自分を慕ってくれた者
自分の娘とまで思っていた者…
「…早苗…」
東風谷早苗…神奈子が消えないように幻想郷にやって来る際
自分達を慕い周りの関係を全て絶って一緒に来てくれた風祝…
「…ごめんね…弱い神様で…」
早苗が里に信仰を集めてくれたおかげで
神奈子達が消える運命からは逃れた
だが、その代わりに早苗が外で生きていくと言う運命が消えた
自分達の所為で、早苗に苦労をかけさせた
その思いを胸に、神奈子がお酒をもう一杯飲み干し
「…ありがとう…早苗」
お酒の代わりに死んでしまった自分の娘の為に目から涙を流した
・・・
紅白の巫女と呼ばれた人間…
「…久しぶりね此処に来るのも」
八雲紫は赤い鳥居の下で物思いに耽っていた
「…どれだけぶりかしら?此処に来なくなってから」
目の前に見える神社は昔と変わらない
今から少し前に妖怪と人間が楽しく宴会を開いた場所
紫もそこで開かれる宴会が大好きだった
「…いえ、宴会なんか関係なかった…」
紫が自嘲気味にそう呟く
宴会は建前…それよりももっと大切な事
「霊夢…貴方に会えるのが楽しみだった」
吸血鬼を倒し、亡霊も倒し、蓬莱人や閻魔
神までもを打ち倒して来た無敗の巫女
「だからね…貴方がいなくなってから私は此処に来なかった」
博麗霊夢…幻想郷の素敵な巫女はもういないのだ
最強と呼ぶに相応しかった巫女も
寿命には勝てなかった
それを何とかする方法が幾多もあっても…
霊夢は全てをきっぱりと断った
「…もっと早く…言っておくべきだったわね」
博麗神社の傍に置いてある小さな墓
その前に紫は立ち尽くし
「霊夢…貴方の事が好きだったわ…」
言えなかった思いを墓の前に告白した
時の流れは残酷なものであり
妖怪と一緒に遊んでいた人間の少女達がいなくなっても
それでもこの世界(幻想郷)は回り続けるのだ…
故に残った者は思い出す…あの楽しかった時間を
それこそが人間が妖怪に対して残す事が出来る
最大の呪いなのかもしれない
その間にどれだけの異変が起こったのかは分からない
妖怪達に聞いたら少し前の事だと教えてくれるはず
だが、人からすればその時間は一生を終えるのには十分であった
それがたとえ神や鬼、悪魔や亡霊達と戦って勝って来た少女達でも
時の流れには残酷に過ぎていくものである
紅い屋敷に住んでいた人間…
「…短いものね…」
レミリア・スカーレットはそう呟く
たかが100年足らず…
妖怪にとってはそれはあっという間の時間だった
「でも、今まで私が生きてきた中で…一番大切な時間だったわ」
レミリアが落ち込んだ様子でそう言うと紅茶を飲もうとする
そして、紅茶を飲むためのカップを手に取ってから思い出す
「…そうだったわね…」
今までのように空のカップを手にしたら
瀟洒なメイドがいつの間にか紅茶を入れていた
「貴方はもう…居なくなってしまったのね…」
だが、もう時を止めてまで紅茶を入れてくれた
瀟洒でちょっと天然が入っている紅魔館にとっての大切な…
「咲夜…」
十六夜咲夜は居なくなってしまった
レミリアも自分が頭を下げてまで眷属になるように伝えたが
それでもなお、最後の最後まで人間であり続け
紅魔館の皆に看取られて幸せそうに去っていった
「…なんで…死んじゃったのよ…」
誰も居ない自分の部屋の中で…
「咲夜ぁ…」
赤い悪魔は自分の最愛の従事者の為に涙を流した
・・・
普通の魔法使いだった人間…
「……もうこんな時間か…」
森近霖之助は静かにそう呟いた
今日も一日、誰も来ないで静かなものだった
「…ふぅ…」
丸一日読書を続けていたせいか、少々目が痛む
つけていた眼鏡を外し、目の前にあったテーブルに置くと
自分の手を目の上に置いた
「………」
目を閉じて静かにしていると、少し前の事を思い出す
お店に厄介事ばかりを持ち込んできて
勝手に商品を奪っていっていた少女の事を
「…静かになってしまったな…」
あの時は、静かであって欲しいと思っていたが
実際に静かになってしまえば寂しさが身に染みていた
「…魔理沙」
霧雨魔理沙は魔法使いにはならなかった
無論、なることは出来てはいたが
