最近、木についてある葉っぱがみんな赤く染まり始めた。
吹いてくる風も涼しくなったし、何よりあの憎たらしいほど暑かった太陽がそんなに暑くなくなった。
道を歩けばドングリを見つけるようになったし、どこからか甘い匂いがしてくる。
大ちゃんにこの匂いの正体を聞いてみたら、きんもくせいっていう木の花の匂いだということが分かった。
これだけ甘い匂いがするんなら、花もたぶんすごく甘くておいしいんだろうな。
この時期になると、霊夢は遊びに行くたびに神社の広いところで焼き芋を焼いてて、魔理沙もよくそこにいる。
遊びに行ったら焼き芋を分けてくれるから大ちゃんと一緒によく行く。魔理沙と話すのも楽しいしね。
あの紅い屋敷に近づくと門番はいっつも寝てるんだ。
夏の暑い間は門の影に入って寝てるけど、最近はお日さまの当たるところで寝ている。
涼しくなって寝やすくなったんだろうな。でも、いつもメイドの咲夜に叩き起されてるけどね。
この前、図書館に遊びに行ったら、吸血鬼の姉妹とパチュリーが一緒に本を読んでいた。
姉の方が妹に本を読んであげてて、たぶんパチュリーも本を持っていたけど、ページが進んでなかったからそれを聞いてたと思う。
何してるのって聞いたら、読書の秋を堪能している、とかなんとか言ってた。よくわかんないや。
でも妹はすごく嬉しそうに聞いてたから、読書の秋を堪能するって楽しいんだろうな。
それから、幽霊がいっぱいいるところにもよく遊びに行く。
そこのでっかいお屋敷にはすぐに切りかかってくるやつと、いつものんびりお茶を飲んでるやつがいる。たしか妖夢と幽々子だったっけ。
この前は幽々子の隣に座って一緒におしゃべりした。
妖夢がお団子を持ってきて一緒に食べたり、お月さまはほんとはお団子だという話を幽々子から聞いたりした。
昔、月を食べたことがあるらしい。私も食べたいと言ったら今度持ってきてあげるって約束してくれた。すごく楽しみだ。
人里に行くと収穫祭とかいうのをやってて、けーねと秋の神様が忙しそうにしてたっけ。
取れたばっかりのお米で作ったおむすびが配られて、大ちゃんと一緒に食べた。すごくおいしくて、おかわりいっぱいしてたら食べすぎだってけーねに怒られた。
おいしすぎるおむすびが悪いんだっていったら、秋の神様に頭をなでられた。すごく嬉しそうな顔をしてたけど、あれはなんだったんだろう。
妖怪の山は木が真っ赤になってて、すごく綺麗だった。でも飛んでるとすぐに天狗がやってきて注意してくる。
この前は犬みたいな天狗がやってきて、何しているって聞いてきたから、もみじが綺麗だから見に来たって言ったら顔を赤くしてたっけ。
そのあとすぐに文が来てその犬の天狗に話をしてから、一緒に山の上の神社に遊びに行った。文は取材とかなんとか言ってたけど。
緑色の巫女に、霊夢の偽物って言ったらすごい怒られた。涙目になって怒ってたからちょっと悪いことしたかな。
お詫びに氷漬けにした蛙をその巫女にあげようとしたら、今度はそこの神様にすごい怒られた。意味分かんないや。
そのあと、夜に永遠亭に行ったら、庭にいっぱいウサギたちがいて、みんなが餅つきをしてた。
すごく楽しそうに餅つきしてたから、あたいもまざって一緒に餅つきをした。
そしたら、小さいウサギが餅を盗み食いして、おっきいウサギがそれを追いかけてったら落とし穴に落っこちて、すごく面白かった。
そのあと小さいウサギは師匠っていう人にお尻を叩かれてたけど。
それからお姫様とかいう奴に呼ばれて、一緒にお餅を食べた。お月さまを見てどう思うって聞かれたから、おいしそうだって言ったら笑われた。
そのお姫様が言うには月は食べられないらしい。でも人が住んでいて、桃を食べて暮らしているっていう話をしてくれた。すごく嘘くさいけど。
その次の日にひまわり畑に遊びに行ったら、いっぱい咲いてあったひまわりはほとんど枯れてて、そこにいた妖精たちもいなくなっちゃってた。
かわりにいろんな色のコスモスが咲いてて綺麗だったけど。
そのコスモスを見てたら幽香に声を掛けられた。にっこり笑いながら話しかけてきたからあたいも笑って挨拶した。ちょっと怖かったのは内緒。
ひまわり枯れっちゃって悲しいって聞いてみたら、悲しくなんかないわよ、って言われた。でもなんだか少し寂しそうだったな。
だからそのあと、氷で作ったコスモスを幽香にあげたら、ありがとって笑ってくれた。最初の笑顔と違って優しい笑顔だったって憶えてる。
毎日そんな風にみんなのところに遊びに行ってたら、赤くなった葉っぱがだんだんと地面に落っこちはじめた。
ひらひらと舞い落ちてくる木の葉は綺麗で、大ちゃんと一緒によく山に見に行った。
そしたら、木々のあいだで踊っている秋の神様を見つけた。
その神様がくるりと踊るとまわりの葉っぱが落ちていって、すごく綺麗だった。あたいもあんなことしてみたいな。
そんな風に葉っぱが落ち始めたら、あたいはおかえりって言う練習を始める。
葉っぱが全部落ちて、吹いてくる風がとても冷たくなって、気持ち良くなったくらいにいつも帰ってくるから、今から練習しとかないと。
そして、おかえりって言ってから、今まであったことをおしゃべりするんだ。
あんまり前のことは憶えてないから、葉っぱが赤くなり始めた時からのことばっかりだけど。
でも、楽しそうにあたいの話を聞いてるレティが見たいから。
だから、おしゃべりもおかえりも、今から練習しとかないとね。
「・・・おかえり」
「ただいま」
それはそれで寂しいな
うむ、私も綺麗で赤く染まったもみじを見に行こうかな。
→木のまわり?
非常になごむ。幽香が意外に優しい。
きんもくせいのくだりがチルノらしい。
あともみじw