最後の最後になっても普通の魔法使いである事を望んだのだ
「…最後の最後まで本当にどたばたしていたな…」
魔理沙は自分が死ぬ寸前に、今まで借りていた物を
全て返しに向かった
そして、借りた先々で魔女になるようにと懇願されたらしいが
その全てをきっぱりと断り
最後に香霖堂にやってきて八卦炉を返してから
「自分の家じゃなくて此処で倒れるなんてな…」
霖之助の手の中に倒れこみ
遺言を伝えてから眠るように逝った
魔理沙の遺言はただ一つ
『家の掃除頼む…また戻ってくるから』
「…さて、明日にでも久しぶりに掃除にいくかな」
霖之助は死んでしまった妹分の為にそう呟いた
・・・
妖怪の山に来た神社の風祝だった人間…
「……はぁ…」
八坂神奈子は静かに月を見ながらお酒を飲んでいた
「…酔えないねぇ」
自分の目の前には何個もの酒樽が空になっていたが
今日はそれでも酔う事が出来なかった
「今まで…何度も体験してきているって筈なのに…」
今までの間に、何度も何度も体験してきているはずの事だった
そして、それは仕方が無い事だと思っていたことだった
「…酔って忘れないと…潰れるって言うのに…」
だが、今回はそれが出来そうに無い
今まで此処まで近く、そして自分を慕ってくれた者
自分の娘とまで思っていた者…
「…早苗…」
東風谷早苗…神奈子が消えないように幻想郷にやって来る際
自分達を慕い周りの関係を全て絶って一緒に来てくれた風祝…
「…ごめんね…弱い神様で…」
早苗が里に信仰を集めてくれたおかげで
神奈子達が消える運命からは逃れた
だが、その代わりに早苗が外で生きていくと言う運命が消えた
自分達の所為で、早苗に苦労をかけさせた
その思いを胸に、神奈子がお酒をもう一杯飲み干し
「…ありがとう…早苗」
お酒の代わりに死んでしまった自分の娘の為に目から涙を流した
・・・
紅白の巫女と呼ばれた人間…
「…久しぶりね此処に来るのも」
八雲紫は赤い鳥居の下で物思いに耽っていた
「…どれだけぶりかしら?此処に来なくなってから」
目の前に見える神社は昔と変わらない
今から少し前に妖怪と人間が楽しく宴会を開いた場所
紫もそこで開かれる宴会が大好きだった
「…いえ、宴会なんか関係なかった…」
紫が自嘲気味にそう呟く
宴会は建前…それよりももっと大切な事
「霊夢…貴方に会えるのが楽しみだった」
吸血鬼を倒し、亡霊も倒し、蓬莱人や閻魔
神までもを打ち倒して来た無敗の巫女
「だからね…貴方がいなくなってから私は此処に来なかった」
博麗霊夢…幻想郷の素敵な巫女はもういないのだ
最強と呼ぶに相応しかった巫女も
寿命には勝てなかった
それを何とかする方法が幾多もあっても…
霊夢は全てをきっぱりと断った
「…もっと早く…言っておくべきだったわね」
博麗神社の傍に置いてある小さな墓
その前に紫は立ち尽くし
「霊夢…貴方の事が好きだったわ…」
言えなかった思いを墓の前に告白した
時の流れは残酷なものであり
妖怪と一緒に遊んでいた人間の少女達がいなくなっても
それでもこの世界(幻想郷)は回り続けるのだ…
故に残った者は思い出す…あの楽しかった時間を
それこそが人間が妖怪に対して残す事が出来る
最大の呪いなのかもしれない
ご冥福を祈ります。
ご冥福をお祈りします
三沢選手のご冥福をお祈りします
幻想郷ならではの復活劇、堪能させていただきました。
さすが脇役!俺たちには想像も出来ないことを書いてみせる!
そこにシビレル!憧れる!
三沢さん、ありがとうございました。
私がそっちに逝ったら、また素晴しいエルボーを魅せてください。
この門番一体何者なのかと小1時間と(ry
美鈴少し自重しろwwwww
こんな話もありですよね~
霊夢やら早苗さんなら神格化してもおかしくなさそうだし
美来斗利偉・紅美鈴(ビクトリー・ホンメイリン)や!
三沢選手、ご冥福をお祈りいたしております。貴方は死に様までプロレスラーの鑑でした。敬礼。
特に美鈴の死者への冒涜ぶりには狂気すら感じられるのだが。
橋本選手に続いて三沢選手、寂しい限りです。
美鈴がギャグ調なのは仕様ですよね。あとがきなので深くはツッコミません。